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キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」九冊目【後半】|エレファント速報:SSまとめブログ

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キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」九冊目【後半】

関連記事:キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」九冊目【前半】





キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」九冊目【後半】






543:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/18(月)00:36:50 ID:2mQ


舌切り雀の世界 雀のお宿

舌切り雀「えっ?この世界にあの有名な『桃太郎』が来てるってんですかい?そりゃすげぇ!」

雀の長老「これ、舌切りの!日ノ本一の英雄を呼び捨てにするとは何事じゃ!様を付けんかい様を!」

舌切り雀「へぇすんません。そんで…本当なんですかい?その桃太郎サマが来てるってのは?」

雀の長老「うむ、偵察隊からの確かな情報じゃ。お供として有名な三匹は不在じゃが素性が解らぬライオンを引き連れているとの報告もあるのぅ」

舌切り雀「ほー…まぁ鬼退治のお供が犬猿雉って完全に舐めてますもんね。桃太郎もようやく本気を出したってとこですかね」ハハハ

雀の長老「様を付けろと言うに!まったく…舌を切られても相変わらず口に減らない奴じゃ、お前はもう少し言葉を選んでじゃなぁ…」

舌切り雀「まぁまぁ、今日は小言を聞くために来たんじゃありやせんから。お説教はまたの機会ってぇ事で、じゃないとまた抜け羽が増えますぜ」ハハハ

雀の長老「そうやって思ったことを口にするのを控えろと言うておるんじゃい!お前には雀のお宿の一員だという自覚と気配りが足りん!」

舌切り雀「やだなぁ、長老忘れたんですかい?あっし、雀のお宿の一員として、お世話になったご主人をキチンともてなしてお土産のつづらもバッチリ渡したじゃねぇですかい。完璧な仕事でしたぜありゃあ」

雀の長老「お前はその後に訪れたご婦人にとんでもない仕打ちをしたじゃろ!よりによって世話になった相手に魑魅魍魎の入ったつづらを渡すなど宿始まって以来の不祥事じゃ!」

舌切り雀「あのクソババァはあっしの舌を切り落としたんですぜ!?そのくせ強欲にももてなしを要求しやがって…ありゃあ当然の報いですぜ!」

雀の長老「阿呆!そもそも舌を切られたのはお前が勝手に糊を食い尽くしたせいじゃろうが!」

舌切り雀「まぁ…うん…いやいや、そうだとしても舌を切るなんざやりすぎだ、あっしがババァに復讐をするのは当然ですぜ!」

雀の長老「まったく…そういう考えじゃから自覚が足りないというんじゃ。舌切りの、ワシ等が営む雀のお宿とはどういうものか言うてみよ。きちんと理解しているかの?」



544:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/18(月)00:39:06 ID:2mQ

舌切り雀「当然ですぜ!ほら、あれ…客をもてなす宿!来た客をもてなしてつづら渡して…つう感じで…へへっ」

雀の長老「…良いか?我々が作っているのは癒しの空間なのじゃ。訪れた人を歓迎し心尽くしのもてなしをすることで理不尽や不条理のまかり通る社会で疲弊した心と体を癒す場所…それが雀のお宿」

雀の長老「一時だけでも慌ただしい日常から離れて安らいで頂き、帰り際にはお土産のつづらをお渡しする。そして笑顔でご帰宅なさるお客様の笑顔が何よりの報酬なのじゃ。決して復讐に利用して良い場所ではない」

舌切り雀「えーっ?じゃあなんで魑魅魍魎の入ったつづらとか用意してるんですかい?財宝より化物を選ぶ変態用ですかい?」

雀の長老「違うわい!あれは非力な我々が外敵から身を守るための護身用つづらじゃ!お土産用ではない!」

舌切り雀「あーなるほど!てっきり宿でベロンベロンになってゲロる客とか横柄な態度のクソみてぇな客をぶちのめす為かと思ってやした!はははっ!」

雀の長老「まったく…お前のような未熟者が何故このおとぎ話の主人公なのかのぉ…」

舌切り雀「ははっ、なんでですかね?」ヘラヘラ

雀の長老「笑い事ではない!偵察部隊からの報告によると桃太郎様はこの雀のお宿をめざしているようじゃ。おそらくは同じ主人公であるお前に何かしらの協力を求めるためじゃな」

舌切り雀「桃太郎があっしに用事?えーっ、正直相手するの面倒ですぜー?」

雀の長老「様を付けろと言うに!あと面倒とか本人の前で決して口にするでないぞ!」



545:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/18(月)00:40:49 ID:2mQ


雀の長老「おそらく、桃太郎様がお前の元へやってくるのは昨今のおとぎ話の世界を取り巻く現状に関連しておる。お前も現在おとぎ話の世界がどのような状況にあるかよく知っているだろう?」

舌切り雀「そりゃあもう。前にあっしの所に来た鬱陶しい白鳥と女版一寸法師みてぇな連中から詳しく話を聞きやしたから!アリスが暴れて世界がヤバい。ってなもんですよね?」

雀の長老「言葉選びはさておき…まぁそうじゃ。本来ならば我々もおとぎ話の世界の住人として、好き勝手しているアリスに立ち向かうべきじゃが…」

舌切り雀「そりゃ無理ってなもんですわ、あっしらは非力でちっぽけな雀ですぜ?」

雀の長老「如何にも。口惜しいかな…我々は戦うことなどできん、出来ることと言えば自分たちだけの力でこの【舌切り雀】の世界を守りきり、他の世界の方々の手を煩わせないことくらい」

雀の長老「しかし、詳しい理由は解らぬが桃太郎様はこの宿に…お前に協力を求めてやってこられる。これは喜ばしく、誇らしい事じゃ」

舌切り雀「アリスと戦う力を持つ桃太郎に協力できりゃあ、間接的つっても世界を守る戦いに一役買えるから、ですかい?」

雀の長老「左様。非力な我々でも力になれることがある、これほど嬉しいことはない。じゃから舌切りの、桃太郎様が訪れたら出来る限りのおもてなしと協力をする事、良いな?当然ワシ等も出来ることはするでな」

舌切り雀「えーっ…それあっしじゃないとダメですかい?ほら、あっし口も悪いし短気だしあんまり接客って向いてないと思うんd」

雀の長老「自覚しておるのならなんとかせい!お前は主人公じゃろ!」

舌切り雀「いや、そんなこと言われてもそれ現実世界の奴が勝手に決めたことですぜー?あっしに言われてもねぇ?」

雀の長老「言い訳無用じゃ!とにかく桃太郎様のお相手はおまえに任せるでな。しっかりと準備を整えて、さっさとお出迎えにあがらんか!」



546:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/18(月)00:43:27 ID:2mQ

舌切り雀の世界 雀のお宿から少し離れた森

舌切り雀「長老の話だとそろそろこの辺までたどり着いてんじゃねぇかって話だけどよぉ…桃太郎って強いんだろ?迎えなんかいるのかねぇ?」

舌切り雀「しっかし面倒な事になっちまったなー、あっしが日ノ本一の英雄の接待かぁー…面倒な上に気が重いわなぁー…接待しろつってもなぁ…何しろってんだよ」

舌切り雀「糊食っただけでブチキレるババァとか、わざわざ森の奥まであっしを探しに来たご主人とかもそーだけど、人間の考えってのはイマイチわかんねぇしなぁ…」

舌切り雀「とりあえずあれだ、好物はきびだんごだろうな。厨房の連中にクッソ大量に作っとけって言ったからまぁ問題ねぇだろ」

舌切り雀「しっかしあっしに何の用事なのかねぇ…確かに日ノ本が舞台だって共通点はあるが時代も場所も違うしそもそも世界が違うってのに、何頼まれるんだか知らねぇけどさ」

舌切り雀「まっ、どっちにしろ下手に出てやるか。鬼を倒す程だから相当な手練れでよ、そんでお高く止まってる偉そうな野郎だろうしなー…んっ?」

ドタドタドタ

行商人「うわああぁ!だ、誰か助けてくれぇ!」

流浪の侍「逃がしはせん…!悪いが荷は全て置いていって貰おうか…さもなくば斬る!」チャキッ

舌切り雀(うわー、物騒になっちまったなこの辺も。野武士か落ち武者か…どっちにしろ商人にゃ気の毒だがあっしにはどうにもできねぇ)

行商人「そ、そいつはできねぇ!商品を渡しちまったら村で俺を待ってるお客に申し訳ねぇ!だから勘弁しちゃくれねぇか!」

流浪の侍「…拙者の知ったことではない。こちらも命を繋ぐには銭が必要…荷を渡す気がないというのならば、お主を殺して奪うまで…!」

行商人「くっ、もう逃げ場がねぇ…ここまでか!村の衆、すまねぇ…!」



547:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/18(月)00:46:16 ID:2mQ

流浪の侍「退路は断たれた、観念するがいい…!」ググッ

ビュオンッ! ガキィィンッ!!

桃太郎「…罪無き商人を襲うとは不届きなり」グググッ

行商人「た、助かった…!」

流浪の侍「馬鹿な…拙者の太刀が防がれただと!?」

桃太郎「腰に携えた刀、そしてその身なり、侍としての器は整っているようだが…肝心の中身が伴っていなければ侍とは呼べぬ、素人同然」

流浪の侍「拙者を愚弄するか…!主を失おうとも拙者は侍だ、拙者が素人だなどという戯れ言…撤回して貰おう!」ジャキッ

桃太郎「確かに刀は相当な業物のようだが…信念無き刃などナマクラ刀にも劣る、そのような棒きれで斬れる物などありはせん」

流浪の侍「どこまでも拙者を愚弄するというのだな…貴様が相当な手練れだというのなら、一切の容赦はせぬ!」ダダッ

ビュオンッ! スッ

桃太郎「…言ったであろう、信念無きお主では拙者を斬ることは叶わぬ。早々に去るがいい」

流浪の侍「くっ…堕ちようとも拙者は侍!いくら貴様が強かろうとそこまで言われながら背を向け逃げるなどできん!」ズバッ

桃太郎「退くもまた兵法…とはいえその心意気、悪くはない」ビュッ

流浪の侍「ぬぐぉ…峰打ちだと!?くっ、動けぬ…!侍同士の果たし合いに遠慮など…ひと思いに斬れ!」ドサッ

桃太郎「お主は斬るには惜しい。商人よ、この隙に逃げよ。護衛についてはやれぬが…大きな街道へ出ればもう案ずることもないだろう」

行商人「あ、ありがとうございます!助かりました!では私は失礼して…!」スタタタタ

桃太郎「さて…これであの商人は無事村へたどり着けるだろう。次は…お主だ」スッ



548:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/18(月)00:48:15 ID:2mQ


流浪の侍「ようやく斬る気になったか。命を捨てる覚悟など遠の昔に出来ている…!斬れ…!」

桃太郎「言ったであろう、斬るには惜しいと。しばらくすれば動けるだろう…もうあの様な真似をするのは止めることだ。お主が侍であり続けたいのならな。これは僅かだが…とって置くが良い」スッ

流浪の侍「銭だと…?このような施しをされるいわれはない!」

桃太郎「お主もかつては主君のために刃を振るう真の侍だったのだろう?」

流浪の侍「あぁ…だが主を失い、職を失った拙者にはもうこうするしか生きる道が無いのだ!」

桃太郎「拙者はそうは思えぬ。今は辛くとも歩みを止めなければいずれまた侍として刃を振るうことも叶おう。この路銀は…それを願う拙者の気持ちだ、受け取っては貰えぬか」

流浪の侍「……」

桃太郎「信念無き刃ではあったが、お主の剣術はなかなか見所が有るものだった。すぐにでもお主を必要としてくれる者は現れるだろう。では…拙者はこれにて」

流浪の侍「待て。お主、名はなんという?」

桃太郎「桃太郎。そう呼ばれている」

流浪の侍「桃太郎。拙者は侍だ、受けた恩義は必ず返す…!次に合間見えるときは名実ともに侍として…お主の前に参ずる!必ず、必ずだ」

桃太郎「うむ…承知した。いずれまた合間見えよう」スッ



549:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/18(月)00:52:02 ID:2mQ


・・・

桃太郎「……」スタスタスタ

舌切り雀(へぇー、さすがは日ノ本一だ。商人を助けたうえに堕ちた侍にまで気をまわせるなんてな、少なくともあの侍は盗人にならずに済んだわけだ)

桃太郎「……」

舌切り雀(ただ悪い奴をぶちのめすんじゃなくて改心させちまうなんてすげぇなあいつぁ!あっしなら速攻でぶちのめすってのに、接待にも俄然やる気出てきたってもんだ!)

桃太郎「……ライオン、そこの茂みにいるのか?もう良い、姿を見せて構わぬ」

ガサガ
576:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/25(月)00:38:40 ID:WJF

金太郎の世界 足柄山

ライオン「あ、あの…雀さん、僕達ってもう世界移動してるんだよね?ここってもう【舌切り雀】の世界じゃあないんだよね?」オドオド

舌切り雀「おうよ、ここは既に別のおとぎ話【金太郎】の世界だぜ。それがどうかしたってぇのか?」パタパタ

ライオン「ううん、ただ周りの景色が雀さんの世界とすっごく似てるから不思議だなぁって…遠くに見える建物の造りとかそっくりだもんねぇ」

舌切り雀「そりゃあそうだ、あっしの故郷とここは別の世界に違いねぇ、だが同じ『日ノ本』ってぇ国を舞台にしてんだからよ」

ライオン「うぅーん…それなんだけど実は僕よくわかってないんだ。別の世界だけど同じ国…?この世界には雀のお宿は無くて…?桃太郎さんの家族も住んでなくて…?でもここは日ノ本で…うぅん?」

舌切り雀「あくまで舞台が同じってだけでそれぞれの世界は別モンだって事だ。あんまり難しく考えるこたぁねぇよ」

ライオン「そっかぁ、でもこういうとき頭が良かったらなぁーって思うよぉー、僕あんまり物知りじゃないから…もっと賢かったらあれこれ考えなくてもいいのになぁ」

舌切り雀「ハハッ!面白ぇ事言うなぁお前!【オズの魔法使い】で知識を求めてんのはお前じゃなくてかかしだろ?」ハハハ

ライオン「あははっ、そうだねぇー、僕が欲しいのは勇気なのに知識も欲しいなんて欲張りだねぇ~」アハハ

舌切り雀「おうよ、強欲なのはよくねぇぞ。あのババァみてぇに魑魅魍魎に襲われちまうかもしれねぇからなぁ~?」ケラケラ

ライオン「あわわ…僕は欲張らないようにしなきゃ!とりあえずは勇気だけ、勇気を手に入れることだけ考えようっと」ウンウン

舌切り雀「おう、それが良いぜぇ!…って言うかよぉ」チラッ

桃太郎「うわぁ…マジで来ちゃったよ…別のおとぎ話の『日ノ本』…ここの主人公に拙者を認めて貰う…?いやいや、無理だってマジで…」ブツブツ

舌切り雀「テメェはいつまでグダグダ言ってやがんだ!いい加減覚悟決めろやァァ!クチバシでガッてすんぞコラァァ!」ガッガッガッ

桃太郎「ひいぃっ!痛っ!痛っ!既にガッてやってるだろお前!もうなんなのこの暴力雀マジで嫌だもぉぉぉぉ!!」ヒイイィィィ



577:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/25(月)00:39:51 ID:WJF

桃太郎「怖えぇぇ…こいつマジで容赦ねぇ…怖えぇぇ…」コォォォッ

ライオン「その治癒能力本当に便利だねぇ。それにしても雀さんは桃太郎さんに対して特に厳しいよねぇ…も、もうちょっと優しくしてあげられないかなぁ…なんて思ってみたりするんだけど」チラッ

舌切り雀「こっちだってあんまりギャーギャー言いたくねぇんだぜ?でもなぁ…あっしが元々キツい性分だってのもあるけどよ、こいつの腐った桃みてぇな性格見てると我慢ならねぇんだよ。で、つい怒鳴っちまう」

桃太郎「腐った桃!?それ言い過ぎじゃない!?もうちょっと配慮した言い方g」ガーン

舌切り雀「雀ごときに怒鳴られてヒーヒー言ってるような男なんざ腐った桃以下だろうがァァ!」ガッ

桃太郎「痛いっ!雀ごときって言うけどお前気性も荒いし声もデカいから迫力すごいからね!?か弱さなんか微塵も無いからね!?」

舌切り雀「だからってビビっていい理由にはならねぇだろうが!オメェは仮にも日ノ本一を掲げてんだぞ?だったら誰に何を言われようが揺るがねぇ意識だの強いの気概があって当然じゃあねぇのか!」

桃太郎「うっ…一理ある…。確かにビビりなのは拙者の弱点だし…」

舌切り雀「国一番の英雄だろうがなんだろうが結局は人間だからよぉ、一つ二つ弱い部分があろうが隙があろうがそりゃ仕方ねぇよ。どんな偉業を成し遂げたところでそいつは神仏じゃねぇんだから」

舌切り雀「だがなぁ、オメェの場合はあまりに情けねぇ部分が多い!この際だから正直に言うがよぉ…お前の戦いぶりを初めて見た時はスゲェと思ったぜ。剣術に関しては日ノ本一ってのにあながち嘘じゃねぇと思ってるしな」

ライオン「わっ、やったね桃太郎さん!雀さん、誉めてくれてる!認めてくれてるよ!」ワチャワチャ

舌切り雀「ただし!こいつの場合は他がクソ過ぎて剣術の凄さが霞んでんだよ!戦いの後にやれビビっただの泣きそうだのと愚痴るわ…いい大人が蜂に怯えるわ…柴刈りで生計立てたいだの言って現実逃避するわ…些細なことでギャーギャー騒ぐわ…」

舌切り雀「挙げ句に雀なんぞに怒鳴られてすぐに謝るわで…どれだけ自分に自信がねぇんだオメェはよぉ!?」

桃太郎「ぐぬぬ…正直、否定できない…」

舌切り雀「だからそこで否定しろォォ!鬼退治を果たした英雄が何を雀ごときに言いたい放題言われてるんだ!そこをまずおかしいと思えェェ!」

桃太郎「た、確かに…」



578:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/25(月)00:41:29 ID:WJF

舌切り雀「あっしはオメェを日ノ本一とは認めないって言ったがな、ありゃあお前の立ち居振る舞いや精神面に不安が…すっげぇ不安が残ってるからだ!」

桃太郎「ええぇ…言い直してまで強調しなくても…。でも確かに言うとおりだよなぁ…拙者、素だとありえないくらい情けないし…」

ライオン「で、でもでも!桃太郎さん普段はキリッとしてるから大丈夫だよ!」

舌切り雀「大丈夫な訳ねぇだろうが!ヘタレな本性隠して取り繕ったところでなぁ…いずれボロがでるもんなんだよ!根本的な解決にはならねぇだろ!」

ライオン「ひえっ、そんな怒鳴らないでよぉ…」

桃太郎「いや…言い方はキツいけど舌切り殿の言うとおりだ。拙者は自分の武術に満足してるわけじゃないけど、精神面の弱さは本当にどうにかしないといけないなって思ってる」

舌切り雀「なんだよ、自覚はあるってぇ事か」

桃太郎「うん。もう本性バレたし開き直って話すけど…拙者は昔から自分に自信が無くて臆病でさ…鬼ヶ島の大悪鬼と対峙した時も自信が持てなくて、失敗するのが怖くて刀を振るえなかった」

桃太郎「でもさ、その時キモオタっていう友達のおかげで…拙者は勇気の出し方を知ったんだ。自分一人じゃ駄目だけど…拙者を頼って応援してくれる人達の為なら拙者は勇気を出せる。英雄でいられる」

舌切り雀「なるほどなぁ、だから周囲の目を気にしてキリッとしてるときだけは全力が出せるってぇのか」

桃太郎「うん、そういうこと。でも…近頃こんな風に考えてた。逆に言えば一人の時とか気心知れた家族友人と居るときはキリッとする必要がないから、もしそんな時襲撃されたら…実力を出せないんじゃないかって」

ライオン「桃太郎さん、そんな風に思ってたんだ…。でも確かにアリスちゃん汚い手も平気で使うからねぇ…」

桃太郎「だからさ、どんなときでも実力が出せるように…いつでも家族な友を守れるように、精神的な弱さの克服をしなきゃいけないってずっと考えていたんだけど…」

桃太郎「やっぱり拙者、筋金入りのヘタレなのかな。自分なりにいろいろしてみたけどうまくいかなくて」ハハハ…



579:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/25(月)00:43:01 ID:WJF


桃太郎「頭では解っててもどうしても逃げ腰になっちゃうって言うか…一度染み付いた性格はそうそう簡単には変えられないって言うか…情けない話なんだけどさ」

ライオン「そ、そんなことない!家族や友達のために勇気を出して頑張ろうってしてるのが情けない訳ないよ!ねっ、そうでしょ雀さん?」

舌切り雀「いいや。心構えは立派だがよぉ、結局自分を変えられてねぇんだろ?だったらなんの意味もねぇよ」

桃太郎「まぁそう言うかなって思ってたけど…やっぱ舌切り殿は手厳しい…」

舌切り雀「だが丁度良いじゃあねぇか!あっしはオメェのヘタレな所が気にいらねぇ。オメェは精神的に強くなりてぇ、目的とするところは同じなんだからよぉ」

桃太郎「確かに…精神的に強くなれれば拙者も日ノ本一に相応しくなれる。そうすれば舌切り殿も納得というわけか…」

舌切り雀「おうよ!だがオメェが言うように性格なんざそうそう変えられねぇってのも一理ある」

ライオン「じゃ、じゃあ一体どうやって桃太郎さんはもっと強くなるの…?」

舌切り雀「そうだな…よっし。おい桃、あっしはこれからこの【金太郎】の世界を含めていろんな日ノ本のおとぎ話にオメェ達を連れ回すって、さっき言ったよな?」

桃太郎「うん。拙者が日ノ本一だって認めて貰うために……あっ!もしかしてそれ中止にするっ!?」パァッ

舌切り雀「何を嬉しそうにしてんだオメェ!そうじゃあねぇ!当然、日ノ本のおとぎ話巡りは続行する!」

桃太郎「ですよね…そんな甘くないですよね…」

舌切り雀「当たり前だろうが!で、だな…これからお前は色々な奴に出会って日ノ本一だって事を認めて貰わなきゃなんねぇ訳だが…」

舌切り雀「その間、お前は一切格好付けるの禁止だ。どんな相手でも素の状態で接しろ」



580:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/25(月)00:44:21 ID:WJF

金太郎の世界 足柄山の山奥

熊「グルルゥ…グオオオォォォッ!」ダダダッ

金時「おっ、真正面からの突進か!お前は相変わらずみてぇだな!そういう分かり易い力のぶつかり合い、俺は好きだぞ!」ガシッ

熊「…っ!ガアァァ!」バシッ

金時「ハッハッハァ!そう易々と投げ飛ばされちゃあくんねぇか!だが、そうこなけりゃわざわざ都から修行に来た意味がねぇってもんだ!」ググッ

熊「……グルルゥ、グオォッ!」ガシッ

金時「うおっ、危ねぇ危ねぇ!もうあれから二十年近いってのに全然衰えてねぇな!だが俺も都で遊んでた訳じゃあねぇんだぞ!」ググッ

熊「……っ!」ズオォォッ

金時「ずええぇぇいっ!」ブオンッ

熊「クマァァァッ!!」ドサーッ

金時「ハッハッハァ!まずは白星一つ!相撲なんて久し振りだったが、意外と身体が覚えるもんだな!」

・・・

ライオン「ひ、ひえぇぇ…あの人熊と素手で戦って投げ飛ばしちゃったよぉ!?ものすごく強いみたい…」

桃太郎「ねぇ舌切り殿、やっぱ格好つけちゃだめ?熊倒しちゃう大男相手に拙者は素でいかなきゃいけないんでしょ?えぇぇ…ちょ、えぇぇ……」

舌切り雀「何を怖じ気づいてんだオメェ!素の状態のオメェを認めて貰うって所に意味があんだろが!そうすりゃ今より自信も勇気もつくだろ!オラ早く行くぞ!」



581:◆oBwZbn5S8kKC 2016/07/25(月)00:46:17 ID:WJF


舌切り雀「おい、金太郎ー!見てたぜぇ、相変わらずの怪力だなオメェは!」パタパタ

金時「んっ?その声…舌切りの!おぉ、久しいな!元気そうで何より!」ハッハッハ

舌切り雀「おうよ!へへっ、こうしてガキの頃みたいに熊と相撲とってると、とても都で活躍するお侍には見えねぇな金太郎!」ヘヘッ

金時「山に居ようが都に居ようが俺は俺、何も変わりはしないぞ!まっ、名は『坂田金時』に変わりはしたが『金太郎』の方が呼びやすいだろうからそうしてくれ!」ハッハッハ

舌切り雀「おう。ところでよぉ、今日はオメェにちょいと頼みがあんだよ。修行中悪いが…つき合っちゃくれねぇか?」

金時「おうっ!俺もお前もおとぎ話の主人公同士!何でも言ってくれ!」

舌切り雀「二つ返事で助かるぜ!おい、桃ライオン、オメェ等挨拶しろ。この世界の主人公…今は坂田金時って名らしいが、要するに金太郎だ。名前くらいは知ってるだろ?」

ライオン「あっ、はじめまして!ぼ、僕は【