狸娘「ヘイユー!可愛いね!わたしとお茶しない!?」狐娘「あ?」
- 2016年09月10日 23:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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大都会ソーキョー
通行人「」スタスタ
通行人「あーあ。もうこんな時間か、すっかり遅くなっちまった」
通行人「今日はもっと早く帰れると思ったんだけどな……もうこんなに真っ暗だよ」
通行人「もし街灯がなかったらまともに帰れねえかもなあ……」
???『………』
通行人「くそ……なんでこんなに毎日遅くまで働かされなきゃいけねえんだ、来る日も来る日も……畜生」ブツブツ
通行人「どいつもこいつもやれ無能だの仕事が遅いだの馬鹿にしやがって」
通行人「……ちっ、まあこんなところで独り言で愚痴言ったって仕方ねえか……はあ」
???『……』スタスタ
通行人「辛いもんだよなあ、社畜はよお……」
通行人「……っと」
???『…………』スタスタ
通行人(向かい側から人が……いかんいかん。一人でぶつぶつ喋ってるの見られたらイってる奴だと思われちまう)
???『……………』スタスタ
通行人(……それにしても全身黒っぽいやつだな)
通行人(こんな時間にあんな目立たない服装じゃどんな目にあっても文句言えねえぜ)
通行人(街灯だけが唯一の光源だってのによ)
???『………………』
通行人(やれ窃盗だの暴行だの強姦だの、物騒な世の中だってのに無用心な奴もいたもんだぜ)
通行人(このあとこいつ、噂の連続通り魔犯に殺されちまったりして。なーんてな)
???『……もし、あなた……』
通行人「……?なんだ?俺に話しかけてるのか?」
???「……」
通行人(! しまった、無視だ無視!きっとろくなやつァない)
???「……あなた……」
通行人「……」スタスタ
???「なんでそっぽ向くんですか……?」
通行人「……」スタスタ
???「冷たいんですね……ふふ、」
スッ
通行人「!!!」
通行人(は、刃物……!?こいつ!)
通行人「お、おま……」
???「さようなら、知らない誰かさん」
通行人「待て!俺になんの恨みがあるんだ!!よせやめろ、お前さてはあの連続通りm」
???「」グッ
ザクッ
通行人「ぐっ……は……」
ブシャァ
???「……」
グラ…グラ…
通行人「…………………」
バタッ
???「……」
通行人「」
???「……ふふ」
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
狐娘「……」
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
狐娘(……そろそろソーキョーにつくな)
狐娘(あー、なんか軽く酔っちまったよ、電車はなれねえなあ……)
狐娘「……」
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
狐娘(大都会ソーキョー……)
狐娘(噂には聞くが……一体どんな街なんだろう)
狐娘(最新の情報でも頭に入れておくか)スマホポチポチ
狐娘(えっとなになに……『また通り魔現る 会社員刃物で刺され死亡 今回で六件目』)
狐娘(か……伝え聞く通りだいぶ物騒なところみてえだな)
狐娘(何が待ってるかわからない、気を引き締めないと……)
狐娘(……あ)
狸娘「……ふぁー」アクビ
狐娘(獣耳……私と同じ)
狐娘(いくらソーキョー行とはいえ同じ電車の同じ車両でばったり……マジかよ)
狐娘(いやまてよ、都会じゃそれほど珍しいことじゃないのか……?)
狸娘「……zzzz」
狐娘(ね、寝おった、もうすぐ着くのに大丈夫なのかな)
狐娘(……まあいいか)
狐娘(そんなことはともかく)
シュウチャクエキー……―― シュウチャクエキー……――
狐娘(待ってろよ、ソーキョーの街)
プシュー ガチャ
駅
ワイワイガヤガヤ
狐娘「クソ……人くせえ」
狐娘「ここが総京駅」
ワイワイガヤガヤ
狐娘「……あー、くそっ」
狐娘(折角到着したってのに締まらねえなあ、どこもかしこも人だらけで気分わりい)
狐娘(でもここで立ち止まってるわけにゃいかねえ。さっさと街に繰り出してつええ奴と……)
狐娘「……おえ」
狐娘(き、気持ち悪い、やっぱ休もう……)
狐娘(あれー……?なんで……こんなはずじゃ)
狐娘(……もしかして電車酔いが想像以上に……)
狐娘「……」
狐娘(やっぱ乗り物はなれねえな……)
狸娘「zzzz」
狸娘「zzz……」
狸娘「……?」
シーン…
狸娘「……わっ」ビクッ
狸娘「わわわ、いけない寝ちゃった、今日朝早かったからつい……」ゴシゴシ
狸娘「やばいやばい、もたもたしてたら電車乗ってた人全員いなくなっちゃうよ」
狸娘「早く商売仲間探さないといけないんだから……」デンシャオリ
狸娘「お?」
ワイワイガヤガヤ
狸娘(なんだまだ全然人いるじゃん。よかったよかった。私そこまで寝過ごしたわけじゃなかったんだな)
狸娘(さーてと、誰かよさげな仲間になってくれそうな人は……)キョロキョロ
ワイワイガヤガヤ
狸娘(うー、ちょっと多いな……多すぎる、これじゃ慎重な品定めができないよ)
狸娘(どうしよっかな)キョロキョロ
ワイワイガヤガヤ
狸娘(あーこれじゃキリがない。もういいや。ほんとはもっと審議して決めようと思ってたけどダメダメだね)
狸娘(誰でもいいから適当に話しかけて……)
狸娘「……ん?」
狐娘「……」
狸娘「……!!」
狸娘(け……健康的なすべすべお肌……透き通るような青い眼……)
狸娘(ツンツン気味のつり目の表情……だけど割と童顔……切り方雑だけどサラサラの綺麗な金髪……)
狸娘(そして!ケモ耳!!狐の!!!)
狸娘(かっ……)
狸娘(かわいい……!!)ホワー
狐娘「……」
狸娘(あの子だ絶対あの子だあの子しかいないていうかタイプタイプだよ可愛すぎるハアハア)
狸娘(なんかちょっと気分悪そうにしてる?でも関係ないこれはマジ百人に一人の逸材!ここで動かずいつ動く、わたし!)
狸娘(レッツアタックレッツラゴー!!)ピュー
狐娘「……?」
狸娘「ヘイユー!可愛いね!わたしとお茶しない!?」
狐娘「あ?」
狸娘「……」
狐娘「なんだお前」
狸娘「つ、つい勢い余ってチャラいナンパみたいになっちゃった。こんにちは狐ちゃん!」
狐娘「どこかで会ったか?それだったら悪いな覚えてない」
狸娘「いやいや今はじめましてだよ!ちょっとお話があって。ねえ狐ちゃん」
狐娘「だったらそんな馴れ馴れしい呼び方するな。話……?悪いが後にしてくれないか、今体調が優れない」
狸娘「いやその可愛いケモ耳をちょっと傾けてもらえるだけでも大丈夫だから!ホントホント」
狐娘「なんだ?怪しいやつだな……なにか企んでるのか」
狸娘「企んでな……いや、企んでるね。そりゃもう企みまくりですよだから話しかけたんでござい」
狐娘「なんだそりゃ……」
狸娘「狸だからね、狸の悪巧みですよ。ねえ狐ちゃん」
狐娘「ちょっと何言ってるかわからな……ん?狸?」
狸娘「あれ、気づいてないの?ほらほら」ピョコピョコ
狐娘「あ、狸の獣耳……お前、電車で眠りこくってたやつだな」
狸娘「え、同じ車両だったの!?お、お恥ずかしいところをお見せしてしやいやしたね」
狐娘「まあ初対面であることには変わりないがな」
狸娘「それじゃあ狐ちゃん、さっきのソーキョー行の電車に乗ってきた人ってことで間違いないよね。よっしゃ!」
狸娘「じゃあわたしの話、聞いてくれるかな?長くなるからどこか近くのお店にでも」
狐娘「断る」
狸娘「なんで!?」
狐娘「狸は人を化かすから信用できない」
狸娘「そっ、そんなの狐だって同じでしょ?」
狐娘「っていうのは冗談だとしても……怪しすぎるんだよお前」
狐娘「いきなり知らない奴に声かけられてノコノコついていく馬鹿がいるか。それくらい小学生だって心得てる」
狸娘「ああん、そんなに警戒しないでよ。要するにただのナンパだから!お茶でもいこーよ!」
狐娘「いい加減にしろ。何考えてるか知らんがきっとロクなことじゃない。さっさと失せろ」
狸娘「おお……かなり刺のある口調でいらっしゃいますね」
狐娘「あー……じゃ、そろそろ行くか。こんなとこでもたついてられねえ」スクッ
狸娘「あ!待って行かないで!ねえほんと!話聞いてよお願いだから!」
狐娘「うるせえ、俺には俺のやることがあるんだ。てめえなんぞに付き合ってられるか」
狸娘「あれ、俺っ娘?いやそんなことより……じゃあお店に行くってのはやっぱりいいから話だけ聞いてよ!」
狐娘「じゃーな、もう二度と会わないことを願ってるよ」スタスタ
狸娘「う、うう……」
狸娘(こんな、こんなところで諦めてたまるか!美少女取り逃がしてたまるか!たまるか!)
狐娘「」スタスタ
狸娘「」スタスタ
狐娘「おまえ……なんでついてくんだよ」
狸娘「わたし狸娘っていうの!見ての通り狸の獣耳持ちだよ!さっきの電車でここまできたんだ!あなたと一緒!」
狐娘「うるせえ聞いてねえ」
狸娘「わたしこの総京街で商売旗揚げして一発儲けようと思ってるんだ!夢あるでしょ?」
狐娘「そうか。よかったな」
狸娘「え??どんな商売するか知りたいって??」
狐娘「言ってねえ」
狸娘「もーしょうがないなー知りたがりんなんだから狐ちゃんはーもー」
狸娘「ねえ妖怪って知ってる?どこからともなく現れて、悪戯していく悪い奴ら!知ってるでしょ?」
狐娘「まあ話には聞くな。なんだ。人が集まる場所によく出るとかだっけか」
狸娘「そうそう正解ピンポンピンポーン!で、ここなんて右も左も人だらけ!そりゃもう妖怪が沸くわ沸くわ」
狸娘「ソーキョーの人々は日夜、妖怪共の悪さに頭を悩ませているわけであります」
狐娘「それがどうした」
狸娘「でさー、わたしら獣耳持ちはそれぞれの動物の妖怪が人間と交わって生まれた種族っていうやん?」
狸娘「つまりわたしら半分人間、半分妖怪ってところだね」
狐娘「そのくらい知ってる」
狸娘「それに妖怪相手にまともにやりあえる妖術に長けてるのもわたし達だし」
狸娘「毒をもって毒を制すというか、わたしらが退治せずに他の誰