新型のMacBook Proに採用されたTouch Barですが、マイクロソフトも同様のコンセプトを持つキーボードの試作品を2009年に完成していたことが海外メディアTHE VERGEにより報じられています。アップルに先んじること7年前ですが、まだ「自社のPCを作っていなかったため」製品化は見送られたとのことです。
めぼしい例としては、2014年にLenovoのThinkPad X1 Carbonにも「Adaptiveキーボード」として採用されたものの、1年後の新モデルでは廃止。キーを押したかどうかが体感で分かりにくく、他のキー配置にも影響を及ぼしたため既存のユーザーには評判は芳しくなく、新インターフェイスが受け入れられる難しさを示していました。
マイクロソフト流のTouch Bar開発が始まったのは、さらに遡って1999年のこと。様々な技術を用いて試行錯誤が重ねねられ、その最終的な試作品は2009年に完成。翌年の国際学会UIST2010にて「Adaptive Keyboard」としてデモが公開されています。
この動画では、ファンクションキーのあるべき場所にタッチパネルが配置されたキーボードが確認できます。アプリに応じて動的に表示および機能が変わる様は、まさにTouch Barそのもの。使用していたファイル履歴の参照や、パワーポイントで作ったスライドの表示、Outlookで連絡先の相手が写真とともに表示、マウスを使わずにSkypeでの呼び出しなど、既存のアプリのインターフェースを拡張しています。
マイクロソフトはなぜこれを商品化しなかったのか。同社の応用科学グループの開発部門責任者であるSteven Bathiche氏は、「まだ我が社がコンピュータを作っていなかったから」と回答しています。
Bathiche氏はSurface開発に深く関わる一人で、Twitterでも「コンピュータ(Surface)開発はタッチスクリーンから始まった」とコメント。アップルがiOSとの線引きをするためか、Macのディスプレイ自体にタッチスクリーンを導入しないのと好対照で、Touch Barが図らずも両社のPCに対するアプローチの違いを浮き彫りにしたかっこうです。
@tomwarren we did not build computers back then, and when we did start, we made computers with touch screens.
— Steven Bathiche (@sbathiche) 2016年10月30日