ちひろ「お疲れさまでした、プロデューサーさん」
P「あ……ア、ア……? ア……お、お前は……? ああ、俺を抱きしめてくれているのか……くそう……あたたかいな……ありがとう。お前だけだ……俺を、こんな俺を、受け入れてくれるのは……ありがとう……知らなかった……人のぬくもりが、こうまで目に染みるとは……」
P「……思えば、お前とはいつも一緒だったな……疲れ切った俺を……何も言わずに、いつもこうして迎えてくれた……泣き言も、愚痴も、全部受け止めてくれたよな……ありがとう……俺の、ソファ……」
P「…………………………zzz」
P「あ、れ。薫……?」
薫「もう、せんせぇ。お疲れ? またかおるが踏んであげようか?」
P「いや、大丈夫だ。スタドリさえ飲めばなんとでもなる」
薫「そうなの? ところでせんせぇ、かおる、せんせぇに大事なお話があるんだけど、いい?」
P「なんだい、言ってごらん」
薫「あのね、かおるね、赤ちゃんできたかもしれないの」
P「」
薫「せんせぇ?」
P「――ハッ!? すまない、著しい過重労働によって低下していた脳機能が聴覚器官からの致命的な電気信号によって引き起こされた言語中枢のエラーから脳細胞を守るために防衛機構が働き意識がシャットダウンされたようだ」
薫「ユカタン半島」
P「それで、大事な話って?」
薫「かおるね、赤ちゃんできたかもしれないの」
P「」
薫「せんせぇ?」
P「」
P「」
P「」
薫「せんせぇ!」
P「……まじで?」
薫「たぶん」
P「誰との?」
薫「せんせぇ」
P「マジで!?」
薫「うん」
P「え、だって……いや、無理だろ? 作ってないだろ?」
薫「せんせぇ、覚えてないの?」
P「え、えっ?」
薫「先月ね、せんせぇがね、このソファで苦しそうにしてたから、かおる、一緒に寝てあげたんだよ?」
P「あ、そうなの。うん、ありがとう。薫は優しいなあ」
薫「えへへ、どういたしまして」
P「……で、その、俺は、薫と一緒に寝たのか?」
薫「うん! せんせぇね、すっごく辛そうな顔してたけど、かおるがぎゅーってしてあげたら、にこぉってしたんだよ!」
P(天使だからね。仕方ないね)
P「そっかぁ……添い寝してくれた薫を抱きしめた挙句、そのまま寝ちゃったのかぁ」
薫「かおるが起きたときも、せんせぇはぐっすりだったよ?」
P「あー……そっかぁ」
薫「せんせぇ、赤ちゃんって、好きな人同士で一緒に寝るとできるんだよね?」
P「薫は物知りだなあ」
薫「えへへへー。それでね、せんせぇ。せんせぇは、かおるのこと、好き?」
P「あどけない笑顔。あふれる元気。駆け回る姿はまさに天使。目を凝らせばその背に備えし純白の翼、我が眼にしかと刻まれ、翠緑の悪魔に搾取されしこの臓腑にも、たちまち気力と活力が充ち溢れん」
薫「えっと……んと……好き、ってこと?」
P「愛さざるを得ない」
薫「……えへへ♡」
P「そうだな……うん。出来ちゃってるかもな」
薫「ほんとに!?」
P「その可能性は否定できない」
薫「じゃあ、せんせぇ、かおるとケッコンしてくれる?」
P「ん、いいぞ。秘密結社『あしながおじさん』と戦う覚悟はとっくにできてる」
薫「やったぁ! じゃあかおる、レッスンにいってきまー!」
P「おう、行ってらっしゃい」
乃々「あ、あの。プロデューサーさん」
P「ど、どうした森久保。ていうかもしかして聞いてた?」
乃々「は、はい。そのこと、なんですけど……」
P「誰にも言わないでもらえるか? ちょっと、さすがに状況がな」
乃々「いえ、そうじゃなくて……あの、ほんと、なんですか?」
P「なにがだ」
乃々「す、好きな人と一緒に寝ると……あ、赤ちゃんができちゃうって……ほんとうですか?」
P「そうだな。妊娠に関する詳しい現象は現代医学をもってしても解明できない生命の神秘とされるが……一般的にはそうだ」
乃々「じゃ、じゃあ……もりくぼも……もしかしたら……できてるかもしれないです」
P「」
乃々「こ、この前……レッスンで疲れてて……戻ってきたら、プロデューサーさんが気持ちよさそうに寝てて……それで、もりくぼも、つい」
P「」
乃々「そ、それでですね……も、もしできちゃってたら……け、結婚なんていいませんから……もりくぼのこと、愛人にしてくれますか?」
P「」
乃々「……ぷ、プロデューサーさん……? き、気絶してる……」
ちひろ「あ、おはようございます、奏ちゃん」
奏「あれ、どうしたんですか、ちひろさん。なんだか忙しそうだけれど?」
ちひろ「あはは。ちょっとプロデューサーさんが調子がよくないみたいで」
奏「プロデューサーさんが?」
P「…………」カタカタカタカタターン
ちひろ「ええ。私がお昼から戻ってきてから、ずっとあの調子なんです」
奏「具合でも悪いのかしら」
ちひろ「さあ、何を話しかけても上の空で……事務処理だけは無意識にやってるみたいなので、生きているのは確かなんですけど」
奏「死んだ魚のような目で天井を見上げたまま、手だけが動いてる光景は……ちょっとしたホラー映画ですね」
ちひろ「不気味なので近寄りがたくて。そういうわけでプロデューサーさんの仕事を肩代わりしてるわけなんです」
奏「お疲れ様です」
ちひろ「いえ、仕事ですから。すみません、ちょっと出てきますので、時間が空いてたら、プロデューサーさんのこと見ててあげてください。それじゃあ行ってきます」
奏「いってらっしゃい」
奏「……それにしても、本当に大丈夫かしら」
P「………………」カタカタカタカタ
奏「プロデューサーさん、おはようございます」
P「……………………」カタタタ、カタカタターン
奏「プロデューサーさん? 無視するなら、その首筋に、私の印をつけるわよ?」
P「…………………………」カタタタ、タ、タ、タ
奏「あの、え、ほ、本当に大丈夫? スタドリ、飲みすぎたんじゃ―ー」
P「……ついに、俺も結婚かあ……」
P「……いくら疲れてたからって、添い寝に気づかないなんて……」
奏「えっ」
P「……やっぱできてるのかなぁ……できてるよなぁ……やっちまったなぁ……」
奏「えっ?」
P「指輪代かあ……稼がなきゃな。よーし、働くかあ」
奏「」
P「」
P「お、おはよう。奏。いつからそこに?」
奏「おはようございます。結婚おめでとうございます。今までお世話になりました。さようなら」
P「待て待て待て待て! 逃げるなッ! 荷物を置いて全力で逃げるな!」
奏「放してよ! 結婚するんでしょ!? 結婚するくせに他の女を追いかけていいと思ってるの!?」
P「泣いてるお前をほっとけるわけがあるか!」
奏「……卑怯者。いつも、私のキスからは逃げるくせに……こんな時だけ追いかけてくるなんて」
P「担当だからな」
奏「……ばか」
奏「みっともないところを見せたわね。ごめんなさい」
P「いや、すまん。気づかなかった俺が悪い。手首、大丈夫か?」
奏「……ん。そうね。つかまれたところが赤くなってるけど、平気よ」
P「氷持ってくる」
奏「いいの。このままで。消しちゃうのは、もったいないもの」
P「…………それで、奏。さっきの話なんだが」
奏「結婚のこと? 大丈夫よ、言いふらしたりなんかしないわ」
P「恩に着る。事は慎重に運びたい」
奏「……でも、そうね。私、とても悲しかった。あなたが結婚すると知って。私のキスを拒み続けたくせに、するときはあっさりしちゃうのね?」
P「責任は取らないといけないからな」
奏「どんな人なの?」
P「………………」
奏「そう、私の知ってる人なのね。年上? いえ、違うわね。年下……あら、私よりも小さい子なのね」
P「……心を覗くな」
奏「覗いてなんかいないわ。あなたの瞳が勝手に告白しているのよ」
P「………………」
奏「あら、目を閉じるんだ。ふーん。いいのかしら、私の前で目を閉じたりなんかして。キス、しちゃうわよ?」
P「……しないよ。お前はなんだかんだ言って、人を傷つけるような真似はしない」
奏「あら、ひどいわ。私とキスすると傷つくんだ?」
P「そういうことじゃない。今ここでキスをしたら、あの子が傷つくとお前はわかっている。不貞を働くには優しすぎるんだよ、奏の心は」
コメント一覧
-
- 2016年09月05日 23:43
- こういうのはもっと突き抜けないと寒いだけ
-
- 2016年09月05日 23:44
- スタドリの取りすぎで頭がイッて
しまったのかな?
-
- 2016年09月05日 23:45
- わるくない
-
- 2016年09月05日 23:55
- 回さなきゃ
-
- 2016年09月05日 23:56
- エナドリの過剰摂取によるチヒロポン中毒の末期症状だな・・・。
-
- 2016年09月05日 23:58
-
身に染み入るエエ話やなァ・・・
スポンサードリンク
ウイークリーランキング
最新記事
アンテナサイト
新着コメント
LINE読者登録QRコード
スポンサードリンク