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かつて人体実験が行われていたり、劣悪な環境にあったアメリカの11の精神病院 : カラパイア

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 古くから精神病院と呼ばれるところの闇は深い。かつてアメリカの精神病院では、患者を監禁し、病院内で悪名高いロボトミー手術が施術されていたそうだ。

 エガス・モニスがポルトガルで初めてロボトミー手術を行ったのが1935年のこと。まもなく、アメリカ人医師のウォルター・フリーマンとジェームズ・W・ワッツがこれを取り入れて広め、1949年から1951年の間、この手術を受けた患者数は、5074人から1万8608人へと増加した。

 ジョン・F・ケネディーの妹ローズマリーもこの問題の多い手術を施された一人である。この頃、アメリカの改革家たちが精神病院のシステムを調査したが、患者が治療と称して非人道的な扱いを受けていることをそれほど問題にしなかった。

 現在は、疾患がある人たちを牢獄に監禁するような当時のやり方を無効にする動きを見ることができる。アメリカでもっとも不気味な精神病院をとりあげてみよう。
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11. トピーカ州立病院(カンサス州トピーカ)1872年〜1997年

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 去勢が医学的に正しいことなのかどうか、真剣に向き合うのは難しい。しかし、カンサス州にあるトピーカ州立病院の医師たちはこれはふさわしい方法だと判断した。1931年、カンサス州の法律が、常習犯罪者、精神薄弱者、癲癇患者、知能程度の低い者、精神障害者に去勢を施すことを合法とし、この病院は54件の去勢を行った。

 去勢だけでなく、患者を皮膚が腫れあがるほど長期間、革ひもで縛りつけたり、レイプやその他の虐待などの話は枚挙にいとまがない。病院が事務処理を怠り、多くの患者の身元や病名がわからなくなっていることも、なおさら恐ろしい。それでも、この病院は1997年まで運営されていた。


10. ウェイバリーヒルズ・サナトリウム(ケンタッキー州ルイヴィル)1910年〜1961年

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 この施設もまた、健康や福祉をかえりみることなく、人間を実験台にしていた。ここは必ずしも精神病院というわけではなく、まだ詳しいことがはっきりわかっていなかった時代に結核患者を収容していた。

 有効な治療例もなく、医師たちは患者の肋骨と筋肉を切除して、風船を挿入して肺を膨らませるといった野蛮なやり方をしていたという記録が残っている。

 この施設での患者の死亡数について、外部の調査員とサナトリウム側との言い分が食い違っているのも問題になっている。副医長のJ・フランク・W・スチュワート博士によると、1年で最高でも152人ということだったが、外部調査では162人。この施設が営業していた50年以上の間におよそ8212人が亡くなったことになる。


9. オーバーブルック精神病院(ニュージャージー州シーダーグローヴ)1896年〜1975年

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 開業は1896年。エセックス郡が325エーカーの土地に精神疾患のための新たな病院を建設した。景色も良く、人里離れた高台にあり、患者の健康やリハビリのために絶好の立地だと思われた。だが、病院がオープンしてまもなく、患者の数が働きづめのスタッフの数を大きく上回り、必要な治療が行き届かなくなってしまった。

 その結果は恐ろしいものになった。病院の環境は最悪で、20世紀始めには24人の患者がベッドで凍死し、150人以上の患者が行方不明になった。にもかかわらず、この病院は100年近くも営業し、結局1970年代に閉鎖された。


8. ウィローブルック州立学校(ニューヨーク州スタテンアイランド)1947年〜1987年

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 州が運営していた知的障害児のための施設で、のちに精神病院に再建された。1960年代の施設環境は最悪で、ロバート・ケネディはこの施設を動物園、蛇の穴のようだと表現した。

 もともと4000人の子どもたちを収容できるよう建設されたが、1965年までにその数は6000人に膨れ上がっていた。目撃談によると、ほったらかしの患者たちが施設のまわりを徘徊して自分たちの排泄物をまき散らしていたという。しかし、もっと悲惨だったのは、医師たちが治療と称して子供たちに対して行う実験だった。

 肝炎の発生についての研究が行き詰まっていた医者ソール・クルッグマンは、ウィローブルックの子どもたちを使って、さまざまな疑問に答えを見つけ出そうとした。彼は、生きた肝炎ウィルスを60人の子どもたちに接種させ、子供たちの皮膚や目が黄色くなり、肝臓が肥大していくのを観察したという。

 子どもたちは嘔吐し、食べ物を受けつけなくなり、病気を発症して、重症化する者もいた。クルッグマンは、いずれほとんどが肝炎にかかるのだからいいのだとして、ウィローブルックの知的障害のある子供たちに肝炎ウィルスを接種する行為を正当化していた。意図的に子供たちに肝炎ウィルスを植えつけることで、クルッグマンは確実に肝炎患者を観察することができたのだ。

 ウィローブルックの悲劇は、1980年に制定された連邦法、施設収容者に対する人権の公民権法成立につながった。


7. トランスアレゲニー精神病院(ウェストヴァージニア州ウェストン)1864年〜1994年

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 この施設は、ありとあらゆることが劣悪だった。250人収容の施設のはずだったが、1949年には実際には2400人以上を収容していた。北米医療機関調査委員会の1938年の報告によると、この施設には癲癇、アルコール中毒、薬物中毒、無学な精神障害者なども収容されていたという。

 制御することができない患者は、アイスピックなどの粗野な道具でロボトミー手術を施され、その他大勢と檻の中に閉じ込められた。この施設の不思議なほど長い運営期間中に、患者への恐ろしい治療が大勢を死に追いやったことは間違いない。


6. バイベリー精神病院(ペンシルベニア州バイベリー)1907年〜1987年

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 市民の抵抗は現在の政治風土では分が悪いが、確かに効果はある。良心ある抵抗者チャーリー・ロードがバイベリー精神病院でその任務を任された。

 彼が撮った36枚の白黒写真が、この病院を閉鎖に追い込むのに十分な証拠となったのだ。これらの写真は大勢の市民を激怒させ、時のファーストレディ、エレノア・ルーズベルトでさえ、この問題との戦いを支援すると約束した。

 ナチの強制収容所になぞらえ、過密状態の中、自分の排泄物の中で眠る患者たちの劣悪な環境を指摘する者もいた。

 多数の目撃証言によると、施設は不潔極まりなく、患者は裸のままうろつきまわていたという。ロードが撮ったあまりにもひどい環境の写真は、1946年に《ライフ》に掲載され、精神病院施設の改革が広がった。世論の圧力が強くなり、この施設は縮小を余儀なくされ、ついに閉鎖した。


5. ブルーミングデール精神病院(ニューヨーク、モーニングサイドハイツ)1821年〜1880年

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 1821年に設立されたときは、精神疾患患者を道義的に正しくリハビリするための施設だったが、病院がやったことはそのモラルから大きく逸脱してしまった。

 1872年、ジャーナリストのユリウス・チャンバースが異例な手を使ってこの非道を暴露した。《ニューヨーク・トリビューン》の編集主任の協力を得て、チャンバーズ自身が10日間この病院に入ったのだ。

 病院から出てくると、彼は施設で行われていた非人道的な処置を詳しく発表した。患者が殴る蹴るされ、血を吐くまで首を絞められたリ、病院ぐるみの虐待によって自殺に追い込まれたりしていたことが世に知られることとなった。こうした暴露によって、病院側は精神疾患ではなかった12人の患者を解放するはめになった。さらに、チャンバーズの著作『狂った世界とその中の人々』は精神疾患をもつ人々の権利の改善につながった。


4. ピルグリム精神医学センター(ニューヨーク州ブレントウッド)1941年〜現在

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 この施設の場合、あるひとりの患者に対するあまりにひどい仕打ちが、その他大勢への虐待よりも広く語られている。

 1940年代、ベルーラ・ジョーンズは当時世界最大の精神病院だったこの施設に入れられた。最後の子どもを妊娠した後、精神に異常をきたし、夫によって入院させられたのだ。医師からロボトミー手術しか治療の見込みはないと言われて、夫はこれを承諾したという。

 ベルーラは妄想が続いていたのに、10週にわたって15回も電気ショック療法を受けさせられ、のちに医師が彼女の頭にドリルで穴を開けて、前頭葉を切除した。この話を伝え聞いたベルーラの孫娘、クリスティーン・ジョンソンは、証拠書類をかき集めて、こんな古臭い残酷な施術が行われた理由や、ロボトミー手術を合法化して一般的に広めたエガス・モニスにノーベル賞が授与されたことに対する説明を求めた。

 ベルーラは数十年この施設で過ごした後、1972年に開放された。だが、どういうわけかこの施設は今日でも運営している。


3. グレイストーン・パーク精神病院(ニュージャージー州モリスプレインズ)1876年〜現在

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 この施設もほかの精神病院と同様、過密状態だった。1600人収容のところに、2412人の患者がひしめきあっていた。さらに、ここではPTSDに苦しむ退役軍人にインシュリンショック療法や電気ショック療法を行っていた。フォークミュージック界のレジェンド、ウッディ・ガスリーが入院していたことでも知られている。

 ガスリーは入っていたのは、1956年から61年。遺伝性の退行性神経障害で難病のハンチントン病だった。入院中、ガスリーはここを"墓石"と呼び、ワーディ・フォーティと呼ばれた病棟でたくさんの手紙を書いた。たとえ精神疾患だと診断されても、健常者と同様、患者たちも人との接触や相互のやりとりが必要だということを証明している。


2. ペンハースト児童養護施設(ペンシルベニア州スプリングシティ)1908年〜1987年

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 患者に対する虐待は非難すべきものだが、特にこの精神病院の子どもたちへの治療は非道極まりない。知的障害のある人の治療と教育のために建てられたこの病院は、まもなくまるで反対路線を行くようになった。

 1968年、事件記者のビル・バルディーニの調査によって、この病院の恐るべき実態が明るみに出た。"苦しむ幼い子供たち"と題された報道によって、あたりにこだまする放置された子供たちの叫び声、大規模な肉体的、性的虐待、全般的な患者への思いやりの欠如が明らかになった。

 また、噛みついたりした反抗的な子どもは1度警告を与えられるが、2度目には歯を抜かれてしまう。かつてここに入っていたテリー・リー・ハルダーマンが2度目の報告をした後、裁判所が3000人以上の患者が適切な治療を受けていないことを確認し、病院は閉鎖された。


アテネ精神病院(オハイオ州アテネ)1874年〜1993年

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 19世紀は、性欲を露わにしたり強い感情を示す女性はヒステリー症と診断された。"月経による錯乱"という病気のせいで精神障害を起こしたと考えられた。

 精神病院でのこうした女性たちの治療は、凍えさせたり、ショックを与えたり、殴る蹴るといったもので、病気を取り除くためと称してロボトミー手術も行なわれていた。ときにわたしたちは逆行しているように思えることもあるかもしれないが、こうした歩み全体は前進していて、ロボトミー手術や抜歯、電気ショック療法は過去のものになっている。

via:10 Horrifying Mental Asylums
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 21:00
  • ID:GBUHrLLJ0 #

本気で治療になると信じて医療行為として行ったのであれば情状酌量の余地は無くもない(やられる方はたまったもんじゃ無いだろうが)けど、差別意識から虐待していたと言うなら俄に許し難い。
ただ病院自体は組織であって内部はある程度変革するのだから、過去に非道な行為を行ったのにまだ経営しているとか言うのは流石にお門違いだと思う。

2

2. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 21:02
  • ID:FIUzaPI90 #

まぁ死に追いやるような虐待や実験は言語道断としても、一も二もなく人権を声高に叫ぶのもそれはそれでどうかと思うんだよなぁ…難しいなぁ。

3

3.

  • 2016年11月15日 21:02
  • ID:FWlcq.T70 #
4

4. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 21:06
  • ID:bzIdC38y0 #

こういう非道な行為がまかり通ってたから
精神病院に対する偏見が今も消えないんだろうな
そもそも精神疾患自体への偏見がいまだ根強いのも問題だと思う
精神病って本当は体の病気や怪我と同じで結構身近なもので誰でもなる可能性があるものなんだけどね

5

5. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 21:19
  • ID:PTUqg3C9O #

映画「カッコーの巣の上で」の原作の背景ですね。

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6. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 21:41
  • ID:WIaSNc3s0 #

こういう場所で行われた「人体実験」が、現代医学の発展に重要だったりするから困る。

7

7.

  • 2016年11月15日 21:46
  • ID:1nBRv4NR0 #
8

8. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 21:51
  • ID:NaKcaKDm0 #

なお日本では自称住職が精神障がい者やひきこもりを更生させると言って暴行した

9

9. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 21:52
  • ID:p.EIB.k.0 #

エンジェルウォーズという映画のロボトミー手術シーンが怖かった…

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10. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 22:20
  • ID:kIXEgKi30 #

実際にそういった所で働くと、精神科病院だけでなく、施設系も内々になるし、虐待があっても黙認されるケースもあるしなあ。看守と囚人に分けた心理テストみたいに、次第に力がある方が相手を締め上げるのに近い。

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11. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 22:20
  • ID:LS01Z6kx0 #

必ず定員以上の患者が殺到してしまうんだなあ。
今でも昔と変わらないくらいの人が精神的な病にかかってると
思うんだけど、病院は足りてるのかな。
心療内科とかが増えて入院しなくてもいい割合が増えたから
入院施設はパンクしなくてすんでるとか?

12

12. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 22:31
  • ID:wg77PpAV0 #

近世の精神病院なんて金持ちが使う体のいい牢獄だからね。
一族の体面に関わる人間をぶち込んだらおしまい。
中で何が行われていても誰も気にしない。

13

13.

  • 2016年11月15日 22:32
  • ID:HRux7ePX0 #
14

14. 匿名処理班

  • 2016年11月15日 23:49
  • ID:3IwqXgH50 #

90年代まで運営されてたって、ついこないだじゃないかと
思ったら現在も存在してる病院があるのですね。
ロボトミーをアイスピックでって...

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