こんにちは、株式会社バーグハンバーグバーグのまきのです。

 

映画には様々な表現手法があります。あえてモノクロにしてみたり、手持ちカメラだけでリアリティを追求したり、時間軸をバラバラにしてみたり。実験的な映像作品は数多くありますが、個人的にわたしが好きなやつに「長回し」があります。

 

 

こちらはタイのアクション映画「トム・ヤン・クン!」のワンシーンで、象を盗んだ悪党が潜伏する建物に、主人公のカームが殴りこみに行く4分間を一気に撮影しています。すごいアクションはもちろんのこと、失敗できない緊張感もこの映像から伝わってきますね。

 

そんな「長回し」ですが、広い世界には1本まるまる長回しで作られている映画も存在します。本日はそんな「ワンカット長回し映画」を3本ご紹介いたしますので、参考にどうぞ。もうすでに知ってたらすいません。私より詳しい映画好きの方は「浅い」と思うかもしれませんが、大目に見てください。

 

 

 

■瞬きできない緊迫感!「ある優しき殺人者の記録」

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ある優しき殺人者の記録

 

【あらすじ】

韓国の障害者施設を脱走して18人を殺した異常者パク・サンジュンから取材して欲しいと連絡があった幼なじみのジャーナリスト キム・ソヨンと日本人カメラマン。指定された廃マンションの一室に行ってみると、「本当は見つかってないだけで25人殺してる。そしてここに偶然やってくる日本人カップルを殺して27人に達したら、幼なじみのユンジンが生き返る…それを見届けて欲しい」と言い出した。果たしてこの男が言ってることは本当なのか、それともただの狂人なのか…。

 

一つ目は「コワすぎ!」シリーズや「貞子VS伽倻子」の監督で知られる白石晃士さんが監督・脚本・撮影・出演をこなす「ある優しき殺人者の記録」です。手持ちカメラによるPOVショットで狂った殺人鬼の内面に迫りながら、白石作品には最早お馴染みのとんでもない超展開も巻き起こるという傑作で、この括りで紹介されていることでお分かりの通り「86分間」ワンカットで一気に走り抜けます。

 

これにより1秒たりとも目を背けることが出来ない緊迫感を効果的に生み出しつつ、サンジュンが殺人を行う理由を聞いていくうちにどんどん感情移入して世界観に没頭することができます。そしてPOVでは珍しいスーパーハッピーエンドのカタルシスが凄まじい仕上がりに…。途中で登場する日本人カップルがめちゃめちゃ過ぎるのが気になりますが、まあそこは目をつぶってください。

 

【予告】

 

 

 

 

 

■正体不明の脅威!「サイレント・ハウス」

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サイレント・ハウス

 

【あらすじ】

サラは父親、叔父と共に人里離れた湖畔の別荘を久々に訪れる。しかし、その家では誰もいない部屋でカメラのシャッター音が鳴り響き、彼女は異様な気配を感じていた。やがて何者かにより父親と叔父が襲われ、助けを求めようとするも逃げ道を断たれたサラは、得体の知れない恐怖に脅かされて……。

シネマトゥデイより

 

二つ目は、「アベンジャーズ」でスカーレット・ウィッチを演じたエリザベス・オルセン主演のスリラーで、ウルグアイのスリラー映画「SHOT/ショット」のリメイクになっている「サイレント・ハウス」。こちらはオルセンさんを後ろからカメラがずっと追いかける撮影で、気分はさながらTPSゲームをやっているような印象。そして85分のワンカット撮影で何者かに追われる恐怖を描いています。オルセンさんの目線で話が進んでいくことを逆手にとった大胆なギミックも施されていて、終盤は驚かされること必至。さらに恐怖に怯えるオルセンさんの体つきがめちゃくちゃエロいことも個人的に高得点を叩き出す要因となっております。

 

【予告】

 

 

 

 

 

■140分正真正銘の一発撮り!「ヴィクトリア」

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ヴィクトリア

 

【あらすじ】

スペインからドイツに移住してきたヴィクトリアは朝方にクラブハウスでウェイウェイ踊っているところをチンピラ仲間のゾンネら四人に声をかけられる。なんだかんだでそのまま意気投合するが、色々話を聞いていると、四人のうちの一人が服役中にヤクザの世話になった借りを返すため、銀行強盗をしなければならないらしい。しかし四人でやらなければならない仕事なのに、一人が泥酔して使い物にならなくなった。ゾンネは「君は何もしなくていい、そこにいるだけでいい」という条件で、ヴィクトリアを半ば強制的に仲間に引き入れる。しかしただの若者に完全犯罪が出来るはずもなく、事態はあっという間に急変していく…。

 

「ある優しき殺人者の記録」「サイレント・ハウス」は、どちらもワンシチュエーションで長回しのように編集を施したワンカット”風”の撮影方法でした(それでもスゴイ)。しかしこのドイツ映画「ヴィクトリア」は「140分マジで一発撮り」「脚本は12ページでセリフはほぼアドリブ」「クラブハウス、マンション、カフェ、車内、地下室、ホテルと次から次へと場面転換していく」という恐ろしい撮影手法で、一人の女の人生が一変していく様子を描いています。すごすぎません?すごすぎますよね?

 

ベルリンの街を深夜から朝方にかけて走り抜けて行くから、様々な不確定要素もそのまま映画に使われているのも良い。序盤にマジの一般人に話しかけられて絡まれるシーンでは四人の役者がうまいこと役になりきりながら追い払ったり、自転車の二人乗りをしているときに「二人乗りするな!」と通行人に怒られたり。そういうランダム要素が逆にリアルだし、終盤話が転がっていくごとにどんどん緊張感が高まっていくのも最高。

 

正直ヴィクトリアの軽さとか、チンピラの無計画さに突っ込みどころはあったりさすがにワンカットなので歩いて移動するシーンとかめちゃめちゃ長くてダルい箇所はとことんダルいですが、それを上回るほどのエネルギッシュで疾走感に溢れる奇跡の力作だな〜と思います。

 

【予告】

 

 

 

 

 

■気になったら見よう

 

いかがでしたか?ワンカットは確かに成功したらすごいですが、NGした時のがっかり感は想像するだけで恐ろしいですね。

 

それではさようなら。またいいのがあれば教えます。

 

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