帰ってきた金糸雀サン
- § 主な登場人形紹介
【真紅】
ウナギを愛するあまりウナギとのベッドインも辞さない第5ドール
【雛苺】
イチゴ大福を食べないでいると手の震えと失禁が止まらなくなる第6ドール
【翠星石】
とりあえず毎日かめはめ波の練習を欠かさない第3ドール
【蒼星石】
魔除けのために帽子の中の頭の上にはガーゴイル像を置いている第4ドール
【金糸雀】
グアムで野生のイルカの背に乗ってそのまま消息を絶った第2ドール
【珪孔雀】
ドレスの前掛けが看板みたいだと言われた第8ドール
【水銀燈】
小3のタケルとユーチューバー界で鎬を削る第1ドール
【雪華綺晶】
ハロウィンに向けて冥界の門を開く七つの鍵を集め始めた第7ドール
【薔薇水晶】
ご当地キャラ「ばらっしー」という副業を営む槐ドール
- § 桜田家のリビング
真紅「ねぇ? ウナギとくんくんのね、子供ができたらどうする?」
翠星石「ウナギとくんくん探偵…、え? ひょっとしてウナギ犬探偵の誕生ですか?」
雛苺「まさかのハイブリッド探偵の誕生なのよ! エコなの! エコの極みなのー!」
翠星石「決め台詞はきっと『僕の推理はうなぎ登り!』とかですよ、きっとぉ~!」
雛苺「すごいのー! どんな難事件もヌルっと解決なのよね!」
真紅「そうでしょそうでしょ。すごくない? すごくなくない?」
ジュン「本当に真紅はくんくん探偵とウナギが大好きだなぁ…」
真紅「ええ、くんくん探偵は高嶺の花だけど、ウナギには手が届く。実際、ベッドインの可能性も十分にある」
翠星石「ひゃー! 真紅はウナギにその操をも捧げる覚悟ですか!?」
雛苺「覚悟完了しすぎなの! 鷹の団を捧げたグリフィスよりも覚悟完了なのー!」
ジュン「ウナギとのベッドインの可能性を模索するなよ…」
真紅「ベッドインは序の口だわ。ジュンは隙を見て、そのままウナギと私を煮込んでゼリー寄せにして頂戴」
ジュン「まるで意味が分かりません」
真紅「くんくんとウナギが結ばれてウナギ犬探偵が爆誕する。私とウナギはゼリー寄せになる…、つまり」
翠星石「つまり、挟み撃ちの形になるですね」
ジュン「なってない。挟めてない。接点ゼロ」
真紅「いいえ、ウナギを介して私とくんくん探偵と世界は一繋ぎになる。これこそ絆の力」
雛苺「ウナギは世界を救うのー!」
ジュン「少なくとも僕は現時点ですら君達の世界に置いてけぼりなので、救われないと思います」
真紅「どうやらジュンはウナギへの理解が今一つ足りないようだわ」
雛苺「ジェノシドーが必要なのよね」
翠星石「それを言うならキョウイクテキシドー(教育的指導)ですぅ、チビ苺」
雛苺「そ、そうとも言うの」
ジュン「指導って…何をするつもりだ?」
真紅「ちょうど今から、ローカル局のローゼンTVが少し季節外れのウナギ特集を放送するわ」
ジュン「ローゼンTV…て、槐先生と薔薇水晶のゲリラ放送のアレか」
翠星石「そうです。アレですぅ」
雛苺「ジュンもヒナ達と一緒にテレビを見て、ウナギ愛に目覚めるの!」
ジュン「いやだよ、ウナギ特集だなんて」
真紅「いいから見なさい。ほら翠星石、テレビつけて」
翠星石「ラジャーでぇす」
雛苺「見てなの、見てなのぉ」
ジュン「やれやれ…」
- § ローゼンTV
薔薇水晶「皆様こんばんは。ローゼンTVのメインキャスターの薔薇水晶です」
槐「ご意見番の槐です」
薔薇水晶「季節の変わり目、皆様におかれましては風邪など召していないでしょうか」
槐「今年の風邪は質(タチ)が良いそうですから、ひいても大したことないそうですよ薔薇水晶さん」
薔薇水晶「そうなんですか? タチの良い風邪だなんて、私は初めて聞きました」
槐「はっはっは! 僕も今、初めて言いました」
薔薇水晶「あらあら、これは一本取られましたね」
槐「いやいや、なんのそのこれしき」
薔薇水晶「さて、茶番はこれぐらいにして本題のローゼンニュースのお時間です」
槐「今回はかねてよりお知らせしておりましたウナギ特集をお送りいたします」
薔薇水晶「特集の目玉は、何と言ってもウナギの産卵地についてのレポートです」
槐「謎に包まれていたウナギ産卵地がグアム沖である事は、魚類学者の研究で判明はしていましたが…」
薔薇水晶「ついにその現場に、私どもローゼンTVクルーのカメラが潜入することに成功しました」
槐「さあ、我らがクルーは貴重なウナギの産卵シーンの撮影には成功したのでしょうか?」
薔薇水晶「それでは特集映像 『大衝撃! グアム沖でウナギを食いまくるイルカを見た!』 をご覧ください」
槐「ちょっ…!? 薔薇水晶さん、タイトルコールでネタバレをやりすぎィ!」
- § 特集映像
蒼星石「どうも僕です! ローゼンTV専属カメラマン兼ナレーターの蒼星石です」
珪孔雀「現場監督兼ADの珪孔雀です!」
ばらっしー「突撃取材レポーターのばらっしーだっしー! 今日も体当たり取材で行くらっしー!」ブンブン
蒼星石「この船はマスター(結菱一葉)に買ってもらったとは言え、中古のボロだからヘッドバンキングはやめてくれよ、ばらっしー」
珪孔雀「そうですよ。下手したら船に穴が開いて沈没しちゃうんだから」
ばらっしー「ゴメンらっしー!」
蒼星石「それはそうと、そろそろ目的のウナギ産卵エリア海域のはずだね」
珪孔雀「薔薇水晶お姉さ…じゃあなくて、ばらっしー=サン! 準備は出来ていますか?」
ばらっしー「勿論らっしー! この槐先生特製の潜水服に身を包んだ水中型ばらっしーに不可能は無いらっし!」
蒼星石「僕達は基本的に生身の人間よりも浸水や水圧には強い。けど、無理は禁物だよ」
ばらっしー「分かってるらっしー! 深海でのウナギの濡れ場を撮影したら、すぐ合図を送って引っ張り上げてもらうっし」
珪孔雀「ウナギの濡れ場て…、確かに濡れ場には違いないんですけど」
蒼星石「ああっ! みんな大変だ! アレを見て!」
ばらっしー「なんだっしー?」
珪孔雀「あれは…っ!? イルカです! イルカの大群がいます!」
ばらっしー「何でイルカがこんなところに沢山いるんだっしー!?」
蒼星石「しかし、これは思わぬ大自然のスペクタクル映像だ! 何だか幸先いいぞ!」
珪孔雀「っ!? イルカをよく見てください蒼星石お姉様!」
蒼星石「うん?」
珪孔雀「ウナギを! ウナギを咥えて…、食べていますよ!」
蒼星石「何だってェーッ!?」
ばらっしー「イルカってウナギを食べるらっしー!?」
蒼星石「分からない! しかし、現に食べている! これはもしや海洋学史に残るスクープでは!?」
ばらっしー「さらによく見ると、イルカの大群のほとんど全てが口々にウナギを頬張ってるっしな!」
珪孔雀「太いウナギがイルカのお口に入っちゃう!」
蒼星石「むむむ…! この海域のウナギの総数は分からないが、これはいくら何でもイルカに食べられすぎでは?」
ばらっしー「産卵地のウナギが減ったら、どんどんウナギ不足に拍車がかかるっしー!」
蒼星石「もっと近づいて撮影しよう。イルカとウナギ、正義はどちらにあるのか…! それを見極めるのが海上カメラマンの…」
珪孔雀「ああっ! 大変です蒼星石お姉様! 撮影どころじゃあないみたいですよ!」
蒼星石「何ぃ!?」
珪孔雀「いつの間にかイルカ達に体当たりで船底を破られたみたいで、浸水しています!」
ばらっしー「溺れる! 溺れる!」
蒼星石「パニックになるんじゃあない水中型ばらっしー! 仕方が無い、ここは撮影を諦めて撤収だ!」
珪孔雀「は、はい! 撤収! てっしゅウゥーーーー!」
- § ローゼンTV
薔薇水晶「…と、このように残念ながらクルーはイルカの妨害に遭い、撤収を余儀なくされました」
槐「船が沈む前に陸地に戻れたようで何よりです」
薔薇水晶「昨今のウナギ不足の理由は、ウナギ産卵地におけるイルカによる爆食いなのでしょうか? 槐先生?」
槐「それは早計です薔薇水晶さん。今回、クルーの撮影した現状は昔から普通に起きていたことかもしれません」
薔薇水晶「なるほど」
槐「大自然の脅威の前に我々は驚くばかりです。今はただ、備えましょう」
薔薇水晶「はい、槐先生。それでは今日のウナギ特集はこれにて終了です。皆様ごきげんよう」
- § 桜田家のリビング
翠星石「うーむ…。毎度毎度、魅せてくるですねローゼンTVは」
雛苺「イルカさん可愛かったの~」
ジュン「現場監督兼ADって…、ADを兼ねる必要あるのか」
真紅「……」
翠星石「真紅? どうしたです? 眉間にしわを寄せて? 顔が(@盆@)みたいになっているですよ」
真紅「ウナギ…、ウナギ不足…」ぶつぶつ
翠星石「ウナギLOVEな真紅にとって、今回のローゼンTVはショッキングすぎる内容だったですか?」
ジュン「槐先生は明言を避けていたけど、イルカがウナギ不足の原因かもしれないだなんてな」
真紅「ウナギ不足…! 間違いない! これは金糸雀の仕業よ!」
翠星石「はぁ?」
雛苺「かなりあの仕業!?」
ジュン「な、何故ここで金糸雀!?」
真紅「金糸雀はグアムで野生のイルカの背に乗って行方不明。そして金糸雀もウナギが大好き…」
翠星石「なるほどですぅ! この二つの符号が示すのはただ一つ…!」
雛苺「金糸雀がイルカにウナギの味を教え込んだのよね!」
真紅「そして金糸雀自身も手下のイルカに捕らえさせたウナギで、舌鼓を太鼓の達人ばりに打っているに違いない」
雛苺「そいつはメチャゆるせんなのー!」
翠星石「おのれカナチビ…!」
ジュン「おいおいおいおいおいおいおい! 金糸雀のせいだと決め付けるのは無理矢理すぎるんじゃあ…」
真紅「いいえ! 既に疑惑は確信に変わっている。私の第6感どころかセブンセンシズもビンビンよ!」
ジュン「ビンビンて…」
真紅「もはやグアム沖に乗り込んで金糸雀を粉砕する他に方法はないわ!」
翠星石「イエェェ~ス! グアムに乗り込めで~す!」
雛苺「ぐあむ! ぐあむ!」
ジュン「どうやって行くつもりだよ…」
真紅「nのフィールドを介した高度な空間跳躍移動を使わざるを得ない!」
ジュン「マジで!? nフィー万能だなぁ」
真紅「しかし、これはマスターの体力をごっそり削る超裏技なのだわ!」
ジュン「マジで!? どんぐらい僕の体力を削っちゃうの!?」
翠星石「新気功砲50発分ぐらいですかね」
真紅「ええ、それぐらいよ多分。流石のドンブリ勘定だわ翠星石、良い意味で」
雛苺「翠星石の計算はいつでも頼りになるの」
ジュン「死んじゃう! それ、天津飯でも即死しちゃうレベル! あと、ドンブリ勘定を良い意味で使うやつ初めて見た」
真紅「ジュン…、薔薇乙女には死ぬと分かっていても行かなくてはならない戦場があるの
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- :-:2016/10/11(火) 23:35:41
- 金糸雀=サンは・・・どこ?・・・ここ?