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アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、人類が調査をした海底は全体の5パーセント未満にすぎないそうだ。月に到着し、火星にも手が届きそうであるというのに、海底は未だ神秘の世界なのだ。
海洋生物は素晴らしい姿に、また時には恐ろしい姿に進化してきた。一流の専門家が魅了されるのも当然だろう。どの生物にも人々を驚かせる特徴が隠されており、その奇妙な性質は生物学者を困惑させるばかりだ。ここではそうしたミステリアスな海洋生物15種を紹介しよう。
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5. パープルソック
60年以上前、スウェーデンの生物学者は古びた靴下のような生物を発見した。それ以来60年にわたりこの生物のどうやって、なぜ、なにを突き止めることはできなかった。
幸いにも、この深海の”パープルソック(紫の靴下)”と呼ばれる海洋ワームに幾ばくかの光が当てられ、その系統図が明らかになったようだ。
かつて1種のみが知られていたパープルソックであるが、アメリカとオーストラリアのチームによって今年初めに新たに4種が発見。彼らには脳も目も腸もない。幅広の口が備わっており、捕食と排泄を両手に担う。
14. フクロウナギ
長さの点では通常のウナギに似ているが、それだけだ。体に不釣り合いな巨大な口を備え、自分の2倍近くもの獲物を丸呑みするのに役立つ。しかし、その見た目ほど危険な生物ではない。普段餌としているのは海藻や小さな甲殻類である。
大人になると、歯と顎は退化してしまい、餌よりも繁殖の相手を探すようになる。ロマンティックな話だが、これは悲恋である。繁殖が済めば死んでしまうからだ。
生息地は水深550〜3,000メートルの深海であるため発見が難しく、無駄に大きな顎の秘密の解明はなかなか進まない。だが、おそらく先史時代のウナギにまで遡ることができる。当時は今よりも大きな獲物を狩るために大きな口が必要だったのかもしれない。
13. アンコウ
深海のマスコットとでも言うべきアンコウ。メスの頭部から伸びた提灯は暗闇を照らす照明であり、また獲物を引き寄せるルアーでもある。
よく知られた深海生物であるにもかかわらず、科学的な手がかりは少ない。冷たく、人間には手の届きにくい深海の暗闇に潜んでいるからだ。
特に専門家からの注目を集めるのが奇妙な配偶行動である。19世紀中はメスしか知られておらず、1924年になってようやくメスの腹に付着する小さな魚の存在が明らかとなった。これは子供でなくオスであった。役立たずのオスを腹に抱えてメスは獲物を狩り、オスは栄養をメスに依存する。
12. ダイオウイカ
神話上の存在と考えられていたときもあった。21世紀が到来しても相変わらず謎めいた存在であり、2004年になってようやく野生で生きる姿の写真撮影に初めて成功。また、スペインやニュージーランドの海岸に頻繁に打ち上げられることから、その体長は5メートルから実に55メートルもの長さがあることが推測されている。
さらに2013年、日本の研究チームが史上初めて泳いでいる姿を映像に収めることに成功。撮影に参加した生物学者エディス・ウィダーによると「美しい銀金色」であり、また別の研究者は一番大きい触手の2つが欠損していたと報告している。
11. 深海のキノコ
素人目には森の中で見られる普通のキノコにしか見えない。しかし、この深海のキノコはあらゆる動物の進化の謎を解き明かす鍵を握っているのかもしれないのだ。本当である。
最初に発見されたのは1986年、オーストラリアの海岸においてである。それ以来専門家は頭を悩まし続けている。1キロメートルの深海でも発見されたそれはエタノールやホルムアルデヒドできちんと保存されているが、遺伝子の解析はことごとく失敗してきた。
だが、ケンブリッジ大学とフロリダ大学の専門家によって、その進化の起源がよりはっきりと描かれるようになった。深海のキノコの”茎”の底部には小さな口、半透明な部分には消化器系があり、これらははるか昔に絶滅した動物最初期の種のそれと非常によく似ている。
10. ハルキゲニア
5億年前に生息した2センチメートルほどの生物。多くの専門家を混乱させたその理由は、化石の最初の記述が間違っていたからである、おっとっと。
科学の発見には試行錯誤がつきものだ。ハルキゲニアの前後と上下が明らかになったのは実は最近のことである。一体どちらが頭でどちらが尻尾にあたるのか、どちらが背中でどちらが足なのか長いこと混乱があった。
しかし化石を削って調査すると、目が備わり、かすかに微笑んでいるかのようなスプーン上の頭部が発見された。ケンブリッジ大学のマーティン・スミス博士は「秘密があるぞと、ほくそ笑んでいるかのよう」とコメントしている。
9. ラブカ
不気味な姿をした全長1.4〜1.8メートルほどのサメの仲間。先史時代からほとんど姿を変えていないことから”生きた化石”と言われる。大きなウナギにも準えられ、水中を蛇のように進むと考えられている。
水深500〜1,000メートルに潜むため、滅多に目撃されない。調査は非常に困難で、2004年になってようやくNOAAが自然の生息地の撮影に成功した。
喉の部分には変わった襞状のエラがあり、これが英名(フリルドシャーク)の由来となっている。歯は25列、計300本生えており、これを使って不運な獲物に食らいつく姿が観察されている。睨みつけるような目、鋭い歯、蛇のような体……まさに実在するシーサーペントである。
8. スターゲイザー
“星を見る人”を意味するロマンティックな名前に騙されることなかれ。隠密行動を得意とする危険な捕食者だ。顔が上向きについており、海底でカモフラージュし、まんまと近づいてきた頭上の獲物を狙う。
動きはそれほど速くないが、毒を持っており、さらに電撃で獲物を麻痺させることができる。生息地はインドネシア、カナダ、アメリカの一部である。
おそらく獲物をおびき寄せるために使用すると思われるルアーが口から伸びている種も確認されている。こうした巧みな狩りの技術を有するスターゲイザーであるが、中にはそれを持たない種も存在する。専門家を悩ませる所以だ。
7. 先史時代の生物に似た”突然変異のイルカ”
野菜嫌いの子供を脅かすために親が話して聞かせる怪物のような姿だ。先史時代の生物にも似た突然変異だと説明されるこれは、昨年初頭にロシアの東海岸に打ち上げられていた。
サハリンの海洋研究所によれば、もっとも近いのは”大きなイルカ”だそうだ。しかし、毛皮や鳥のような嘴はいわゆるイルカには似つかわしくなく、その正体は依然として謎に包まれている。
6. メガネモチノウオ
メガネモチノウオには起源が不明ないくつもの特徴がある。ナポレオンフィシュとも呼ばれ、そのデザインだけでも非常に目を引く。その皮膚のマーキングはまるでニュージーランドのマオリ族の戦いのメイクのようだ。
しかも雌性先熟雌雄同体であり、性別を変えることができる。正式に発見されたのは19世紀半ばのことであるが、長く驚嘆の目で見られてきた。残念なことに、国際的な漁業取引のために絶滅の危機に瀕している。
5. デメニギス
その名称からフクロウのような鋭い視力と巨大な眼球の持ち主を連想したことだろう。が、現実はその逆だ。彼らは目が見えない。しかし、透明な頭部から光を取り込み、水深1,000メートルの暗闇を生き抜くことができる。
英名のバレルアイフィッシュは、光を集めるために上に向いた筒状の目にちなんだものだ。専門家がこの種に魅入られている理由はその姿を一目みればおわかりのことだろう。
デメニギスは巨大な目を回転させ、捕食者の通り道を避け、頭上の餌を探ることができる。すべては透明なドーム状の頭部から光を集めることで行う。目のある盲目の魚。海洋生物学者が混乱するのだから、私たちが混乱しても仕方がない。
4. メガマウス
サメは概ね恐ろしいものだが、このメガマウスもご多分に漏れない。1976年までは専門家にもほとんど知られておらず、ハワイで米海軍の船がシーアンカーに絡まっていた生物に仰天したことは想像にかたくない。
のちにハワイの水族館に運ばれたこれは、魚類学者レイトン・テイラーによって学名メガカスマ・ペラギオスと名付けられた。”大海原の大きく開いた洞窟”という意味だ。
全身の標本が発見される前、1960年代にメガマウスの歯が発見されていた。しかし、当時の技術では出処を特定することができず、お蔵入りとなっていた。それから数十年が経っているが、今でも専門家は必死にその生態を明らかにしようとしている。
そんなメガマウスだが、2016年4月15日に三重県尾鷲市の尾鷲漁港で水揚げされたという。2014年4月14日に静岡県で水揚げされてから約2年ぶりだ。
3. ムラサキダコ
英名をブランケットオクトパス(毛布タコ)といい、その由来の通り、美しい模様の入った毛布が水中を舞っているかのように見える。手足が伸びる場所からケープをたなびかせる姿は優雅であるが、かなり狡猾だ。
その生態はほとんど知られていないが、圧倒的な技の持ち主であることは確かだ。まず、体長2メートルにもなるメスは、危険を感じるとそのケープを体から切り離すことができる。さらに猛毒を持つことで知られるカツオノエボシの毒に免疫を持っており、クラゲの触手をすっぱり剥ぎ取っては、それを鞭のように利用する。女を怒らせると恐ろしいのは海でも同じだ。
しかし、このタコと他の海洋生物とを隔てるものは自己防衛手段だけではない。メスのケープは2メートルもの長さになるが、それと比べてオスは胡桃よりもかろうじて大きい程度なのだ! ほかに一体どんな秘密を抱えているのだろうか?
2. ミツクリザメ
英名「ゴブリンシャーク」は伊達ではない。突き出た吻に乱杭歯の笑み。それだけではない。おとぎ話のゴブリンも顔負けな恐ろしい技を持つ。獲物に接近するとその顎を伸ばし、体と独立して動かしては捕らえるのだ。その姿は映画『エイリアン』のクリーチャーが伸ばす第二の口とそっくりだ。
日本の東京湾、駿河湾、相模湾をはじめとする水深1,200メートルの深海に潜む。滅多にお目にかかれないが、この忍者のようなハンティングスキルを思えば、それでいいのだろう。
1. UFOクラゲ
もうじきクリスマスシーズンが到来するが、子供のプレゼントにぴったりの最新ガジェットを連想したのではないだろうか? それともUFO? 現実に存在するとは想像しがたいが、これはマリアナ海溝という海の最深部に確かに存在する。海の最深部、もっとも暗い領域がいかに神秘的な領域であるかを示す格好の例だろう。
このUFOクラゲは光など全く届かない場所で自らを輝かせ、花火のような印象的な姿を見せる。NOAAの科学者が今年4月に撮影したこのクラゲは、その長いスパゲティ状の触手からヒドロクラゲの仲間に分類された。
via:15 Sea Creatures That Have Left Scientists Completely Baffled/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ムラサキダコ、FFのラムゥが泳いでいるかと。
2. カモノハシ
海の不思議は限りないね
絶滅したと思ってたシーラカンスが泳いでいるし
3. 匿名処理班
真実は小説より奇なりなんて言うけど、空想上の生物以上に奇妙な姿の生物が多いんだなあと思うよ
4. 匿名処理班
胡桃が分からなかった。
クルミって読むのね。
5. 匿名処理班
届けハルケギニア(ry
6. 匿名処理班
ぜひフクロウナギは正面から見てほしい、トラバサミが泳いでいる様な姿は不思議と見惚れてしまう。
男はカマキリとクモとアンコウのオスをみたら優しくしてあげてね。
7. 匿名処理班
パープルソックがいちばん不思議なんだけど
8. 匿名処理班
水中のダイオウイカ怖すぎる
9. 匿名処理班
ムラサキダコこそジュディオングではないだろうか
10. 匿名処理班
メガテンにいそうなのがいるんだがw
11. 匿名処理班
めっちゃワクワクした。やはり深海生物は最高やなって。
12. 匿名処理班
し、深海のキノコ?!
13. 匿名処理班
ムラサキダコは小林幸子かな?
14. 匿名処理班
パープルソックは、2匹出会えばパープルソックスにクラスチェンジするのかな?
15. 匿名処理班
UFOクラゲはマリアナ海溝のどの辺りに居るのだろう。
まさか11km最深部にも居るのだろうか。
16. 匿名処理班
小さいころ変な生き物って本で見た
17.