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【艦これ】親潮「秋刀魚と私と黒潮さん」|エレファント速報:SSまとめブログ

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【艦これ】親潮「秋刀魚と私と黒潮さん」

1: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:16:25.53 ID:96ZoZcFm0


親潮さんが、
大好きな黒潮さんのために奮闘するお話です。
(短め、ちょい百合)




3: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:19:24.28 ID:96ZoZcFm0


 初めまして。私、陽炎型駆逐艦四番艦、親潮です。

 先日、この鎮守府に着任いたしました。よろしくお願いいたします。

 現在は日々の演習により練度を高めているところですが、今秋、ついに私にも海域出撃の機会が巡って参りました。

 そう、『秋刀魚漁』です!!



【鎮守府 駆逐艦寮(親潮と黒潮の部屋)】


親潮「明日からいよいよ秋刀魚漁開始…つまり私の初出撃…ちょっと緊張します…」ドキドキ

黒潮「まー秋刀魚漁での駆逐艦の役目は戦闘よりも見張りと護衛が主やから、そんな気張らんでええと思うよ」


 彼女はルームメイトの黒潮さん。陽炎型駆逐艦三番艦、すなわち私の姉妹艦、私の姉ということになります。

 黒潮さんはこの鎮守府には古くからおり、全駆逐艦の中でもトップクラスの練度を誇り、
 出撃・遠征・事務作業にと引っ張りだこ。

 ときには秘書艦の叢雲さんの代理を務めることもあるくらいです。




4: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:21:22.71 ID:96ZoZcFm0


黒潮「外洋航海での会敵に慣れるという意味で、最初の出撃としてはちょうどええのかもしれんね」

黒潮「親潮と同じ時期に着任した駆逐艦の子らとローテーションで出撃するみたいやし、そんな激しくもないと思うし」

黒潮「あんまり構え過ぎず、楽しむくらいの気持ちでな~」

親潮「はい!ありがとうございます!」

黒潮「あ、でもー、秋刀魚はちゃんと獲ってくるんやで!何せウチがお腹すかせて待ってるから~」ケラケラ


 それでいて、気配りもできて冗談も言える。私の尊敬する姉、それが黒潮さんなのです!




5: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:23:24.32 ID:96ZoZcFm0


黒潮「ウチもサンマは大好きでな~。速攻で高めを狙えるあたりとか~」

親潮「(速攻?高め…?)」

黒潮「昔はよく陽炎と不知火と三人で一緒にやったもんや、サンマ」

親潮「ここでは秋刀魚を食べることを『やる』って表現するんですか?『一杯やる』みたいな感じで」

黒潮「あー………ちょっと今のはウチの言い方が分かりづらかったな。反省反省」

親潮「??」


 たまに、仰ることが難しくて私には分からないときがありますが…(さらに精進せねば!)


黒潮「おっと、もうこんな時間か。ほなウチは遠征行ってくるわ。ちーとばかし遅くなるかもやから、よろしゅうな~」パタン

親潮「あ、はい!行ってらっしゃい!」


親潮「黒潮さんは『楽しむくらいの気持ちで』と仰ってたけど…」

親潮「同時に、『秋刀魚は大好き』とも仰っていたから、黒潮さんに美味しい秋刀魚を食べてもらえるよう、全力で秋刀魚漁に挑みたいと思います!」

親潮「日頃お世話になってる黒潮さんへ、感謝の気持ちをこめて!」フンス




6: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:29:14.25 ID:96ZoZcFm0


【鎮守府 資料室】


親潮「まず、秋刀魚の生態について調べたいと思います!」

親潮「えーと、なになに…?」

親潮「………」

親潮「(さ、さっきから『黒潮』『親潮』という言葉がたくさん出てきて、何だか気になっちゃいますね…)」ドキドキ

親潮「………はっ!いけないいけない、ちゃんと集中して読まないと…!」


秋刀魚の本『秋刀魚は暖かい黒潮海域で産卵。孵化した稚魚は黒潮に乗って北上し、餌となるプランクトンが豊富な親潮海域に向かいます』

秋刀魚の本『よって、黒潮と親潮の混合域には、秋になると脂がのった秋刀魚が大量におり、漁場として最適云々…』


親潮「!!??」ガタッ!

親潮「(『黒潮』と『親潮』の『混合』で、さ、『産卵』………!?)」(←単語を拾い読みした結果の誤読)

親潮「 」(硬直)




7: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:31:44.95 ID:96ZoZcFm0


秋雲「………あー、親潮…?」

親潮「 」

秋雲「もしもーし、親潮さーん?親潮おねーちゃーん?」フリフリ

親潮「………はっ!?ど、どうしたの秋雲、こんなところで…」

秋雲「いやそれはこっちのセリフでしょ…資料室に来てみたら、姉が一人で突っ立って固まってるんだもん」

秋雲「しかも、まるで、『それはもうセッ○スなのでは?』とでも言いたげな感じで真剣な顔しながら…」

親潮「セッ…!?」ギクリ

親潮「も、もう、何を言いだすの!!そんな顔してないし、大体どんな顔ですかそれは!」




8: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:33:55.46 ID:96ZoZcFm0


秋雲「ん、その手に持ってるのは、秋刀魚の本だねぃ」

秋雲「(…秋刀魚、海流……親潮、黒潮……なるほど、そういうことか)」ピーン

秋雲「そういや明日からの秋刀魚漁、親潮おねーちゃんは編成に入ってるんだってね。こりゃ頑張らなきゃねぇ」ニヤニヤ

親潮「そうだけど…な、何ですかその顔は」

秋雲「いーや別にぃ?そーだ、もしあれだったら、去年の秋刀魚漁を経験してる秋雲さんが、コツをレクチャーしてあげるよ?」

親潮「本当?色々と教えてもらえると助かります!」

秋雲「ふふーん。探照灯の使い方なら任せなさーい!」ドヤァ




9: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:38:53.49 ID:96ZoZcFm0


【鎮守府 駆逐艦寮(親潮と黒潮の部屋)】


親潮「色々と教わって参りました。秋雲はすごいですね、その場で手描きの資料を作ってくれて」

親潮「ところでこの資料の、ところどころに入っているイラスト、黒潮さんに似ている気がしてならないのですが…」

親潮「………」

親潮「(永久保存にしよう)」


親潮「そういえば、黒潮さん、遅いですね。遠征部隊はもう皆さんご帰投されていたようですが…」

親潮「黒潮さんの場合、引き続き事務作業をされているのでしょうね」

親潮「…よし!親潮も明日に向けての予習と準備、頑張ります!」フンス


親潮「えーと、なになに、『秋刀魚漁は、光の方向に秋刀魚を誘導するため、光の目立つ夜間に行われる』と」

親潮「でも、私たちは早朝から漁を行うんですよね。このへんも、深海棲艦の侵攻の影響で変わったのでしょうか」

親潮「秋雲のメモによると…なるほどなるほど。よし、次は有効な装備について………」




10: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:40:27.65 ID:96ZoZcFm0


~~~(数刻後)~~~


黒潮「黒潮さん、ただいま帰ったで~(小声)」ガチャ

黒潮「おろ、まだ明かりついとる。親潮まだ起きとったんかいな」

黒潮「アカンで~明日は秋刀魚漁やろ?早朝に集合………って」

親潮「スースー」zzz…

黒潮「なんや寝とったんか。しかも机にむかって秋刀魚の資料を開きながら…」

黒潮「親潮はマジメなええ子やね、ほんま」ナデナデ




11: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 18:44:06.60 ID:96ZoZcFm0


~~~(さらに数刻後)~~~


ピピピピピピ…

親潮「………はっ!」ガバッ

親潮「私ったら、いつの間に眠って…!?」アセアセ

親潮「今日は早くから集合なのに!い、いま何時!?」ワタワタ

親潮「あれ?私、どうしてベッドの上に…?布団までかけて…」

親潮「というか、目覚まし時計も鳴ってた…しかも私が起きる予定だった時刻に設定されてる…」

親潮「これは、もしかして」

黒潮「スースー」zzz…

親潮「(…ありがとうございます、黒潮さん!私、秋刀魚漁を頑張ります!)」

親潮「(折角黒潮さんがここまでしてくださったんですから、遅刻してはいけない!)」

親潮「(シャワー浴びて、着替えて、朝食を食べて、元気に出発…)」

親潮「(………ん?着替え?そういえば私、着替えてなかったはずが寝間着になってr………!?)」

親潮「はわわわ」///




15: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 21:34:17.51 ID:96ZoZcFm0


【鎮守府 秋刀魚漁作戦本部】


提督「よし。揃ったようだな」

叢雲(秘書艦)「アンタたちには、鎮守府近海で対潜哨戒をしながら、秋刀魚を獲ってきてもらうわ」

提督「そんなに面白いほど獲れるわけではない海域だから、見敵必釣(サーチアンドフィッシング)でな」

伊勢「ええ!」

親潮「はい!」

秋津洲「かも!」

多摩「にゃ」

叢雲「秋刀魚の獲り方についてはこないだの作戦会議のとおりだけど」

叢雲「現場で分からないことがあったら伊勢に聞くこと」

伊勢「去年も参加した伊勢さんに任せなさい!」


提督「それと、親潮はこれが初めての海域出撃になるな」

提督「他の駆逐艦とローテーションで出撃してもらうことになるから、ま、気楽にな」

親潮「はい!」

提督「よし、それじゃあ元気に行ってこい!」

一同「了解!!」




16: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 21:36:18.36 ID:96ZoZcFm0


 ゾロゾロ

多摩「秋刀魚…楽しみにゃ」

秋津洲「ひ、久しぶりの出撃かも…」ドキドキ

伊勢「あはは、まあそんな緊張しないで」


叢雲「ん?親潮、どうしたの。みんな行っちゃったわよ」

親潮「は、はい、ごめんなさい。…あの、司令」

提督「ん、どうした?」

親潮「北方海域は、秋刀魚が特に多く獲れる海域だと伺っております」

提督「そうだな」

親潮「私、鎮守府近海での漁の次は、北方海域での漁にも参加したいのです」

提督「…!!」




17: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 21:39:18.36 ID:96ZoZcFm0


叢雲「アンタねえ…確かに大分練度も上がってはいるけど、立て続けの出撃は…」

提督「まあ待て叢雲」

叢雲「え?」

提督「親潮………詳しい理由は聞かないが、これだけは確認させてくれ」

提督「『本気』なんだな?」

親潮「はい!!」

提督「よし…ではまずこの鎮守府近海での戦果と釣果で検討しよう!」

叢雲「ちょ」

親潮「はい!ありがとうございます!」

叢雲「ちょっとちょっと!」




18: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 21:41:26.77 ID:96ZoZcFm0


秋雲「心配しなくても大丈夫だよ。親潮姉さんには、この秋雲の秋刀魚漁術を叩きこんであるから」

提督「おお、それは頼もしいな」

叢雲「ていうかアンタいつからいたのよ、しかも何を描いてるのよ」

秋雲「気にしないキニシナイ」カキカキ

叢雲「はあ…どうせ言っても無駄なんでしょもう。ほら親潮、早くしないと置いてかれるわよ」

親潮「あ、はい!では行ってまいります!」ダッ





19: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 21:44:16.90 ID:96ZoZcFm0


叢雲「まったく………本当によかったの?」

提督「叢雲よ…お前には見えなかったのか?」

叢雲「何がよ」

提督「目だよ」

叢雲「はあ?」

秋雲「これだねぃ」バッ

叢雲「何を描いてたかと思えば…この絵は、秋刀魚を食べる黒潮?」

提督「そう。親潮の目に映っていたのは、黒潮の姿だった」

提督「『尊敬する黒潮さんに、美味しい秋刀魚をたくさん食べてもらいたい』…そんな強い想いが、親潮からは感じられた」

提督「その想いを邪魔するなんてことが、果たして許されるのだろうか(いや、許されない)」

提督「そのような行いを野暮と言わずして、何を野暮と呼ぼうか」

叢雲「また始まった…」ハァ




20: ◆OM0jRxHuj6 2016/11/13(日) 21:48:38.52 ID:96ZoZcFm0


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