いけさんフロムエル : 「ＭＩＸ」～激闘・延長戦！大山監督の誤算と限界を超えた戦い！！

あだち充のゲッサン連載「ＭＩＸ」第５３回です。

０－０のまま、依然として失点を許さずにマウンドに君臨し続ける投馬。
疲労から棒球を投げてしまった投馬だったが、ラッキーが重なり七回もゼロで押さえてしまう。
八回のピンチも東秀打線の不備もあって何とか切り抜けた投馬。
三田のピッチングが益々凄みを増す中、ついに無得点のまま延長戦に突入した準決勝・明青学園対東秀高校だったのだが…！？

東秀の絶対優位の下馬評を覆し、五分の試合展開を見せる明青学園。
これにはテレビ中継を見ている者たちも驚いた様子。
「おいおい、本当かよ」
試合前の準備をしながら第一試合の延長を知らされた西村。
東秀が勝つのは時間の問題だと考えていただけにこの展開は全く予想していなかったのかも知れません。

一方、その東秀・三田はここに来て守備陣を引き締める事にした様子。
ボテボテの当たりを内野安打にされない様に、前田と古賀の守備位置を一歩前にする様にしてきた三田。
間を抜かれるような当たりは打たせないと、自信を見せる三田ですけど、だとしたら三田の最後は守備の間を抜かれる長打という事になるのか？
そんな三田を交代出来なくなってしまった東秀監督だが、あんなに楽しそうにマウンドに向かう三田は見た事がないのだという。
何やらこれが最終戦になるかの様な反応をする監督ですけど、三年生である三田とはこれ以降の再戦はない訳ですし、もしかすると三田という存在を大きく描き、それを倒す事によって無名だった投馬たちの価値を上げようという作者の狙いがあるのかも知れませんね。

東秀でも明青でもないどっちつかずの席に着いていた三田亜里沙。
「一応わたくしは明青学園中等部ですからねェ」
複雑な胸中を語る亜里沙ですけど、それも今年だけのはずです。
そんな彼女だが、兄がしつこく誘って来た為仕方なく観に来たらしい。
もしかしたら自分の高校野球最後の試合になるかも知れないと言われて来た亜里沙ですけど、何だか東秀の敗北フラグにしか感じられません。
「よく言うのか？そういう冗談を」
「冗談なの？」
三田が明青を高く評価している事に驚いたらしい赤井ですけど、三田評を通して立花兄弟の実力を再評価する事になったのかな…？

延長戦に入り、今日最速の１５２ｋｍを出した三田。
どうやったら点が取れるのか皆目見当がつかないと言う大山監督ですけど、こうなると出会いがしらの一発にでも期待するしかないのかも知れません。

熱い試合展開に涙を浮かべる大山監督。
こんな試合展開を見せられたらイチコロだという監督ですけど、だとしたら勝った際には号泣もあり得るのかな？
「投馬を代えるぞ」
そんな中、衝撃のセリフを吐いた監督だが、やはり準備不足を感じていた様子。
３年生には申し訳ないが、自分が考えていたのは来年、再来年に向けてのチーム作りだと言う監督。
このままでは投馬が壊れるのを待つだけだと言う監督ですけど、将来的には捕手をもう一人育てて走一郎にも投げさせる事を考えていいはずです。

監督の思惑をよそに次の守備にそなえて肩慣らしを始めた投馬。
限界を超えた事は確認していた監督だが、走一郎によれば一段上のステージに昇ったのだという。
「三田さんが上げてくれたハードルのおかげで、知らない内にあいつは自分の限界を超えた所で戦っているんです」
交代のタイミングを自分に託して欲しいと言う走一郎。
壊れる前に必ずタオルを投げると約束する走一郎ですけど、そうなると早期決着は絶対に必要になるはずです。

２０個目の三振で１０回表もゼロで終えた明青学園打線。
いよいよ一点で決まる展開になってきましたけど、投馬を楽にさせるためにも走一郎には期待したいところ。
代わって１０回裏のマウンドに登った投馬だが、公式戦の記録では東秀が一人の投手に９回を０封されたのは３年ぶりなのだという。
その投馬も今日最速の１４８ｋｍを記録し、いよいよ試合は意地の張り合いになって来たらしい。

フォアボールでランナーが出て、バントで進塁させるもあと一本が出ない東秀打線。
そんな様子に投馬の言葉を思い出した赤井だが、何やら嬉しい様子。
これまで三田しか見ていなかった赤井ですけど、立花投馬を最大のライバルだと認識し始めているのか？
そんな試合は１１回に入り、依然として三田は好調な様子。
亜里沙によれば野球を始める前はいつでも一緒の近所でも評判の仲良し兄妹だったのだが、最初のうちは「たまには妹と遊んであげなさい」と言っていた両親も息子の才能の大きさを知ってからは豹変してしまったのだという。
「練習の邪魔はするな」「トラブルを起こして兄ちゃんの足を引っ張るな」と、クギを刺されっ放しの人生になってしまったと言う亜里沙。
「――だからこそ観てほしいんだよ、三田さんは」
そんな亜里沙に兄の代弁の様なセリフを吐く赤井ですが、苦労をかけただけに妹には自慢できる姿を見せたいんだと彼なりに解釈したのかも知れません。

三田の両親が大興奮する中、怪物ぶりを如何なく発揮する三田浩樹。
そんな彼を打ち崩すのは投馬か、走一郎か、駒か、はたまた南郷なのか？
それとも先に投馬の幸運が尽きて、寂しい終戦を迎える事になってしまうのでしょうか…？

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