モバP「球磨焼酎?」小日向美穂「はい」
P「しかし、どうして実家から美穂のところへ焼酎が送られてきたんだ?」
美穂「以前、熊本のお話をプロデューサーさんにしたじゃないですか」
P「ああ、確かにあったな。熊本城とか天草の話だよな?あとは、球磨焼酎の話とか」
美穂「はい。そんな話をしたって実家の母に伝えたら、それじゃあ美味しいお酒をプレゼントしようっていうことで、こうして送られてきて…」
美穂「それにプロデューサーさん、お酒好きでしたよね?」
P「ああ、好きだよ」
P「しかし、ありがたい話だけど、美穂のお母さんたちに申し訳ないことをしてしまったな」
美穂「いえいえ、世話焼きな母ですから」クスッ
美穂「よ、良ければですけど…今日、わ、私の部屋でお飲みになりませんか?」
P「…へっ?美穂の部屋で?」
美穂「一升瓶を数本送って来てて、私だと運べなくて…」
美穂「それに、えっと、その…美味しい飲み方とかもあるので、それも教えたりできたらなと思って…」
P「そういうことか…ん?美味しい飲み方?」
美穂「はいっ、おじいちゃんが人吉の出身なので、いつも米焼酎ばかり飲んでるんです」
美穂「そのおかげで、小さい頃からおじいちゃんや父から仕込まれてましたから♪」
P「ああ、なるほど」
美穂「それに、私の部屋でしたらそのお酒に合うようなおつまみもありますし」
P「ほう…ほう?」
美穂「なので、今夜時間があるのでしたら、どうかなと思ったのですけど…」
P「…うん、今日は夕方からは時間も空いてるから、お言葉に甘えるよ」
美穂「本当ですか!? よかったあ、ありがとうございます!」パアァ
美穂「……よしっ!」グッ
・・・・・・・・・・
夜 美穂の部屋
P「お、おじゃましまーす」
美穂「どうぞ、そちらのテーブルでくつろいでいてください」
P「ああ、ありがとう」
P「あんまり女子寮の部屋に入ることってないから、なんだか落ち着かないな」
美穂「そうなんですか?たまにプロデューサーさん、夜見かけたりしますけど?」
P「あれは酔いつぶれたダメな大人たちを運ぶために仕方なく入ってるだけだよ」アハハ
美穂「あんまりそういうこと言ってると、隣の部屋の人にバレちゃいますよ?この部屋壁が薄いので」
P「えっ、ちょっ…」キョロキョロ
美穂「…なんて、ウソです♪」クスッ
P「焦ったあ…美穂がそんな冗談言うとか珍しいな」
美穂「えへへ、そうですか?」
P「ん?この段ボールの中に入ってるのが、そう?」
美穂「そうです。プロデューサーさん、開けてみてください」
P「分かった。んっ…本当に一升瓶が二本入ってる。よっと…」ガサゴソ ゴトン
P「えっと…『武者返し』と、もう一本は…」
美穂「それは『豊永蔵(とよながくら)』って言います。両方とも、球磨の米焼酎ですね」
美穂「ちなみにですけど、球磨地方のお水を使って、球磨地方で仕込んだ米焼酎を球磨焼酎って定義しているんですよ」
P「へえ、そうなんだ。美穂は物知りだなあ」
美穂「えへへ…」テレテレ
美穂「あとは...これですね」ガサゴソ コトッ
P「これは?」
美穂「『ガラ』って言って、球磨の人たちが焼酎を飲むときに使う酒器です。この中に焼酎を入れて、燗付けするんです」
P「鹿児島の焼酎にも似たようなのがあるよな」
美穂「そうですね。それと、これです」コトッ
P「これは小っちゃいけど…駒?」
美穂「これは、ソラギュウっていう盃ですね。私も小さい頃、駒みたいに回してお母さんから怒られたりしました」クスッ
美穂「こうした小さい盃で焼酎を飲むのが球磨の特徴です」
P「へえ、これも盃なのか。底が尖ってるから、ちゃんと置けないけど…」
美穂「それがポイントなんですよ?」
P「?」
美穂「!…と、とりあえず、今から準備しますね!」
P「あ、ああ。お願いするよ」
※「ガラ」(手前にあるのが、「チョク」と呼ばれる猪口)
※「ソラギュウ」
美穂「えっと…じゃあ、まずは豊永蔵の方からでいいですか?」
P「ああ。俺じゃあ分かんないから、美穂に任せるよ」
美穂「えへへ、ありがとうございますっ」
P(美穂に任せるっていうのもおかしな話だけど)
美穂「お酒を入れて…と」コポコポ
美穂「後は、電熱器をセットして…」ピッ
P「電熱器?」
美穂「はい。コンロで直火に当てるのはちょっと危険なので…本当は囲炉裏でじっくり温めるのが一番美味しく仕上がります」
P「電子レンジで温めるのはだめなの?」
美穂「…はい?」
P「!?」ゾクッ
美穂「プロデューサーさんは何を言ってるんですか?」ゴゴゴ
P「あ、いや、その…」
美穂「そんなことしたら、せっかくの米焼酎の風味が飛んじゃうじゃないですか」ゴゴゴゴ
美穂「地元の人たちが、丹精込めて作った焼酎なんですよ?それをレンジなんてものに入れてしまうなんて、冒涜もいいところです」ゴゴゴゴゴ
P「え、えっと…すみません」
美穂「いくら信頼してるプロデューサーさんでも、言っていいことと悪いことがありますよ!」
P「は、はい、気を付けます…」
美穂「もう…同じ言の葉が再び紡がれるときは、火の国の神が棲む灼熱の業火に焼かれんぞ…」ブツブツ
P(何かものすごい物騒な熊本弁が聞こえたんだが…)
美穂「…よし、こんな感じかな」ピーッ
美穂「プロデューサーさん、できましたよー」
P「少しずつお酒のいい匂いがしてたから、つい待ち遠しかったよ」
美穂「えへへ…それじゃあ、早速お注ぎしますね」
P「美穂に、ましてや現役のアイドルにお酌してもらうなんて何だか悪いなあ」
美穂「いえいえ、好きで私がおもてなしさせてもらってますから♪」
美穂「よっと…」トクトク
P「おっとと」
P「そういえば、これって水で割ってるの?」
美穂「いえ、割ってないですよ?」
P「ってことはストレート?」
美穂「はい。水で割って薄めたものを出すっていうのは、恥だからやめておけとよくおじいちゃんから言われたので…」
P「いわゆる、おもてなしの心ってやつなのかな」
美穂「見栄っ張りなのかもしれないですけどね」クスッ
美穂「それにお水で割るよりも、そのままの方がお酒本来の美味しさもしっかり分かりますから」
P「でも、ストレートの焼酎を燗付けしたのって飲んだことないなあ…アルコール高いからむせたりしそうだけど」
美穂「大丈夫ですよ。見て分かるとおり、お猪口自体が小さいので、アルコールのキツさもそこまでないと思いますから」
P「確かにそうだな。…って何でそんな具体的なことまで美穂は知ってるんだ?」
美穂「……」プイッ
P「なぜ目をそらす」
美穂「と、とにかく、冷めないうちに飲んでください!」
P「あ、ああ。それじゃあいただきます」
P「…」グイッ
美穂「……」
P「うん、美味しいな」
美穂「本当ですか!」パアァ
P「ああ。確かに、アルコールのキツさがあんまりしない」
P「それよりむしろフルーティーで…米焼酎ってこんなに香りが良いんだな?びっくりしたよ」
美穂「こうして燗にすると、香りも味もよく分かるんですよね」
P(どうしてそんなに分かっているのかは聞かないようにしよう、うん)
美穂「ほらプロデューサーさん、どんどんどうぞ」トクトク
P「おっと、ありがとう」
P「んっ…うん、うまい」
P「しかしこの盃、底が尖ってるからお酒を注がれると置けなくなるな」
美穂「実はそれがその盃の一番の特徴なんです」
美穂「話によると、『そら』ってお酒を注がれたら『ギュウ』っとお酒を飲まないといけないから、ソラギュウっていう名前が付いたらしいですよ?」
P「へえ、面白い話だな」
美穂「ということでプロデューサーさん、そらっ♪」トクトク
P「おっ、それじゃあ…」ギュウ
P「飲みやすくて美味しいから、ついお酒が進んでしまうよ」アハハ
美穂「そうですよね、美味しいお酒ってついそれだけでも飲んでしまって…あれ?」
美穂「ああっ!わ、忘れてました!」ガタッ
P「美穂、どうした?」
美穂「ち、ちょっと待ってください!」タタタ
美穂「…すみません、せっかくこっちも用意してたのに…どうぞ、おつまみです」コトッ
P「これは…辛子れんこんだよな?あとこのビンのは?」
美穂「瓶に入っているのは、『うるか』です」
P「うるかってあの鮎の?」
美穂「はいっ、球磨川では鮎も獲れますから♪」
P「辛子れんこんにうるかかあ…いかにもお酒に合いそう!って感じだな」アハハ
美穂「私もこの二つは大好きです♪米じょうちゅ…」
P「ん?」
美穂「米…ご、ご飯と合わせても美味しいですからね!」
美穂「この2つさえあれば、ご飯何杯もいけちゃいますよ!あ、あははー!」
P「そうだなー、両方ともご飯にピッタリだもんなー」
P「じゃあ、辛子れんこんから…」アムッ
P「うんっ、美味い!…けど辛っ!めちゃくちゃツンと来るなこれ!」
美穂「だ、大丈夫ですか?と、とりあえず…」トクトク
P「あ、ありがとう…」グイッ
美穂「一口でそんなに食べちゃうと、だれでもそうなってしまいますよ?少しずつかじった方がそこまで辛くないと思います」
P「そうだな、気を付けるよ…」
コメント一覧
-
- 2016年08月28日 23:45
- 洗車に乗るみほさんも酒には強そうだよな