ホンダ「S660」はマツダ「MX-5ミアータ」(日本名:ロードスター)が大きく見えるほど小型のスポーツカーだ。660ccの直列3気筒ターボ・エンジンを搭載し最高出力64psを発揮するが、ご想像の通り、それほど速いわけではない。しかし、ホンダのエンジニア達は、同型のエンジンを小型ビジネスジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」に類似したマシンに搭載し、米国ユタ州の塩平原、ボンネビル・ソルトフラッツで開催された「Mike Cook's Bonneville Shootout」において、1マイル測定区間261.875mph(約421.446km/h)、1km測定区間261.966mph (421.595km/h)という、FIA公認のクラス最速記録を樹立した。
この記録に挑んだホンダのエンジニア・チームは、将来に向けた技術開発と若手技術者の育成を目的として公募で選出された16人。彼らはカテゴリーA、グループ1、クラス4(自動車・レシプロ過給エンジン・排気量500-750cc)にてFIA認定の世界最高速記録を樹立。2006年にV型10気筒エンジンを搭載するBARホンダF1マシンが達成した246.908mph(約397.360km/h)をも上回った。
このエアロダイナミクスを徹底的に追及したマシンを操縦したのは、元Hondaワークス・ライダーである宮城 光氏。今ではホンダ史上最速のマシンを運転したドライバーとなる。しかし、ホンダは最大巡航速度782km/hのホンダジェットをも凌ぐ地上走行マシンを目指して、さらに先を見据えているという。
By Joel Patel
翻訳:日本映像翻訳