響「画廊?秋葉原にそんなのあったのかー!」
女A「そうなんです!業界では有名な画家さんの絵もあるんですよ!良かったらぜひご覧になるだけでも!」
響「へー!なんだかすごそうだな!どこでやってるんだ?」
女A「興味を持って頂けましたか!それではぜひ!こちらです!」
響(芸術関係の人に声をかけられるなんて……もしかして自分、オーラとか出ちゃってるのかな!)
女A(この子もう見た目からしてアホ丸出しだし絶対にいける!しかも服は結構いいの着てるし……搾りとってやるわ……)
響「おぉ……画廊ってこんな小さいビルでやってるのかー、意外だなー、もっとおっきくて広いところでやってるのかと思ってたぞ!」
女A「我々の画廊は創業20年なんです!昔からずっとこのビルでやっていて、もっと立派なところに移転できるにも関わらず、創業者の意向でこのままなんですよ」
響「おー!なんかわかるぞ!自分のところの社長も似たようなこと言ってたさー!」
女A(社長……!これはますますビッグチャンス!)
響「どうしたんだ?」
女A「い、いえいえ!さぁお入りください!中は冷房も効かせてありますので!」
響「ありがたいぞー、暑くて仕方なかったんだ」
ーービル内
女B「あら、女Aさん!そこの素敵な方はアイドルか何かやられている方ですか?」
響「えっ、い、いや自分……」
女A「すいません、お客様。なにぶん彼女は思ったことをすぐ口に出してしまう性格でして……悪気はないんですよ?」
響「へ、平気だぞ(まさか本当にアイドルだなんて言えない……)」
女A「それではまず、こちらにご記入をお願いします」
響「えっ、名前に住所……電話番号まで書くのか!」
女A「申し訳ありません。なにぶん高額な絵なども並んでいるため念の為と言う事で……ご記入頂いた個人情報は責任を持って管理させていただきますのでご安心下さい」
響「なるほどなー、管理してくれるなら大丈夫だな!」カキカキ
女A「ありがとうございます。我那覇響さん……素敵なお名前ですね!」
響「そ、そうか……?あんまり言われたことないから照れるぞー」
女A「こちらにある5枚の絵。我那覇さんはどの絵が良いと思われますか?」
響(うっ……どれもよくわからないぞー)
響「えっと……こ、この真ん中のとか……」
女A「!?すごいですね我那覇さん!」
響「えっ、な、何がだ?」
女A「こちらの作品はフランスの画家、カルハ=ノノワールさんの描かれた作品なんです!日本ではまだあまり知られていない方なんですが、フランスではそれはもう有名な方なんですよ!」
響「そうなのか!?」
女A「ぱっと見ただけで、この5枚からこちらの絵をお選びになるなんて……我那覇さんは素晴らしいセンスをお持ちですね!」
響「えへへ……照れるぞ……」
女A「こんなにセンスのある方は本当に珍しいですので、我那覇さんには特別な価格で提供させていただきます!」
響「えっ」
女A「本当はこちらの絵……この額も合わせて3桁はくだらない作品なのですが……」
響「さ、3桁!?」
女A「我那覇さんには半額の50万円でお売りいたします!」
響「ご、50万円!?」
女A「ええ!こんなこと滅多にないんですよ!我那覇さんがあまりにもセンスに溢れているもので……私も興奮してしまって!」
響(ど、どうしよう……高いけどこんなチャンス滅多に無いって言うし……50万円なら今までの貯金を切り崩せばなんとか……ううん!ダメだぞ!みんなにちゃんとご飯が食べさせてあげなくなるさー!)
響「うーん……すっごく欲しいんだけど、やっぱり自分にはちょっと高いから大丈夫だぞ……」
女A「そうですか……残念です…………そうだ!少しお待ち下さい!」
女A「我那覇さん!すごいですよ!今、社長の方に電話で確認してみたんですけど、我那覇さんのようなセンスをお持ちの方はここ10年でも出会ったことがないらしく!」
響「じ、自分そんなにすごいのか!?」
女A「さっきの作品!額付きで30万円でいいらしいです!」
響「30万!?さらに20万も引いてくれたのか!」
女A「こんなことほんっとうに前代未聞ですよ!このチャンスを逃すなんてありえないですよ我那覇さん!」
響「そ、そうなのか……?でもやっぱり自分、絵はあんまりわからないし……」
女A「カルハ=ノノワールさんの絵は置いておくだけで仕事に恋愛に全てが上手くいくと評判なんです!先行投資みたいなものですよ!」
響(30万円で仕事が増えるなら……それに恋愛……この絵を買えばプロデューサーが自分に!)
女A「ここで決断しなければ一生変わりませんよ!」
響(……そ、そうだ!自分、変わりたいぞ!)
響「この絵買うぞ!」
女A「さすが我那覇さん!素晴らしいご決断です!早速ご準備させていただきますね!」
響(か、買っちゃったぞ……でも!自分はこれで変わるんだ!)
ーー数日後 我那覇家
やよい「おじゃましまーす!」
伊織「邪魔するわよ」
響「いらっしゃいだぞ!」
伊織「相変わらず獣臭い家ね……なんでいつもあんたには臭いが移らないのか不思議で仕方ないわ」
響「ふふーん!自分アイドルだからな!」
やよい「響さんすごいですー!」
伊織「アイドルってなんなのよ……」
響「座っててくれ!今、さんぴん茶とサーターアンダギー出すからな!」
伊織「またそれ?他のはないわけ?」
やよい「えー!伊織ちゃんいっつも響さんのお家来るとき『今日も響のサーターアンダギー食べられるかしら!』って楽しみにしてるよね?」
響「そうなのか~?伊織~」
伊織「ばっ///余計なこと言うんじゃないわよやよい!ふん!お腹が空いてただけよ!」
やよい「でも伊織ちゃん、さっき事務所で小鳥さんにお茶菓子すすめられた時『結構よ。今日はこの後、最高級のお茶を頂くかもしれないの』って……」
響「伊織~自分嬉しいぞ!」
伊織「もう!ばかばかばか///さっさと持って来なさい!」
響「はいは~い」
伊織「……あら?何よこの絵、こんなのあった?」
響「おお!伊織もこの絵の良さがわかるのか?さすがだなー!」
伊織「は?何言ってるの、素人の絵でしょう?これ。まさか響、自分で描いた絵でも飾ってるわけ?自信家なのはあんたのいいところでもあるけど少し考えなさいよ」
響「えっ……この絵、買った絵だぞ……」
伊織「買った!?こんな絵を!?いくら出したのよ!」
響「ほ……ほんとは100万円だけど……安くしてもらって30万円だぞ……」
やよい「30万えん!?3ヶ月は生活できちゃいますー!」
伊織「あんた、それ騙されてない?大体、誰の絵だってのよ?」
響「だ、騙されてなんかないぞ!これはカルハ=ノノワールっていう今、フランスで大人気の画家の……」
伊織「はぁ?私、パリにはよく行くけれど、そんな画家聞いたこともないわよ!」
響「えっ……」
伊織「……響、買った店に連れて行きなさい」
響「でも……」
伊織「デモもストもないわよ!大切な仲間からお金を騙し取るなんて……絶対に許さないんだから」
ーー秋葉原駅前
響「ここら辺でお姉さんに声をかけられたんだぞ……」
伊織「はぁ……秋葉原なんて悪徳絵売りの巣窟みたいなところじゃない……あんた本当に無知っていうかなんていうか……」
響「うー!ひどいぞ伊織ー」
伊織「別にあんたを責めてるわけじゃないわ。騙す方が悪いに決まってるもの」
やよい「響さんはちょっと優しすぎるかなーって」
伊織「あんたがそれを言うのね……」
響「あっ!いたぞ!あのお姉さんが自分に声をかけてきたんだ!」
伊織「あいつね……わかったわ。私とやよいで行ってくるから、あんたはガンダムカフェでハロパスタでも食べてなさい」
響「自分も行くぞ!騙されたままなんて悔しいぞ!」
伊織「あんたが一緒に行ったら意味ないのよ!さっさとガンダムカフェで『うわー!トイレのシャアザクが光ったぞー!』とか言ってなさい!」
響「うぅ……わかったぞ……頼んだぞ、伊織、やよい!」
伊織「任せなさい。ぶっ潰して来てやるわ」
伊織「いい?やよい。まずはあいつの前にあなたが歩いて行くの。近くまで行ったら目を合わせなさい。それで声をかけられたら興味津々なふりをするの。そしたら後から私が合流するわ」
やよい「わかった!やってみるね!」
伊織「頼んだわよ。やよい!」
女A「すいません。すぐそこで画廊ををやっていて、こういった絵などを展示しているのですが。よろしかったらご覧になるだけでも」
やよい「はわ~!すっごく綺麗な絵です~。私もこんな絵が欲しいかなーって」
女A「本当ですか!それではぜひ!」
伊織「あっ!ごめんなさいやよい!待たせちゃったわね」
やよい「あ~伊織ちゃん!見て見てー!こ~んな素敵な絵が飾ってあるところがあるんだって!伊織ちゃんも行こうよ!」
女A(ヤバい……長年のエウリアンとしての勘がこう言ってる『こいつは本物だ』!こいつを招いたら最後……ウチがクソゴミみたいな絵しか置いていないことがバレるっ!)
伊織「あら?何よこの絵」
女A(やっぱり……!)
伊織「すっごく素敵じゃない!ルーブルでもこんなの見れないわよ!」
女A(!……こいつフェイクだわ!一瞬雰囲気で騙されそうになった自分が恥ずかしい……間違いないわ!こいつはお嬢様気取りの田舎の成金小金持ち!一番のターゲットじゃないの!)
やよい「伊織ちゃんがそんなに言うなんて!やっぱりこの絵すごいです!」
女A「よろしければそちらのお嬢さんもご一緒に……」
伊織「あら?いいの?私が帰る頃にはいい絵は全部無くなってるかも
コメント一覧
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- 2016年09月12日 22:54
- どれだけ学習しなくても金と権力と暴力組織との繋がりがあればOK
そう言いたかったんだよな
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- 2016年09月12日 23:04
- 伊織の響の扱いが小気味いい
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- 2016年09月12日 23:06
- この人ほんとペース早いな大丈夫か!
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- 2016年09月12日 23:09
- 響はちょろかわいいなあ
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- 2016年09月12日 23:10
- 効果音がPによるものってのは素直に草生えた
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- 2016年09月12日 23:17
- みんな!
「伊織は詐欺グループが自分の想定以上にやばいところだったらどうしようとすら考えないのか」とか考えてはいけないぞ!
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- 2016年09月12日 23:19
- いざとなったら水瀬がなんとかするやろ
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- 2016年09月12日 23:24
- 伊織がダメなら四条家が本気出すだけだから平気でしょ
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- 2016年09月12日 23:28
- 正直そんな面白くないけど好きだわ
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- 2016年09月12日 23:31
- 千早はAAだろ!いい加減にしろ!
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後だしジャンケンの繰り返し大好きなの?って感じ