西住みほ「三国志です!」
- 2016年09月10日 23:10
- SS、ガールズ&パンツァー
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義の将軍として知られる角谷杏は、中原を制した乱世の姦雄、地吹雪のカチューシャから逃れ、お供の武将の桃、柚子とともに荊州へと身を寄せておりました。
杏「いやー、やっと着いたねー」
桃「こんな辺鄙な場所に、本当にいるのでしょうか?」
柚子「蝶野教官から聞いた場所は、ここのはずだけど……」
桃「天才軍師、臥龍(がりょう)の西住みほ、か……」
杏「さあ、どーだか。ま、蝶野教官の言葉だし、来るだけの価値はあるでしょ」
柚子「でも、ほんとにのどかな場所ですね……」
やーってやる、やーってやる、やーってやるぜ~♪テクテク
柚子「子供が物騒な歌を歌いながら歩いてきますね」
杏「ちょうどよかった。あの子に聞いてみよっか。かーしまー、よろしくー」
桃「はい。……そこの少年、少し聞きたいことがある。この村に西住みほという人がいるはずなのだが、どこに住んでいるか知らないか?」
少年「みほさん?みほさんのおうちはねー、あっちだよ!」
桃「わかった、ありがとう。ところで、その歌は一体何なんだ?」
少年「これはねー、『ぼこのうた』だよ!みほさんが教えてくれたんだ!」
桃「そ、そうか。わかった。行っていいぞ」
いやなあいつをぼこぼこにー、けんかはうるものどうどうと~♪テクテク
柚子「物騒な歌ですね……」
杏「まー、西住ちゃんがここにいるってことは確かだったんだし、直接会って話してみようよ」
みほ「え、えっと……」
桃(これが本当に、『得れば天下を取れる』とまで蝶野教官の言っていた臥龍・西住みほなのか?おどおどしていて覇気も全く感じられないぞ)
みほ「でも、私は戦争がいやで徐州から荊州に移ってきて……」
杏「そこをなんとかさー。うちの軍、軍師がいなくてホントに困ってるんだよね」
みほ「…………」
柚子「お願いです!わが大洗軍は、カチューシャ軍に負けてばっかりで……西住さんの力が必要なんです!」
桃「おい、柚子」
杏「まーまー、本当のことだしさ。戦うたびにボコボコにされちゃうんだよね」
みほ「ボコボコに……?」
杏「徐州では河嶋が騙されて城を奪われちゃうし、カチューシャと直接戦えばいいようにやられちゃうし、全然勝てなくってさ、もう毎回ボロボロだよー」
みほ「ボコボコで、ボロボロ……」
杏「ま、だから本当はこんなこと頼める立場じゃないんだけどね。でも、諦めるのは嫌だからさ、こうしてお願いしてるってわけ。だけど西住ちゃんが嫌だって
いうなら……」
みほ「あのっ!……私!……軍師、やります!」
杏・桃「!」
柚子「よかったー!」
杏「ありがとー、西住ちゃん。だけど、本当にいいの?」
みほ「はい。わざわざ自ら登用しに来てくれた会長の、打倒カチューシャさんの想いはよくわかりました。私もお手伝いさせていただきたいと思います。……そ
れに」
杏・桃・柚子「?」
みほ「軍師になれば、兵士の皆さんがボコボコになるところをすぐそばで見られるんですよね」ニコッ
杏・桃・柚子「…………」ゾクッ
ノンナ「カチューシャ、起きてください」
カチューシャ「ふぇ……?なに、もう朝議の時間?」
ノンナ「いえ、ただいま間者から報告がありました。なんでも、大洗軍に軍師が仕官したとか」
カチューシャ「大洗……、ああ、あの弱っちいところね。ほっときなさい。どうせ後で南方には出兵するんだから、その時にまとめて踏みつぶしてあげるわ」
ノンナ「しかし、加わった軍師は『臥龍』と呼ばれる天才だとか」
カチューシャ「ふーん。そうね、力を見ておくのもいいかもしれないわ。こないだ傘下に加わったアンツィオの連中にでも攻めさせなさい」
ノンナ「了解しました、カチューシャ」
みほ「華さん、こっちの書類の処理はこのようにお願いします。沙織さんは商人の人との交渉をお願い」
華「わかりました」
沙織「まかせてみぽりん!商人のおじさんとは仲良しなんだから!」
柚子「西住さん、バリバリ働いてくれてるね」
桃「ふん、あんな事務仕事、誰だってできるだろう。それよりも、あいつに軍師らしい仕事が本当にできるのか?聞けば、北方を平定したカチューシャが我々を
攻める準備を進めていると聞くぞ」
柚子「それは……やってみなくちゃわからないけど」
桃「あんなやつに軍を率いられるとは思えん。今まで通り、来たる戦では作戦は私が立てた作戦で……」
柚子「でも、桃ちゃんの作戦でこれまでうまくいかなかったから、西住さんに仕官してもらったんだよ?」
桃「ええい!桃ちゃんと呼ぶな!……とにかく、私はあいつを認めないからな!」
柚子「あっ、待ってよ桃ちゃん~」
みほ「はぁ……」
みほ(やっぱり、古参の河嶋先輩は私のことをよく思ってないみたい)
みほ「優花里さん」
優花里「今日のお仕事はもう終わりでありますか?」
みほ「はい。優花里さんも、訓練は終わったの?」
優花里「ええ!やっぱり騎馬隊は最高であります!西住殿も、気分転換に遠乗りなどはいかがですか?」
みほ「うーん、そうだね、たまにはいいかも……でも私、馬に乗るのはあまり上手くないし……」
優花里「心配いりません!それでしたら、西住殿はぜひ私の馬にお乗りください!」
みほ「じゃあ、ぜひお願いしようかな」
優花里「了解であります!」
ドタドタ
大洗兵「で、伝令!カチューシャ軍がこの城に迫っています!」
優花里「て、敵襲でありますか!?」
みほ「優花里さん、落ち着いて。それで、敵の数はわかりますか?」
大洗兵「はっ……その数、およそ2万とのこと!」
優花里「2万!?わが軍の4倍ですよ!」
みほ「優花里さん、軍議を開きます。すぐに皆さんを集めてください。私は先に、会長とお話しをしてきます」
優花里「かしこまりました!」
みほ(敵は圧倒的多数……だけど、うまく陽動すれば決して勝てないわけじゃない。でもそれには、河嶋先輩や小山先輩の協力が不可欠になる……)
柚子「えっと……籠城とか……」
みほ(違う……この戦力差でそれじゃ、どうしようもない。なら……)
みほ「あの、少しいいですか?」
桃「なんだ西住。私の作戦に文句でもあるのか?」
みほ「突撃は当然相手も想定しているはずです。それに、籠城したところでこの城じゃ守り切ることはできません」
桃「黙れ!それならお前が作戦を立ててみろ!もっとも、素直に私たちが従うつもりはないがな」
みほ(河嶋先輩なら、当然こう言い返してくるはず)
みほ「わかりました。私の立てた作戦を説明します。ですがその前に、これを見てください」スッ
柚子「それは……」
桃「会長の……」
優花里「干し芋であります!」
みほ「大洗軍において、この干し芋を持つものが指揮権を持つはずです。……この戦場では、私が指揮をとります」チラッ
杏「ま、そういうことだから。みんな、よろしく頼むよ」
桃「ぐぬぬ……、もし負けるようなことがあったら、覚えておけよ!」
みほ「はい。……そのときは、この身をもって責任を取ります。それでは、作戦の説明に移ります」
アンチョビ「いいかお前ら!敵はしょせん小勢、我々のノリと勢いを十分に発揮すれば、大洗など軽く一ひねりだ!」
ペパロニ「お前ら、アンツィオの力をカチューシャに見せつけてやろうぜ!」
ワーワー! ドゥーチェ! ドゥーチェ!
アンチョビ(はあ……まさか傘下に加わって早々駆り出されるとはなあ……)
アンチョビ「よし、それでは……AVANTI!」
伝令「アンツィオ軍、前進を開始しました」
みほ「わかりました。それでは、各隊作戦通りにお願いします。PANZER VOR!」
アンツィオ兵「ペパロニ姐さん!敵将の居場所がわかったっす!」
ペパロニ「なにぃ!間違いないのか!?」
アンツィオ兵「はい!確かに『角谷』の旗を掲げてました!」
ペパロニ「よし!突撃だ!一気にケリをつけてやる!」
ワー! ワー! カチコミっス!
アンチョビ(ペパロニのやつ、命令も聞かずに飛び出しやがって……でも、敵将が見つかったなら、うまくすれば勝負を決められるな……)
アンチョビ「いいか!全軍ペパロニに続け!」
みほ『まず、会長の本陣をわざと前面に出し、囮にして敵をひきつけます』
優花里「騎馬隊前進、敵の側面から攻めて、勢いを削ぐであります!」
みほ『優花里さんは敵の先鋒に攻めかかって、怒らせながら勢いを削いでください』
ペパロニ「あーもう、うっとうしい!あの騎馬隊を先に潰すぞ!」
アンツィオ兵「それが、こっちが反撃しようとすると散らばって逃げて、うまく戦えないんです」
ペパロニ「あーもう、じゃあ敵の本陣を先に叩くぞ!お前らもっと気合い入れてついてこい!」
華「西住さんからの合図です!」
沙織「オッケー、みんな、お願い!」
みほ『沙織さんと華さんは、持てるだけの旗を持って民兵の皆さんと本陣の周りに伏せ、合図で旗を立てて叫び声をあげてください』
ペパロニ「本陣に攻め込んでみりゃ……なんだよこれ、誰もいないじゃん……食い物とかは残ってるし、逃げ出したのか?ま、大漁、大漁っと」
アンツィオ兵「ペパロニ姐さん!大変です!周囲を敵に囲まれてます!」
ペパロニ「なにぃ!?」
ワー! ワー!
ペパロニ「旗の数と声の大きさからして、2万くらいはいやがるな……」
アンツィオ兵「どうします?後退してドゥーチェと合流しますか?」
ペパロニ「いや、せっかく奪った物資が勿体ない!姐さんに伝令を送れ!ここで防ぐぞ!」
アンツィオ兵「それが、どう見ても2万ほどはいるとのことで……」
アンチョビ(罠か……?でも、後方から増援がきた可能性もある。もし本物の兵だったら……)
アンチョビ「……放っておけないな。全速前進!ペパロニと合流するぞ!」
アンツィオ兵「姐さん!ドゥーチェの部隊が到着しました!」
アンチョビ「ペパロニ!大丈夫か!?」
ペパロニ「全然大丈夫っす!それより姐さん、大洗の奴ら、騎馬隊以外は弓を撃ってくるぐらいで、ほとんど動かないんすよ。ここは姐さんに任せて、蹴散らしてきていいっすか?」
アンチョビ「ほとんど動かない……そういえばお前、なんで後退して合流しようとしなかったんだ?」
ペパロニ「そりゃ、本陣に残されていた食い物とか持って後退するわけにもいかないですし……そうそう姐さん、大漁ですよ!」
アンチョビ(空っぽの本陣、大量の物資……)
アンチョビ「バカ!やっぱりここに全軍を誘い込む罠だ!早くここから離れるぞ!」
コメント一覧
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- 2016年09月10日 23:23
- もはや戦車道とはいったい……いやよく考えたらSSにあんまり関わらない方が多いか
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