【コラム】 終末のハーレム第一巻発売記念!宵野コタロー先生インタビュー。“ジャンプ”の限界まで挑んだエッチ描写の数々!
時は近未来。5年間のコールドスリープから目覚めた青年・水原怜人(みずはら れいと)が目にしたのは、男性が死滅して、女性しかいなくなった世界。怜人の担当官である周防美来(すおう みら)は、怜人に頭を垂れて懇願する。「どうか人類を救うために…この世界に残された女性たちと 子作りして頂きたいのです」。はたして女ばかりとなった世界で、青年はいかに生きるのか!?近未来エロティック・サスペンス!
集英社のWeb漫画サービス「少年ジャンプ+」で連載が開始されるやいなや、大騒ぎとなった注目作「終末のハーレム」(原作:LINK先生 漫画:宵野コタロー先生)の第一巻が、いよいよ9月2日に発売。
そこで今回は、漫画担当の宵野コタロー先生に突撃インタビュー!
セクシーお姉さんから清楚な美少女、ロリまで幅広いヒロインたちの誕生秘話から、Web公開ではモザイクが入っていた「あの部分」。コミックスではどこまで修正がなくなっているの?といったギリギリのエッチな表現についても、赤裸々に語っていただきました!
■終末のハーレム 第一話の反響は絶大!
少年ジャンプ+のアプリDL数も牽引した
───第一話が公開された時、たいへん大きな話題になったのも記憶に新しいです。
宵野コタロー(以下、宵野):はい。Twitterでも、第一話を読んでいただいた方から直接お声かけいただいたり、まとめサイトなど全部含めて、反響が大きいなって驚きました。
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担当編集(以下、担当):おかげ様で漫画のページビューだけに留まらず、iOS・Android版の『少年ジャンプ+』のアプリのダウンロード数自体がドカンと伸びまして、ネット上で話題にしていただけた手応えがありました。
───『終末のハーレム』が誕生したきっかけについて教えて下さい。
担当:原作のLINKさんと打ち合わせしていて、男性がいなくなって女性ばかりの世界で、主人公がモテまくる話にしようって事は最初に決まっていました。そこで非常に魅力的な女性を描かれている宵野コタロー先生に企画のご提案をさせていただいた次第です。
宵野:最初に話を聞いた時は、男性がいなくて女性ばかりでモテまくる世界観っていうのが、マンガにしたら面白そうだなって興味津々でした。明るいハーレムはたくさんありますが、近未来SFでシリアスも入った内容は珍しいので。SFは今まで自分が描いた経験がなかったのでちょっと不安だったんですけど、今までの作品を最大限に活かせる内容でもあったのでお引き受けしました。
■キャラクター紹介
───そんなモテまくりの主人公・怜人ですが、どのようにしてデザインされたんでしょうか?
宵野:読者が感情移入しやすいような見た目にしたかったので、派手すぎず、棘もなくっていうのは心がけてデザインしました。でもあまり魅力がなさすぎても、読者が主人公を好きになれないので、女性から見てもいいなって思える部分を意識しています。
───メインヒロインの周防美来はどうですか?
宵野:モダン系のイメージで、感情を余り出さない子なので髪型もあまり癖のない感じにデザインしました。モデルは、その時トレンドだった映画『キングスマン』で義足の女殺し屋ガゼル役の女優さん・ソフィア・ブテラです。彼女はかっこいい女性で、黒髪ストレートで前髪がパッツンで、眉毛が太い。そこから肉付けして、美来は女性らしさを強調させてます。
憂いを帯びた印象を与える白いまつ毛がお気に入りで、こういうタイプの女の子は描いたことがなかったので、思い入れは強いです。
───美来のお気に入りシーンはありますか?
宵野:美来が初めて怜人に迫るシーンかな。担当官って役割なので、他の女性は連れてくるんですけど自分は関与しないって立ち位置かと思ったら、シナリオを読んで本人自らいくんだなってのが驚きました(笑)
───怜人の妹・まひるは、ギャルゲーの妹っぽい可愛さがありますね。
宵野:はい。セクシーにならないように、でも可愛さはあるように、ほんともう元気っ子って感じでデザインしました。おすすめポイントは八重歯かな。プロローグ後は、身体は大人に成長してますが、表情は変えないように意識してます。
───生存していたもう一人の男性・火野恭司です。
宵野:性格がお調子者なのでこういう見た目になりました。怜人が近未来の服らしくなかったので、火野は現代とは違う未来っぽい服で、サングラスもサイバー風にしてみました。イメージ的にはHIDEみたいな雰囲気です(笑)
───セクシーな龍造寺朱音さんは、お姉さんタイプですね。
宵野:タレ目というのは最初から決まってまして、最初はもっと筋肉質だったんですけど、それだと女らしさが欠けてしまうのでグラマラスにしました。姉御肌的な性格が好きですね。
───苗字が明かされていないなど、色々と秘密が多そうな翠です。
宵野:朱音と対になるような小さい子ってことでデザインして、三つ編みがポイントです。三つ編みは描いていて動かすのも楽しいので、絵的にも映えるデザインですね。
───デザイン上のこだわりは?
宵野:この子こそ前髪パッツンかな、短い前髪が好きなので。翠とまひるが明るい性格なので、この世界の良心で助かってます。動かしやすくて勝手に台詞を付け加えたり(笑)
担当:こういうキャラを掘り下げる台詞もコタロー先生に膨らませてもらって、結果的に登場人物の魅力が増しています。
宵野:原作ありきのお話ではあるんですが、自分がキャラデザして、自分が動かすので、描いていて楽しいです。台詞を付け加えたりといった自分の意見を取り入れてくれて、自由にやらせてもらっているのも大きくて。私の中では、感情が台詞から読み取れるくらいキャラが自分の中で固まってるので、特に まひるが出ているシーンなどはのびのびと描いてます(笑)
■ジャンプの限界まで挑んだエッチ描写の数々!
───担当編集からみた『終末のハーレム』の魅力はどこにありますか?
担当:まずこの作品、いくらでも女性が出せます。
(一同笑い)
担当:そしてハーレム作品でありながら、シリアス要素や謎、SF要素もたくさん含まれていて、それがこの作品ならではの独自性、魅力に繋がっています。
───火野が映画女優とエッチするシーンが良かったです。下着も普通っぽいのが逆に生々しくて。
担当:ここはコタロー先生の腕前が炸裂してます。
宵野:清楚かつ奥ゆかしい感じで、言葉では嫌がってるけど、内心は嫌がってない風で(笑)
担当:女優の北山玲奈は元々チョイ役で、火野に美味しい思いをさせるだけのキャラだったんですが、コタロー先生のこだわりと絵力によってもの凄く可愛く描かれました。
反響も大きくて、「今後は出てこないの?」って直接周りの人間から訊かれたり(笑)、ネットでもそういった声が見受けられて、期待以上に成長しました。そこで今回、玲奈の濡れ場の描きおろしがコミックス第1巻に入ります!
宵野:はい、やっと本番が描けました。第1巻では、この続きが描かれてますのでお楽しみに!(笑)
■ジャンプ初の試み!単行本では裸のシーンだけ
色が塗られてカラーページに!
───第一巻の宣伝文句も大きな話題になりました。これは編集さんが?
担当:そうですね、作品の雰囲気を壊さないように情報を伝えられるよう考えました。
コミックスでは光とか湯気などで修正が入った部分がすべて取れて、はっきり見える仕様になっております。
宵野:結構Twitterでも「湯気は取れるんですか?」って訊かれるんですが、ちゃんと乳首も描かれてますのでご安心ください(笑)
───実際ジャンプ漫画って、裸はどこまで描けるものなんでしょうか?
担当:それは色々試行錯誤してます。無料でネットで見られる媒体なので、小さい子も見ようと思えば見られてしまう。それをそのまま公開するのはジャンプとしてどうなのかという話がありまして、現在アプリ版・Web版は修正を施してます。
とはいえ、多少いかがわしいものだってエンターテイメントだろうと。漫画ってそんなお行儀いいものだけではないだろうとも思ってますので、これからも実験的なことをギリギリまでチャレンジしていきます。
───玲奈のエッチシーン描きおろしやボカシが無くなる他に、単行本ならではの変更点はあるんですか?
担当:『終末のハーレム』はいろんな電子書店で配信されるんですが、エッチな濡れ場のページだけ色を塗ってまして、一部がカラーページになります! 我々はこれをフルカラーではなく、「セミカラー」と呼んでます。
───つまり、女性の肌がたくさん出てくるページだけ色が塗ってあると(笑) でも「セミカラー」って言葉の響きだと、色の数を減らして簡単に塗ってある、簡易カラーの事かと連想してしまいました。
担当:「セミカラー」という言葉ですが、濡れ場だけなのでフルカラーじゃない、本全体の中で一部カラーページという意味で、今回初めて使う表現になります。
集英社の電子書籍はフルカラーとモノクロの二種しかありませんので、あいだのページをカラーにする試みが初なんですね。それをどういった言葉にしようかと試行錯誤した結果、「セミカラー」という言葉が今回いいのではないかとなりました。
───ジャンプ系コミックスでは初なんですか。
担当:はい。ただ、「カラー化」と言ってしまうと、「全部カラーになってないじゃん」って誤解される方もいるかもしれません。ページ数は限られているんですが、結構ちゃんと塗られていて、楽しんでいただけるかと思います。
───確かに綺麗に塗ってありますね。しかしそうすると、紙で買う読者は損した気分になるのでは……?
担当:もちろん、紙で買ってくださる方を差別するつもりはありません。紙派の方もセミカラーを楽しんでいただけるよう準備しています!
iOSやAndroidアプリである『少年ジャンプ+』にはAR機能というのがありまして、コミックスの表紙を外した本体の表紙を撮影しますと、カラーで塗られたページがダウンロードできます。印刷までは出来ないんですけど,電子版と同じものが手に入ります。
───これも面白い試みですね。
担当:こういう電子書籍ならでは、アプリならではの試みを『終末のハーレム』はどんどん試していきたいと思ってます。
■今の風景を残しつつ、近未来っぽい
画面にする事を意識しています
───原作者のLINK先生はどんな方なのでしょうか?
担当:SFがもともと好きな方で、女の子のお色気も好きですし、LINKさんの好きなモノが詰まっているのが『終末のハーレム』です(笑) 近未来では食料生産はどうなってるのか、人の移動はどうなってるのか、男性がいないと人口が減って科学力が落ちるのでは……などの設定を、なるべく細かく決められてますね。
───男がほぼ全員死ぬ事でロストテクノロジーになって、貧富の差が拡大するのがリアルだと感じました。作画でもこうした近未来の風景などをデザインするのは大変ですか?
宵野:めちゃくちゃ大変です。
(一同笑い)
宵野:ほぼ初めての世界観なので、こういう道路や車の中のデザインは、アシスタントさんと毎回悩みながら描いてます。
宵野: 舞台が2040年っていう、遠い未来じゃなくて、私たちが生きていられる少し先が舞台になっています。なので、今の科学と風景を残しつつ近未来を入れていくのが、どこまでが嘘くさくならないのかっていう、そのさじ加減が凄くむずかしいですね。
───他に作画で気をつけていることはありますか?
宵野:できるだけパッと画面を見た時に見やすさを重視しつつも、情報量を多くしたかったので、構図を頑張ってます。会話が多い時は、いろんな角度からカメラのアングルを捉えるように、でも単調にならないように気をつけてます。 女性は服を着ていてもセクシーに見えるようにってのを意識しつつ、例えばスカートのお尻のシワを強調してこだわったりとか。
───他に描かれている漫画と『終末のハーレム』で変えている部分はありますか?
宵野:他の漫画とはコマ割りも含めていろいろ変えてます。生々しくなり過ぎず、シリアスでSF要素があるので、表情もいつもよりリアル寄りを心がけてます。一般向け作品なので、全部見せちゃいけないけどエロくしないといけないというのが難しくて、それは構図とポーズ、行動やシチュエーションで工夫してます。
───『終末のハーレム』ってタイトルも内容にマッチした良いタイトルです。担当:LINKさんとコタローさんと三人で打ち合わせしてる時に、いくつか候補が挙がったんですが、最後はコタロー先生の「『終末のハーレム』がいいんじゃないですか」って鶴の一声で決まりました。
宵野:他の候補には、『終末のスタリオン』ってのがありましたよね。
担当:スタリオン=種馬って意味で、今思うとそれにしなくて本当に良かった(笑)
───ちなみに『少年ジャンプ+』での配信が隔週日曜日なので、「週末」と「終末」をかけてます?
担当:配信日は上司が決めているので、心の中にそのネタがあったのかは確認してませんが…たぶん偶然です(笑)
■宵野コタロー先生のペンネームの由来は
『南国少年パプワくん』
───ここからは個人的な質問に移ります。いつ頃から漫画を描き始めたのでしょうか?
宵野:幼稚園の頃からすでに絵を描くのが好きだったので、小学生ぐらいからコマ割りを描いていて、小学5、6年の時には漫画家になりたいと思っていました。『りぼん』をずっと買っていて、種村有菜先生の漫画が大好きで模写とかしてましたね。
中学の頃は兄の影響で週刊少年ジャンプがいつも家にあったので、その中では『テニスの王子様』、『スラムダンク』などお気に入りでした。
高校では『ガンガン』系の漫画をよく読んでいて、特に好きなのが柴田亜美先生の『南国少年パプワくん』。絵柄に関しては私と違うんですけど、キャラが好きだったんですよね。アラシヤマが好きで、実は「コタロー」ってペンネームも、『パプワくん』から来てます(笑)
───さらっと衝撃の事実が(笑)では、絵柄的に影響を受けた作家さんはいますか?
宵野:『デスノート』の小畑健先生の緻密なタッチは私の理想で、参考にさせていただいてます。なので『少年ジャンプ+』で連載するにあたって、『少年ジャンプ』らしさが自分の中で出せなくて悩んでいるんですが、これは今後も追求していくんでしょうね。
担当:編集の立場から言うと、実は『ジャンプらしさ』って特に決まってないんですよ。そういうのを気にしてもらってるのはありがたいことなんですが、『終末のハーレム』がジャンプにそぐわないと思ったことは一度もないですし、むしろこれから「ジャンプ+の漫画はこうだ!」って言える作品に『終末のハーレム』が育っていけばいいと思ってます。ジャンプらしい絵とか漫画とかって実は決まってなくて、ただ面白ければいいんです。
───『終末のハーレム』を連載してから、SF作品を意識して触れるようになりましたか?
宵野:はい、SFが前より好きになりました。昔はアクション多めの洋画などはほぼ観てなかったのですが、最近になって好みが変わりましたね。
───それでは最後に、皆さんへメッセージをお願いします。
宵野:いろんな女の子を味わえる自由な作品なので、可愛い女の子をこれからもたくさん描いていきます。LINK先生が考える扇情的なエロシチュエーションで艶かしい女性たちをたくさんお届けしていきたいです!第一巻でも女の子が詰まっていますし、これからの展開でエロも加速していくので、ぜひ様々な方面から楽しんで読んでください。
担当:セクシーな要素も、謎の多い展開も、両方お楽しみいただける作品になっています。
さしあたっては第一巻、アプリやWebでの修正がなくなっていて、北山玲奈のエッチシーンもコミックス描きおろしなので、お色気増量でお届けしています!
それと先ほど言いましたセミカラーについても、紙でも電子、どちらでも不公平感なく楽しめますので、ぜひコミックスをお買い求めください。
また9月下旬に『少年ジャンプ+』が二周年を迎えまして、記念フェスもアプリ内で開催されます。『終末のハーレム』を始め、たくさんの漫画を一気読みできる予定ですのでご期待頂ければ。今後も『終末のハーレム』ならびに『少年ジャンプ+』を応援していただければ幸いです。
───本日はありがとうございました。
下記のお店では店舗特典つき!
○とらのあな:描き下ろしクリアファイル
○アニメイト:描き下ろしイラストカード
○コミックZIN:カラーイラストリーフレット
また、電子版特典(一部書店のみ) として美来のシャワーシーンイラストがつきます!
取材・文:かーずSP
【関連リンク】
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「終末のハーレム」1巻コミックス情報(試し読みあり)
「終末のハーレム」連載ページ
作画:宵野コタロー氏のホームページ / Twitter / pixiv
宵野コタロー - Wikipedia
2ページ目から並ぶ裸体 「終末のハーレム」がネットで「やばい」の声多数
宵野コタローのエロサスペンス「終末のハーレム」(連載開始時)