鷺沢文香「二人の間通り過ぎた風は」
自分はデレステしかやった事ないので、色々とツッコミ所があると思いますがご了承ください。
P「あっ、鷺沢さん。おはようございます。今日は宣材写真の撮影ですので、よろしくお願いします」
文香「……はい……あの、プロデューサーさん……」
P「なんですか、鷺沢さん?」
文香「はい……あの……相談、というか、その……」
P「? なんですか? すみません。もう少し大きな声で……」
文香「はい……あの、ええと……今度、私と一緒に……え、えい――」
城ヶ崎莉嘉「わぁーPくんだー!おっはよー!」
赤城みりあ「プロデューサーさん、おはようございまーす!」
ドーン!(二人がPに抱きつく)
P「うわっと……すみません、お二人とも。今、私は鷺沢さんと話してまして……」
莉嘉「ねーねー聞いてPくん!!あのね!!」
みりあ「あー! その話はみりあが話すー! あのねプロデューサーさん! さっきね!」
P「……すみません、鷺沢さん……またじっくり聞きますので……」
文香「……はい……」
文香(……また、誘えませんでした……)
文香(読書が好きで……ずっとそのまま、一生本に埋もれて生きていくのだろうな、と自分でも思っていましたが……)
文香(ある日、プロデューサーさんにひょんなことからスカウトされて……)
文香(今の私は、きらびやかな衣装を身に纏い、人前で、歌い、踊り、可愛らしいポーズを決めるアイドルです)
文香(少し前までの自分に言っても、恐らく信じては貰えないでしょう)
文香(私自身、この、アイドルになってからの日々がキラキラしすぎていて、たまに夢ではないか、と思うほどですから……)
文香(そして最近、やっと自分がアイドルになったという自覚が少々持てて来た所です……)
文香(……故に、今までは自分の事だけで精一杯だった私ですが、ほんの少しだけ周りの人に気を配る余裕が出来てきました)
文香(……そうして、余裕を持てて気付いたのです。自分がどれだけプロデューサーさんに頼り、甘えさせてもらっていたかを……)
文香(ですから、そのお礼という訳でもないのですが……映画でも誘おうと思っていました)
文香(……別にデートという訳ではなくて、その……プロデューサーさんはいつも怖いくらいに頑張っているので、ほんの少しだけ、息抜きをさせてあげたくて、です……)
文香(ですが、決意してからもう一週間以上経つのに、未だに誘えていません……)
文香(人前に立つ事は慣れても……こういう事は全く別物のようです……)
文香「お疲れ様です……ありがとうございました……」
P「鷺沢さん、お疲れ様です。今日はこの後は特に予定もないので、今日は早めにあがってゆっくり休んでください」
文香「はい……あの、プロデューサーさん……」
モブスタッフ「あ、すみません。プロデューサーさん。この前の事でちょっと相談が……」
P「ああ、例の件ですね。わかりました。あっ、鷺沢さん。迎えのタクシー呼んであるんで、それで帰っちゃってください」
文香「……はい」
文香(また……誘えません……)
モブスタッフ「それでですね。今度の新プロジェクトなんですけど……」
P「ああ、それは把握してます……けど、あの案はあの子達にはちょっと合わないんじゃないかと思うんですが……」
文香(プロデューサーさんも、疲れているでしょうに……全然そんな顔を見せずに……)
文香(……いえ、よくみると、眉間にシワが寄っていますね……心なしか、声にも雰囲気にも、どことなく力が……)
文香(……)
P「……うーん。悪くはないと思いますが、今ひとつパンチに欠けてるような……うーん。もうちょっとだけ、こっちで掘り下げてみます」
文香「……あの」
モブスタッフ「すみません、お願いします」
P「はい。では……あー、どうすっかなー……」
文香「あ、あのっ!」
P「うわっ!? あ、ああ……鷺沢さんですか。急に大声出されたからびっくりしました…」
文香「あっ、す、すみません……」
文香(私らしくもなく、大声を……やはり、緊張しているのでしょうか……)カァァ
P「それで、どうしました? あ、タクシーまだ来てなかったですか? 多分、もう少しで来ると思うんですけど」
文香「いえ、そうではなくて……」
P「?」
文香「ぷ、ぷ……プロデューサーさんは、その……次のお休みの日の予定は何か……ありますか?」
文香(言えました……!)
P「え? 私の休み、ですか……? え~っと、次の休みの予定は……あ、ちょっと、用事がありますね」
文香「……そうですか……」シュン
文香「は、はい……その……気になる映画がありまして……一人で行くのもどこか気恥ずかしいので……プロデューサーさんに付き合っていただきたいのですが……」
P「……それは、構いませんが……私でいいんですか? 仲の良いクール組の方々や、ヴァルキュリアの皆さん、それに確か城ヶ崎美嘉さんや一ノ瀬志希さんとも一緒に海に行った事がありますよね? そう言った方々と行かれた方が……」
文香「……プロデューサーさんでなければ、駄目なんです……!」
P「……そ、そうですか。ならばご同行させてもらいますが……」
文香「あっ……///(誤解を招くような言い方をしてしまいました……///)」
P「……ただその日は確か……あの、本当に一緒に行く人は私でいいんですね……? 」
文香「は、はい……!」
P「……わかりました。ではその日は、よろしくお願いします。とりあえず今日は少々忙しいので、細かい予定はまた後で……」
文香「……はい」
文香(やった……やりました……!)
ティロン。
文香(あっ……プロデューサーさんから、LINEです……)
P『鷺沢さん、お疲れ様です。今度のお休みに行く映画ですが、何時から見ましょうか?』
文香『お疲れ様です……私が最近良く行く美味しいお店があるので、お昼にそちらを食べて、夕方くらいに映画を見るのはどうでしょうか……?』
P『了解です。それと鷺沢さん。もし良かったら、ディナーも一緒にどうでしょうか? とっておきというか、是非連れていきたいお店があるんですが……』
文香(えっ……夕食まで、一緒……ですか……それは嬉しいですが……)
文香『私は……構いませんが……私は……つまらない人間なので……短時間ならまだしも……そんなに長い時間一緒に居ても……プロデューサーさんを、退屈させてしまうかと……』
P『鷺沢さんのような美人と一緒に居て、退屈になる男なんて居ませんよ。是非ディナーもお願いします」
文香(美人……///)カァァ
文香『…ぁ…いあp……』
P『? どうしました?』
文香『すみません……間違えました……」
文香(動揺して……つい、変な文字を送ってしまいました……)
P『ありがとうございます。それでは、その日はよろしくお願いします』
文香『……はい……』
文香(美人……と言われてしまいました……)
文香(それに、プロデューサーさんと、殆ど一日一緒に……過ごせます……二人だけで……)
文香「……」
ぎゅぅぅ(本を胸に抱きしめる文香)
文香(……プロデューサー、さん……)
文香「……はっ」
文香(だ、駄目ですね……これは……プロデューサーさんを息抜きさせる為なんですから、私がこんなに楽しみにしては、駄目です……)
文香(でも、どうしたらいいんでしょう……考えてみれば、同性の人とすらも、プライベートでは二人きりで出かけた事が殆どない私が、プロデューサーさんを楽しませる事が、出来るでしょうか……)
文香(そういう系統の実用本を読んで、勉強するのもいいでしょうが……でも、本に書いてあるのは、あくまで大多数の、普通の人を対象にした、実用術です……)
文香(人一倍引っ込み思案で、人と目を合わせるのも未だに難しい私に、適用出来るとは思えません……)
文香(……やはり、ここは……あの人達に頼んでみましょう……)
P(確か、待ち合わせ場所はここだったはず……つい仕事の癖で30分前に来ちゃったけど……流石にまだ来てないか……)
P(ん?……秋なのに日傘を差してる人がいる……ああ、女性は紫外線対策で差す人もいるんだっけ……)
P(でも、雰囲気だけで分かるな、すごい美人さんだ。スカウトしたらアイドルになってくれないかな……ん? というか、どこかで見たような……)
文香「……プロデューサーさん……お疲れ様です……」
P「って……え、あれ? さ、鷺沢さんですか?」
文香「……はい……お早いですね。まだ三十分前なのに……私生活でも真面目なのですね、流石です……」
P「いや、それは鷺沢さんも一緒じゃないですか……というかすみません。待たせてしまって……」
文香「いえ……プロデューサーさんが謝る事では……」
文香(本当は……家に居てもそわそわして落ち着かなくて……1時間前に来ていたのですが……それを言ったら平謝りしてきそうですね……)
P「……というか、その日傘は……」
文香「はい……あの、美波さんにこの前ちょっと美容の事で相談したら、私は肌が白いから、紫外線対策に日傘をと言われまして……すみません、脆弱な肌で……」
P「いやいや! 鷺沢さんが謝る事じゃないですから! ……それと今日は前髪を上げて……あと、ちょっとお化粧してますか?」
P「……」
文香「……やっぱり……変……でしたよね……」カァァ
P「……鷺沢さん」
文香「……はい?」
P「あの、これはお世辞とか、仕事での関係抜きに言いますが……死ぬほど可愛いです。アイドルの時とはまた違ったお化粧も素敵ですね。綺麗です」
文香「……!?!!?///」ワタワタ
P「じゃあ、ちょっと早いですけど、行きますか?」
文香「……かわ……きれ……」
P「……鷺沢さん? あの、顔が真っ赤ですけど、大丈夫ですか?」
文香「だ、だ、大丈夫、です……。それではこちらへ……」
P「鷺沢さん、その……そっちは何もない路地ですが……」
文香「あっ、す、すみません……」
文香「……あっ、プロデューサーさん、このお店です」
P「ここは……中国料理屋、ですか?」
文香「はい……この前
コメント一覧
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- 2016年11月16日 20:33
- ぎゅぅぅ「君の名は。」
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- 2016年11月16日 20:35
- タイトルで何となくカクレンジャーopを思い浮かべてしまった。デレデレデレデン!
あ、SSは面白かったです(ブラックホールに消えたヤツ感)
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- 2016年11月16日 20:38
- 夕暮れにあの子といい感じになりそうなssだった
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- 2016年11月16日 21:41
- その時!シュワッと風が切れそうなSSだった
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- 2016年11月16日 22:08
- ふみふみ可愛い尊い愛おしい
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- 2016年11月16日 22:15
- 鷺沢ァ!俺からの誕生日プレゼントはこれだぁ!
(婚姻届を渡す音)
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- 2016年11月16日 22:19
- ※6 デレデレデレデレデン!!(婚姻届がブラックホールに消える音)
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- 2016年11月16日 22:36
- ハイエースして薬漬けて手に入れたい。
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- 2016年11月16日 23:15
- 勇気の旗を掲げて七つの海を駆け抜けたくなるSSだった
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