JJ「Not I,Not I,But…」
- 2016年10月09日 21:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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暗い部屋のなかデスクに向かい一人残業を続けている者がいた
とあるブラウザゲームのイラスト依頼を仕事とする運営だった
彼の元にはアウトともセーフともとれる幼い女児の画像が届けられていた
そう、JJだ
JJは初期からこのゲームの絵師をしていたわけではないがそのこだわりのある絵から多くのファンがいる
そんなJJから画像が届いたのだ
運営「なんで…なんで発注してないのに届くんだ!しかも未実装キャラや担当キャラの中でも危険度が高い娘ばかり!」
JJはよく言えば仕事熱心で、またそれは自分の欲望を満たすためともとれた
イラストにはJJからの一言も添えてあった
どうですかもなにもアウトすれすれである
JJには悪いが今回もこの案はお蔵入りとさせてもらった
運営はひとつ大きな溜め息をついて仕事場をあとにした
カンコーン!
ラインだ
急ぎの仕事かと慌ててスマホをとり確認すると相手はJJだった
JJ『クチクカン…カキタイ…』
運営『駄目です』
お約束となりつつあるやり取りだ
運営『それよりJJさん今日はもう描いて送ってきたじゃないですか』
JJ『いや…ついうっかり…』
この人はついうっかりでやけにこだわったイラストを瞬く間に送りつけてくる
JJ『うぅ…痛いところを…』
それからしばらくの間他愛もないチャットを少し続ける
明日もまた新作が届くのだろうと思いながらそのまま寝落ちした
運営「朝か…」
気がつけば運営は職場で一夜を過ごした
寝ていた間の連絡を整理し再び仕事に取りかかる
運営(あれ…?なにか忘れている気が…しかし思い出せない…)
昨日はJJからイラストが届いていなかったのだ
イラストは毎日は届かないのが基本であり毎日届くのが異常なのであるがそれによりむしろ運営は違和感を覚えていた
そして不幸にもここからまた仕事が非常に忙しくなり始めた
JJはここ毎日駆逐艦を描きたい旨を運営に伝えているがそれが運営に届くのはありえない
運営は忙しさのあまりラインもツイッターも確認していなかった
JJ(無反応はgoサインってどっかできいたもんねしかたないね)
数日間の無反応はJJの本能を揺さぶった
朝である
運営はもう十数日こんな調子だ
だがそれも今日までで今日さえ乗り越えればようやく仕事が一段落つくのだ
運営は冴えない頭で仕事が終わる喜びにだけ動かされ、また仕事を始めた
ようやく仕事を終えた運営だったが時を同じくしてもう一人一仕事終えた者がいた
運営はなんとも言えない寒気を感じ早々に仕事場をあとにした
運営(胸騒ぎがする…なにかがヤバイ…)
運営「な…なんだこれは…」
運営の目に飛び込んできたもの、それは百を越える新着通知であった
運営(しかもすべてJJさんからだと…?)
運営は戸惑いながらJJとの会話を開いた
『アッアッ…』
『クチクカン…カキタイ…』
『ウンエイサン…クチクヲ…』
『ヌヌヌ』
『アアアアー…』
運営「…」
運営はなにも言わずスマホの電源を落とした
JJは時々暴走するのだ
いつもこうではないのだ
今日はしばらくトークしてなかったからこんなにも恐ろしく感じたのだ
自分にそう言い聞かせ再び電源を入れ起動を待つ
運営「JJさんには悪いことしてしまったな…」
こういうときにはとりあえず駆逐艦を実装させてあげるのが一番だと感じた運営は起動してから一番にその旨を伝えた
運営『お詫びと言ってはなんですが駆逐艦をひとつ実装させたり限定グラにしたり上と掛け合ってみます』
一瞬だった
JJ『え!ほんとですか!?言いましたね!?やったぁ!!!!』
いったいどうすれば書き込んだ瞬間に返答が来るのかわからないがとにかく無事そうだったのには運営も安堵した
翌朝
運営「なんだ…これは…」
運営の元には十を越えるイラストが届いていた
そのどれもが青少年のなにかに関わるなにかであった
添付されていた文章は半角のみで綴られていていかにもJJらしかった
運営(描いていいとはいったもののここまで描くとは…JJ、侮りがたし…)
とりあえずJJからのイラストについて考えるのをやめ相談することとした
運営はいつものようにJJと連絡を取り始める
運営『JJさんなんですかあの量は…常識的に考えても二三枚が限度ですよこういうのは…』
JJ『エッ!ヤダッ!ソンナニオオイ?』
運営『多いです!多すぎです!ということで絞りましょう』
JJ『えぇ…』
運営『まずこれとこれとこれとこれはアウトですね…これは季節感が…』
運営『…うーん、まずこれくらいですかね』
運営が選んだのはもっとも危険要素の少ない二枚だった
JJ『そんなぁ…あんなに描いたのに…』
JJ『ですよね…とにかく感謝です』
運営『では実装するまでお待ちください』
JJ『楽しみにしてますね!』
こうしてJJのぎりぎりを攻めたイラストが実装された
運営「ひとついいですか?」
JJ「はぁ、なんでしょうか」
運営「なんでJJさんはあんなに大量に魂込めたイラストをお描きになるんです?」
JJ「あぁそのことでしたか…実は僕もよくわからなくて」
運営「はい?」
JJ「Not I, not I, but the wind that blows through me…」
運営「ロレンスですか」
JJ「そうです…私がこれを描くのではありません」
JJ「私のなかを吹き抜けるあの風が描いたのです」
JJ「「あの風」が、私の絵を描く身体を通過していきました…」
JJ「そのとき身体に残された痕跡があれです」
JJ「作品を描いたのはあの風なんです…」
運営「…」
運営「JJさん…あなたって人は…なんて!」
JJ「ということでもっと描きたいです」
運営「…台無しですよ」
JJ「いやぁ~!湿っぽいのは苦手でして!」
運営「らしいっちゃらしいですけどね」
運営「といいますと?」
JJ「最初に担当させていただいたのがまさしく風でしたからね」
JJ「最初に担当した娘のおかげで今こうしていられるのかもしれないですね…」
運営「まぁいつまでもあんなの描かせるのは不味いですから今後は別ベクトルの依頼を増やしますか」
JJ「そんなぁ…殺生な…」
運営「別ベクトルでも人気高いですよ?」
JJ「慰めになってないですよ…(そんな依頼されてもこっちのスタイルに寄せてってやる!)」
運営「嫌な予感がしましたけどお仕事頑張ってくださいね!」
JJ「えぇ、こちらこそ」
運営「ではまた」
html依頼してきます
元スレ
JJ「Not I,Not I,But…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475588785/
JJ「Not I,Not I,But…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475588785/
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