1人のアメリカ人兵士が描いた、戦争の「日常風景」とは?
語り継がれる戦争、それは勿論、悲惨で残酷なものですし、そうあって然るべきでしょう。
しかし兵士達には勿論、娯楽も休息も必要です。
そのような「戦場の日常」を両面から描いた、1人のアメリカ人青年がいました。
Credit: messynessychic.com彼の名前はビクター・A・ランディー。
当時19歳の彼は、絵を描くことが好きな、建築家志望の大学生でした。しかし一方では戦後のヨーロッパ再建を夢見ており、戦争が勃発した時、勇んで軍に参加したといいます。
その代わり彼は、
戦場でも隙あらば身の回りの全てをスケッチし続けました。
歓談中や昼寝をする兵士、行進の風景―。それらをひたすら、刻銘に描き続けていました。
そんな彼に突然、転機が訪れます。
ある日負傷したランディー氏は、治療に当たった
軍医にスケッチをしていることを気付かれました。
絵を描いていることをたしなめられるのかと思いきや、軍医はこう言い放ちます。
「私の開発中の治療手順をスケッチして欲しい」
こうして絵の才能を買われ、
軍医の記録係となったランディー氏は、最も危険なヨーロッパ戦線を、8ヶ月間
前線から離れて過ごしたといいます。
現在のランディ氏 Credit: cloudfront.netそして現在―御年92歳。
戦争から帰還した後、彼は合衆国租税裁判所や教会をデザインするなど、優秀な建築家としてご活躍されています。
Church of the Resurrection Harlem Credit: curbed.comもし彼が絵を得意としていなかったら?
これらをデザインしたのは彼ではなかったのかもしれません。
それでは、当時の兵士たちの息遣いを感じ取れるようなスケッチをご覧ください。
1. ハンモックで寝ている兵士。
2. 夜、船の甲板で見張りをする兵士。
3. 船の遊歩甲板に座る兵士達
4. あるドイツの偵察兵。彼らはもう二度と帰らない。
5. 夜、見張りをする兵士。
6. 夕暮れ。初めて船から出た夜の海にて。
7. 夜の船の装置。
8. 船とコンテナ。ニューヨークの港にて。
9. 船のデッキの兵士達。
10. やっぱり家が一番だけど……。サウスカロライナ州のフォートジャクソンにてハンモックで休む兵士。
11. 煙草を賭けた博打が始まるところ。
12. 日曜日。ベッドで休む兵士。
13. ニューヨークの港にて。船がボートを降ろしている。
14. 寝床から見える風景
15. あぐらをかいて座る兵士。フォートジャクソンにて。
16. 朝のジークフリート線にて、ドイツ軍の空襲が始まる
17. 訓練を漫然と行っていたジョー、初めての負傷。
18. 倒れたビル・シェパード――フォートジャクソン
なおランディー氏の158枚に及ぶスケッチは、2009年に米国議会図書館に寄贈され、
こちらからその全てを見ることが出来ます。
[via: boredpanda]