コレクターとは価値をつくる人間である。
ときにはうしろ指をさされ、ときには変人扱いされながらも、ただひたすら集め続ける。果たしてその先に何かあるのか、そんなことはわからんのです。ただ集めたいから集める。それは純粋な初期衝動。
世間一般から見たら何も生み出さない愚かな行為なのかもしれない。価値のないゴミを集めてるに過ぎないのかもしれない。しかし本当の物の価値とは何だろうか。それは何もお金だけじゃないはずだ……
今回、紹介する「
名前入りカセット博物館」は、そんな物の価値観について一石を投じるかもしれない。
館長の関純治氏は自身もレトロゲームコレクターであったが、あるとき、名前入りカセットに出会ったことで、その“本当の価値”に気付いたという。そこで立ち上げたのが、名前の書かれたゲームカセットを持ち主へ返すことを目的に活動している非営利団体「名前入りカセット博物館」だった。
果たして彼の気付いた”本当の価値”とは何なのか。さっそく、同博物館が所蔵する名前入りカセットコレクションを鑑賞してみたい。
提供:名前入りカセット博物館 まずはカセットの裏に名前が書いてあるオーソドックスなタイプですね。文字のスレ具合から1回目は下に小さく書いたのでしょうか。のちに上に大きく書かれていることがわかります。キン肉マンの『マッスルタッグマッチ』は対戦プレイが燃えますからねえ。でもブロッケンは禁止だぞ!
お次はローマ字ですか。カセットは『ドクターマリオ』です。H・Kはイニシャルだなってことはわかるんですが、THUはいったい何のことでしょうか。
ボンベルタ。お店の名前でしょうか。僕の昔住んでた家の近所にもファミコンが置いてある床屋があったっけ。当時はそんな店がよくありました。
水野さんが少なくともファミコンカセットを7本持っていたことがわかります。当時、ゲームソフトは定価で売ってましたから、10本以上持ってれば金持ちですよ。だからこそ貸し借りという文化が生まれ「名前を書く」という行為が一般化したんですけどね。僕が昔住んでたところの近所にも「100本以上持ってる」という医者の息子がいたっけなあ。
ビックリマンシール懐かしい。第7弾の「魔魚」ですね。ビックリマンの悪魔vs天使シリーズが流行った時期はファミコン全盛期と見事にかぶりますからね。当然、僕もシールは集めてたんですけど、小学校を卒業した日に全部、狂ったようにお菓子のパッケージとかに貼って捨ててしまいました(笑)
左下にバースデイプレゼントと書いてあります。律儀な性格ですね。『アスレチックワールド』ということは当然、ファミリートレーナーのほうにも名前は書いてあるんでしょう。しかしファミリートレーナーは日本の家屋事情をまったく考慮しないゲームでした。たたみの部屋でやるとタンスの上のものが落ちる落ちる(笑)
名前入りカセットはファミコンROMだけじゃない! ディスク、ゲームボーイ、スーファミ、64にもあります。しかしメディアがCD媒体になると廃れていきました。その理由については以前、まじめに考察したことあるので(ウソです)是非、一番下のリンクを参照ください。
そもそもSEGAのマイカード、PCエンジンのHuカードに至っては、名前を書く欄がありましたからね。一部低年齢層向けのDSソフトにもあった模様。っていうか、『ZIPANG』は僕は前から目を付けてたゲームじゃないか。地味に欲しい……
<まとめ> レトロゲームの価値には3つの要素があると考える。すなわち、内容・パッケージ・ストーリーである。
その中でも3番目のストーリーとはゲームの内容のことではなく、そのゲームソフトそのものが持っている物語(思い出)のことである。
名前入りカセットの場合、金銭的価値は低いのかもしれない。ときには値段がつかないこともあるだろう。しかし、マジックペンで書かれた名前そのものは勿論、字体、書いてある場所、色、カセットの種類、様々な要素が、雄弁に語ってるじゃないか。その価値は本人のもとへ返ってこそ唯一無二の存在になるのだろう。
誰も見向きもしない物に価値を見出し、新しい価値をつくっていく。それこそコレクターの真骨頂なのではないかと、私は思うのである。
※レトロゲームの価値を決める3つの価値についての解説図 そんな「名前入りカセット博物館」では現在、名前入りカセットの持ち主を探しています。興味ある方はぜひホームページをチェックしてね!
リンク:名前入りカセット博物館
参照記事:レトロゲームの価値を決める3つの要素について
参照記事:ゲームソフトに名前を書く習慣が廃れた8つの理由株式会社 マガジンボックス (2016-05-18)
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随分哲学的で大げさなんですね。コレクターとは対象物に対して専門家でありますが、悪く言えば非常に物を支配したいってことじゃないでしょうか。もちろん余暇としてゲームを収集するのもいいとは思いますが、ゲームだけとかというのはどうも大人に成りきれていない、今が不幸だから昔は良かった的な思い出ばかりにふけるのは健全ではない気がします。まずは現実を充実させた上で余暇を楽しむ...そして多くの人にレトロゲームを知って頂くことが大切だと思いますね。
あれこれ難しく理屈語るよりも誰にでも分かりやすく、さらっと思い出を語った方が好感が持てます。