黒森峰みほ「もし流されたのが私の戦車だったら?」
- 2016年09月29日 23:10
- SS、ガールズ&パンツァー
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第62回戦車道全国高校生大会 決勝戦
みほ「どうですか、狙えそうですか」
乗員「すいません、雨で視界が悪いので厳しいと思います」
みほ「分かりました、一定の距離を保ってください、Ⅲ号と連携して追い詰めましょう」
みほ『小梅さん、そちらも砲撃は厳しいですか』
小梅『無理ではないですが、失敗した時のリスクが少し怖いですね』
みほ『分かりました、もう少し状況を見てみます』
乗員「くそっ、目の前に敵はいるってのに…っ」ギリッ
みほ「仕方ありません、この天候で出来る最善のことをやりましょう」
みほ「耐え抜いてください、雨が止む時こそ私達が連覇を成し遂げる時です」
乗員「もちろんです、いつでもご命令を」
みほ「...雨、止まないな」ボソッ
乗員「どうしたんですか、副隊長、らしくないですね」
乗員「さっきまであれだけ啖呵切らしてたのに、意外と気は短い方でして?」
みほ「予報では確かに雨だったんですけど、ここまでとは」
乗員「試合中断の報はありませんし、ここ一帯だけ降ってるんでしょうか」
みほ「いえ、河も増水してます、恐らく会場はどこもそうだと思いますよ」
みほ「所在地の気候によって大きく公平さを欠く積雪と違って、雨はどこでも降りますから」
みほ「この天候でも続行されると思います、相手も条件は同じです、頑張りましょう」
乗員「はい、了解で...うわっ!」ドン
みほ「っ、砲撃!?なんで!」
小梅『みほさん!前方にプラウダの援護車輌がいます!そこから砲撃されてます!』
みほ『応戦します!とにかく撃ってください!』
小梅『っ、ダメです!間に合いません!』
みほ『相手も条件は同じです!当たりません!落ち着いて照準を合わせて...!』
乗員「副隊長危ない!」
みほ「え...きゃあ!」ドン
乗員「おい!車体落ちてるぞ!早く立て直せ!」
乗員「ダメです!完全に制御利きません!」
みほ「どうにかして踏ん張ってください!」
乗員「出来るならしてます!っく、うあああああ!もうダメです!」
みほ「きゃああああああ!」
小梅『217号車応答願います!217号車!みほさん!お願いします!』
まほ『どうした赤星!フラッグ車に何があった!』
小梅『敵車輌に砲撃されて脱輪!そのまま川に転落しました!』
まほ『な...っ!車輌はどうなってる!』
小梅『車体のほとんどが沈んで流されて行ってます!』
エリカ『217号って副隊長のじゃない!何やってんの!』
まほ『至急大会本部に連絡しろ!乗組員の命が危ない!』
みほ「み、皆さん大丈夫ですか!」
乗員「はい!大丈夫です!」
乗員「早く!早く脱出しないと!」
みほ「落ち着いてください!ハッチを開けなければ浸水は最低限に抑えられるはずです!」
乗員「で、でも!スリットから水が!水が!」
みほ「その浸水量なら本部が来るまでに持ちこたえられます!だから」
乗員「でも!もし間に合わなかったら!」
みほ「間に合います!今外に飛び出す方が危険です!」
乗員「嫌よ!閉じ込められたらそれこそ、それこそ...っ」
みほ「落ち着いてください!私を信じて!」
乗員「ひっ、いや、いやあああああああああああああ!」ガチャッ
みほ「ダメ!そこを開けたら...っ」
乗員「え」サババババッ
乗員「きゃあああああああああああああああああああ!」
みほ「早く!早くハッチをしめ、かはっ」
乗員「いやああああああああ、かはっ、あっ、いや!たす、けて」
みほ(まずい、このままだと車内でみんな...)
みほ(この川に飛び込んだらそれこそ、いや、でもそうしないと)
みほ(もう、イチかバチか決めるしか!)
みほ「み、みなさ、ん!息を止めて、くだ、さい!」
みほ「満水になった、しゅ、瞬間に、ハッチから出て!」
乗員「わ、わかりました!」
みほ「す、ぐに、満水、に、なります、から、せーのでい、きを、とめ、ます!」
みほ「せぇ、の!」
「誰が落ちたの!」
「フラッグ車!副隊長のティーガ-Ⅰよ!」
「早く助けを呼ばないと!」
「大会本部はまだ!?」
「なんで中止判断が出ないの!」
「まだ気づいてないんだよ!」
「隊長!プラウダに助けを呼びましょう!」
「優勝旗の重み分かって言ってんの!?そんな簡単に捨てれない!」
「あいつの命がかかってんのよ!」
まほ「...赤星」
小梅「あ、ああ、隊、長...」
小梅「ご、ごめんなさい、私が、私がすぐに助けに行ってれば...」
小梅「あ、ああ、ああああぁぁぁぁ」
まほ「お前のせいじゃない、落ち着け、自分を責めるな」
まほ「きっと、きっと大丈夫だ、みほなら、あいつらなら、大丈夫だ」
「ねえ!大丈夫!しっかりして!」
「中の子を引き上げたわ!みんな手伝って!」
まほ「っ!すぐ行く!暖を取れるものを持ってこい!」
乗員「はぁ、はぁ、はぁ...」グッタリ
まほ「安心しろ、もう大丈夫だ」
小梅「......」
乗員「う、うぅぅ、ごめん、なさい、ごめんなさいぃぃ...」
乗員「私達のせいで、十連覇が、ああぁ...っ」
まほ「何を謝る必要がある、お前達が助かることが一番だ」
まほ「何も気負わなくていい、だから、何も」
小梅「どこ、ですか」
小梅「副隊長は、みほさんは、どこですか」
乗員「......」
まほ「......」
乗員「...中、です」
乗員「副隊長は、まだ、中に、います」
みほ(ほら、せぇの)グググ
みほ(よし、三人車外に出した)
みほ(あと一人、はやく、はやくしないと、私も、もう)
乗員「」
みほ(...っ、まずい、この人、意識が!)
みほ(咄嗟のことで判断出来なかったんだ!このままだと本当に!)
みほ(ゆっくり引っ張って、一緒に車外に)グググ
乗員「っ!~!」ゴポ
みほ(っ、意識が!)
乗員「~っ!」フルフル ガシッ
みほ「っ!」
みほ(この人、私が逃げると思って、車内に引っ張って...っ!)
乗員「~!」
みほ(や、めて!お願い!中に引っ張らないで!)
乗員「!」グイッ
みほ(もう本当に息が、だめ、いや!やめて!)
みほ(...いやだ、死にたくない、しにたくない!)ジタバタ
みほ(死にたくない!死にたくない!死にたくない!)
みほ(死にたくないっ!!)バシッ
乗員「~、 っ 」
みほ(はやく、はやく水面に!)
みほ「っ!げほっ!がはっ!」
まほ「みほ!」
みほ「は、はぁ、はぁ、はぁ、あ、ああぁ」
まほ「大丈夫かみほ!もう大丈夫だからな!」
みほ「あ、おねい、ちゃん...」
みほ「あ、ああ、あああああぁぁぁ...」
みほ「怖かった、怖かったよぉぉぉ...」
まほ「よしよし、もう大丈夫だからな」
みほ「あああああぁぁぁぁぁ...」
小梅「みほさん!良かった!」
エリカ「アンタいつまで心配かけさせてんのよ!」
みほ「ごめんなさい、でも、ホントに、死ぬかと、思って」
みほ「生きたい、って、すごく、おもって、だから、私...っ」
「ねえ、ちょっと、副隊長...」
みほ「う、ううぅぅ、うぇ、どう、しました...?」
「もう一人は、あの子は、どう、したんですか」
みほ「もう、一人...っぁ」
みほ「あああぁ、あ、ああぁ、ぁぁ」ガタガタ
まほ「みほ?」
コメント一覧
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- 2016年09月29日 23:18
- えへへっじゃねーよゆかりん
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- 2016年09月29日 23:20
- 最後…?あと虎1には潜水キットがあってだなぁ…
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- 2016年09月29日 23:26
- よかった。怪我した名もなき隊員はいなかったんだね(おサイコゆかりんからは目をそらしつつ
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- 2016年09月29日 23:32
- 車長の命令を無視、車内に水をぶちこむ、自分を引っ張ってるみぽりんを車内に引きずりこもうとする
敵校のスパイが西住流を消すために入りこんだ可能性が微レ存……?
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- 2016年09月29日 23:37
- 秋山殿はかわいいなぁ
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- 2016年09月29日 23:39
- 潜水キットって後々なくならなかったっけ手間多くて
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- 2016年09月29日 23:40
- 間抜けなヘイタイは敵よりも質が悪い
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- 2016年09月29日 23:43
- 錬度の高い兵隊ならいざ知らず、一介の女子高生ならまあ逆に落ち着けって言われて落ち着く方が無理だわな確かに
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- 2016年09月29日 23:44
- みぽりん水中でハッチ開けちゃうよな娘なんですけど…
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- 2016年09月29日 23:45
- これさぁ、投げたか最初からやる気がなかったのかは知らないが、ちゃんと転校して命令されてどうなったかも書いてたら面白くなる可能性はあったのに。
ネタが良いだけに勿体ないなぁ。
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- 2016年09月29日 23:48
- 俺が読み取れなかっただけだと思うんだけど
意識を失ってた人がどうしてみぽりんを引っ張り込めたの?
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- 2016年09月29日 23:50
- 「我に意識なんか不要!」
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- 2016年09月29日 23:52
- いくら安全だからって戦車川に落ちてるのに再戦とかないのはどうなのよ
あとプラウダはスポーツマンシップに欠けるってすごい叩かれてそう
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- 2016年09月29日 23:55
- SS自体はとても良かったけど、やっぱり優勝が当然の学校の生徒がこんな素人丸出しの振る舞いはしないよなあ
バスケ強豪校の一軍メンバーなのに、ネンザした時に冷やしも固定も知らずパニクって暴れまわってネンザを悪化させるとかそのレベル
念を押すが、SSはとても良かったし上記の違和感はどうでもいいような些細な事だけど
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- 2016年09月29日 23:56
- 仮にもしこうなってみほの意識が無くなったら、みほの才能を活かすために阿頼耶識の手術を施してモビルワーカーに繋ごう。
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- 2016年09月29日 23:57
- ※11
みほ(ゆっくり引っ張って、一緒に車外に)グググ
乗員「っ!~!」ゴポ
みほ(っ、意識が!)
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