写真共有SNS Instagramの投稿内容からうつ病の兆候を見つけ出す趣旨の論文が発表されました。
英国の物理・情報科学研究者アンドリュー・G・リース氏とクリストファー・M・ダンフォース氏の研究チームは、Instagramにアップロードされた写真の色味、メタデータ構成と顔検出アルゴリズムなどから得た統計的な特徴を機械学習を用いて分析し、うつ病のマーカーを同定することに成功したと発表しています。
沈んだ精神状態にあるユーザーは、彩度を落とし暖色を抑える『Crema』や、色彩をモノクロに変換する『Inkwell』、セピア調の『Willow』といった暗色あるいは寒色系のフィルターを多用する傾向があったことを明らかにしており、うつ病の傾向が見られるユーザーの約70%は、当該ユーザーが実際にうつ病と診断されるより前にその兆候を識別できたと報告しています。
論文では、写真が表現する『幸せ』や『悲しみ』といった特性から推察できる人物の評価は"うつ病に関する弱い予測因子"であると結論づけました。これは機械学習による分析で得られた特徴とも相関するといいます。
なお、本研究から得られた知見は、精神的疾患の早期のスクリーニングや検出に役立つ可能性があります。
寒色系やセピア、モノクロといったフィルターは、ビンテージ志向のフィルターとしては定番どころではありますが、こうしたエフェクト類は使い所を選んで初めて効果を発揮するたぐいの機能です。
そして写真をアップロードする際には自分がその時"ベストだ"と思うような画像処理をかけるはずです。
その際、元の写真の良さをより強調するようにフィルターをかけるか、逆に良さを相殺してしまうようなフィルターのかけ方をしてしまうかの違いには、確かに精神状態による感性の変化が影響するのかもしれません。
今回発表された論文は、それに関して具体的に観測できた傾向を統計的に示したひとつの成果ととらえることができます。