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女「夢の中のお嫁さんごっこ」 : ホライゾーン - SSまとめサイト

女「夢の中のお嫁さんごっこ」

2016-09-10 (土) 15:01  オリジナルSS   0コメント  
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 22:55:13.00 ID:DeC4qcfW0


「…………それじゃあ、例のプロジェクトも終わったことだし! 今夜はみんなで飲みにでも行くか!?」

「おっ、係長! いいですねえ」「俺、渋谷でうまい焼肉の店知ってますよ!」
「そうは言うがな、お前の言う店は薄汚すぎるんだよ!」「そーそー……ね、あたしオイスターバーとか行きたいです!」
「牡蠣か、いいな! この時期は岩牡蠣がうまいからなあ――」


男「――女ちゃんも、一緒にどう?」


女「……いえ、私は遠慮させていただきます。ちょっと今夜は、用事があって」


男「……そ、っか。ごめんね。それじゃ、また」

女「ええ、また明日。…………」



「女さん来ないの?」「ああ、用事があるらしくて――」「なあんだ、残念だなー」
「ねえねえ男くん、この間の話の続き、聞かせてよ!」「ああ、栃木の話? そういや言いそびれてたな、あれは――」



女「…………………ふー…………………」





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:00:12.33 ID:DeC4qcfW0

――――――ツギハ-……シンジュク-……シンジュク-…………

女「………………」

女「…………」

女「…………………………はあ」

プシュー……オオリノオキャクサマハ…………

女「………………」カツカツ

女「……………………」


……ピッ……ピンポーン……………


女「…………」

女「……………」カツカツ

女「……すみません。入場した時、ちょっとうまく行かなかったみたいで」

「――かしこまりました。ええっと……どちらからお乗りになられましたか?」

女「大久保からです。定期の圏内です」

「かしこまりました。……はい、これで問題ありません」

女「すみません、ありがとうございました。……」

女「…………」テクテク




3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:08:36.08 ID:DeC4qcfW0

……ガヤガヤ……デサー……………ウッソォ!?…………ソレハ……
――……メグマレナイ……ドウカ……アルキスマホニ…………

女「………………」テクテク

女「……………………」テクテク


「今夜のお店はお決まりですか!?もしよろしければ――」


女「いえ。……結構です」


女「………………………」テクテク

女「……………………………」テクテク

女「……………………………………」テクテク



女「…………」


女「ここ、か」




4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:24:12.50 ID:DeC4qcfW0

女「…………」


女「…………電話、忘れてた」

女「…………馬鹿だな、私」



女「……はい。はい。……ええっと……120分で」
女「場所は……新宿の、――――ってホテルで」
女「はい。それじゃあ、この……チアキ、って人で」
女「……そうですね……初めてなんですけれど、気をつけておくことって、ありますか」
女「…………わかりました。ありがとうございました、よろしくお願いします。はい、はい……失礼します」


女「……………」テク、テク




5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:29:34.09 ID:DeC4qcfW0

「いらっしゃいませ。お好きなお部屋のパネルをタッチしてください」

女「……」ピッ

「このお部屋でよろしければ――かしこまりました。フロントカウンターまでお越しください」


女「…………」


フロント「はい、いらっしゃいませ。ご宿泊ですか、ご休憩ですか?」


女「ええっと、休憩で」


フロント「かしこまりました。このお時間ですと、12時以降は宿泊となり、延長料金となってしまいますので、お気をつけ下さい」


女「はい、わかりました」


フロント「――お連れの方は、後ほどいらっしゃいますか?」


女「はい」


フロント「それでしたら、扉の方はオートロックとなっております。お気をつけ下さい」


女「わかりました。ありがとうございます」


フロント「ご利用ありがとうございます、ごゆっくりどうぞ」




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:31:38.09 ID:DeC4qcfW0

女「……………………」テクテク

女「…………」ガチャ

女「…………………」

女「……………」ポスッ


女「……何して、待ってよう」


女「…………身体とか、洗っといたほうが、いいのかな」

女「………………」

女「…………こういうところで脱ぐのって、何だか恥ずかしいな」

女「………………………」




7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:33:51.14 ID:DeC4qcfW0

ジャージャー……

女「……いいつでもー、さーがしているよー……どっかにー、きーみーのすがたをー……」
女「むかいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのにー……」

女「……………」

女「…………………」

女「…………」キュッ

女「……」ガチャ

女「…………あと、5分くらいか」

女「本当に、来るのかな」

女「……来るよね。お仕事だもんね」




8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:39:22.83 ID:DeC4qcfW0

女「………髪、乾かしといた方がいいかな」


カチッ、ブォーン…………


女「……テレビなんて、見るもんないしな」

女「…………」

女「………………」

女「……」

女「…………」


――――――こん、こん


女「!」


「お待たせしましたー……。――――のチアキです、申し訳ないんですけれども、開けていただけませんかー……?」


女「…………はっ、はい!」


女「…………」ドクン、ドクン

女「……………」ドクン、ドクン、ドクン


女「…………!」ガチャッ



女「――――――え」




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:46:17.85 ID:DeC4qcfW0

女「……あの、もしかして」

女「……あー、ちゃん……?」


風俗嬢「…………さな、ちゃん?」



……バタン



女「……何年ぶり、くらいかな」

風俗嬢「……高校以来、だから。もう、8年くらいにはなるかな」

女「………………」

風俗嬢「そんな、気ぃ使わなくてもいいよ。もっとさ、気楽にさ、ね?」

女「……無茶言わないでよ」

女「……ホームページの写真、モザイクかかってたから、分かんなかったよ」

風俗嬢「ふふふ。これでも結構人気なんだよ? あたし」




10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:50:31.22 ID:DeC4qcfW0

風俗嬢「……まさか、さなちゃんに呼ばれるとはねー」

女「……ドア越しに聞いた時、まさかとは思ったけど」

風俗嬢「まさかまさかが罷り通っちゃうんだもんなあ。不思議だよね」

女「…………そう、だね」

女「………………」

風俗嬢「…………ねえ」「……あたしが言うのも、なんかさ、アレだけどさ」

風俗嬢「………………さなちゃん、奥手だよね。昔っから、変わってない」

女「……うん。そうかも、ね」


女「……覚えてる? 琢磨くんのこと」




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/28(日) 23:59:05.53 ID:DeC4qcfW0

風俗嬢「覚えてますとも! や、あの時は悪いことしたよ。ごめんね、さなちゃん」

女「いいの。……二人とも、同じ人が好きだって知った時は、驚いたし」

女「あーちゃんのことが、わかんなくなった」

風俗嬢「どんな風に?」

女「全部。いつもニコニコのあーちゃんが、急に怖くなったし」「わざと意地悪なことされてるんじゃないか、って」

女「あーちゃんがたっくんと話してる時、凄く憎らしかったような気もするし」「でもそれがたっくんの幸せなら、それを許すべきだとも思ったし」

女「……そうして、ふっと気付くの。好きな人のために友達を蹴落とそうとする私って、こんなにも汚かったんだって」

女「毎晩、ベッドで泣いてた。もっと私は綺麗だと思ってたのに、って」「人並みに私は綺麗なはずだったのに、って」

女「……だから結局、全部嫌になった。何より、あーちゃんとまた、友達でいたいと思ってたから」

風俗嬢「うー、ありがたいなー、ホント……でも人間って、そんなもんだよねえ」

風俗嬢「嫉妬ってさ、気づくのが一番遅い感情だと思うんだよね。自分が嫉妬してる、って思いたくないから」




12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/29(月) 00:06:50.26 ID:CyJKOErTO

女「……そんなこと、ないよ。あーちゃんは、私みたいに、汚くなんて」

風俗嬢「やーやー、んなことないって。部活の引退間際だったじゃん? 結局、最後の大会の前にさなちゃん辞めちゃったし」

風俗嬢「多分さなちゃんあの後勉強漬けだったから、知らないと思うけどさ」

風俗嬢「たっくんとあたし、あの後すぐ別れちゃったんだよねえ」

女「……え、っ……?」

風俗嬢「や、取らぬ狸の皮算用って奴? 幻滅しちゃったのよ。イメージ清らかすぎたのね、きっと」

風俗嬢「向こうも同じらしくてさー。もう何から何まで全ッゼン噛み合わないの」

風俗嬢「やあでもあれは向こうにも問題あるって。昼ごはんのお弁当二人分作って持ってくるんだよ!? しかも毎日!」

女「…………羨ましいなー」

風俗嬢「えー!? もっとあたしは適度な距離感が良かったのよ。愛重すぎよ、ホント」

風俗嬢「……そういえば、女ちゃんはどこの大学行ったの?」

女「……一浪して、早稲田の商学部」

風俗嬢「わ、すっごいじゃん! 今はどこで働いてるの?」

女「普通のOLだよ。システム系の仕事やってる」

風俗嬢「かっこいいじゃん!! え、プログラミングとかできるの!?」

女「……ふふ。まあ、少しだけどね」

女「…………あーちゃんは?」




13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/29(月) 00:17:52.59 ID:CyJKOErTO

女「……あ、っ」

風俗嬢「や、気にしないで気にしないで! あの流れならあたしだって聞いちゃうって」

女「でも……」

風俗嬢「……いいのいいの。」

風俗嬢「なまじっか成績だけは良かったからさ、推薦で立教の観光学部行ったのよ」

風俗嬢「でも、正直あたし優等生ではあったけど、勉強とか嫌いなタイプでさ」

風俗嬢「……単位落としまくりで、大学もサボりがちになって」

風俗嬢「アキバ歩いてたら、悪い男にひっかかったのが運の尽き。そのまま地下アイドルデビューよ」

女「…………」

風俗嬢「大学も留年して、推薦だからそのまま退学になって。怒られたなー、タナTからお叱りの電話まで貰っちゃって」

風俗嬢「でもライブはそこそこ上手くいってて、調子に乗って出したCDシングルもそこそこ売れてさ」

風俗嬢「……それで、おしまい。後はもう鳴かず飛ばず。事務所からも、家からも勘当されちゃった」

風俗嬢「見た目だけは良かったからさ。逆ヒモって奴かな、駄目な男どもの間を渡り歩いて」

風俗嬢「……このままじゃ駄目だって、真人間にならなきゃって。普通の仕事も頑張ろうとしたけど、続かなくて」

風俗嬢「5人目くらいの男だったかな。……避妊しなかったせいで、堕ろせって言われて。金はお前が払えって」

風俗嬢「あんたが払えって言ったら、お腹蹴られたわ。もうやってらんなくなったから、ピル飲んで出てった」

女「…………それ、で」


風俗嬢「そ。男嫌いになっちゃったのかな、気付けばレズビアン専門の風俗嬢よ」




14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/29(月) 00:36:41.20 ID:CyJKOErTO

風俗嬢「……さて! 話すだけ話したから、今度はさなちゃんに話してもらおっかな?」

女「え、っ……や、そんなこと」

風俗嬢「どーしてまたこんな店を選んだのかなー? ふっふふ、恥ずかしがらなくてもいいんだよ?」
風俗嬢「それともなあに……? 言えないくらい恥ずかしーのかなー? んふふっ……」

女「やあ、んっ……! やっ、ふぁあ、耳舐めないでっ、胸触っちゃっ……」

風俗嬢「やめないって言ったらー? このまま始めてもいいんだよー……?」

女「んう、わかったっ、わかったからあ……話す、話すから、……」

風俗嬢「んふふー。さなちゃんらしからぬ素直さ、よろしー!」

風俗嬢「……でも。これからたっぷり可愛がってあげちゃうのに。先が思いやられるなー……ふふっ」

女「…………っっ……もう。強かなんだからなー……昔から」

風俗嬢「お褒めにあずかり光栄でーす!」

女「……大学から?」風俗嬢「もちろん!」

女「…………面白いことなんて、何もないよ。何も変わらない」

女「大学に入ったら、こんな私も変わるかと思った。変われるかな、って思った」

女「でも、孟母三遷なんて大ウソ。本当に、惰性だった」

女「彼氏は出来たよ。同じサークル。セックスだってした」

女「はっきりとは別れなかったから、今でも一応付き合ってるのかな」

女「……トプ画は、知らない女の人とのツーショットだけどさ」

女「頑張る努力なんて、何もしてこなかった。私は、そういう人間だった」

女「ただ夢を見て、ぼけっと生きてれば、いつか夢は叶うだろうって――ないしは、忘れられるだろうって」

女「……気付いたらもう20半ば。何のために生きてるのか、分からなくなってきた」

女「でも、もちろん死ぬ勇気もない。こうやってズルズルぬるま湯に浸かってるのって、やっぱり気持ちいいから」

女「……今、好きな人がいるんだ。職場の同僚」

風俗嬢「………………」

女「…………たっくんの時と同じ。憎らしいと思うようには、ならなくなったけど」

女「本音を言う勇気はないの。それで、なんとなくイライラしてたの」


風俗嬢「それで何かを変えたくて、あたしのとこに電話したの?」


女「……そう。でも結局、したのは昔話だけ……虫のいい話なんだよね。変わろう変わろうと思ってるくせに」

女「他人にそれを頼ってちゃ、世話はないよ。……自分を変えられるのは、自分だけなんだ」

女「誤解しないでね。気にしなくてもいい。きっとあーちゃんじゃなくても、同じことだったから」


風俗嬢「……ふうん」


風俗嬢「でも、さ」




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/29(月) 00:49:04.25 ID:CyJKOErTO

風俗嬢「――――――あたしが言うのも、変な話だけどさ」


風俗嬢「自分を変えられるのは、他の誰かしかいないと思うよ、あたし」


ちゅ、っ


女「…………ん、ふっ……………!!」


風俗嬢「ん、ちゅ、……ちゅっ……ちゅ、ん…………」



風俗嬢「……………ぷ、あ、はっ」

女「…………はーっ、はーっ…………!!」


風俗嬢「……あたしさ、ずっと待ってたのかもしれない」

女「……っ、…………?」

風俗嬢「あたしを変えてくれる人のこと。白馬の王子様?」

風俗嬢「……ま、いいや。だからさ」


風俗嬢「素直になってよ、さなちゃん。ずるいよ、さなちゃんは」

風俗嬢「昔っからだんまりでさ、口数も少なくてさ、幼馴染のはずなのに、本音の一つも言ってくれない」

風俗嬢「あたしはずっと、……や、あたしも大概嘘つきだなあ。ごめんね、さなちゃん」

女「……なに、を、……?」

風俗嬢「……簡単なおはなし。素直になってほしいの、さなちゃんに」

風俗嬢「あたしも素直になるからさ。……結局あたし、一番大きな所から逃げ続けてきたんだ」

風俗嬢「ずっと言うのが怖かった。だから誤魔化してきた。周りの人も、さなちゃんのことも、自分のことだって」

風俗嬢「ある意味、さなちゃん大正解だよ。あたし意地悪してた。好きでもない人のことを好きなフリしてさ、さなちゃんに見せつけてやればさ」

風俗嬢「さなちゃんきっと、男なんて嫌いになると思ってた。――でもそしたら、手が届かなくなるまで離れてっちゃうんだもん」


風俗嬢「信じてくれなくてもいいけどさ。受け入れてくれなくてもいいけどさ。お願い。これだけは言わせてよ」





風俗嬢「大好き。さなちゃん」




16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/29(月) 00:58:07.58 ID:CyJKOErTO


女「…………結局、宿泊コースになっちゃったね」

風俗嬢「店長に連絡も忘れてた。大目玉だ、あはっ」

女「……ごめんね。料金の倍、払うから」

風俗嬢「もー! そういうところ重いよ、さなちゃんは」

女「……でも。払わないと、私の気が収まらない」

風俗嬢「……もー……しょーがないなー……ん、そうだ」


風俗嬢「ね。お嫁さんごっこ、しよう?」

女「……なにそれ」


女「……なに、私とあーちゃんでやるの? どっちがお嫁さんなのよ、それ」

風俗嬢「どっちだっていいよ。ジェンダーフリーって言うじゃん」
風俗嬢「ほら、結婚指輪みたいにさ。ご祝儀でもいいけど」
風俗嬢「シチュエーションプレイの追加料金ってなら、あたしも受け取れるよ」

女「…………仕方ないなあ。自分からプレイの希望をする風俗嬢が、どこにいるのよ?」

風俗嬢「ここにいますとも! それを受け入れちゃうお客さんだって、ここにいるしさ」

女「はいはい。……それじゃ、ええっと」


風俗嬢「……んー。さなちゃんはあたしに、永遠の愛を誓いますか?」

女「……誓います。あーちゃんは私に、永遠の愛を誓いますか?」

風俗嬢「誓います! ……それじゃあさ」




風俗嬢「誓いのキス、しよっか」




17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/29(月) 01:08:17.79 ID:CyJKOErTO




風俗嬢「…………それじゃ、またね。楽しかったよ、さなちゃん」

女「……私も、楽しかった。……同じ性別同士でも、あんなに気持ちよくなれるんだね」

風俗嬢「そりゃあたしが百戦錬磨ですもの。あたしが女の初めてで、さなちゃん幸せ者よ?」


風俗嬢「……さなちゃん、眼鏡かけると、かわいいよね」

女「……あーちゃんも、金髪、似合ってるよ」



女「…………それじゃあ、また」

風俗嬢「うん。じゃあね、さなちゃん」





女「――――――待って」




風俗嬢「……駄目だよ、さなちゃん」




18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/29(月) 01:11:02.37 ID:CyJKOErTO

風俗嬢「さなちゃんはさ、変われたかもしれない」

風俗嬢「でも、あたしはダメなんだ。変われないよ」

風俗嬢「人間は、他の誰かにしか変えてもらえない。でも」

風俗嬢「他の誰かがどうにかしても、どうにもならない人っているんだ」

風俗嬢「――あたし、さなちゃんに、迷惑かけらんないよ。それに、さ」



風俗嬢「さなちゃんの中にいるあたしは、いつまでも」

風俗嬢「お嫁さんごっこの花嫁で、いてほしいから」



女「……………………」


風俗嬢「……じゃあ、本当に」「さようなら、さなちゃん」


女「――――――勝手なんだから、もう、本当に、っ」





女「それなら、せめて――――また、呼ばせてもらうからっ……!」


女「お客さんとしてでも、都合のいい金づるでもいい……あーちゃんが、変わるまで、何度だって……!」



女「何度だって、何度だって、呼ぶからねっ!! いくらだって出すわ、何度だって会うわ――断ったりしたら、許さないから!!」



風俗嬢「…………………」



風俗嬢「……うん。わかった」


風俗嬢「またのご指名を、お待ちしております。お客さま」



END




元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472392512/

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