1 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:32:54 ID:fIS
('A`)「うるせぇんだよババア!」
J( 'ー`)し「どうしても出てきてくれないの?」
('A`)「そう言ってんだろ!死ねよババア!」
J( 'ー`)し「たかし……」
('A`)「だからうるせぇんだよ!話しかけんじゃねえ!」
J( 'ー`)し「……ごめんなさい……」スタスタ
('A`)「ったく……。さて、自家発電でも……」シコシコ
2 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:34:18 ID:fIS
~翌日~
('A`)「おいババア!飯持ってこいや!」
シーーーン
('A`)「おい!ババア!無視すんなよ!おい!」
シーーーン
('A`)「ババアどこいきやがった……」
3 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:36:06 ID:NyV
もう胸が痛い…
267 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)21:58:17 ID:52Y
http://i.imgur.com/RaYyTyk.jpg
たかしの部屋参考画像
('A`)「うるせぇんだよババア!」
J( 'ー`)し「どうしても出てきてくれないの?」
('A`)「そう言ってんだろ!死ねよババア!」
J( 'ー`)し「たかし……」
('A`)「だからうるせぇんだよ!話しかけんじゃねえ!」
J( 'ー`)し「……ごめんなさい……」スタスタ
('A`)「ったく……。さて、自家発電でも……」シコシコ
J(´ー`)し「たかし、部屋から出てきて……お願い……」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1474155174/
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1474155174/
2 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:34:18 ID:fIS
~翌日~
('A`)「おいババア!飯持ってこいや!」
シーーーン
('A`)「おい!ババア!無視すんなよ!おい!」
シーーーン
('A`)「ババアどこいきやがった……」
3 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:36:06 ID:NyV
もう胸が痛い…
267 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)21:58:17 ID:52Y
http://i.imgur.com/RaYyTyk.jpg
たかしの部屋参考画像
4 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:37:26 ID:fIS
('A`)「仕方ねえ。帰ってくるまで部屋に戻るかな」
しかし夜になっても、J( 'ー`)し は帰宅しなかった……
('A`)「……くそ……腹減った……」
('A`)「冷蔵庫の中を荒らしてみるか……」
ガチャ
('A`)「――ッ!?な、なんだよこれ!」
('A`)「なんもねえ!なんもねえじゃん!」
('A`)「え!?え!?嘘だろ!?」ガサガサ
('A`)「飯どころか菓子もねえ!ジュースも!」
8 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:40:07 ID:fIS
('A`)「どういうことだよ……」
('A`)「一昨日夜中にあさった時には、確かに菓子があったのに……」
('A`)(ババアが食べたのか?いやでも、あいつ菓子食わねえし……)
('A`)(……まさか……)
('A`)「あいつ、出ていきやがった!?」
9 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:44:58 ID:fIS
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)「……ちょっと待て。これ、チャンスじゃね?」
('A`)「うるさいババア消えて、悠々自適な独り暮らしってやつじゃね?」
('A`)「そうだよ!最高じゃん!もう邪魔されねえじゃん!」
('A`)「ヒャッホーー!!やったぜ俺!ウザイ奴消えてラッキー!」
('A`)「今からなんすっかなwwwwwwアニメ見てぇwwwwwwエロゲーしてぇwwwwww2ちゃんしてぇwwwwww」
('A`)「ポテチとコーラ食いまくればマズイ飯も食わなくて済むしwwwwwwクソ余裕だわwwwwww」
('A`)「ポテチとwwwwwwコーラでwwwwwwポテチwwwwwwコーラwwwwww……」
('A`)「……いや、食い物ねえじゃん……」
10 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:50:12 ID:fIS
('A`)「やべ……マジで腹へって死にそう……」
('A`)「仕方ねえ……ババアも帰ってくるかもわかんねえし、自分で買いに行くか……」
('A`)「ええと、金どっかねえかな……。クソが……金ぐらい置いとけよババア……ホントつかえねえ……」ガサガサ
('A`)「お?おおお!?」
('A`)「引き出しに封筒発見wwwwww中身は……ウホ!金じゃん!万札クソ入ってるわwwwwww」
('A`)「……20万!大金アザーースwwwwww」
('A`)「後でエロゲー買いに行こwwwwwwババアいなくてもクソ余裕だわwwwwww」
('A`)「まずは寿司でも食うかなwwwwwwそんでゲーム買いに行ってwwwwwwフィギア買ってwwwwww」スタスタ
14 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:54:28 ID:fIS
三日後――
('A`)「やべ……金尽きたわ……」
('A`)「あとどんくらいあるんだろ……」ガサガサ
('A`)「……さ、三千円……」
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)「……クソが。もっと置いとけよババアが。可愛い息子が飯食えねえだろが……」
('A`)(……ババア、帰ってこねえな……)
('A`)「……」
('A`)「……ま、別にいいけど。だって俺大人だし?一人で買い物行けるし?自立してるし?」
('A`)「ババアいなくても余裕余裕wwwwwwいざとなりゃ家の物売りまくればいいしwwwwww」
('A`)「うはwwwwww人生クソ余裕wwwwww」
18 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)09:27:21 ID:fIS
ピンポーーーン
('A`)「……あ?誰か来たのか?」
('A`)「ああ……めんどくせえし無視無視」
ピンポーーーン
ピンポーーーン
('A`)「……しつけえな……帰れよクソが……」
ピンポーーーン
ピンポーーーン
ピンポーーーン
ピンポーーーン
('A`)「……え?しつこくね?」
――ドンドンドンドン!!
('A`)「――ッ!?」ビクゥッ!
(*`Д´)「おいクォラ!いるのは分かっとんのぞ!はよ金返さんかい!」ドンドンドンドン!!
('A`)「え!?え!?なにこれ!?」
(*`Д´)「金だけ借りていい度胸やねえかい!なんやったら内臓さばいてええんやぞ!」ドンドンドンドン!!
('A`)「ヒィィッ!」
20 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)09:33:23 ID:fIS
(*`Д´)「お前居留守使うとはええ度胸やのぉ!なんやったら窓割って入ってええんやぞ!必要措置ってやつや!」
('A`)「え!?ちょ、ちょ……!」
(*`Д´)「はい5ォ!4!3……!」
('A`)「ちょ、ちょっと待っ――!」ダダダダ
ガチャ!!
(*`Д´)「なんややっぱりおったんかボケぇ!はよ金返せ――!」
('A`)「……」ブルブル
(*`Д´)「……お前誰や?ババアの坊主か?」
('A`)「……ハ,ハイ……」
(*`Д´)「アアッ!?」
('A`)「ハ、ハイィィ!息子です!ハイ!」
(*`Д´)「ちっ……。だったら最初からはっきり言わんかい」
('A`)「ス,スミマセン……」
(*`Д´)「アアッ!?なんやて!?」
('A`)「ス ミ マ セ ン デ シ タ ァ ァ !!」
21 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)09:44:03 ID:fIS
(*`Д´)「まあええ。おい坊主。オカンはどこや」
('A`)「……」
(*`Д´)「おい。答えんかい」
('A`)「……ワカリマセン」
(*`Д´)「アアッ!?」
('A`)「す、すみません!数日前から帰ってないんです!僕も分からないんです!」
(*`Д´)「……帰ってきてないんか?」
('A`)「は、はい……」
(*`Д´)「……そうか。とうとう出ていったんか……」
('A`)「?」
(*`Д´)「……まあええ。とにかく、借りたもんは返しや」
('A`)「へ?」
24 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:00:08 ID:fIS
('A`)「ぼ、僕が?」
(*`Д´)「当たり前やろ。母ちゃんが返せん借金は、息子が払うんが道理やろ」
('A`)「そ、そんな……」
(*`Д´)「まあいきなり全額言うても無理やろうし、そもそも今日は20万だけっちゅう約束やったしな」
('A`)「……え?」
(*`Д´)「母ちゃんから20万預かってるやろ?それ渡しぃ」
('A`)「……あ」
('A`)(ま、ましゃか……)
('A`)(……あの金!?)
(*`Д´)「おう、どうしたん。はよ渡さんかい」
('A`)「……」ガクガク
(*`Д´)「……」
25 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:04:24 ID:fIS
(*`Д´)「……預かって、ないんか?」
('A`)「――ッ!?」ビクゥッ!!
(*`Д´)「……」
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)「……ハ,ハイ」
(*`Д´)「……本当やろうなぁ?」ギロッ
('A`)「……!」ガクブルガクブル
(*`Д´)「……」
('A`)「……」ガクブルガクブル
(*`Д´)「……ちょっと、家ん中入るわ」ザッ――
('A`)「!?」
26 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:08:29 ID:fIS
('A`)「い、いやちょっと……」
(*`Д´)「なんや?いかんのか?」ギロッ
('A`)「い、いえ。そういうわけでは……」
(*`Д´)「……」キョロキョロ
('A`)「……」
(*`Д´)「おい。お前の部屋、どこや」
('A`)「――ッ!」ビクゥッ!!
(*`Д´)「……どこ、や?」
('A`)「……一階の……その……」
(*`Д´)「……」ジトーー
('A`)「……」ビクビク
(*`Д´)「……」ジトーー
('A`)「……」ビクビク
('A`)「……チラッ」
(*`Д´)「……ほう。二階、やな?」
('A`)「――ッ!?」ギクッッ!
(*`Д´)「お邪魔すんで」スタスタ
('A`)「ちょ、ちょっと……!」
27 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:13:04 ID:fIS
ガチャ――
(*`Д´)「……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……なんやこれ。フィギアに……ゲームに……Hマンガに……」
('A`)「……エ、Hマンガではなく、同人……」
(*`Д´)「アアッ!?」
('A`)「ヒィィッ!な、なんでもありません!」
(*`Д´)「……くっさいわ。センズリこいた臭いしかせんわ」
('A`)「……」
(*`Д´)「……報われんなぁ」ボソッ
('A`)「へ?」
(*`Д´)「なんでもないわ。……お前、とんだバカ息子やな。いや、クズや。クズ息子や」
('A`)「……」
28 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:21:35 ID:fIS
(*`Д´)「お前、そもそもいくつや」
('A`)「……サ……」
(*`Д´)「あ?」
('A`)「……サ,サンジュウイチ…ス……」
(*`Д´)「31?」
('A`)「……」
(*`Д´)「……あかんわ。そら、あかんわ」
(*`Д´)「身なり見ればわかる。お前仕事もしとらんやろ?それどころか、したことすらないやろ?」
('A`)「……」
(*`Д´)「働きもせんと、寄生虫みたいに住み着いて、金使って……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……まあ、よくある話やけどな。それでも、お前あかんわ。……クズやわ……」
('A`)「……」
29 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:36:34 ID:fIS
(*`Д´)「……とりあえず、どうすんのや?」
('A`)「……」
(*`Д´)「返す金あるんか?」
('A`)「……」
(*`Д´)「答えんかボケェ!!」クワッ!!
('A`)「あ、ありません!お金ありません!」
(*`Д´)「……そうや。なら、しゃあないな」
('A`)「……ホッ」
(*`Д´)「……」ガサガサ
('A`)「?」
(*`Д´)「お前もせんかい。お前のやろ」
('A`)「……え?」
(*`Д´)「売りにいくんや。これだけのフィギアとかゲームとか。全部売ればけっこうな値段なるやろ」
('A`)「…………え゛!?」
(*`Д´)「本来なら自分でやらせたいんやけど、俺のシノギやしな。しゃあないから手伝ったる。感謝せえよ?」
('A`)「で、でも売るのはちょっと……」
(*`Д´)「……あ?だったらええんやぞ?このまま連れてくだけやぞ?」
('A`)「……つ、連れてく……?」ゴクリ
(*`Д´)「知っとるか?……人間の臓器、高ぉ売れるんやで?」
('A`)「……!」ビクビク
(*`Д´)「……で?なんやて?」ゴゴゴゴゴゴ
('A`)「……ウリマス……」
31 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:41:38 ID:fIS
数時間後――
(*`Д´)「いやぁけっこうな値段で売れたなぁwwwwww」
(*`Д´)「たかが人形思っとったけど、まさか全部で30万いくとは思わんかったwwwwww」
('A`)「……」ショボーーン
(*`Д´)「ほんなら、金貰っとくわ。残りは返すで」スッ
('A`)「は、はい……ん?」
('A`)「……あ、あの……3万ですか?」
(*`Д´)「おう。とっときや」
('A`)「いや……返済額は20万だから……10万じゃ……」
(*`Д´)「手数料や。わざわざ車乗っけて、店まで連れてきたんやで?当たり前やろ」
('A`)「そ、そんな……」
34 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:46:56 ID:fIS
(*`Д´)「お前、わかっとる思うけどな」
('A`)「?」
(*`Д´)「これは、今月分や。来月は来月で、きっちり20万払うんやで?」
('A`)「……え゛!?」
(*`Д´)「当たり前やろ。こっちも慈善事業しとるわけじゃないんやぞ?返すもんは返すんが常識やろ」
('A`)「で、でも……お金が……」
(*`Д´)「やったら死ぬ気で働かんかい。バイトでも派遣でも、死ぬ気でやらんかい」
('A`)「そ、そんな……」
(*`Д´)「出来る出来んの話やない。やれや。今まで甘えまくっとったしわ寄せや。出来んなら……分かっとるやろ?海の底は冷たいんやで?」
('A`)「……!」ビクビク
(*`Д´)「ほな、頼むで」ブォォォォン……
('A`)「……」
('A`)「……う、嘘だろ……?」
35 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:50:51 ID:fIS
自宅――
('A`)「……」
('A`)「……来月から……毎月……20万……」
('A`)「……その次の月も……次も……次も……」
('A`)「……」
('A`)「……クソがああああああ!」
('A`)「あのババア!俺に借金押し付けやがった!」
('A`)「クソババア!死ねよ!死んじまえよ!」
('A`)「ババア!ババアァァァァァ!」
36 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:52:55 ID:fIS
('A`)「はぁ……はぁ……」
('A`)「……」
('A`)「……どうしよう……明日から、どうしよう……」
('A`)「……飯もない。金もない。あるのは、借金……」
('A`)「いくらあるんだよ。いつまで返せばいいんだよ……」
('A`)「……クソ……」
37 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:57:18 ID:fIS
翌月――
ピンポーーーン
(*`Д´)「……」
……ギィィ
('A`)「……」
(*`Д´)「……よう。久しぶりやのぉ」
('A`)「……」
(*`Д´)「安心せぃ。金回収に来たんとちゃうわ」
('A`)「……」
(*`Д´)「……聞いたで?お前、捕まったんやて?」
('A`)「……」
(*`Д´)「アホやな……食うもん困って万引きとは……。働くどころか、ますます働けんくしてどないするんや」
('A`)「……」
38 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:59:22 ID:GRw
クズすぎww
39 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:03:56 ID:fIS
(*`Д´)「そもそもお前なぁ――」
('A`)「――俺だって頑張ったんだよぉ!」
(*`Д´)「……あ?」
('A`)「バイトの面接もした!店に行って土下座もした!でもダメなんだよ!みんなダメなんだよ!」
(*`Д´)「……」
('A`)「どこ行っても不採用で!鼻で笑われて!ばかにされんだよ!どうしろって言うんだよ!」
(*`Д´)「……それが、社会やで」
('A`)「……!」
(*`Д´)「舐めてかかると、気付いたら追い込まれる。八方塞がりや。今まで守ってくれてたもんのデカさは、なくならんと分からん。思っとってもうまくいかん。糞みたいな世の中。それが社会なんやで」
('A`)「……」
(*`Д´)「普通は、もっとはよ気付くんや。そんで、備えるんや。理不尽なことにな。それがお前は遅すぎたんや。ただそれだけのことなんやで」
('A`)「……」
41 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:12:13 ID:fIS
(*`Д´)「お前の母ちゃんは、そんな糞みたいな世の中で、お前を育ててたんやで。下げたくもない頭下げて、後ろ指さされて、小馬鹿にされて……」
('A`)「……」
(*`Д´)「言っとくがな、お前の比やないんやで?母ちゃんが通った道はの。底辺中の底辺。糞の中の糞。そんな地べたを這いつくばりながらも、金稼ぎよったんやぞ?」
('A`)「……」
(*`Д´)「それなのに、お前はなんや。アホみたいにアホみたいなことに金使って、挙げ句母ちゃんを罵倒して。ちょっと行き詰まったら人のせいにして。俺は頑張った。俺はやった。……アホか。今までさぼっとった分の利子すらならんわ」
('A`)「……」
(*`Д´)「ようは舐めすぎなんよ。社会をな。お前が思っとる以上に世の中は、糞で、残酷で、非情で、おまけに、露骨なんやで」
('A`)「……うぅ……うぅ……」ブワッ
42 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:19:07 ID:fIS
(*`Д´)「……とにかく、働く当てはなさそうやな」
('A`)「……」
(*`Д´)「……しゃあない。着いてきや」
('A`)「――ッ!?」ビクッ
(*`Д´)「安心せい。別に内臓さばこうとは思わん。それに、その豚みたいな体じゃろくな値段はつかんやろうし」
('A`)「……ホッ」
(*`Д´)「ただな。体で払ってもらうのは、同じやぞ?」
('A`)「……へ?」
43 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:19:36 ID:RRN
あっ…(察し)
47 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:33:48 ID:fIS
某所――
('A`)「……」
……アンアン……アンアン……
('A`)「……」モンモン
スタスタ……
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……アリガトウゴザイマシター」
ガラッ
(*`Д´)「おう、やってんな」
('A`)「……あ、ども」
(*`Д´)「なんやその気の抜けた返事は。せっかく仕事先紹介してやったっちゅーのに」
('A`)「……いや、でも……」
(*`Д´)「ハハハ!童帝には風俗の受付はキツいか!」
('A`)「////」
(*`Д´)「お前ついとったな。前の受付が雲隠れしやがってよ。ちょうど後任を探してたんや。そういいツキは大事にせなあかんよ」
('A`)「は、はぁ……」
49 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:35:41 ID:vl2
これはいいアニキ
50 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:38:08 ID:fIS
('A`)「……でも、いいんですか?」
(*`Д´)「なにがや?」
('A`)「なんか、僕みたいな奴を勝手に雇って……」
(*`Д´)「まあお前はクソやけどな。こっちも人手が欲しかった。おまけにお前の借金も回収出来て、お前の稼ぎにもなる。一石二鳥……いや、一石三鳥なんや」
('A`)「はぁ……」
???「……お疲れ様でした~」
('A`)「――ッ!」
(*`Д´)「おうリナ。今日はあがりか?」
(*бωб)「はい!今日はあがりでーす!」
(*`Д´)「そうか。また頼むで」
(*бωб)「分かりました~!失礼しま~す!」スタスタ
('A`)「……」
('A`)(……リナさん……////)
52 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:39:39 ID:RRN
惚れるのか...
53 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:42:19 ID:fIS
('A`)「……」ポー
(*`Д´)「……い……おい……」
('A`)「……」ポー
(*`Д´)「……おい!聞いとんのか!?」
('A`)「――ッ!?は、はい!」
(*`Д´)「……たく」
('A`)「……すみません」
(*`Д´)「……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……お前、惚れたか?」
('A`)「――ッ!?」ビクッ
(*`Д´)「そうか……。でもな、リナはやめとけ」
('A`)「へ?」
(*`Д´)「人には色々あるんやで。この裏方稼業は、特にな……」
('A`)「……?」
64 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:20:12 ID:fIS
('A`)「……」
('A`)(……ババア、全然帰ってこねえな……)
('A`)(……マジで、捨てられたのかな……)
(*бωб)「たかしさんこんにちは~☆」
('A`)「あ!リナさん!///」
(*бωб)「今日も受付大変ですね」
('A`)「あ……いや……その……///」
(*бωб)「たかしさん!顔真っ赤~!」
('A`)「///」
(*бωб)「たかしさん、なんか可愛いですね☆」
('A`)「――ッ!?」
(*бωб)「今日よろしくお願いしま~す☆」スタスタ
('A`)「……」
('A`)「……可愛い……俺が……リナさん……///」
65 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:24:55 ID:fIS
閉店前――
('A`)「……」
(*бωб)「お疲れ様でした~☆」
('A`)「――ッ!り、リナさん!」
(*бωб)「たかしさんもお疲れ様でした☆」
('A`)「あ、はい!お疲れ様でした!」
(*бωб)「もう、なんで敬語なんですか?私より年上じゃないですかーwwwwww」
('A`)「は、はあ……」
(*бωб)「……でも、たかしさんみたいな人って素敵だな。純粋そうで……」
('A`)「え――!?///」
(*бωб)「……なーんて、ね☆お疲れ様でした!」スタスタ
('A`)「お、お疲れ様!」
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)(……まさか、とは思ってたけど……間違いねえ……)
('A`)「……リナは、俺に惚れてやがる!」クワッ
67 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:27:48 ID:5Et
たかしクソワロタ
70 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:30:47 ID:fIS
翌日――
(*бωб)「おはようございまーす☆」
('A`)「……やぁ、リナ」
(*бωб)「え?あ、はい!おはようございます☆」
('A`)「リナ……今日も可愛いな」キリッ
(*бωб)「えぇ!?どうしたんですか急に……」
('A`)「なに、本当にそう思っただけだ……」キリリッ
(*бωб)「は、はぁ……」
('A`)「仕事大変だろうけどさ……俺は、ここにいるからよ……」キリリリッ
(*бωб)「あ……はい……。受付ですしね……」
('A`)「頑張れよ、リナ」キリリリリリッ
(*бωб)「は、はい☆今日もよろしくお願いします☆」スタスタ
('A`)「……」
('A`)「……決まった……」ニヤッ
73 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:35:44 ID:fIS
('A`)(まったく……リナも照れてんだな……)
アンアン……アンアン……
('A`)「……」
('A`)(しかし、俺という奴を思いながらも、どうしてこんな仕事してんだろ……)
('A`)(辞められない理由があるんだろうな)
('A`)「……」
('A`)「……いざとなったら、俺が……リナを……!」クワワッ
75 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:37:35 ID:fIS
閉店後――
(*бωб)「お疲れ様でした☆」
('A`)「リナ、ご苦労様」マジキチスマイル
(*бωб)「はーい☆」スタスタ
('A`)「……」
('A`)「……よし……」スッ
76 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:39:23 ID:fIS
(*бωб)「……」スタスタ……
スタ……スタ……
(*бωб)「……」スタスタ……
スタ……スタ……
(*бωб)「……」スタスタ……ピタッ
スタ……スタ……ピタッ
(*бωб)「……」
(*бωб)「……?」スタスタ……
……スタスタ
('A`)「……」
78 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:41:42 ID:RRN
えぇ...
80 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:43:08 ID:fIS
数日後――
(*бωб)「……おはようございます」
('A`)「リナ、おはよう」超キチスマイル
(*бωб)「……」
('A`)「……ん?なんか元気ないな?」
(*бωб)「……はい。実は、最近誰かに見張られている気がして……」
('A`)「な、なに!?リナを!?誰が!?」
(*бωб)「分かりません……。気のせいかもしれたいんですけど……」
('A`)「野郎ふざけやがって!どこのどいつが!リナを!」クワツ
(*бωб)「……私、怖くて……」
('A`)「!!」
('A`)(これは……チャンスだ!)
83 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:46:59 ID:fIS
('A`)(ここでカッコいいこと言えば、もうリナの心を完全に……!)
('A`)(……よ、よぉし!“俺がついて帰ってやるよ”って言えば完璧だ!)
('A`)「……!」
(*бωб)「……」
('A`)「……リ、リナ!」
(*бωб)「……ん?」
('A`)「……お、俺が!ついて帰ってたんだよ!」クワワッ!!
(*бωб)「……」
('A`)「……」
(*бωб)「……え?」
('A`)「……え?」
86 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:51:32 ID:fIS
数時間後――
('A`)「……」ズタボローーン
(*`Д´)「……お前、バカやろ?」
('A`)「……うぅ……」
(*`Д´)「リナはうちのナンバーワンだったんやぞ?それをストーキングして、挙げ句本人に暴露するとか……。お前、リナ辞めちまったじゃねえか」
('A`)「……ず、ずびばぜんでじだ……」
(*`Д´)「……まあ、リンチくらいで済んで良かったなぁ。変な悪運だけは強ぇな、お前」
88 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:55:25 ID:fIS
('A`)「……リ、リナ、本当に辞めたんですか?」
(*`Д´)「ああ。本当や。おかげで店の売上がた落ち。どうしてくれるん」
('A`)「……俺のせいです……」
(*`Д´)「……分かっとるやん。ならええ。今日のところは俺が口利きしたる。頑張りや」
('A`)「……」
('A`)(……俺の、せいだ……)
('A`)(……リナはショックを受けたんだ。だから、辞めたんだ……俺に、ストーカー行為されたと思って……)
('A`)(――……俺を、好きだったのに……!)クワワッ
91 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:11:10 ID:fIS
夜――
ザッ――
('A`)「……」
('A`)(確か、リナの家はこのアパート……)
('A`)(前に警備した時に、確かにここに入って……)
('A`)(……部屋は、二階の角部屋……)スタスタ
92 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:11:29 ID:RRN
やめろ...やめとけ...
93 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:15:36 ID:fIS
('A`)(ここだ……ここが確か……)
('A`)(……よ、よぉし……)
……ピンポーーーン
('A`)「……」
('A`)「……ん?留守か?電気点いてるんだけどなぁ……」
ピンポーーーン
ピンポーーーン
――ガタタッ
('A`)「――ッ!いた!」
スタスタ……ガチャ
(`_´メ)「……誰や」
('A`)「――ッ!?」
(`_´メ)「あ?お前誰や?」
('A`)「あ、あの……僕……」ガタガタ
95 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:20:58 ID:fIS
(*бωб)「……誰だったの?」
('A`)「――ッ!」
('A`)(リ、リナ!///)
(`_´メ)「おうリナ。なんか変な奴が――」
('A`)「……やあリナ。久しぶり――」
(*бωб)「――こいつ!私をつけ回ってたストーカー!」
(`_´メ)「……あぁ?」
('A`)「――ッ!?」
(*бωб)「お前いい加減にしろよ!きったねえ面しやがって気持ち悪い!」
('A`)「リ、リナ……?」
(*бωб)「なに勝手に呼び捨てしてんだよ!ウザいんだよ!」
('A`)「……」
(`_´メ)「……ほぅ。お前が、な……」ボキ……ボキ……
(`_´メ)「……ちょっと、面貸せや……」
('A`)「ひぃぃいいぃぃ……」
100 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:26:39 ID:fIS
病室――
('A`)「……」ズタズタボロボローーン
(*`Д´)「……お前の根性舐めてたわ。まさか、また家に行くとは……」
('A`)「……ず……ずび……ば……」
(*`Д´)「ええってええって。ほぼほぼ死にかけてるお前に、これ以上嫌味言ったりせんわ。なんか気の毒過ぎてのぉ」
('A`)「……」
(*`Д´)「リナには男がおったんや。しかも素行が悪いはぐれもんや。代紋も持っとらんから、余計質が悪くてな」
('A`)「……でしょうね。刺青してましたし……」
(*`Д´)「ほほう……いっちょ前にのぉ……。どんな柄やった?」
('A`)「チラッとしか見えませんでしたが……鷹が……」
(*`Д´)「……なんやて?」
105 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:30:26 ID:fIS
(*`Д´)「鷹の柄もん……他にはなんかあったか?」
('A`)「あ、あと……こめかみに、傷痕が――」
(*`Д´)「ああ!?」
('A`)「ヒィィッ!?すみません!」
(*`Д´)「それほんまか!?ほんまなんか!?」
('A`)「は、はひ!」
(*`Д´)「……そう、か……」
('A`)「?」
(*`Д´)「……お手柄やで、たかし。ようやった……」スッ
('A`)「え?え?」
(*`Д´)「またの、たかし」スタスタ
('A`)「……?」
109 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:37:59 ID:fIS
数日後――
('A`)「……」ノヘー
ガチャ――
(*`Д´)「おうたかし」
('A`)「あ、ども……」
(*`Д´)「この前はすまんかったな」
('A`)「い、いえ……。あの、何かあったんすか?」
(*`Д´)「いやなに。どうやら、横流しされてたみたいなんよ」
('A`)「横流し……」
(*`Д´)「お前は知らんでええ。これは、俺らの縄張りやし。……ただ、オトシマエは、つけさせてもらった。お前のおかげやで」
('A`)「は、はぁ……」
(*`Д´)「もうすぐ退院やろ?また頼むで。さて、俺も忙しいから帰るわ」スッ――
('A`)「あ、どうもー」
(*`Д´)「ほなな」スタスタ
('A`)「……忙しそうだなぁ」ノヘー
テレビ『本日未明、○○港で男女の遺体が発見されました。遺体の損傷は激しく、人物の特定は困難な模様です。警察では、死体遺棄事件として捜査をしています――』
111 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:40:47 ID:RRN
あっ…(察し)
112 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:41:08 ID:zDY
仕事はやいな
114 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:43:51 ID:fIS
更に数日後――
アンアン……アンアン……
('A`)「……」
スタスタ……
( ̄ヘ ̄)「……」
スタスタ……
('A`)「アリガトウゴザイマシター……」
('A`)「……」
('A`)(退院したのはいいけど、またこの毎日かぁ……)
( ̄ヘ ̄)「……ちょっと」
('A`)「え?あ、はい……」
( ̄ヘ ̄)「キミは、この店のボーイさん?」
('A`)「ボーイというか、ただの雑用というか……」
( ̄ヘ ̄)「ふむ……わかった」スタスタ
('A`)「……?」
('A`)(なんなの、いったい……)
117 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:47:30 ID:fIS
夜――
('A`)「今日も疲れたなぁ……」スタスタ
スタスタ……
( ̄ヘ ̄)「……もし」
('A`)「へぁ?……ああ、今日のお客さん」
( ̄ヘ ̄)「キミは、あの店は長いのか?」
('A`)「へ?いや、別にそういうわけでは……」
( ̄ヘ ̄)「ふむ……。あそこのお嬢に、カオルという人物はいないか?」
('A`)「カオルさん?カオルさんは……いないはずですが……」
( ̄ヘ ̄)「ふむ……」
('A`)「?」
( ̄ヘ ̄)「……少し、時間をよろしいか?」
('A`)「え?あ、はい……」
119 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:53:55 ID:fIS
喫茶店――
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……」
('A`)(な、なんなのいったい……)
( ̄ヘ ̄)「……私はな、好きなんだ」
('A`)「へ?」
( ̄ヘ ̄)「心から愛しているんだよ」
('A`)「えええぇぇぇえええぇぇぇ……」
( ̄ヘ ̄)「……カオルを」
('A`)「……あ、はい……」
( ̄ヘ ̄)「折り入って頼みがある。カオルの行方を、探してほしい」
('A`)「いや無理っす」
( ̄ヘ ̄)「そこをなんとか」
('A`)「誰かわからんす。無理っす」
( ̄ヘ ̄)「難しいことはない。ただ、カオルという名前に心当たりがありそうな人を探すだけでいい」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「もちろん、お礼ははずむ」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「頼む……」
('A`)「……わ、わかりました」
( ̄ヘ ̄)「そうか……では頼んだぞ」スタスタ
('A`)「……」
('A`)(ほんとなんなの、あのオッサン)
120 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:00:09 ID:fIS
数日後――
('A`)(んなこと言ってもなぁ。なかなかいねえよな……)
(*`Д´)「おうたかし。頑張っとるようやな」
('A`)「あ、どもー」
(*`Д´)「ん?なんや、煮えきれん顔して」
('A`)「い、いえ……。あの、一つ聞いてもいいですか?」
(*`Д´)「あん?なんや」
('A`)「カオルさん……という方はご存知ですか?」
(*`Д´)「――」
('A`)「……?」
(*`Д´)「……知らん」
('A`)「……そうっすか……」
(*`Д´)「……なんでそんなこと聞くん?」
('A`)「いえ……その……お客さんから聞かれたので……。カオルというお嬢はいるかって……」
(*`Д´)「そう……か……。そういう話は、相手せんでええんぞ。たいがい店間違いや」
('A`)「は、はぁ……」
(*`Д´)「いいか?相手すんなよ」
('A`)「わかりましたー……」
125 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:05:47 ID:fIS
喫茶店――
( ̄ヘ ̄)「進展はあるかね」
('A`)「いえ。それがまったく……」
( ̄ヘ ̄)「……そうか……」
('A`)「……あの……店が違うのでは……」
( ̄ヘ ̄)「そんなはずはない。絶対に、あの店だ」
('A`)「……はぁ」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……あの、どういう相手なんすか?」
( ̄ヘ ̄)「……キミに話す必要はない」キッパリ
('A`)(ええぇぇ……)
( ̄ヘ ̄)「引き続き頼むよ」
('A`)「は、はぁ……」
126 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:09:04 ID:fIS
数日後――
(*`Д´)「……たかし、ちょっとええか?」
('A`)「あ、はい」
(*`Д´)「お前が最近、カオルっていう女を探してるっちゅー話を聞いたんやが……」
('A`)「……」
(*`Д´)「前に言ったはずやぞ?相手にすんな、ってな……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……まあええ。なにがあったんや?教えれ」
('A`)「……はぁ。実は――」
132 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:13:04 ID:fIS
(*`Д´)「……そうか。そんな奴が……」
('A`)「……ええ」
(*`Д´)「……正直に言おうか。カオルなら、知っとる」
('A`)「えぇ!?」
(*`Д´)「でもな、そのオヤジには教えられん」
('A`)「ええぇぇ……」
(*`Д´)「教えてもどうしようもないんや。何しろ、とっくにおっちんでるわけやし……」
('A`)「……へ?」
(*`Д´)「聞こえんかったか?カオルはな、死んどるんや」
('A`)「……!」
134 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:18:31 ID:fIS
(*`Д´)「よく、ある話や。男がろくでもなくて、そいつに金渡すために体売ってたんや。そんで、妙な客に唆されてな。アフターでホテル行って、薬やり過ぎてポックリや」
('A`)「……」
(*`Д´)「ついでに言うと、そのオヤジの素性は検討つく。それも、よくある話や」
('A`)「……」
(*`Д´)「まあ、それをオヤジに言うかはお前に任せるわ。これは、お前のシノギやけんの」
('A`)「は、はぁ……」
(*`Д´)「まあ、一つ言わせてもらうなら、人間知らん方が幸せなことがあるんや。真実は、時々凶器にもなるんやで」
('A`)「……」
136 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:22:49 ID:fIS
喫茶店――
( ̄ヘ ̄)「……なんだね。急に呼び出して……」
('A`)「あ、あの……実はカオルさんのこと……分かりまして……」
( ̄ヘ ̄)「――ッ!?ほ、本当か!?」
('A`)「は、はぁ……」
( ̄ヘ ̄)「そ、それで!?カオルはどこに!?」
('A`)「そ、その前に一つ教えてくれませんか?」
( ̄ヘ ̄)「……何をだね?」
('A`)「……あ、あの……あなたは、カオルさんとは、どういう関係で……?」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……確かに、一方的に調べてもらうのも申し訳ないしな。仕方ない……」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「――……カオルは、娘だ」
('A`)「――ッ」
139 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:30:53 ID:fIS
( ̄ヘ ̄)「恥ずかしい話だがな。高校までカオルは素直で真面目な子だった。……それが、高校のころ、母親――私の妻が他界してな。そっからだった。妙な輩と交遊するようになったのは」
( ̄ヘ ̄)「気付いたら高校も辞めていた。それを指摘すると逆情されてな。言われてしまったよ。“いきなり父親面するな!”ってな」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「ショックだったよ。確かに私は、家族をおざなりにし過ぎていた。家族のためにと理由をつけて、素直なあの子を放置していた。逃げていたんだよ、私は。それは自分が一番、痛いほどわかっていた」
( ̄ヘ ̄)「だから反論も出来ず、私はあの子をぶったんだ。そして家を飛び出したあの子は、二度と帰って来なかった」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……後悔しているんだよ。出来ることなら、もしあの子が許してくれるのなら、もう一度やり直したい。どれだけ変わってしまっても、あの子は私の娘だ。離れて初めて、それが分かったんだよ。情けない話だがな」
('A`)「……」
140 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:34:20 ID:fIS
( ̄ヘ ̄)「……それで?」
('A`)「……はい?」
( ̄ヘ ̄)「カオルは、どこに?」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……カ、カオルさんは……」
( ̄ヘ ̄)「……うむ」
('A`)「……カオルさんは……や、辞めました。ずっと前に……」
( ̄ヘ ̄)「……そっからは?」
('A`)「……分かりません。僕が分かったのは、ここまでです」
( ̄ヘ ̄)「……そう、か……。そうだったか……」
('A`)「……すみません。力になれず……」
( ̄ヘ ̄)「……いや、いいんだよ。ありがとう……」
('A`)「……」
143 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:40:38 ID:fIS
('A`)「あ、あの……これからどうするんですか?」
( ̄ヘ ̄)「……探すよ。どれだけ時間がかかってもな。たった一人の、家族だからね」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……世話になったね。これは謝礼だ」スッ
('A`)「――ッ!?こ、こんなに貰えません!」
( ̄ヘ ̄)「いいんだ。少なくとも、ここにはいないことが分かったんだ。そのお礼だよ」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「もし……もしカオルに会ったら伝えてほしい。“父さんが悪かった。一緒にやり直そう”ってな」
('A`)「は、はい……」
( ̄ヘ ̄)「……では、失礼するよ」スクッ
('A`)「……」
('A`)「……あ、あの!」
( ̄ヘ ̄)「……ん?」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「?」
('A`)「……きっと会えますよ。娘さんと。いつか、きっと……」
( ̄ヘ ̄)「……ありがとう」
スタスタ
('A`)「……」
146 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:42:06 ID:RRN
たかしGJ
150 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:48:45 ID:fIS
数日後――
(*`Д´)「……そうか。そんなことが……」
('A`)「……言えませんでした。本当のこと。俺、言うべきだったんですかね……」
(*`Д´)「……さあな。俺にも分からんわ。ただ、オヤジさんにとっては、たぶん生きる目的だったんだ」
('A`)「……娘さんを探すのが、ですか?」
(*`Д´)「そうや。それは、生きる希望なんや」
('A`)「……でも、俺、わかんないっす。どうするべきか……。正直に言うのが怖くて、嘘ついて……。卑怯っすよね、俺……」
(*`Д´)「……どうするか分からんから、嘘つくんやろ。嘘っちゅーのは、そういうもんや。残酷で、悲しい。やけど、時々誰かの支えにもなるもんや」
(*`Д´)「そのオヤジさんの生きる支えになっとんのは、間違いなくお前の嘘なんや。卑怯でズルい、お前の嘘なんやで」
('A`)「……難しいっすね。人生って」
(*`Д´)「そうや。それも、人生や」
151 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:53:48 ID:fIS
(*`Д´)「ところでたかし。借金なんやけど……」
('A`)「え?あ、はい……」
(*`Д´)「しまいや。借金」
('A`)「……へ?」
(*`Д´)「せやから、終わりや。お前の借金」
('A`)「ええぇぇええぇぇ!?」
(*`Д´)「感謝せいや?この前のお前のお手柄、叔父貴に言うたらたいそうご満悦なってん。お前の借金、チャラしちゃるって言いよったんや」
('A`)「ま、マジっすか……」
(*`Д´)「ほんま悪運だけは強いの、お前wwwwww」
('A`)「……」
(*`Д´)「……ほんで、どうするん」
('A`)「へ?」
(*`Д´)「この仕事や」
('A`)「……もう少し、続けてみようなって」
(*`Д´)「……そうか。なら、好きにせい」
('A`)「……はい」
153 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:55:08 ID:5iG
たかしが…!
154 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:56:29 ID:NmX
成長した…
178 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)16:14:50 ID:fIS
某日――
('A`)「……」
('A`)「アリガトウゴザイマシター……」
('A`)「……」
('A`)「マタノオコシヲー……」
('A`)「……」
('A`)(この仕事にもだいぶん慣れたなぁ……)
ガラッ
('A`)「イラッシャイマセー……」
('A`)「――ッ!?」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)(か、可愛えええぇぇぇ/////)
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「……」
('A`)「……?」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「……あ、あの……」
(∗❛ ❛∗)「――ッ!」
ピシャッ!!
('A`)「……」
('A`)「……なんなの、いったい……」
179 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)16:20:37 ID:fIS
(*`Д´)「おうたかし」
('A`)「あ、どうもー」
(*`Д´)「変わりはねえか?」
('A`)「へぇ。特には……あ」
(*`Д´)「なんや。なんかあるんかいな」
('A`)「いえ、大したことはないんですけど、最近女の人たまに店に来るんすよ」
(*`Д´)「……女?」
('A`)「はい。来るって言っても、ドア開けて店ん中見渡して帰るんですけど……」
(*`Д´)「ふむ……なんや怪しい話やのぉ」
('A`)「ええ。わけわかりません」
(*`Д´)「……まあええ。いちおう気をつけぇよ」
('A`)「はぁ……」
181 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)16:27:56 ID:fIS
夜――
('A`)「……」スタスタ
タタタ……
('A`)「……ん?」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あれ?あなたは……」
(∗❛ ❛∗)「……たかしさん、ですか?」
('A`)「は、はいそうですが……」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……フフフ」ダッ――
('A`)「え!?ちょ、ちょっと!」
タタタ……
('A`)「……」
('A`)「……え?なに?なんか怖いんだけど……」
194 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:18:59 ID:U1q
翌日――
('A`)「……」
ガラッ
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)(また来たよ……)
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あの……何か――」
(?? ??)「――あの!」
('A`)「は、はひ!?」
(?? ??)「実は、お話しがあって……」
('A`)「あ、はい……」
(?? ??)「私と……付き合ってくれますか?」
('A`)「……え?」
(?? ??)「……」
('A`)「ええぇぇええぇぇ!!??」
199 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:23:08 ID:U1q
('A`)「なぜ急に!?」
(?? ??)「思い立ったので」
('A`)「思い立って告白っすか……」
(?? ??)「どうするんですか?付き合うんですか?」
('A`)「いや……どうするかって言われても……////」
(?? ??)「はっきりしろやゴルァ!!」クワッ
('A`)「ヒイィ!?つ、付き合います!付き合います!」
(?? ??)「そ……。ありがとう。じゃあ、また今度……」
('A`)「……」
('A`)「……え?初彼女ってやつ?……なの、か?」
215 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:31:29 ID:U1q
後刻――
('A`)「////」ポー
(*`Д´)「……おい。どうしたんお前……」
('A`)「……俺、死んでもいいっすわ……」
(*`Д´)「は?」
('A`)「いやあ、モテるって辛いっすわ……」
(*`Д´)「……」
(*`Д´)「……お前、またストーカーしてん?」
('A`)「まさか。純粋な、イケメン枠っす」
(*`Д´)「……どうでもいいけど、すっごいムカつくわ……」
216 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:35:25 ID:U1q
夜――
('A`)「////」ドキドキ
スタスタ
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あ!こんばんわ!」ダッ――
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「待ってたよ。さあ、行こうか」マジキチスマイル
(∗❛ ❛∗)「気持ち悪い……」ボソッ
('A`)「……え?」
(∗❛ ❛∗)「なんでもありません。では、行きましょうか」
('A`)「え?あ、うん……」
222 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:59:38 ID:U1q
スタスタ…
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
スタスタ……
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
スタスタ……
('A`)「……あ、あの……どこへ……」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あ、あの――」
(∗❛ ❛∗)「――うるっせえんだよ!黙ってついて来やがれ童帝野郎が!」クワッ
('A`)「は、はひ!?」
('A`)(ど、童帝野郎……)ズーーーン
225 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)19:08:24 ID:U1q
プルルルル……
('A`)「……あ、ごめん電話だ」
(?? ??)「――ッ!?」
('A`)「もしもし?」
(*`Д´)『おうたかしか。今どこや』
('A`)「今っすか?……ええと……その……か、かかか、かの、かのかのかの……かの……」
(*`Д´)『おk。一回落ち着けや』
('A`)「……うっす……」
(*`Д´)『……なんや、女とおるんか?』
('A`)「……は、はい……///」
(*`Д´)『気色悪い声出すなや。鳥肌もんやで』
('A`)「ウッス……」
(*`Д´)『……この前言っとった女か?』
('A`)「えへへへ……へへえへへへ……////」
(*`Д´)『せやから気色悪い言うとんのやて。……その女、今近くおるんか?』
('A`)「え?あ、はい。横に……」
……シーーーーン
('A`)「……あ、あれ?いない?さっきまでいたのに……」
(*`Д´)『……ちょい待っとれ。迎え行くわ』
('A`)「え?あ、はぁ……」
226 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)19:13:08 ID:U1q
数時間後――
('A`)「すんません。迎え来てもらって……」
(*`Д´)「ええんのや」
('A`)「……」
(*`Д´)「……たかし、いちおうの話や」
('A`)「はい?」
(*`Д´)「……その女、気ぃ付けえや」
('A`)「え?彼女っすか?」
(*`Д´)「そや。なかなかくっさいで。その女」
('A`)「そ、そんなことありませんよ!めちゃくちゃいい匂いします!」クワッ
(*`Д´)「アホかい。そんな話しとらんって。言ったやろ。いちおうの話や」
('A`)「は、はぁ……」
236 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:32:15 ID:U1q
後日――
('A`)「……」
スタスタ……
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あ……やあ……」
(∗❛ ❛∗)「……行きましょ」
('A`)「……その前にさ、このまえ、どこ行ったの?」
(∗❛ ❛∗)「……帰っただけ」
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「ほら、行くわよ」
('A`)「……まさか、違うよね?」
(∗❛ ❛∗)「何が?」
('A`)「“気ぃ付ける”必要は、ないよね?」
(∗❛ ❛∗)「……クス」
237 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:35:52 ID:U1q
(*`Д´)「……」
(*`Д´)(たかしの女……あいつ、たぶん……)
プルルル……
(*`Д´)「たかしから……?」
ガチャ
(*`Д´)「……もしもし」
???「……こんにちわ」
(*`Д´)「……誰やお前」
???「たかしは預かった。今すぐ〇〇まで来なさい」
ツーー……ツーー……
(*`Д´)「……」
(*`Д´)「……ほんま、あのバカは手がかかるわ……」
238 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:37:42 ID:U1q
某所――
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「……あ、あの……」
(∗❛ ❛∗)「……あ?」
(’A`)「僕、これからどうなる……んでしょうか……?」
(∗❛ ❛∗)「……知るか」
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「……やっぱり、死ぬんすかね……」
(∗❛ ❛∗)「さあ、どうかしら……」
(’A`)「……」
240 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)20:41:55 ID:tuz
たかし…
242 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:44:26 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……ねえ。一つ答えなさい」
(’A`)「はい?」
(∗❛ ❛∗)「死ぬの、怖い?」
(’A`)「……そりゃ、まあ」
(∗❛ ❛∗)「……そう」
(’A`)「ただ、これでいいのかなぁって、思っちゃったり……」
(∗❛ ❛∗)「……死ぬのが?」
(’A`)「ええ、まあ。……僕、前まで引きこもってたんですわ。ババア叩いて、金出させて、フィギアとかゲーム買いあさって……。最近になってようやく働くようにはなったんすけどね。といっても、風俗の受付なんすけど……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「正直、将来なんて見えないじゃないっすか。今のところ。ババアにも捨てられて、社会の底辺ってのを思い知らされて、そんで、どうすりゃいいのかも分からんっす」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「こんな人間、いない方がマシなのかもしれんっす。だから、もしここで死ぬなら、それはそれでありなのかもって……思っちゃったりして……」
(∗❛ ❛∗)「……そう」
(’A`)「あ、もちろん痛いのは嫌っすけどね。苦しいのもちょっと。ついでに言うなら、キツさ最小で」
(∗❛ ❛∗)「……あんた、全然死ぬ覚悟ないじゃん」
(’A`)「だって怖いんすもん……」ノヘー
244 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:50:08 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「あんたにとって家族って?」
(’A`)「へ?」
(∗❛ ❛∗)「ババアって、家族のことでしょ?いるってどんな感じ?」
(’A`)「いやぁ……なんて言ったらいいのか……」
(∗❛ ❛∗)「……私には分からないの。生まれた時から一人だし。こんな生き方しか出来ないし。小さい頃は分からなかったけど、大きくなって思い知らされるの。私は、きっと捨てられたんだって……」
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「あんたも捨てられたんだよね?じゃあきっと、私と似てるのかな……」
(’A`)「……僕の場合、自業自得というか、当然の結果というか……」
(∗❛ ❛∗)「フフフ。それもそうね。私は小っちゃい頃、さすがにフィギアは集めてなかったわ」
(’A`)「……」ノヘー
245 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:54:29 ID:U1q
コツ……コツ……
(∗❛ ❛∗)「……時間ね」スクッ
(’A`)「……え?」
コツ……コツ……
(*`Д´)「……たかし。生きとんか?」
(’A`)「え、ええまあ。ギリギリ……」
(*`Д´)「まったくお前は……。あとでコブラツイストにエビ反り固めの刑やで」
(’A`)「ふぇぇ……」
(∗❛ ❛∗)「……こんばんわ」
(*`Д´)「……おう。来てやったで。まさか、たかしを人質にするとはの。そいつに人質の価値があるって考えたお前の思考回路を疑うで」
(∗❛ ❛∗)「でも、ちゃんと来たじゃない」
(*`Д´)「……」
246 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:03:54 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「……まあいいわ。前置きは不要よね?死んでもらうわよ」スチャ
(’A`)「け、拳銃!?」
(*`Д´)「……お前、ヒットマンか?」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「どうやら、単独行動のヒットマンみたいやのぉ。なんや、あいつらに頼まれたんかいな」
(∗❛ ❛∗)「……答える義理はないわね」
(*`Д´)「ほな、もう一つ聞くで。なんでたかしを殺してないん?」
(∗❛ ❛∗)「……え?」
(’A`)「ファッ!?」
(*`Д´)「お前もプロやろ?目撃者はさっさと殺せばええのに。なんで殺しとらんの?」
(∗❛ ❛∗)「……そんなの、私の勝手――」
(*`Д´)「ちゃうやろ。お前、夢見過ぎたんとちゃうか?」
(∗❛ ❛∗)「――ッ!」
(*`Д´)「たかしを見てみい。怯えとるで」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「今更迷ってんのか?けったいな奴やの。そないなデブ見て表に憧れるんか。やっぱ神経疑うで。よう見てみ。ごっつ不細工やで、たかしは……」
(’A`)「ええぇぇ……」
(∗❛ ❛∗)「……」チラッ
(*`Д´)「――隙あり、や」
――――パーーーン
(∗❛ ❛∗)「うぐ――ッ!?」
(’A`)「……え?」
247 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)21:05:10 ID:RRN
えぇ...
248 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:10:46 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「……!」バタン
(’A`)「え?ええええ!?」
(*`Д´)「すまんの……。せやけど、俺も死にとうないんや。チャカ構えてさっさと撃たんかったお前が悪いんやで」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「お前、高望みし過ぎなんや。後には退けんのやで?お前も……もちろん、俺も……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「俺らの世界っちゅーのはな、真っ黒なんや。一度落ちたら、二度と色が取れんのや。お前も色々あったんやろうけど、分かっとったはずやで?二度と白にはなれん、ってな」
(*`Д´)「たかしを見て、真っ白に憧れるのは分かる。俺もそうや。こいつはめちゃくちゃ甘ちゃんで、めちゃくちゃキモイやろ?でもな、俺らとは、住む世界が違う奴なんや」
(*`Д´)「こいつに自分を重ねても無駄や。俺らはな、一生たかしには、なれんのや」
(∗❛ ❛∗)「……そう、ね……」ガクッ
(’A`)「……」
(*`Д´)「……さいなら、姉ちゃん。それと、嘘でもたかしと付き合ってくれて、ありがとうな」
(’A`)「……」
251 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:19:07 ID:U1q
スタスタ……
(*`Д´)「……」
(’A`)「……」
(*`Д´)「……たかし」
(’A`)「は、はい!」ビクッ
(*`Д´)「……お前、俺が怖いか?」
(’A`)「……え?」
(*`Д´)「お前の考えとることは分かるで。お前、俺らの世界に染まってたつもりなんやろ?」
(*`Д´)「でも、それは違うんやで。さっきみたいなのが、俺らの世界なんや。分かるか?世の中の底辺っちゅうのは、お前が思っとる以上に深いんやで」
(’A`)「……」
(*`Д´)「……たかし。もうしまいや。もうええ」
(’A`)「……え?」
(*`Д´)「クビやクビ。店長には俺から言っとくわ。二度と来んなや」
(’A`)「え?で、でも……」
(*`Д´)「でもやない。これは、命令や」
(’A`)「……」
253 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:26:20 ID:U1q
(*`Д´)「……お前は自分の家に帰れや。もともとお前は、そっちの方の人間や。白いんや」
(*`Д´)「俺らの世界に来る必要はないんや。まだお前は、そっちの世界におれるんや。そこでやれるんや。勝手に自分を見限る必要ないんや」
(*`Д´)「お前は出来るんや。現に、ちゃんとやりよったやん。ボコられても、ストーカーしても、それでもやりよったやん。根性見せてたやん」
(’A`)「……」
(*`Д´)「ええかたかし。前に言ったやろ。出来るか出来んかやない。やれや。やってみろや。お前が思っとる以上に世の中は、糞で、残酷で、非情で、おまけに、露骨で……」
(*`Д´)「――……そんで、意外とちょろいんやで」
(’A`)「……」
254 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:30:55 ID:U1q
(’A`)「……」
(*`Д´)「……そうや。忘れるところやったわ。ほれ」ポイッ
(’A`)「これ……札束!?」
(*`Д´)「退職金や。受け取っとけ」
(’A`)「……で、でも……」
(*`Д´)「ええって。それでしばらくはもつやろ。今度こそ、使い切る前にちゃんとした仕事、見つけや」
(’A`)「……」
(*`Д´)「……なんや黙りこくって。気色悪いわ」
(’A`)「……あの……どうしてここまでしてくれるんですか?」
(*`Д´)「……あ?」
(’A`)「どうして、俺にここまで……」
(*`Д´)「……」
260 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:40:41 ID:U1q
(*`Д´)「……昔話や。そいつ、惚れっとった女がおってん」
(’A`)「……」
(*`Д´)「そいつも若かったからな。散々遊び散らして、威張り散らしてな。そいつ、結局出て行ったんよ」
(*`Д´)「そいつもしばらく頭茹でタコなっとったけどな。ふと、分かったんよ。そいつ、その女がおらなあかんかったって」
(’A`)「……」
(*`Д´)「せやけど、今更どうしようもないやろ?そいつが嫌で逃げた女追いかけても、どうせまた逃げるやろ?遅すぎたんよ、気付んがの」
(*`Д´)「そんでも、女々しいことに、忘れられんかったわ。そんで辞めとばいいのものを、その女探したんよ。そしたら、結婚しとったわ。カタギの奴と」
(’A`)「……」
(*`Д´)「そんで、またやめればいいのに、勝手に気になってん。そしたらその女、ごっつうエグイ人生歩みよるんよ。旦那が死んで。家を追い出されて。借金抱えて……」
(*`Д´)「……でも、そいつはなんもしきれんかった。怖かったんや。拒絶されるのが。そんでそいつは、借金を全部背負って、その女と繋がりを作ろうとしたんや」
(*`Д´)「ごっつ、卑怯やろ?」
(’A`)「……それって……」
(*`Д´)「……たかし。そいつみたいにはなんなや。死ぬほど後悔するで。ええか?そんな正真正銘のクズには、なんなや」
(’A`)「……」
261 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:49:31 ID:U1q
(*`Д´)「それと、な。もう一つ、選別や」スッ――
(’A`)「……これ、住所?」
(*`Д´)「母ちゃん、会いたいやろ?」
(’A`)「え?」
(*`Д´)「そこにおるで、お前の母ちゃん」
(’A`)「……」
(*`Д´)「でもな……」
(’A`)「?」
(*`Д´)「……いやええ。あとは自分でなんとかせいや」
(’A`)「……」
(*`Д´)「ほなな。ここでお別れや。……俺も、ようやく踏ん切りついたわ」
(’A`)「あ、あの……!」
(*`Д´)「ああええってええって。妙なこと言わんでええ。気色悪いだけやわ」
(’A`)「……」
(*`Д´)「母ちゃん、大切にせえや。やないと、ほんまに沈めるで?……ほんなら、な」スタスタ…
(’A`)「……ありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!」
(’A`)「……ありがとう……ございましたああああ!」
275 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:26:05 ID:U1q
某所――
スタスタ……
(’A`)「……」
(’A`)「……ここに、ババアが……」
(’A`)「……」
(’A`)(……ババア……)
スタスタ……
278 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:28:32 ID:U1q
(’A`)「あ、あの……」
( ̄д ̄)「はいはい。どういったご用件で」
(’A`)「いえ、その……」
( ̄д ̄)「?」
(’A`)「……ここに、ババ……母が、入院していると聞いて……」
( ̄д ̄)「……え?ああ、面会ですね」
(’A`)「……」
279 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:30:34 ID:U1q
スタスタ……
( ̄д ̄)「……そうですか、息子さんなんですか……」
(’A`)「ええ、まあ……」
( ̄д ̄)「ご家族の方と連絡したかったのですが、何しろ本人が頑なに家族はいないって言い張ってですねぇ」
(’A`)「……」
( ̄д ̄)「でもこうして来ていただいて、助かりました。説明もしておきたいですし……」
(’A`)「……はい」
282 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:34:22 ID:U1q
病室前――
( ̄д ̄)「……ここですよ」
(’A`)「ここに……」
( ̄д ̄)「……先に説明しておきますね。端的に申し上げますと、お母さん、もう意識があまりありませんので」
(’A`)「え?」
( ̄д ̄)「末期でして。正直、手の施しようがないんです」
(’A`)「そ、そんな……」
( ̄д ̄)「……ですが、こうしてあなたが来てくれたので、きっと喜ぶと思いますよ」
(’A`)「……そうだと、いいんですが……」
( ̄д ̄)「何かあればすぐ呼んで下さいね。では……」スタスタ…
(’A`)「……」
285 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:37:19 ID:U1q
スタスタ……
(’A`)「……」
J( 'ー`)し「……」
('A`)「……」
('A`)(ババア……)
J( 'ー`)し「……看護師さんですか?」
('A`)「……はい。今日から、担当になりました」
J( 'ー`)し「あら、そうですか……。男の方なんですね」
('A`)「ええ、まあ……」
J( 'ー`)し「……何だか恥ずかしいですが、よろしくお願いしますね」
('A`)「……はい。こちらこそ……」
287 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)22:37:59 ID:BXY
えっ
288 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)22:38:37 ID:RRN
えっ...かーちゃん
290 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:46:45 ID:U1q
J( 'ー`)し「……看護師さん、実はですね、私、前の看護師さんには言っていないことがあるんですよ」
('A`)「……聞いてもいいんですか?」
J( 'ー`)し「はい。ぜひ」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「実はですね。私には、息子が一人いるんですよ」
('A`)「……そうなんですか」
J( 'ー`)し「はい。……と言っても、息子と呼ぶ資格はないでしょうが」
('A`)「い、いえ……そんなことは……」
J( 'ー`)し「いいんです。分かってるんです。あの子には、小さな頃から苦労ばかりかけていました。夫が先立ち、借金まで抱えて……それでも私は、必死に働きました。せめて不自由はさせないでやろう。幸せにしてやろうって」
J( 'ー`)し「実は、到底人には言えない仕事までしていたんです。それを知ったら、きっと私を軽蔑すると思います」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「私は自分に言い聞かせていました。これは息子のためだ。そのためなんだって。……でも、私はきっと、逃げたかっただけなんだと思います。父親の愛に飢えて殻に閉じこもる息子から、逃げたかったんですよ」
J( 'ー`)し「きっと、息子も感じていたのかもしれませんね。だからこそ、部屋の扉を開けてくれなかったんだと思います。その証拠に、私は最後には恐ろしいことまで考えてしまいました」
('A`)「……恐ろしいこと?」
J( 'ー`)し「はい。……最後に、息子と、心中するつもりだったんですよ」
('A`)「――」
291 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:52:39 ID:U1q
J( 'ー`)し「結局息子は扉を開けてくれませんでしたけどね。私は、疲れていたんです。距離が縮まらない息子との関係に。自分が招いた結果を、受け入れたくなかったんです」
J( 'ー`)し「それが分かって、私、逃げちゃったんです。自分が怖くなって、息子が怖くなって。全部をほっぽり出して、この街まで」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「この病気も、きっとその罰なんでしょうね。逃げてしまった自分への、罰なんでしょうね」
('A`)「……息子さんは、今、どうしていると思いますか?」
J( 'ー`)し「……さあ、分かりません。もしかしたらあの家にいるかもしれません。外に出ているかもしれません。それを確かめる術はありませんし、確かめる資格もありませんが……」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「……ごめんなさいね、変な話しちゃいまして。オバサンの愚痴として聞き流して下さい」
('A`)「……ええ、まあ……」
307 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:03:31 ID:U1q
('A`)「……あの、俺、思うんですけど……。きっと息子さんは、恨んではいないと思いますよ」
J( 'ー`)し「え?」
('A`)「きっと息子さんは、甘えていただけなんです。あなたの苦労も知らずに、甘えていただけだと思うんです」
J( 'ー`)し「……」
('A`)「だってあなたは、こんなにも息子さんを思っているじゃないですか。……こんなになっても、息子さんを……」
J( 'ー`)し「……」
('A`)「……本当に、何やってるんだよ……。さっさと忘れてしまえよ、あんなクズみたいな奴のこと……」
('A`)「無駄に去勢張って、一人じゃなんも出来ないくせに威張り散らして……。あんたが苦しんでるのなんか知ろうともしなくてさ……。どんだけ追い込んでいたのかも、考えもしなくて……」
('A`)「バッカじゃねえの……。さっさと捨てれば良かったんだよ。こうなる前に、一人で幸せになれば良かったんだよ……。あんたは、それで良かったんだよ……」
J( 'ー`)し「……ごめんなさい。無理なんですよ」
('A`)「……どうしてだよ……」
J( 'ー`)し「どれだけ手がかかっても、やっぱり、大切な息子なんですよ」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「……たかし。ごめんね……ごめん、たかし……」
('A`)「……母ちゃん……母ちゃん……!」
361 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:14:27 ID:U1q
数カ月後――
('A`)「……」
('A`)「母ちゃん、仕事決まったよ」
('A`)「ちょっと見つけるのに手間取ったけど、なんとか見つけたよ」
('A`)「……」
('A`)「……ごめん、母ちゃん。もっと早く頑張ってれば、安心できたのにね……」
('A`)「……」
364 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:15:20 ID:Xpu
あれ……
366 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:15:53 ID:IhC
あっ...
371 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:18:11 ID:U1q
スタスタ……
('A`)「……」
(*`Д´)「……たかし、久しぶりやの」
('A`)「……あ、お久しぶりです」
(*`Д´)「聞いたで。就職先、見つかったんやってな」
('A`)「工場勤務ですし、ちゃんとしたとこかは分かりませんが」
(*`Д´)「そんなことはないで。自分で見つけたんや。それに意味があるんやで」
('A`)「はあ……」
(*`Д´)「……母ちゃん、残念やったの」
('A`)「……いえ。それでも、最期は看取ってやれましたので……」
(*`Д´)「……そう、か……」
381 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:22:23 ID:U1q
(*`Д´)「まあ、せいぜいがんばりや。もう俺みたいなはぐれもんに絡まれんよう、ちゃんとしいや」
('A`)「そうしたいのも山々なんですがね」
(*`Д´)「そないな口きけるだけ、大丈夫そうやなwwwww」
('A`)「だといいんですけど」
(*`Д´)「まあ、クビなったら連絡しい。受付の席、いつでも空けてやるからの」
('A`)「ふぇぇ……」
(*`Д´)「じゃあの、たかし。達者でな」
('A`)「あ、はい。お元気で」
('A`)「……」
('A`)「……じゃ、行こうかな」
('A`)(行ってきます。母ちゃん――)
終わり
382 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:22:43 ID:XCp
>>381
乙!!
389 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:12 ID:7sy
>>381
乙
408 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:26:45 ID:Xpu
>>381
おつ!!
384 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:22:58 ID:U1q
すんませんでしたね
お邪魔しました
385 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:00 ID:IhC
兄貴が最後までいいやつだった
391 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:42 ID:kks
>>385
厳密に言えば良いやつではないけどこういうやつは好き
388 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:09 ID:xZF
>>1
感動した!!!
乙です!
('A`)「仕方ねえ。帰ってくるまで部屋に戻るかな」
しかし夜になっても、J( 'ー`)し は帰宅しなかった……
('A`)「……くそ……腹減った……」
('A`)「冷蔵庫の中を荒らしてみるか……」
ガチャ
('A`)「――ッ!?な、なんだよこれ!」
('A`)「なんもねえ!なんもねえじゃん!」
('A`)「え!?え!?嘘だろ!?」ガサガサ
('A`)「飯どころか菓子もねえ!ジュースも!」
8 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:40:07 ID:fIS
('A`)「どういうことだよ……」
('A`)「一昨日夜中にあさった時には、確かに菓子があったのに……」
('A`)(ババアが食べたのか?いやでも、あいつ菓子食わねえし……)
('A`)(……まさか……)
('A`)「あいつ、出ていきやがった!?」
9 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:44:58 ID:fIS
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)「……ちょっと待て。これ、チャンスじゃね?」
('A`)「うるさいババア消えて、悠々自適な独り暮らしってやつじゃね?」
('A`)「そうだよ!最高じゃん!もう邪魔されねえじゃん!」
('A`)「ヒャッホーー!!やったぜ俺!ウザイ奴消えてラッキー!」
('A`)「今からなんすっかなwwwwwwアニメ見てぇwwwwwwエロゲーしてぇwwwwww2ちゃんしてぇwwwwww」
('A`)「ポテチとコーラ食いまくればマズイ飯も食わなくて済むしwwwwwwクソ余裕だわwwwwww」
('A`)「ポテチとwwwwwwコーラでwwwwwwポテチwwwwwwコーラwwwwww……」
('A`)「……いや、食い物ねえじゃん……」
10 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:50:12 ID:fIS
('A`)「やべ……マジで腹へって死にそう……」
('A`)「仕方ねえ……ババアも帰ってくるかもわかんねえし、自分で買いに行くか……」
('A`)「ええと、金どっかねえかな……。クソが……金ぐらい置いとけよババア……ホントつかえねえ……」ガサガサ
('A`)「お?おおお!?」
('A`)「引き出しに封筒発見wwwwww中身は……ウホ!金じゃん!万札クソ入ってるわwwwwww」
('A`)「……20万!大金アザーースwwwwww」
('A`)「後でエロゲー買いに行こwwwwwwババアいなくてもクソ余裕だわwwwwww」
('A`)「まずは寿司でも食うかなwwwwwwそんでゲーム買いに行ってwwwwwwフィギア買ってwwwwww」スタスタ
14 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)08:54:28 ID:fIS
三日後――
('A`)「やべ……金尽きたわ……」
('A`)「あとどんくらいあるんだろ……」ガサガサ
('A`)「……さ、三千円……」
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)「……クソが。もっと置いとけよババアが。可愛い息子が飯食えねえだろが……」
('A`)(……ババア、帰ってこねえな……)
('A`)「……」
('A`)「……ま、別にいいけど。だって俺大人だし?一人で買い物行けるし?自立してるし?」
('A`)「ババアいなくても余裕余裕wwwwwwいざとなりゃ家の物売りまくればいいしwwwwww」
('A`)「うはwwwwww人生クソ余裕wwwwww」
18 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)09:27:21 ID:fIS
ピンポーーーン
('A`)「……あ?誰か来たのか?」
('A`)「ああ……めんどくせえし無視無視」
ピンポーーーン
ピンポーーーン
('A`)「……しつけえな……帰れよクソが……」
ピンポーーーン
ピンポーーーン
ピンポーーーン
ピンポーーーン
('A`)「……え?しつこくね?」
――ドンドンドンドン!!
('A`)「――ッ!?」ビクゥッ!
(*`Д´)「おいクォラ!いるのは分かっとんのぞ!はよ金返さんかい!」ドンドンドンドン!!
('A`)「え!?え!?なにこれ!?」
(*`Д´)「金だけ借りていい度胸やねえかい!なんやったら内臓さばいてええんやぞ!」ドンドンドンドン!!
('A`)「ヒィィッ!」
20 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)09:33:23 ID:fIS
(*`Д´)「お前居留守使うとはええ度胸やのぉ!なんやったら窓割って入ってええんやぞ!必要措置ってやつや!」
('A`)「え!?ちょ、ちょ……!」
(*`Д´)「はい5ォ!4!3……!」
('A`)「ちょ、ちょっと待っ――!」ダダダダ
ガチャ!!
(*`Д´)「なんややっぱりおったんかボケぇ!はよ金返せ――!」
('A`)「……」ブルブル
(*`Д´)「……お前誰や?ババアの坊主か?」
('A`)「……ハ,ハイ……」
(*`Д´)「アアッ!?」
('A`)「ハ、ハイィィ!息子です!ハイ!」
(*`Д´)「ちっ……。だったら最初からはっきり言わんかい」
('A`)「ス,スミマセン……」
(*`Д´)「アアッ!?なんやて!?」
('A`)「ス ミ マ セ ン デ シ タ ァ ァ !!」
21 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)09:44:03 ID:fIS
(*`Д´)「まあええ。おい坊主。オカンはどこや」
('A`)「……」
(*`Д´)「おい。答えんかい」
('A`)「……ワカリマセン」
(*`Д´)「アアッ!?」
('A`)「す、すみません!数日前から帰ってないんです!僕も分からないんです!」
(*`Д´)「……帰ってきてないんか?」
('A`)「は、はい……」
(*`Д´)「……そうか。とうとう出ていったんか……」
('A`)「?」
(*`Д´)「……まあええ。とにかく、借りたもんは返しや」
('A`)「へ?」
24 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:00:08 ID:fIS
('A`)「ぼ、僕が?」
(*`Д´)「当たり前やろ。母ちゃんが返せん借金は、息子が払うんが道理やろ」
('A`)「そ、そんな……」
(*`Д´)「まあいきなり全額言うても無理やろうし、そもそも今日は20万だけっちゅう約束やったしな」
('A`)「……え?」
(*`Д´)「母ちゃんから20万預かってるやろ?それ渡しぃ」
('A`)「……あ」
('A`)(ま、ましゃか……)
('A`)(……あの金!?)
(*`Д´)「おう、どうしたん。はよ渡さんかい」
('A`)「……」ガクガク
(*`Д´)「……」
25 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:04:24 ID:fIS
(*`Д´)「……預かって、ないんか?」
('A`)「――ッ!?」ビクゥッ!!
(*`Д´)「……」
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)「……ハ,ハイ」
(*`Д´)「……本当やろうなぁ?」ギロッ
('A`)「……!」ガクブルガクブル
(*`Д´)「……」
('A`)「……」ガクブルガクブル
(*`Д´)「……ちょっと、家ん中入るわ」ザッ――
('A`)「!?」
26 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:08:29 ID:fIS
('A`)「い、いやちょっと……」
(*`Д´)「なんや?いかんのか?」ギロッ
('A`)「い、いえ。そういうわけでは……」
(*`Д´)「……」キョロキョロ
('A`)「……」
(*`Д´)「おい。お前の部屋、どこや」
('A`)「――ッ!」ビクゥッ!!
(*`Д´)「……どこ、や?」
('A`)「……一階の……その……」
(*`Д´)「……」ジトーー
('A`)「……」ビクビク
(*`Д´)「……」ジトーー
('A`)「……」ビクビク
('A`)「……チラッ」
(*`Д´)「……ほう。二階、やな?」
('A`)「――ッ!?」ギクッッ!
(*`Д´)「お邪魔すんで」スタスタ
('A`)「ちょ、ちょっと……!」
27 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:13:04 ID:fIS
ガチャ――
(*`Д´)「……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……なんやこれ。フィギアに……ゲームに……Hマンガに……」
('A`)「……エ、Hマンガではなく、同人……」
(*`Д´)「アアッ!?」
('A`)「ヒィィッ!な、なんでもありません!」
(*`Д´)「……くっさいわ。センズリこいた臭いしかせんわ」
('A`)「……」
(*`Д´)「……報われんなぁ」ボソッ
('A`)「へ?」
(*`Д´)「なんでもないわ。……お前、とんだバカ息子やな。いや、クズや。クズ息子や」
('A`)「……」
28 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:21:35 ID:fIS
(*`Д´)「お前、そもそもいくつや」
('A`)「……サ……」
(*`Д´)「あ?」
('A`)「……サ,サンジュウイチ…ス……」
(*`Д´)「31?」
('A`)「……」
(*`Д´)「……あかんわ。そら、あかんわ」
(*`Д´)「身なり見ればわかる。お前仕事もしとらんやろ?それどころか、したことすらないやろ?」
('A`)「……」
(*`Д´)「働きもせんと、寄生虫みたいに住み着いて、金使って……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……まあ、よくある話やけどな。それでも、お前あかんわ。……クズやわ……」
('A`)「……」
29 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:36:34 ID:fIS
(*`Д´)「……とりあえず、どうすんのや?」
('A`)「……」
(*`Д´)「返す金あるんか?」
('A`)「……」
(*`Д´)「答えんかボケェ!!」クワッ!!
('A`)「あ、ありません!お金ありません!」
(*`Д´)「……そうや。なら、しゃあないな」
('A`)「……ホッ」
(*`Д´)「……」ガサガサ
('A`)「?」
(*`Д´)「お前もせんかい。お前のやろ」
('A`)「……え?」
(*`Д´)「売りにいくんや。これだけのフィギアとかゲームとか。全部売ればけっこうな値段なるやろ」
('A`)「…………え゛!?」
(*`Д´)「本来なら自分でやらせたいんやけど、俺のシノギやしな。しゃあないから手伝ったる。感謝せえよ?」
('A`)「で、でも売るのはちょっと……」
(*`Д´)「……あ?だったらええんやぞ?このまま連れてくだけやぞ?」
('A`)「……つ、連れてく……?」ゴクリ
(*`Д´)「知っとるか?……人間の臓器、高ぉ売れるんやで?」
('A`)「……!」ビクビク
(*`Д´)「……で?なんやて?」ゴゴゴゴゴゴ
('A`)「……ウリマス……」
31 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:41:38 ID:fIS
数時間後――
(*`Д´)「いやぁけっこうな値段で売れたなぁwwwwww」
(*`Д´)「たかが人形思っとったけど、まさか全部で30万いくとは思わんかったwwwwww」
('A`)「……」ショボーーン
(*`Д´)「ほんなら、金貰っとくわ。残りは返すで」スッ
('A`)「は、はい……ん?」
('A`)「……あ、あの……3万ですか?」
(*`Д´)「おう。とっときや」
('A`)「いや……返済額は20万だから……10万じゃ……」
(*`Д´)「手数料や。わざわざ車乗っけて、店まで連れてきたんやで?当たり前やろ」
('A`)「そ、そんな……」
34 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:46:56 ID:fIS
(*`Д´)「お前、わかっとる思うけどな」
('A`)「?」
(*`Д´)「これは、今月分や。来月は来月で、きっちり20万払うんやで?」
('A`)「……え゛!?」
(*`Д´)「当たり前やろ。こっちも慈善事業しとるわけじゃないんやぞ?返すもんは返すんが常識やろ」
('A`)「で、でも……お金が……」
(*`Д´)「やったら死ぬ気で働かんかい。バイトでも派遣でも、死ぬ気でやらんかい」
('A`)「そ、そんな……」
(*`Д´)「出来る出来んの話やない。やれや。今まで甘えまくっとったしわ寄せや。出来んなら……分かっとるやろ?海の底は冷たいんやで?」
('A`)「……!」ビクビク
(*`Д´)「ほな、頼むで」ブォォォォン……
('A`)「……」
('A`)「……う、嘘だろ……?」
35 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:50:51 ID:fIS
自宅――
('A`)「……」
('A`)「……来月から……毎月……20万……」
('A`)「……その次の月も……次も……次も……」
('A`)「……」
('A`)「……クソがああああああ!」
('A`)「あのババア!俺に借金押し付けやがった!」
('A`)「クソババア!死ねよ!死んじまえよ!」
('A`)「ババア!ババアァァァァァ!」
36 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:52:55 ID:fIS
('A`)「はぁ……はぁ……」
('A`)「……」
('A`)「……どうしよう……明日から、どうしよう……」
('A`)「……飯もない。金もない。あるのは、借金……」
('A`)「いくらあるんだよ。いつまで返せばいいんだよ……」
('A`)「……クソ……」
37 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:57:18 ID:fIS
翌月――
ピンポーーーン
(*`Д´)「……」
……ギィィ
('A`)「……」
(*`Д´)「……よう。久しぶりやのぉ」
('A`)「……」
(*`Д´)「安心せぃ。金回収に来たんとちゃうわ」
('A`)「……」
(*`Д´)「……聞いたで?お前、捕まったんやて?」
('A`)「……」
(*`Д´)「アホやな……食うもん困って万引きとは……。働くどころか、ますます働けんくしてどないするんや」
('A`)「……」
38 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)10:59:22 ID:GRw
クズすぎww
39 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:03:56 ID:fIS
(*`Д´)「そもそもお前なぁ――」
('A`)「――俺だって頑張ったんだよぉ!」
(*`Д´)「……あ?」
('A`)「バイトの面接もした!店に行って土下座もした!でもダメなんだよ!みんなダメなんだよ!」
(*`Д´)「……」
('A`)「どこ行っても不採用で!鼻で笑われて!ばかにされんだよ!どうしろって言うんだよ!」
(*`Д´)「……それが、社会やで」
('A`)「……!」
(*`Д´)「舐めてかかると、気付いたら追い込まれる。八方塞がりや。今まで守ってくれてたもんのデカさは、なくならんと分からん。思っとってもうまくいかん。糞みたいな世の中。それが社会なんやで」
('A`)「……」
(*`Д´)「普通は、もっとはよ気付くんや。そんで、備えるんや。理不尽なことにな。それがお前は遅すぎたんや。ただそれだけのことなんやで」
('A`)「……」
41 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:12:13 ID:fIS
(*`Д´)「お前の母ちゃんは、そんな糞みたいな世の中で、お前を育ててたんやで。下げたくもない頭下げて、後ろ指さされて、小馬鹿にされて……」
('A`)「……」
(*`Д´)「言っとくがな、お前の比やないんやで?母ちゃんが通った道はの。底辺中の底辺。糞の中の糞。そんな地べたを這いつくばりながらも、金稼ぎよったんやぞ?」
('A`)「……」
(*`Д´)「それなのに、お前はなんや。アホみたいにアホみたいなことに金使って、挙げ句母ちゃんを罵倒して。ちょっと行き詰まったら人のせいにして。俺は頑張った。俺はやった。……アホか。今までさぼっとった分の利子すらならんわ」
('A`)「……」
(*`Д´)「ようは舐めすぎなんよ。社会をな。お前が思っとる以上に世の中は、糞で、残酷で、非情で、おまけに、露骨なんやで」
('A`)「……うぅ……うぅ……」ブワッ
42 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:19:07 ID:fIS
(*`Д´)「……とにかく、働く当てはなさそうやな」
('A`)「……」
(*`Д´)「……しゃあない。着いてきや」
('A`)「――ッ!?」ビクッ
(*`Д´)「安心せい。別に内臓さばこうとは思わん。それに、その豚みたいな体じゃろくな値段はつかんやろうし」
('A`)「……ホッ」
(*`Д´)「ただな。体で払ってもらうのは、同じやぞ?」
('A`)「……へ?」
43 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:19:36 ID:RRN
あっ…(察し)
47 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:33:48 ID:fIS
某所――
('A`)「……」
……アンアン……アンアン……
('A`)「……」モンモン
スタスタ……
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……アリガトウゴザイマシター」
ガラッ
(*`Д´)「おう、やってんな」
('A`)「……あ、ども」
(*`Д´)「なんやその気の抜けた返事は。せっかく仕事先紹介してやったっちゅーのに」
('A`)「……いや、でも……」
(*`Д´)「ハハハ!童帝には風俗の受付はキツいか!」
('A`)「////」
(*`Д´)「お前ついとったな。前の受付が雲隠れしやがってよ。ちょうど後任を探してたんや。そういいツキは大事にせなあかんよ」
('A`)「は、はぁ……」
49 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:35:41 ID:vl2
これはいいアニキ
50 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:38:08 ID:fIS
('A`)「……でも、いいんですか?」
(*`Д´)「なにがや?」
('A`)「なんか、僕みたいな奴を勝手に雇って……」
(*`Д´)「まあお前はクソやけどな。こっちも人手が欲しかった。おまけにお前の借金も回収出来て、お前の稼ぎにもなる。一石二鳥……いや、一石三鳥なんや」
('A`)「はぁ……」
???「……お疲れ様でした~」
('A`)「――ッ!」
(*`Д´)「おうリナ。今日はあがりか?」
(*бωб)「はい!今日はあがりでーす!」
(*`Д´)「そうか。また頼むで」
(*бωб)「分かりました~!失礼しま~す!」スタスタ
('A`)「……」
('A`)(……リナさん……////)
52 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:39:39 ID:RRN
惚れるのか...
53 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)11:42:19 ID:fIS
('A`)「……」ポー
(*`Д´)「……い……おい……」
('A`)「……」ポー
(*`Д´)「……おい!聞いとんのか!?」
('A`)「――ッ!?は、はい!」
(*`Д´)「……たく」
('A`)「……すみません」
(*`Д´)「……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……お前、惚れたか?」
('A`)「――ッ!?」ビクッ
(*`Д´)「そうか……。でもな、リナはやめとけ」
('A`)「へ?」
(*`Д´)「人には色々あるんやで。この裏方稼業は、特にな……」
('A`)「……?」
64 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:20:12 ID:fIS
('A`)「……」
('A`)(……ババア、全然帰ってこねえな……)
('A`)(……マジで、捨てられたのかな……)
(*бωб)「たかしさんこんにちは~☆」
('A`)「あ!リナさん!///」
(*бωб)「今日も受付大変ですね」
('A`)「あ……いや……その……///」
(*бωб)「たかしさん!顔真っ赤~!」
('A`)「///」
(*бωб)「たかしさん、なんか可愛いですね☆」
('A`)「――ッ!?」
(*бωб)「今日よろしくお願いしま~す☆」スタスタ
('A`)「……」
('A`)「……可愛い……俺が……リナさん……///」
65 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:24:55 ID:fIS
閉店前――
('A`)「……」
(*бωб)「お疲れ様でした~☆」
('A`)「――ッ!り、リナさん!」
(*бωб)「たかしさんもお疲れ様でした☆」
('A`)「あ、はい!お疲れ様でした!」
(*бωб)「もう、なんで敬語なんですか?私より年上じゃないですかーwwwwww」
('A`)「は、はあ……」
(*бωб)「……でも、たかしさんみたいな人って素敵だな。純粋そうで……」
('A`)「え――!?///」
(*бωб)「……なーんて、ね☆お疲れ様でした!」スタスタ
('A`)「お、お疲れ様!」
('A`)「……」
('A`)「……」
('A`)(……まさか、とは思ってたけど……間違いねえ……)
('A`)「……リナは、俺に惚れてやがる!」クワッ
67 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:27:48 ID:5Et
たかしクソワロタ
70 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:30:47 ID:fIS
翌日――
(*бωб)「おはようございまーす☆」
('A`)「……やぁ、リナ」
(*бωб)「え?あ、はい!おはようございます☆」
('A`)「リナ……今日も可愛いな」キリッ
(*бωб)「えぇ!?どうしたんですか急に……」
('A`)「なに、本当にそう思っただけだ……」キリリッ
(*бωб)「は、はぁ……」
('A`)「仕事大変だろうけどさ……俺は、ここにいるからよ……」キリリリッ
(*бωб)「あ……はい……。受付ですしね……」
('A`)「頑張れよ、リナ」キリリリリリッ
(*бωб)「は、はい☆今日もよろしくお願いします☆」スタスタ
('A`)「……」
('A`)「……決まった……」ニヤッ
73 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:35:44 ID:fIS
('A`)(まったく……リナも照れてんだな……)
アンアン……アンアン……
('A`)「……」
('A`)(しかし、俺という奴を思いながらも、どうしてこんな仕事してんだろ……)
('A`)(辞められない理由があるんだろうな)
('A`)「……」
('A`)「……いざとなったら、俺が……リナを……!」クワワッ
75 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:37:35 ID:fIS
閉店後――
(*бωб)「お疲れ様でした☆」
('A`)「リナ、ご苦労様」マジキチスマイル
(*бωб)「はーい☆」スタスタ
('A`)「……」
('A`)「……よし……」スッ
76 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:39:23 ID:fIS
(*бωб)「……」スタスタ……
スタ……スタ……
(*бωб)「……」スタスタ……
スタ……スタ……
(*бωб)「……」スタスタ……ピタッ
スタ……スタ……ピタッ
(*бωб)「……」
(*бωб)「……?」スタスタ……
……スタスタ
('A`)「……」
78 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:41:42 ID:RRN
えぇ...
80 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:43:08 ID:fIS
数日後――
(*бωб)「……おはようございます」
('A`)「リナ、おはよう」超キチスマイル
(*бωб)「……」
('A`)「……ん?なんか元気ないな?」
(*бωб)「……はい。実は、最近誰かに見張られている気がして……」
('A`)「な、なに!?リナを!?誰が!?」
(*бωб)「分かりません……。気のせいかもしれたいんですけど……」
('A`)「野郎ふざけやがって!どこのどいつが!リナを!」クワツ
(*бωб)「……私、怖くて……」
('A`)「!!」
('A`)(これは……チャンスだ!)
83 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:46:59 ID:fIS
('A`)(ここでカッコいいこと言えば、もうリナの心を完全に……!)
('A`)(……よ、よぉし!“俺がついて帰ってやるよ”って言えば完璧だ!)
('A`)「……!」
(*бωб)「……」
('A`)「……リ、リナ!」
(*бωб)「……ん?」
('A`)「……お、俺が!ついて帰ってたんだよ!」クワワッ!!
(*бωб)「……」
('A`)「……」
(*бωб)「……え?」
('A`)「……え?」
86 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:51:32 ID:fIS
数時間後――
('A`)「……」ズタボローーン
(*`Д´)「……お前、バカやろ?」
('A`)「……うぅ……」
(*`Д´)「リナはうちのナンバーワンだったんやぞ?それをストーキングして、挙げ句本人に暴露するとか……。お前、リナ辞めちまったじゃねえか」
('A`)「……ず、ずびばぜんでじだ……」
(*`Д´)「……まあ、リンチくらいで済んで良かったなぁ。変な悪運だけは強ぇな、お前」
88 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)12:55:25 ID:fIS
('A`)「……リ、リナ、本当に辞めたんですか?」
(*`Д´)「ああ。本当や。おかげで店の売上がた落ち。どうしてくれるん」
('A`)「……俺のせいです……」
(*`Д´)「……分かっとるやん。ならええ。今日のところは俺が口利きしたる。頑張りや」
('A`)「……」
('A`)(……俺の、せいだ……)
('A`)(……リナはショックを受けたんだ。だから、辞めたんだ……俺に、ストーカー行為されたと思って……)
('A`)(――……俺を、好きだったのに……!)クワワッ
91 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:11:10 ID:fIS
夜――
ザッ――
('A`)「……」
('A`)(確か、リナの家はこのアパート……)
('A`)(前に警備した時に、確かにここに入って……)
('A`)(……部屋は、二階の角部屋……)スタスタ
92 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:11:29 ID:RRN
やめろ...やめとけ...
93 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:15:36 ID:fIS
('A`)(ここだ……ここが確か……)
('A`)(……よ、よぉし……)
……ピンポーーーン
('A`)「……」
('A`)「……ん?留守か?電気点いてるんだけどなぁ……」
ピンポーーーン
ピンポーーーン
――ガタタッ
('A`)「――ッ!いた!」
スタスタ……ガチャ
(`_´メ)「……誰や」
('A`)「――ッ!?」
(`_´メ)「あ?お前誰や?」
('A`)「あ、あの……僕……」ガタガタ
95 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:20:58 ID:fIS
(*бωб)「……誰だったの?」
('A`)「――ッ!」
('A`)(リ、リナ!///)
(`_´メ)「おうリナ。なんか変な奴が――」
('A`)「……やあリナ。久しぶり――」
(*бωб)「――こいつ!私をつけ回ってたストーカー!」
(`_´メ)「……あぁ?」
('A`)「――ッ!?」
(*бωб)「お前いい加減にしろよ!きったねえ面しやがって気持ち悪い!」
('A`)「リ、リナ……?」
(*бωб)「なに勝手に呼び捨てしてんだよ!ウザいんだよ!」
('A`)「……」
(`_´メ)「……ほぅ。お前が、な……」ボキ……ボキ……
(`_´メ)「……ちょっと、面貸せや……」
('A`)「ひぃぃいいぃぃ……」
100 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:26:39 ID:fIS
病室――
('A`)「……」ズタズタボロボローーン
(*`Д´)「……お前の根性舐めてたわ。まさか、また家に行くとは……」
('A`)「……ず……ずび……ば……」
(*`Д´)「ええってええって。ほぼほぼ死にかけてるお前に、これ以上嫌味言ったりせんわ。なんか気の毒過ぎてのぉ」
('A`)「……」
(*`Д´)「リナには男がおったんや。しかも素行が悪いはぐれもんや。代紋も持っとらんから、余計質が悪くてな」
('A`)「……でしょうね。刺青してましたし……」
(*`Д´)「ほほう……いっちょ前にのぉ……。どんな柄やった?」
('A`)「チラッとしか見えませんでしたが……鷹が……」
(*`Д´)「……なんやて?」
105 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:30:26 ID:fIS
(*`Д´)「鷹の柄もん……他にはなんかあったか?」
('A`)「あ、あと……こめかみに、傷痕が――」
(*`Д´)「ああ!?」
('A`)「ヒィィッ!?すみません!」
(*`Д´)「それほんまか!?ほんまなんか!?」
('A`)「は、はひ!」
(*`Д´)「……そう、か……」
('A`)「?」
(*`Д´)「……お手柄やで、たかし。ようやった……」スッ
('A`)「え?え?」
(*`Д´)「またの、たかし」スタスタ
('A`)「……?」
109 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:37:59 ID:fIS
数日後――
('A`)「……」ノヘー
ガチャ――
(*`Д´)「おうたかし」
('A`)「あ、ども……」
(*`Д´)「この前はすまんかったな」
('A`)「い、いえ……。あの、何かあったんすか?」
(*`Д´)「いやなに。どうやら、横流しされてたみたいなんよ」
('A`)「横流し……」
(*`Д´)「お前は知らんでええ。これは、俺らの縄張りやし。……ただ、オトシマエは、つけさせてもらった。お前のおかげやで」
('A`)「は、はぁ……」
(*`Д´)「もうすぐ退院やろ?また頼むで。さて、俺も忙しいから帰るわ」スッ――
('A`)「あ、どうもー」
(*`Д´)「ほなな」スタスタ
('A`)「……忙しそうだなぁ」ノヘー
テレビ『本日未明、○○港で男女の遺体が発見されました。遺体の損傷は激しく、人物の特定は困難な模様です。警察では、死体遺棄事件として捜査をしています――』
111 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:40:47 ID:RRN
あっ…(察し)
112 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:41:08 ID:zDY
仕事はやいな
114 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:43:51 ID:fIS
更に数日後――
アンアン……アンアン……
('A`)「……」
スタスタ……
( ̄ヘ ̄)「……」
スタスタ……
('A`)「アリガトウゴザイマシター……」
('A`)「……」
('A`)(退院したのはいいけど、またこの毎日かぁ……)
( ̄ヘ ̄)「……ちょっと」
('A`)「え?あ、はい……」
( ̄ヘ ̄)「キミは、この店のボーイさん?」
('A`)「ボーイというか、ただの雑用というか……」
( ̄ヘ ̄)「ふむ……わかった」スタスタ
('A`)「……?」
('A`)(なんなの、いったい……)
117 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:47:30 ID:fIS
夜――
('A`)「今日も疲れたなぁ……」スタスタ
スタスタ……
( ̄ヘ ̄)「……もし」
('A`)「へぁ?……ああ、今日のお客さん」
( ̄ヘ ̄)「キミは、あの店は長いのか?」
('A`)「へ?いや、別にそういうわけでは……」
( ̄ヘ ̄)「ふむ……。あそこのお嬢に、カオルという人物はいないか?」
('A`)「カオルさん?カオルさんは……いないはずですが……」
( ̄ヘ ̄)「ふむ……」
('A`)「?」
( ̄ヘ ̄)「……少し、時間をよろしいか?」
('A`)「え?あ、はい……」
119 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)13:53:55 ID:fIS
喫茶店――
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……」
('A`)(な、なんなのいったい……)
( ̄ヘ ̄)「……私はな、好きなんだ」
('A`)「へ?」
( ̄ヘ ̄)「心から愛しているんだよ」
('A`)「えええぇぇぇえええぇぇぇ……」
( ̄ヘ ̄)「……カオルを」
('A`)「……あ、はい……」
( ̄ヘ ̄)「折り入って頼みがある。カオルの行方を、探してほしい」
('A`)「いや無理っす」
( ̄ヘ ̄)「そこをなんとか」
('A`)「誰かわからんす。無理っす」
( ̄ヘ ̄)「難しいことはない。ただ、カオルという名前に心当たりがありそうな人を探すだけでいい」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「もちろん、お礼ははずむ」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「頼む……」
('A`)「……わ、わかりました」
( ̄ヘ ̄)「そうか……では頼んだぞ」スタスタ
('A`)「……」
('A`)(ほんとなんなの、あのオッサン)
120 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:00:09 ID:fIS
数日後――
('A`)(んなこと言ってもなぁ。なかなかいねえよな……)
(*`Д´)「おうたかし。頑張っとるようやな」
('A`)「あ、どもー」
(*`Д´)「ん?なんや、煮えきれん顔して」
('A`)「い、いえ……。あの、一つ聞いてもいいですか?」
(*`Д´)「あん?なんや」
('A`)「カオルさん……という方はご存知ですか?」
(*`Д´)「――」
('A`)「……?」
(*`Д´)「……知らん」
('A`)「……そうっすか……」
(*`Д´)「……なんでそんなこと聞くん?」
('A`)「いえ……その……お客さんから聞かれたので……。カオルというお嬢はいるかって……」
(*`Д´)「そう……か……。そういう話は、相手せんでええんぞ。たいがい店間違いや」
('A`)「は、はぁ……」
(*`Д´)「いいか?相手すんなよ」
('A`)「わかりましたー……」
125 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:05:47 ID:fIS
喫茶店――
( ̄ヘ ̄)「進展はあるかね」
('A`)「いえ。それがまったく……」
( ̄ヘ ̄)「……そうか……」
('A`)「……あの……店が違うのでは……」
( ̄ヘ ̄)「そんなはずはない。絶対に、あの店だ」
('A`)「……はぁ」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……あの、どういう相手なんすか?」
( ̄ヘ ̄)「……キミに話す必要はない」キッパリ
('A`)(ええぇぇ……)
( ̄ヘ ̄)「引き続き頼むよ」
('A`)「は、はぁ……」
126 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:09:04 ID:fIS
数日後――
(*`Д´)「……たかし、ちょっとええか?」
('A`)「あ、はい」
(*`Д´)「お前が最近、カオルっていう女を探してるっちゅー話を聞いたんやが……」
('A`)「……」
(*`Д´)「前に言ったはずやぞ?相手にすんな、ってな……」
('A`)「……」
(*`Д´)「……まあええ。なにがあったんや?教えれ」
('A`)「……はぁ。実は――」
132 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:13:04 ID:fIS
(*`Д´)「……そうか。そんな奴が……」
('A`)「……ええ」
(*`Д´)「……正直に言おうか。カオルなら、知っとる」
('A`)「えぇ!?」
(*`Д´)「でもな、そのオヤジには教えられん」
('A`)「ええぇぇ……」
(*`Д´)「教えてもどうしようもないんや。何しろ、とっくにおっちんでるわけやし……」
('A`)「……へ?」
(*`Д´)「聞こえんかったか?カオルはな、死んどるんや」
('A`)「……!」
134 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:18:31 ID:fIS
(*`Д´)「よく、ある話や。男がろくでもなくて、そいつに金渡すために体売ってたんや。そんで、妙な客に唆されてな。アフターでホテル行って、薬やり過ぎてポックリや」
('A`)「……」
(*`Д´)「ついでに言うと、そのオヤジの素性は検討つく。それも、よくある話や」
('A`)「……」
(*`Д´)「まあ、それをオヤジに言うかはお前に任せるわ。これは、お前のシノギやけんの」
('A`)「は、はぁ……」
(*`Д´)「まあ、一つ言わせてもらうなら、人間知らん方が幸せなことがあるんや。真実は、時々凶器にもなるんやで」
('A`)「……」
136 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:22:49 ID:fIS
喫茶店――
( ̄ヘ ̄)「……なんだね。急に呼び出して……」
('A`)「あ、あの……実はカオルさんのこと……分かりまして……」
( ̄ヘ ̄)「――ッ!?ほ、本当か!?」
('A`)「は、はぁ……」
( ̄ヘ ̄)「そ、それで!?カオルはどこに!?」
('A`)「そ、その前に一つ教えてくれませんか?」
( ̄ヘ ̄)「……何をだね?」
('A`)「……あ、あの……あなたは、カオルさんとは、どういう関係で……?」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……確かに、一方的に調べてもらうのも申し訳ないしな。仕方ない……」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「――……カオルは、娘だ」
('A`)「――ッ」
139 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:30:53 ID:fIS
( ̄ヘ ̄)「恥ずかしい話だがな。高校までカオルは素直で真面目な子だった。……それが、高校のころ、母親――私の妻が他界してな。そっからだった。妙な輩と交遊するようになったのは」
( ̄ヘ ̄)「気付いたら高校も辞めていた。それを指摘すると逆情されてな。言われてしまったよ。“いきなり父親面するな!”ってな」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「ショックだったよ。確かに私は、家族をおざなりにし過ぎていた。家族のためにと理由をつけて、素直なあの子を放置していた。逃げていたんだよ、私は。それは自分が一番、痛いほどわかっていた」
( ̄ヘ ̄)「だから反論も出来ず、私はあの子をぶったんだ。そして家を飛び出したあの子は、二度と帰って来なかった」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……後悔しているんだよ。出来ることなら、もしあの子が許してくれるのなら、もう一度やり直したい。どれだけ変わってしまっても、あの子は私の娘だ。離れて初めて、それが分かったんだよ。情けない話だがな」
('A`)「……」
140 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:34:20 ID:fIS
( ̄ヘ ̄)「……それで?」
('A`)「……はい?」
( ̄ヘ ̄)「カオルは、どこに?」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……」
('A`)「……カ、カオルさんは……」
( ̄ヘ ̄)「……うむ」
('A`)「……カオルさんは……や、辞めました。ずっと前に……」
( ̄ヘ ̄)「……そっからは?」
('A`)「……分かりません。僕が分かったのは、ここまでです」
( ̄ヘ ̄)「……そう、か……。そうだったか……」
('A`)「……すみません。力になれず……」
( ̄ヘ ̄)「……いや、いいんだよ。ありがとう……」
('A`)「……」
143 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:40:38 ID:fIS
('A`)「あ、あの……これからどうするんですか?」
( ̄ヘ ̄)「……探すよ。どれだけ時間がかかってもな。たった一人の、家族だからね」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「……世話になったね。これは謝礼だ」スッ
('A`)「――ッ!?こ、こんなに貰えません!」
( ̄ヘ ̄)「いいんだ。少なくとも、ここにはいないことが分かったんだ。そのお礼だよ」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「もし……もしカオルに会ったら伝えてほしい。“父さんが悪かった。一緒にやり直そう”ってな」
('A`)「は、はい……」
( ̄ヘ ̄)「……では、失礼するよ」スクッ
('A`)「……」
('A`)「……あ、あの!」
( ̄ヘ ̄)「……ん?」
('A`)「……」
( ̄ヘ ̄)「?」
('A`)「……きっと会えますよ。娘さんと。いつか、きっと……」
( ̄ヘ ̄)「……ありがとう」
スタスタ
('A`)「……」
146 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:42:06 ID:RRN
たかしGJ
150 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:48:45 ID:fIS
数日後――
(*`Д´)「……そうか。そんなことが……」
('A`)「……言えませんでした。本当のこと。俺、言うべきだったんですかね……」
(*`Д´)「……さあな。俺にも分からんわ。ただ、オヤジさんにとっては、たぶん生きる目的だったんだ」
('A`)「……娘さんを探すのが、ですか?」
(*`Д´)「そうや。それは、生きる希望なんや」
('A`)「……でも、俺、わかんないっす。どうするべきか……。正直に言うのが怖くて、嘘ついて……。卑怯っすよね、俺……」
(*`Д´)「……どうするか分からんから、嘘つくんやろ。嘘っちゅーのは、そういうもんや。残酷で、悲しい。やけど、時々誰かの支えにもなるもんや」
(*`Д´)「そのオヤジさんの生きる支えになっとんのは、間違いなくお前の嘘なんや。卑怯でズルい、お前の嘘なんやで」
('A`)「……難しいっすね。人生って」
(*`Д´)「そうや。それも、人生や」
151 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:53:48 ID:fIS
(*`Д´)「ところでたかし。借金なんやけど……」
('A`)「え?あ、はい……」
(*`Д´)「しまいや。借金」
('A`)「……へ?」
(*`Д´)「せやから、終わりや。お前の借金」
('A`)「ええぇぇええぇぇ!?」
(*`Д´)「感謝せいや?この前のお前のお手柄、叔父貴に言うたらたいそうご満悦なってん。お前の借金、チャラしちゃるって言いよったんや」
('A`)「ま、マジっすか……」
(*`Д´)「ほんま悪運だけは強いの、お前wwwwww」
('A`)「……」
(*`Д´)「……ほんで、どうするん」
('A`)「へ?」
(*`Д´)「この仕事や」
('A`)「……もう少し、続けてみようなって」
(*`Д´)「……そうか。なら、好きにせい」
('A`)「……はい」
153 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:55:08 ID:5iG
たかしが…!
154 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)14:56:29 ID:NmX
成長した…
178 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)16:14:50 ID:fIS
某日――
('A`)「……」
('A`)「アリガトウゴザイマシター……」
('A`)「……」
('A`)「マタノオコシヲー……」
('A`)「……」
('A`)(この仕事にもだいぶん慣れたなぁ……)
ガラッ
('A`)「イラッシャイマセー……」
('A`)「――ッ!?」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)(か、可愛えええぇぇぇ/////)
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「……」
('A`)「……?」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「……あ、あの……」
(∗❛ ❛∗)「――ッ!」
ピシャッ!!
('A`)「……」
('A`)「……なんなの、いったい……」
179 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)16:20:37 ID:fIS
(*`Д´)「おうたかし」
('A`)「あ、どうもー」
(*`Д´)「変わりはねえか?」
('A`)「へぇ。特には……あ」
(*`Д´)「なんや。なんかあるんかいな」
('A`)「いえ、大したことはないんですけど、最近女の人たまに店に来るんすよ」
(*`Д´)「……女?」
('A`)「はい。来るって言っても、ドア開けて店ん中見渡して帰るんですけど……」
(*`Д´)「ふむ……なんや怪しい話やのぉ」
('A`)「ええ。わけわかりません」
(*`Д´)「……まあええ。いちおう気をつけぇよ」
('A`)「はぁ……」
181 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)16:27:56 ID:fIS
夜――
('A`)「……」スタスタ
タタタ……
('A`)「……ん?」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あれ?あなたは……」
(∗❛ ❛∗)「……たかしさん、ですか?」
('A`)「は、はいそうですが……」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……フフフ」ダッ――
('A`)「え!?ちょ、ちょっと!」
タタタ……
('A`)「……」
('A`)「……え?なに?なんか怖いんだけど……」
194 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:18:59 ID:U1q
翌日――
('A`)「……」
ガラッ
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)(また来たよ……)
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あの……何か――」
(?? ??)「――あの!」
('A`)「は、はひ!?」
(?? ??)「実は、お話しがあって……」
('A`)「あ、はい……」
(?? ??)「私と……付き合ってくれますか?」
('A`)「……え?」
(?? ??)「……」
('A`)「ええぇぇええぇぇ!!??」
199 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:23:08 ID:U1q
('A`)「なぜ急に!?」
(?? ??)「思い立ったので」
('A`)「思い立って告白っすか……」
(?? ??)「どうするんですか?付き合うんですか?」
('A`)「いや……どうするかって言われても……////」
(?? ??)「はっきりしろやゴルァ!!」クワッ
('A`)「ヒイィ!?つ、付き合います!付き合います!」
(?? ??)「そ……。ありがとう。じゃあ、また今度……」
('A`)「……」
('A`)「……え?初彼女ってやつ?……なの、か?」
215 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:31:29 ID:U1q
後刻――
('A`)「////」ポー
(*`Д´)「……おい。どうしたんお前……」
('A`)「……俺、死んでもいいっすわ……」
(*`Д´)「は?」
('A`)「いやあ、モテるって辛いっすわ……」
(*`Д´)「……」
(*`Д´)「……お前、またストーカーしてん?」
('A`)「まさか。純粋な、イケメン枠っす」
(*`Д´)「……どうでもいいけど、すっごいムカつくわ……」
216 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:35:25 ID:U1q
夜――
('A`)「////」ドキドキ
スタスタ
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あ!こんばんわ!」ダッ――
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「待ってたよ。さあ、行こうか」マジキチスマイル
(∗❛ ❛∗)「気持ち悪い……」ボソッ
('A`)「……え?」
(∗❛ ❛∗)「なんでもありません。では、行きましょうか」
('A`)「え?あ、うん……」
222 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)18:59:38 ID:U1q
スタスタ…
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
スタスタ……
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
スタスタ……
('A`)「……あ、あの……どこへ……」
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あ、あの――」
(∗❛ ❛∗)「――うるっせえんだよ!黙ってついて来やがれ童帝野郎が!」クワッ
('A`)「は、はひ!?」
('A`)(ど、童帝野郎……)ズーーーン
225 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)19:08:24 ID:U1q
プルルルル……
('A`)「……あ、ごめん電話だ」
(?? ??)「――ッ!?」
('A`)「もしもし?」
(*`Д´)『おうたかしか。今どこや』
('A`)「今っすか?……ええと……その……か、かかか、かの、かのかのかの……かの……」
(*`Д´)『おk。一回落ち着けや』
('A`)「……うっす……」
(*`Д´)『……なんや、女とおるんか?』
('A`)「……は、はい……///」
(*`Д´)『気色悪い声出すなや。鳥肌もんやで』
('A`)「ウッス……」
(*`Д´)『……この前言っとった女か?』
('A`)「えへへへ……へへえへへへ……////」
(*`Д´)『せやから気色悪い言うとんのやて。……その女、今近くおるんか?』
('A`)「え?あ、はい。横に……」
……シーーーーン
('A`)「……あ、あれ?いない?さっきまでいたのに……」
(*`Д´)『……ちょい待っとれ。迎え行くわ』
('A`)「え?あ、はぁ……」
226 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)19:13:08 ID:U1q
数時間後――
('A`)「すんません。迎え来てもらって……」
(*`Д´)「ええんのや」
('A`)「……」
(*`Д´)「……たかし、いちおうの話や」
('A`)「はい?」
(*`Д´)「……その女、気ぃ付けえや」
('A`)「え?彼女っすか?」
(*`Д´)「そや。なかなかくっさいで。その女」
('A`)「そ、そんなことありませんよ!めちゃくちゃいい匂いします!」クワッ
(*`Д´)「アホかい。そんな話しとらんって。言ったやろ。いちおうの話や」
('A`)「は、はぁ……」
236 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:32:15 ID:U1q
後日――
('A`)「……」
スタスタ……
(∗❛ ❛∗)「……」
('A`)「あ……やあ……」
(∗❛ ❛∗)「……行きましょ」
('A`)「……その前にさ、このまえ、どこ行ったの?」
(∗❛ ❛∗)「……帰っただけ」
('A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「ほら、行くわよ」
('A`)「……まさか、違うよね?」
(∗❛ ❛∗)「何が?」
('A`)「“気ぃ付ける”必要は、ないよね?」
(∗❛ ❛∗)「……クス」
237 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:35:52 ID:U1q
(*`Д´)「……」
(*`Д´)(たかしの女……あいつ、たぶん……)
プルルル……
(*`Д´)「たかしから……?」
ガチャ
(*`Д´)「……もしもし」
???「……こんにちわ」
(*`Д´)「……誰やお前」
???「たかしは預かった。今すぐ〇〇まで来なさい」
ツーー……ツーー……
(*`Д´)「……」
(*`Д´)「……ほんま、あのバカは手がかかるわ……」
238 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:37:42 ID:U1q
某所――
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「……あ、あの……」
(∗❛ ❛∗)「……あ?」
(’A`)「僕、これからどうなる……んでしょうか……?」
(∗❛ ❛∗)「……知るか」
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「……やっぱり、死ぬんすかね……」
(∗❛ ❛∗)「さあ、どうかしら……」
(’A`)「……」
240 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)20:41:55 ID:tuz
たかし…
242 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:44:26 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「……ねえ。一つ答えなさい」
(’A`)「はい?」
(∗❛ ❛∗)「死ぬの、怖い?」
(’A`)「……そりゃ、まあ」
(∗❛ ❛∗)「……そう」
(’A`)「ただ、これでいいのかなぁって、思っちゃったり……」
(∗❛ ❛∗)「……死ぬのが?」
(’A`)「ええ、まあ。……僕、前まで引きこもってたんですわ。ババア叩いて、金出させて、フィギアとかゲーム買いあさって……。最近になってようやく働くようにはなったんすけどね。といっても、風俗の受付なんすけど……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「正直、将来なんて見えないじゃないっすか。今のところ。ババアにも捨てられて、社会の底辺ってのを思い知らされて、そんで、どうすりゃいいのかも分からんっす」
(∗❛ ❛∗)「……」
(’A`)「こんな人間、いない方がマシなのかもしれんっす。だから、もしここで死ぬなら、それはそれでありなのかもって……思っちゃったりして……」
(∗❛ ❛∗)「……そう」
(’A`)「あ、もちろん痛いのは嫌っすけどね。苦しいのもちょっと。ついでに言うなら、キツさ最小で」
(∗❛ ❛∗)「……あんた、全然死ぬ覚悟ないじゃん」
(’A`)「だって怖いんすもん……」ノヘー
244 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:50:08 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「あんたにとって家族って?」
(’A`)「へ?」
(∗❛ ❛∗)「ババアって、家族のことでしょ?いるってどんな感じ?」
(’A`)「いやぁ……なんて言ったらいいのか……」
(∗❛ ❛∗)「……私には分からないの。生まれた時から一人だし。こんな生き方しか出来ないし。小さい頃は分からなかったけど、大きくなって思い知らされるの。私は、きっと捨てられたんだって……」
(’A`)「……」
(∗❛ ❛∗)「あんたも捨てられたんだよね?じゃあきっと、私と似てるのかな……」
(’A`)「……僕の場合、自業自得というか、当然の結果というか……」
(∗❛ ❛∗)「フフフ。それもそうね。私は小っちゃい頃、さすがにフィギアは集めてなかったわ」
(’A`)「……」ノヘー
245 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)20:54:29 ID:U1q
コツ……コツ……
(∗❛ ❛∗)「……時間ね」スクッ
(’A`)「……え?」
コツ……コツ……
(*`Д´)「……たかし。生きとんか?」
(’A`)「え、ええまあ。ギリギリ……」
(*`Д´)「まったくお前は……。あとでコブラツイストにエビ反り固めの刑やで」
(’A`)「ふぇぇ……」
(∗❛ ❛∗)「……こんばんわ」
(*`Д´)「……おう。来てやったで。まさか、たかしを人質にするとはの。そいつに人質の価値があるって考えたお前の思考回路を疑うで」
(∗❛ ❛∗)「でも、ちゃんと来たじゃない」
(*`Д´)「……」
246 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:03:54 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「……まあいいわ。前置きは不要よね?死んでもらうわよ」スチャ
(’A`)「け、拳銃!?」
(*`Д´)「……お前、ヒットマンか?」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「どうやら、単独行動のヒットマンみたいやのぉ。なんや、あいつらに頼まれたんかいな」
(∗❛ ❛∗)「……答える義理はないわね」
(*`Д´)「ほな、もう一つ聞くで。なんでたかしを殺してないん?」
(∗❛ ❛∗)「……え?」
(’A`)「ファッ!?」
(*`Д´)「お前もプロやろ?目撃者はさっさと殺せばええのに。なんで殺しとらんの?」
(∗❛ ❛∗)「……そんなの、私の勝手――」
(*`Д´)「ちゃうやろ。お前、夢見過ぎたんとちゃうか?」
(∗❛ ❛∗)「――ッ!」
(*`Д´)「たかしを見てみい。怯えとるで」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「今更迷ってんのか?けったいな奴やの。そないなデブ見て表に憧れるんか。やっぱ神経疑うで。よう見てみ。ごっつ不細工やで、たかしは……」
(’A`)「ええぇぇ……」
(∗❛ ❛∗)「……」チラッ
(*`Д´)「――隙あり、や」
――――パーーーン
(∗❛ ❛∗)「うぐ――ッ!?」
(’A`)「……え?」
247 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)21:05:10 ID:RRN
えぇ...
248 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:10:46 ID:U1q
(∗❛ ❛∗)「……!」バタン
(’A`)「え?ええええ!?」
(*`Д´)「すまんの……。せやけど、俺も死にとうないんや。チャカ構えてさっさと撃たんかったお前が悪いんやで」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「お前、高望みし過ぎなんや。後には退けんのやで?お前も……もちろん、俺も……」
(∗❛ ❛∗)「……」
(*`Д´)「俺らの世界っちゅーのはな、真っ黒なんや。一度落ちたら、二度と色が取れんのや。お前も色々あったんやろうけど、分かっとったはずやで?二度と白にはなれん、ってな」
(*`Д´)「たかしを見て、真っ白に憧れるのは分かる。俺もそうや。こいつはめちゃくちゃ甘ちゃんで、めちゃくちゃキモイやろ?でもな、俺らとは、住む世界が違う奴なんや」
(*`Д´)「こいつに自分を重ねても無駄や。俺らはな、一生たかしには、なれんのや」
(∗❛ ❛∗)「……そう、ね……」ガクッ
(’A`)「……」
(*`Д´)「……さいなら、姉ちゃん。それと、嘘でもたかしと付き合ってくれて、ありがとうな」
(’A`)「……」
251 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:19:07 ID:U1q
スタスタ……
(*`Д´)「……」
(’A`)「……」
(*`Д´)「……たかし」
(’A`)「は、はい!」ビクッ
(*`Д´)「……お前、俺が怖いか?」
(’A`)「……え?」
(*`Д´)「お前の考えとることは分かるで。お前、俺らの世界に染まってたつもりなんやろ?」
(*`Д´)「でも、それは違うんやで。さっきみたいなのが、俺らの世界なんや。分かるか?世の中の底辺っちゅうのは、お前が思っとる以上に深いんやで」
(’A`)「……」
(*`Д´)「……たかし。もうしまいや。もうええ」
(’A`)「……え?」
(*`Д´)「クビやクビ。店長には俺から言っとくわ。二度と来んなや」
(’A`)「え?で、でも……」
(*`Д´)「でもやない。これは、命令や」
(’A`)「……」
253 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:26:20 ID:U1q
(*`Д´)「……お前は自分の家に帰れや。もともとお前は、そっちの方の人間や。白いんや」
(*`Д´)「俺らの世界に来る必要はないんや。まだお前は、そっちの世界におれるんや。そこでやれるんや。勝手に自分を見限る必要ないんや」
(*`Д´)「お前は出来るんや。現に、ちゃんとやりよったやん。ボコられても、ストーカーしても、それでもやりよったやん。根性見せてたやん」
(’A`)「……」
(*`Д´)「ええかたかし。前に言ったやろ。出来るか出来んかやない。やれや。やってみろや。お前が思っとる以上に世の中は、糞で、残酷で、非情で、おまけに、露骨で……」
(*`Д´)「――……そんで、意外とちょろいんやで」
(’A`)「……」
254 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:30:55 ID:U1q
(’A`)「……」
(*`Д´)「……そうや。忘れるところやったわ。ほれ」ポイッ
(’A`)「これ……札束!?」
(*`Д´)「退職金や。受け取っとけ」
(’A`)「……で、でも……」
(*`Д´)「ええって。それでしばらくはもつやろ。今度こそ、使い切る前にちゃんとした仕事、見つけや」
(’A`)「……」
(*`Д´)「……なんや黙りこくって。気色悪いわ」
(’A`)「……あの……どうしてここまでしてくれるんですか?」
(*`Д´)「……あ?」
(’A`)「どうして、俺にここまで……」
(*`Д´)「……」
260 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:40:41 ID:U1q
(*`Д´)「……昔話や。そいつ、惚れっとった女がおってん」
(’A`)「……」
(*`Д´)「そいつも若かったからな。散々遊び散らして、威張り散らしてな。そいつ、結局出て行ったんよ」
(*`Д´)「そいつもしばらく頭茹でタコなっとったけどな。ふと、分かったんよ。そいつ、その女がおらなあかんかったって」
(’A`)「……」
(*`Д´)「せやけど、今更どうしようもないやろ?そいつが嫌で逃げた女追いかけても、どうせまた逃げるやろ?遅すぎたんよ、気付んがの」
(*`Д´)「そんでも、女々しいことに、忘れられんかったわ。そんで辞めとばいいのものを、その女探したんよ。そしたら、結婚しとったわ。カタギの奴と」
(’A`)「……」
(*`Д´)「そんで、またやめればいいのに、勝手に気になってん。そしたらその女、ごっつうエグイ人生歩みよるんよ。旦那が死んで。家を追い出されて。借金抱えて……」
(*`Д´)「……でも、そいつはなんもしきれんかった。怖かったんや。拒絶されるのが。そんでそいつは、借金を全部背負って、その女と繋がりを作ろうとしたんや」
(*`Д´)「ごっつ、卑怯やろ?」
(’A`)「……それって……」
(*`Д´)「……たかし。そいつみたいにはなんなや。死ぬほど後悔するで。ええか?そんな正真正銘のクズには、なんなや」
(’A`)「……」
261 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)21:49:31 ID:U1q
(*`Д´)「それと、な。もう一つ、選別や」スッ――
(’A`)「……これ、住所?」
(*`Д´)「母ちゃん、会いたいやろ?」
(’A`)「え?」
(*`Д´)「そこにおるで、お前の母ちゃん」
(’A`)「……」
(*`Д´)「でもな……」
(’A`)「?」
(*`Д´)「……いやええ。あとは自分でなんとかせいや」
(’A`)「……」
(*`Д´)「ほなな。ここでお別れや。……俺も、ようやく踏ん切りついたわ」
(’A`)「あ、あの……!」
(*`Д´)「ああええってええって。妙なこと言わんでええ。気色悪いだけやわ」
(’A`)「……」
(*`Д´)「母ちゃん、大切にせえや。やないと、ほんまに沈めるで?……ほんなら、な」スタスタ…
(’A`)「……ありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!」
(’A`)「……ありがとう……ございましたああああ!」
275 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:26:05 ID:U1q
某所――
スタスタ……
(’A`)「……」
(’A`)「……ここに、ババアが……」
(’A`)「……」
(’A`)(……ババア……)
スタスタ……
278 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:28:32 ID:U1q
(’A`)「あ、あの……」
( ̄д ̄)「はいはい。どういったご用件で」
(’A`)「いえ、その……」
( ̄д ̄)「?」
(’A`)「……ここに、ババ……母が、入院していると聞いて……」
( ̄д ̄)「……え?ああ、面会ですね」
(’A`)「……」
279 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:30:34 ID:U1q
スタスタ……
( ̄д ̄)「……そうですか、息子さんなんですか……」
(’A`)「ええ、まあ……」
( ̄д ̄)「ご家族の方と連絡したかったのですが、何しろ本人が頑なに家族はいないって言い張ってですねぇ」
(’A`)「……」
( ̄д ̄)「でもこうして来ていただいて、助かりました。説明もしておきたいですし……」
(’A`)「……はい」
282 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:34:22 ID:U1q
病室前――
( ̄д ̄)「……ここですよ」
(’A`)「ここに……」
( ̄д ̄)「……先に説明しておきますね。端的に申し上げますと、お母さん、もう意識があまりありませんので」
(’A`)「え?」
( ̄д ̄)「末期でして。正直、手の施しようがないんです」
(’A`)「そ、そんな……」
( ̄д ̄)「……ですが、こうしてあなたが来てくれたので、きっと喜ぶと思いますよ」
(’A`)「……そうだと、いいんですが……」
( ̄д ̄)「何かあればすぐ呼んで下さいね。では……」スタスタ…
(’A`)「……」
285 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:37:19 ID:U1q
スタスタ……
(’A`)「……」
J( 'ー`)し「……」
('A`)「……」
('A`)(ババア……)
J( 'ー`)し「……看護師さんですか?」
('A`)「……はい。今日から、担当になりました」
J( 'ー`)し「あら、そうですか……。男の方なんですね」
('A`)「ええ、まあ……」
J( 'ー`)し「……何だか恥ずかしいですが、よろしくお願いしますね」
('A`)「……はい。こちらこそ……」
287 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)22:37:59 ID:BXY
えっ
288 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)22:38:37 ID:RRN
えっ...かーちゃん
290 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:46:45 ID:U1q
J( 'ー`)し「……看護師さん、実はですね、私、前の看護師さんには言っていないことがあるんですよ」
('A`)「……聞いてもいいんですか?」
J( 'ー`)し「はい。ぜひ」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「実はですね。私には、息子が一人いるんですよ」
('A`)「……そうなんですか」
J( 'ー`)し「はい。……と言っても、息子と呼ぶ資格はないでしょうが」
('A`)「い、いえ……そんなことは……」
J( 'ー`)し「いいんです。分かってるんです。あの子には、小さな頃から苦労ばかりかけていました。夫が先立ち、借金まで抱えて……それでも私は、必死に働きました。せめて不自由はさせないでやろう。幸せにしてやろうって」
J( 'ー`)し「実は、到底人には言えない仕事までしていたんです。それを知ったら、きっと私を軽蔑すると思います」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「私は自分に言い聞かせていました。これは息子のためだ。そのためなんだって。……でも、私はきっと、逃げたかっただけなんだと思います。父親の愛に飢えて殻に閉じこもる息子から、逃げたかったんですよ」
J( 'ー`)し「きっと、息子も感じていたのかもしれませんね。だからこそ、部屋の扉を開けてくれなかったんだと思います。その証拠に、私は最後には恐ろしいことまで考えてしまいました」
('A`)「……恐ろしいこと?」
J( 'ー`)し「はい。……最後に、息子と、心中するつもりだったんですよ」
('A`)「――」
291 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)22:52:39 ID:U1q
J( 'ー`)し「結局息子は扉を開けてくれませんでしたけどね。私は、疲れていたんです。距離が縮まらない息子との関係に。自分が招いた結果を、受け入れたくなかったんです」
J( 'ー`)し「それが分かって、私、逃げちゃったんです。自分が怖くなって、息子が怖くなって。全部をほっぽり出して、この街まで」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「この病気も、きっとその罰なんでしょうね。逃げてしまった自分への、罰なんでしょうね」
('A`)「……息子さんは、今、どうしていると思いますか?」
J( 'ー`)し「……さあ、分かりません。もしかしたらあの家にいるかもしれません。外に出ているかもしれません。それを確かめる術はありませんし、確かめる資格もありませんが……」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「……ごめんなさいね、変な話しちゃいまして。オバサンの愚痴として聞き流して下さい」
('A`)「……ええ、まあ……」
307 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:03:31 ID:U1q
('A`)「……あの、俺、思うんですけど……。きっと息子さんは、恨んではいないと思いますよ」
J( 'ー`)し「え?」
('A`)「きっと息子さんは、甘えていただけなんです。あなたの苦労も知らずに、甘えていただけだと思うんです」
J( 'ー`)し「……」
('A`)「だってあなたは、こんなにも息子さんを思っているじゃないですか。……こんなになっても、息子さんを……」
J( 'ー`)し「……」
('A`)「……本当に、何やってるんだよ……。さっさと忘れてしまえよ、あんなクズみたいな奴のこと……」
('A`)「無駄に去勢張って、一人じゃなんも出来ないくせに威張り散らして……。あんたが苦しんでるのなんか知ろうともしなくてさ……。どんだけ追い込んでいたのかも、考えもしなくて……」
('A`)「バッカじゃねえの……。さっさと捨てれば良かったんだよ。こうなる前に、一人で幸せになれば良かったんだよ……。あんたは、それで良かったんだよ……」
J( 'ー`)し「……ごめんなさい。無理なんですよ」
('A`)「……どうしてだよ……」
J( 'ー`)し「どれだけ手がかかっても、やっぱり、大切な息子なんですよ」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「……たかし。ごめんね……ごめん、たかし……」
('A`)「……母ちゃん……母ちゃん……!」
361 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:14:27 ID:U1q
数カ月後――
('A`)「……」
('A`)「母ちゃん、仕事決まったよ」
('A`)「ちょっと見つけるのに手間取ったけど、なんとか見つけたよ」
('A`)「……」
('A`)「……ごめん、母ちゃん。もっと早く頑張ってれば、安心できたのにね……」
('A`)「……」
364 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:15:20 ID:Xpu
あれ……
366 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:15:53 ID:IhC
あっ...
371 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:18:11 ID:U1q
スタスタ……
('A`)「……」
(*`Д´)「……たかし、久しぶりやの」
('A`)「……あ、お久しぶりです」
(*`Д´)「聞いたで。就職先、見つかったんやってな」
('A`)「工場勤務ですし、ちゃんとしたとこかは分かりませんが」
(*`Д´)「そんなことはないで。自分で見つけたんや。それに意味があるんやで」
('A`)「はあ……」
(*`Д´)「……母ちゃん、残念やったの」
('A`)「……いえ。それでも、最期は看取ってやれましたので……」
(*`Д´)「……そう、か……」
381 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:22:23 ID:U1q
(*`Д´)「まあ、せいぜいがんばりや。もう俺みたいなはぐれもんに絡まれんよう、ちゃんとしいや」
('A`)「そうしたいのも山々なんですがね」
(*`Д´)「そないな口きけるだけ、大丈夫そうやなwwwww」
('A`)「だといいんですけど」
(*`Д´)「まあ、クビなったら連絡しい。受付の席、いつでも空けてやるからの」
('A`)「ふぇぇ……」
(*`Д´)「じゃあの、たかし。達者でな」
('A`)「あ、はい。お元気で」
('A`)「……」
('A`)「……じゃ、行こうかな」
('A`)(行ってきます。母ちゃん――)
終わり
382 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:22:43 ID:XCp
>>381
乙!!
389 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:12 ID:7sy
>>381
乙
408 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:26:45 ID:Xpu
>>381
おつ!!
384 :◆xlyVs5SpJZx2:2016/09/18(日)23:22:58 ID:U1q
すんませんでしたね
お邪魔しました
385 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:00 ID:IhC
兄貴が最後までいいやつだった
391 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:42 ID:kks
>>385
厳密に言えば良いやつではないけどこういうやつは好き
388 :名無しさん@おーぷん:2016/09/18(日)23:23:09 ID:xZF
>>1
感動した!!!
乙です!
コメント随時追加していきます。
試行錯誤の段階でいろいろとやっていこうと思っています!
コメントしてくれると嬉しいです( ´∀`)
あと、現在記事とは関係ないコメントも大量にある為、一時承認中にしています。
少し時間経てば掲載されます。管理人とかハム速にご意見ある方はメールフォームでお願いします。
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たかし連呼は粘着質なんだな
自衛官募集中
平成26年、27年と自衛隊は空前の募集難
平成27年、山梨地本は募集目標未達成
自衛官募集中
自衛隊は更正施設じゃねえぞ
糞より役立たないゴミに税金使う余裕もねえよ、おとなしく空き缶拾って日銭稼いどけや無能
MBとはいわんからせめてMG置きたいけどやっぱでかい
何で俺こんなテンプレに泣かされてんだ?
こんな糞長い駄文全部読むガイジのキモオタってどんな顔してんだろ……
きっと産まれてから今まで女の手すら握った事のない童貞なんだろうなぁ……
※6
君さあ。去年、今年と、どんだけ募集がキツいか、考えた事あるのか?
そういう口は地本の広報官をやってから、叩け。
現職か?陸上自衛隊の現職だったら、見つけ出してシバき倒してやる。
思ってた以上に面白かった。
でも、最近悩んだ挙句に無理心中する親が居るから気を付けろよー
歳取ったなあ・・・
逃がせないけど手は出させねぇ、みたいな
たかしはかす
質問?
ネタ『ゆうすけ』君はどうなったの?
殺し始めた段階で創作だなと
1番わからんのは
母ちゃんほとんど意識なかったんだろ?
"ほとんど意識ないんで"って単語しゃべれるか喋れんかぐらいじゃないの?
それ含め全体的に出木杉て冷める
SSに「3行で」ってのは違うんじゃないかな
もっとこう借金苦で電車に飛び込むくらい追い詰めなきゃ現実味無さすぎでシラケる
よりによってBD間近の記事が僕が主役みたいな
創作有り難うございます。
何いってんだこいつ
あると思うな
親と金
かあちゃん駄目だったか…カネはどうにか救われたけど、そこだけは駄目だったね…仕方ないか…
・・・考えさせられる・・・
働けクソニート
きっと産まれてから今まで女の手すら握った事のない童貞なんだろうなぁ……
それお前
もうそういうネタにすら出来ないぞ
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