春香「765プロ読書週間ですか?」
P「そうだ。実は教育番組の仕事が来てな。お前達に本を推薦して欲しいそうだ。その為の本をこの一週間で見つけてきてほしい」
響「そういうことなら自分に任せるさー!自分これでも読書家なんだぞー!」
P「ライトノベルはダメだぞ」
響「えーなんでさー!プロデューサーもライトノベルは読書じゃないとかいう口か!」
P「いや……そんなことないが番組側の意向なんだ」
響「そうなのか……いっぱい紹介したいのあったのに残念だぞ」
P「後で俺が聞いてやるって」
響「本当!?じゃあオススメいっぱい持ってきちゃうからなー!」
亜美「兄ちゃん兄ちゃん!やまだゆーすけはいいのー?」
P「うっ、これまた微妙なとこをついてくるな……」
真美「ラノベではないっしょー!」
P「まぁ番組側からは特に言われてないしな。よしとしよう。ただ、あまり残酷なのはやめてくれ。山田悠介の中でもマイルドなのなら許可しよう」
亜美「やったー!」
P「よし、さらに付け足そう。残酷なのとか性的表現が過激なのはやめてくれ。それに引っかからなければジャンルは問わない。各々好きな本を持ってきてくれ」
全員「はーい」
やよい「せーてきひょーげんってなんですかー?」
伊織「やよいは気にしなくていいのよ」
P「来週の月曜にチェックするからな。忘れるなよー」
ーー1週間後
P「さて、1週間経ったわけだが。どうだ皆、本は持ってきたか?」
全員「はーい!」
P「よし、じゃあまずは春香からだな。見せてくれ」
春香「はいっ!私が持ってきた本はこれです!」
律子「太宰の『女生徒』……一見春香にピッタリそうだけど、主人公の性格なんて春香と真逆だし、読みづらくなかった?」
春香「実は私も最初は『女の子の普通の一日を切り取った作品』としか聞いてなくて、もっと明るい感じの話かなって思ってたんです」
春香「でも読んでみたらちょっと違くて、私なんかと違って主人公は日常の中でも色んなことを考えているんです。何気ないことでも……例えば草むしりをしているシーンから、読んでる側が不自然に感じないように女性の感性の話になってたりするんです」
春香「でも本当は、そういった色んなことを私も普段考えてるんじゃないかって思うんです。記憶に残らないから忘れているだけで、文章にしないからわからないだけで」
春香「もちろん、私はあんな風に難しい哲学的なことは考えられませんし、綺麗な女の先生を見て『風呂敷みたいにキレイ』なんて表現浮かんできませんけど……たはは」
律子「すごいわね、春香。1回読んだだけでそれだけの場面を覚えてて感想も言えるなんて」
春香「1回じゃないですよぉ、何回か読み返してます。なんか『すごく面白い!』っていう本じゃないんですけど多彩な表現とかがついつい何度も読ませたくしてるっていうか……」
P「俺も『女生徒』は太宰の中でも好きだぞ。ところで春香、何年か前までジャンプで連載してた『バクマン。』って漫画知ってるか?」
春香「あっ、テレビでアニメやってたのを少し見たことがあります」
P「その中で漫画家の主人公二人のうちストーリー担当の高木秋人ってキャラクターが言った台詞があってな」
春香「どんなですか?」
P「『何気ないシーンを面白く描ける漫画家は本物の天才』だと思うっていう台詞だ。言い回しまでははっきりとは覚えてないんだが、太宰のそういった天才っぷりが顕著に現れてるのがこの『女生徒』って作品だと思う。まぁ太宰は漫画家じゃなくて作家だけどな」
春香「それわかるかもしれません……もし私が今日一日あったこを面白く書けっていわれてもあんなふうには書けないと思います。それこそただの日記になっちゃいそうです」
律子「しかもそれをフィクションな上、当時30のおっさんが書いてるっていうのがすごいわよね」
小鳥(30がおっさん……ていうことは私もあと2年で……ぴよぉ……)
P「よし。春香はオッケーだ!よく読んできたな!」
春香「ありがとうございます!」
千早「次は私ですね。どうぞ」
P「『女歌』………?読んだことないな。律子、知ってるか?」
律子「私も知りません……作者は誰なんですか?」
P「中島みゆき……?あの有名な歌手と同姓同名なのか」
千早「いえ、彼女本人が書いた小説です」
P「えっ、中島みゆきって本も書けるのか?」
千早「彼女は元々国文学科の出で、国語教師の資格も持っていますから。そういった教養とセンスが相まってこそ素晴らしい歌が生みだせるのだと思います」
律子「よく知ってるわね千早。中島みゆきのファンなの?」
千早「ファン……というのとは少し違うかもしれません。彼女は自らの歌声で感動を生み出すだけじゃなく、多くの歌手に楽曲を提供して、しかもそのほとんどを大ヒットさせて人を幸せにしているんです。私がもし彼女だったら……そんな素晴らしい歌を手放したくはありません。それができる彼女を歌手としてだけではなく人として尊敬しているという方が適切かもしれません。」
律子「そういった風に思えるのも千早がそれだけ歌を大切にしているからよ」
P「そうだな。それに千早も歌を歌うこと以外でも人を幸せにしているぞ」
千早「アイドルとしての活動のことですか?……もちろんそれを目指してはいますが、私にできているかどうか」
P「できてるさ。それにそれだけじゃない。もっと身近なところにも千早が幸せにしてる人はいるじゃないか」
千早「えっ……」
春香「そうだよ、千早ちゃん!」
千早「は、春香っ」
全員「うんうん!」
千早「みんなっ……!」
小鳥「あのー、すごいいい話のところ申し訳ないんですが、本の紹介は……」
律子「空気読めませんね、小鳥さん」
亜美「そんなんだから結婚できないんっしょー」
小鳥「ひ、酷くないですか!?」
P「まぁ、小鳥さんの言うことももっともだ。空気は読めてないけど」
小鳥「プロデューサーさんまでっ!?」
P「千早、内容の紹介をしてくれるか」
千早「わかりました」
千早「この本は彼女の書いた初の書き下ろし小説なんです。様々な女性にスポットライトを当てた短篇集で構成されているんですが、その女性たちというのが、歌手の華やかな姿に霞んでしまうコーラス・ガールやコンサートツアーを支える裏方スタッフなど他の小説では物語の主人公にはなりえないような人たちなんです」
千早「実はこの小説は彼女が上京してからの8年間の実体験だと言われているんですが、ジャンルとしてはフィクションになっているんです。どこまでが実際にあったことで、どこからが虚構なのかは未だにはっきりしていないのですけど、それでも彼女の感受性の豊かさや他人に対する誠実さなどが伝わってきて、彼女が往年のスターと呼ばれる程の歌手である理由がわかるような気がするんです」
P「意外だな……中島みゆきって曲も暗いしメディアにも出ないし、もっとなんていうか人間味のない人かと思ってた」
千早「そんなことないですよ。彼女がメディアに露出しなくなったのは、上京したてでテレビに初出演した時に何もわからず要領が悪かったのを、スタッフが偉そうにしているのだと勘違いし陰口を言っているのを聞いてしまったことがトラウマになっていると、他の著書で語っていました。私もテレビへの初出演はあまりいい思い出ではないので気持ちはわかります」
P「すまなかったな千早……」
千早「すいません。プロデューサーを責めたつもりはなかったんです」
P「いや、いいんだ。続けてくれ」
千早「わかりました。それに彼女は自らがパーソナリティーを務めたオールナイトニッポンではとても軽快で明るい話し方をされていたんですよ。彼女は今も『中島みゆきのオールナイトニッポン 月イチ』と題して月に一回ラジオ放送を行っているのでよかったら聞いてみてください」
あずさ「あらあら~私も毎月聞いているわよ~」
千早「あずささん!そうだったんですか」
あずさ「ええ。ネガティブ川柳、いつも応募しているわ~」
千早「私もです!一番好きなコーナーは『今月のニャンコ』だったんですけど終了してしまって……あずささんは何級なんですか?」
P「やばいぞ律子……ついていけない」
律子「大丈夫です。私もですから。級ってなんなんでしょうね」
あずさ「私は5級よ~」
千早「6回も採用されたんですか!すごいじゃないですか!」
律子「どうやら採用された回数で級が決まるらしいですね」
あずさ「そんなことないわ~、千早ちゃんは?」
千早「私はまだ9級です……2回しか採用されなくて。チハゴスというラジオネームで応募しているのですが……」
あずさ「あらあら~、チハゴスさんって千早ちゃんだったのね?この間採用されてたの聞いたわ~たしか……『わが胸も 夏の野菜も もろ平野』……だったかしら?」
千早「やめてください!そういうあずささんこそ!ラジオネームを教えてください……はっ!もしかしてあずキングってあずささんですね?」
あずさ「あ、あらあら?人違いじゃないかしら~」
千早「『おめでとう 心の底から 言えてない』」
あずさ「ち、千早ちゃん?」
千早「『初対面 確認作業 薬指』」
あずさ「千早ちゃん?ちょっとあっちでお話しましょうか~」ズルズル
春香「千早ちゃんが給湯室に引きづられていった……」
P「ま、まぁ千早もオッケーってことでな。つ、次にいこうか」
伊織(ちょっと待ちなさいよ……二人ともレベル高くない!?もっと簡単な本を持ってくると思ってたわ……)
美希「zzz」
P「やっぱりか……おい、起きろ美希」
律子「プロデューサー、待ってください。美希のお腹のところに本が置いてありますよ」
P「本当だ……なんだこれ……『一流の睡眠』?」
律子「考えましたね……睡眠をすすめる本を紹介することにより自分の睡眠を正当化しに来ましたか」
P「いや、残念ながらそうはならない。おそらく美希はこの本の内容自体は知らないだろう、どこを見ても読んだ跡が見当たらない。どうせ睡眠に関する本を適当に選んできたんだ」
律子「本当ですね……美希の性格上こんな綺麗には読めないでしょうし」
P「つまりだな……この本の内容によっては、美希にとっては逆効果になる。」ペラペラ
P「よし……これだ」
P「美希ー!起きろおおおおお!!!!!」
美希「うわぁ!なんなのなのハニー!美希の睡眠を邪魔するなんてこの本に対して失礼なの!」
P「ふふふ……残念だったな美希!このページを見るんだ!」
美希「『昼寝は午後のパフォーマンスを高める……』ほら!美希は正しいの!」
P「その後をよく読んでみろ」
美希「『ただし20分以上の睡眠は逆効果である……』なん……な
コメント一覧
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- 2016年09月19日 22:44
- 山田祐介が出てきたあたりでもうこいつだなとわかった
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- 2016年09月19日 22:51
- 教養ないとか言ってごめんな
少し見直したわ
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- 2016年09月19日 22:57
- 全部この人のSS読んでたけど分からんもんだな
癖が見当たらないからか
-
- 2016年09月19日 23:15
- ※5
癖が……ない……!?
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- 2016年09月19日 23:22
- ※5
いや、お前癖強いで
ブルーチーズ並みやで
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- 2016年09月19日 23:23
- 美希は『フィネガンズ・ウェイク』とか1週間で『失われた時を求めて』読破してくるとか期待したのに
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- 2016年09月19日 23:24
- ついでにPの扱い方もわかってきたな
前回の水瀬警備といい今回のオチといいこれなら読んでやってもいい
-
- 2016年09月19日 23:48
- ※8
いやPと律子が同位置になってるから印象がやや薄まってるだけで
何に対しても博識すぎ。結局は知識自慢
というかこんなテーマ知識自慢の極致だわ
この手の『なぜかやたらとみんな詳しい』タイプの題材は、読んでる側も広く『わかるわかるwww』となる題材じゃないとダメ
単なる古典文学とか教科書の物語文とかにジャンルを限定してるなら『わかるわかるwww』も得られようが、このSSの中では単にそれぞれが好きな本選んできてるだけ
乱読派の>>1が読んだ本の紹介をキャラにさせてるだけ
もっとゲスパーすればキャラにあいそうな本を適当にググッて、読感文を載せてるブログから内容ほぼ丸パクリまでありえる
セキリュティ云々のSSでTV番組から丸パクリした奴だからなこいつは
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- 2016年09月20日 00:01
- 9が怖い
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- 2016年09月20日 00:01
- こういうssが斬新に見えてくるのが泣けてくるわ(泣)
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読んだ後暗くなるけど