転載元:根暗「触手魔術なんて……」

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根暗「触手魔術なんて……」【前編】【中編】【後編】

654: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/07(金) 22:31:27.69 ID:vueHAK9I0

【御屋敷・書斎】
お嬢「お父様、酷いですわ……そういうことなら最初から話してくだされば良かったのに」プンプン

水当主「ごめんね、お嬢。 しかし、水魔術家を継ぐ君自身に考え、行動して欲しかったんだ」

お嬢「……それは、ご期待に添えず」

水当主「いや、今回は私のやり方に問題があった。 君を傷付けてしまった。 本当にすまない、お嬢」

お嬢「……」

水当主「……それにしても召使い君だ」

お嬢「……召使いがどうかしましたか?」ビクッ

水当主「フフフ、功労者である彼を罰するつもりは無いよ。 ただ、ふと思ったのさ」

「彼は何時か水魔術家に過ぎたる者、と呼ばれるかも知れないね」

お嬢「えぇ、きっと……私の自慢の召使いですもの」クス







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655: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/07(金) 22:32:57.07 ID:vueHAK9I0

【根暗&僕っ娘帰路】
根暗「召使い、送ってくれてありがとう」ニョロニョロ

召使い「あぁ……根暗、今日はありがとう」

根暗「僕は、その、何もしてないよ……」ニョロニョロ

召使い「あの人にもちゃんとお礼を言っておきたかったんだが……」

根暗「先に帰っちゃったもんね」ニョロニョロ

召使い「また、会えれば良いんだがな」

僕っ娘「それより、根暗はどうして尻尾触手を生やしてるんだい?」

根暗「よ、酔ったせいでバランスとりにくくて」ニョロニョロ

僕っ娘「全く、誰だ。 僕の根暗を酔わせたヤツは」

根暗「召使い、またね」ノシ

召使い(二人とも相変わらず仲良いな。 何時か、俺もお嬢様と……無いか)ノシ

メイド『召使いには私がいるじゃないっすか』

召使い(冗談だって言ってたじゃないか!)ブンブン

召使い「……御屋敷に戻るか」

「やっと、一人になったな」
「強いって噂だぞ?」
「だがよ、少し痛い目見てもらわねぇとな」
「そうっすね、乙女心が解らない馬鹿には痛い目見せるっす」

「「「「ん? お前誰だ?」」」」

メイド「ちーっす、悪魔っすよ」




656: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/07(金) 22:33:32.78 ID:vueHAK9I0

【森の小屋前】
根暗(お酒の匂いしないかな?)クンクン

オタク「……」

根暗「ひゃっ!? ……何だ、オタクか」ホッ

オタク「根暗……お前に話したいことがあって」

根暗「……どうしたの?」

オタク「俺は今日、火魔術家の真実を知った」

「自分が当主として背負わなければいけないモノを知った」

根暗「?」

オタク「そして……決めたんだ」ドゲザ

根暗「な、何してるの? 土だらけになっちゃうよ?」

オタク「根暗、すまない。 俺は」

「―俺はお前を犠牲にして世界を守る」

根暗「……へ?」




669: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:08:26.55 ID:xKjRR5tbO

【魔術学園・理科室】
ポニテ「僕っ娘、素材集めて来たわよ」ガラガラ

僕っ娘「あぁ、棚にしまっておいてくれ」

新会長「話を続けていいかしら?」

僕っ娘「かまわない。 で、僕達に参加してほしいってことだね?」

新会長「えぇ、探究を主体にしている組織は少ない。 非公認でも少しでも多く参加してほしいの」

僕っ娘「解った。 僕達にとっても有益なモノになりそうだ」

ポニテ「何々? 何かやるの?」ワクワク

僕っ娘「あぁ、我が魔法薬研究会は魔術博覧会に参加する!」

ポニテ「魔術博覧会?」




670: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:09:59.42 ID:xKjRR5tbO

【魔術学園・美術室】
秀才「魔術博覧会……ですか?」

美術部長「あぁ、その準備で忙しくてね」

秀才「美術部で参加するんですか?」

美術部長「いや、言い方が悪かったね。 美術部の殆どの生徒は探究家の出身だから……」

秀才「あぁ、それぞれの家で参加する……ということですか?」

美術部長「日頃の魔術探究の成果を発表する場だからね」

腐女子「……」カキカキ

秀才(普通の絵も描くんだな……)

美術部長「……最近、三編みさんが描いた絵を描き写してるんだ」

秀才「……そう、ですか」

美術部長「と、話が脱線してしまったね。 ほら、この箱の中で保管しているんだ」つ箱

秀才「……開けても?」

美術部長「僕が開けよう。 封印がなされていてね」カチャカチャ

箱≪羨みの仮面≫

美術部長「君がいきなり羨みの仮面を見せてくれと言ったときは驚いたよ」

秀才「……えぇ、気になることがありまして」

美術部長「気になること?」

秀才「どうして、三編みさんは殺されたのかな……と」

腐女子「……ッ」ピタ

美術部長「脱獄した死刑囚に殺されたと聞いたが……」

秀才「その場にいた根暗に三編みさんが殺された時のことを聞いたんですが」

根暗『その、三編みさんは……僕を庇って、触手魔術で援護しないと、と思ったんだけど……黒い釘で……』

美術部長「そうか、彼女は大切なモノを守って死んだのか……」グスッ

秀才「……羨みの仮面を被っていた三編みさんが根暗が援護をする間も無くやられるのかな、と」

美術部長「……というと?」

秀才「以前、三編みさんが羨みの仮面を被って暴走した姿を見ました。 凄く強かった。 そんな彼女があっさりとやられたことに違和感があります」

美術部長「……ふむ」

秀才「羨みの仮面の効果が薄れてただけ……なんですかね?」

美術部長「残念ながら僕には解らないな。 専門家に調べて貰うのが一番良いだろう」

秀才「そうですか……」




671: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:10:44.33 ID:xKjRR5tbO

美術部長「……僕も気になることがあるんだ」

秀才「何ですか?」

美術部長「どうして、彼女は羨みの仮面を被っていたのだろう……てね」

秀才「……文化祭当日も箱に入れて封印を?」

美術部長「あぁ、三編みが自分で解いたとは考えられない」

秀才「ふむ……」

美術部長「よし、羨みの仮面については僕が調べよう」

秀才「宛があるんですか?」

美術部長「さっき話していた博覧会さ。 当日は僕も家の手伝いで行かないといけないからね」

秀才「確かに探究家が集まる博覧会なら……お願いします」

美術部長「君の家は参加しないのかい?」

秀才「うちの家も探究家ではありますが、まだ歴史の浅い小さな家系ですので」

美術部長「そうか、ふふ、招待券が手に入ったらあげよう」

秀才「ありがとうございます!」




672: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:11:23.13 ID:xKjRR5tbO

【魔術学園・理科室】
僕っ娘「すまない、ポニテ。 もう一度採取に行ってきてくれないか?」カキカキ

ポニテ「うん、任せて! ダッシュで行ってくる」

ガラガラ
オタク「掃除で遅れたでござる」
根暗「お、同じく掃除で……」

ポニテ「オタク! あんたも採取に行くわよ!!」

オタク「ちょっw いきなりどうしたでござるかwww?」

ポニテ「良いから行くわよ! 博覧会に間に合わなくなる!!」グイッ

オタク「痛いでござる! 痛いでござる! ……ん?少し気持ちいいかも……やっぱり、痛いでござる!!」

根暗「……博覧会?」

僕っ娘「あぁ、探究家の成果を発表する場だ。 新会長が連絡を取り、魔術学園のブースを設けたらしくてね」

根暗(委員長さんの意見を反映させたのか……)

僕っ娘「僕達は魔法薬の販売と新しい魔法薬の精製方法の提案をする」

根暗「僕っ娘が書いてるのは……レポート?」

僕っ娘「あぁ、楽しみだ。 僕が考案した精製方法を発表できる日が来るとは」

根暗「ぼ、僕も出来る限り頑張るね」

僕っ娘「あぁ、君には棚の整理をして、今ある素材と薬のリストアップを頼む」

根暗「う、うん!」ニョロニョロン

僕っ娘「それが終わったら、君が精製出来る範囲で良いから傷薬を作ってくれ」

根暗「解った」

僕っ娘「……やっぱり、その前に」

根暗「……ん?」

僕っ娘「ぼ、僕の頭を少しだけ撫でてくれないか? それで、僕も頑張れるから」///

触手「」ナデナデ

僕っ娘「いや、触手でじゃなくてだな」

根暗「冗談、だよ」ナデナデ

僕っ娘「……全く、君は」クスクス




674: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:13:29.54 ID:xKjRR5tbO

【喫茶店≪死なばもろとも≫店内】
秀才(一度、頭の中を整理しておきたいな……特例文庫で得た情報もあるし)

無口「…………」

秀才「マスター、彼女にイチゴパフェを」

無口「驚かなくなった」

秀才「君の神出鬼没さには流石になれたよ」

無口「……そう」

秀才「……やはり監視されていたか?」

無口「俺は天才だからね、手段を選ぶ余裕があるのさ」ドヤ

秀才「止めたまへよ!」

無口「ユウ アー キザボーイ」

秀才「黙ってイチゴパフェを食べていたまえ」つスプーン

無口「……」クスクス

秀才「全く……」

無口「何処まで解った?」

秀才「やっとスタート地点というところだ」

無口「……?」

秀才「四大元素家の役目の1つとして第一級魔術家の管理がある」

無口「……」モキュモキュ

秀才「火魔術家は触手魔術家、水魔術家は悪魔化術家、風魔術家は死霊術家」

秀才「そして、君達土魔術家は変換魔術家を管理している」

無口「……正確ではない」ピタッ

無口「変換魔術家は処分した」

秀才「あぁ、そうだったね」ジトー

無口「……続けて」

秀才「君達の話だと火魔術家は退魔系統の魔術師の地位を維持することが目的で」

秀才「その為に根暗を作り、今度は火魔術家だけの力で倒せるように準備していると言っていたが」

秀才「それはあり得ない」

無口「……」

秀才「根暗が暴走し、世界を征服する存在になれば火魔術家は管理していた立場として責任を取らされるだろう」

秀才「たとえ、火魔術家だけの力で暴走した根暗を倒したとしても評価されることは無い」

無口「……」

秀才「触手魔術師が暴走して得をするのは火魔術家を疎ましく思ってる人間だけだ」






675: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:14:11.50 ID:xKjRR5tbO

無口「……火魔術家は触手魔術を保護する為だけにホムンクルスを作った?」

秀才「そこが解らない。 触手魔術には何らかの役目があるのかも知れないが……」

無口「……貴方は何を目指している?」

秀才「根暗が自由に生きれる未来だ。 誰にも縛られることの無い未来だ」

無口「……自由とは?」

秀才「……哲学には関心が無いんだが」

無口「そう」

秀才「なぁ、1つ質問があるんだが、本当に変格魔術k」

無口「その質問には答えられない」

秀才「……」

無口「……て」ボソッ

秀才「!?」

無口「またね、秀才君」

秀才「あぁ、またな。 無口さん」




676: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:15:13.75 ID:xKjRR5tbO

【魔術学園・理科室】
素材の山「」バーン

根暗「す、す、すごい……」

僕っ娘「本当にもらって良いのかい?」

お嬢「当然ですわ! まだまだ、持ってきましたの」

召使い「ここに置いておくぞ」ヨッコイショ

メイド「ほら、召使い! 残りも取りに行くっすよ」

召使い「少しは運ぶの手伝えよ、メイド」

メイド「か弱いレディーに力仕事させるきっすか?」ジトー

根暗「ぼ、僕が手伝う」ニョロン

お嬢「根暗さんも触手を使いこなせるようになってきましたわね」

僕っ娘「あぁ、体から生やしているのを始めて見たときは驚いたが……尻尾みたいで愛らしい」

メイド「本当に好きなんっすね」

僕っ娘「まぁね」

メイド「……僕っ娘、根暗が本当に好きなら」

「自分が守られる立場なんて思い込んでちゃ駄目っすよ」

僕っ娘「……え?」

メイド「同族みたいなもんっすからね。 弟みたいに思ってるんすよ、根暗のことは」

僕っ娘「それは安心だ。 恋心ならば一服盛らなければならなくなる」

お嬢「あら? それはあり得ませんわ。 だってメイドが好きなのは」

メイド「お、お嬢! 口の軽い女は嫌われるっすよ!!」アセアセ

お嬢「ふふ、メイド、口が軽い女は嫌われると教えてくれてありがとう」

メイド「お、おう、ズットモだかんな」

根暗「こ、これで最後?」ドサッ

召使い「あぁ、そのようだ。 ん?どうした?メイド、顔が赤いぞ?」

メイド「め、メイドパンチ!!」

召使い「何でだ!?」

僕っ娘「あぁ、そういうことか」

お嬢「そういうことですわ」




677: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:16:30.85 ID:xKjRR5tbO

【魔術学園付近・森の中】
ポニテ「オタク! そっち行ったわよ!!」

オタク「任せるでござるよ!」ガシッ

スライム「ピキー」ジタバタ

ポニテ「よし、スライムの捕獲も完了……一旦、理科室戻る?」

オタク「そうでござるな〜」

ポニテ「じゃあ、さっさと戻るわよ! ほら、この籠担いで」

オタク「人使いが荒いでござるよ」

ポニテ「文句言わないの!」

オタク「何ででござるか?」

ポニテ「……へ?」

オタク「ポニテは俺が火の若だって知ってるんだろ?」

オタク「それなのに、何で普通に接してくれるんだ?」

ポニテ「……秀才も僕っ娘も普通に接してるじゃない」

オタク「あいつらは探究家だ。 退魔家ほど四大元素家に敬意を持っていない」

ポニテ「らしくない言い方ね、何かあったの?」

オタク「俺は……結局、火の若として、火魔術家の当主として生きていかないといけないことが解った」

オタク「根暗に話したら……」




678: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:17:05.23 ID:xKjRR5tbO

『―俺はお前を犠牲にして世界を守る』

根暗『……解った』

『解ったって……お前』

根暗『エロ触手ブラザーズは二人で1つでござるよ』デュフフフ

『ふざけるな! 根暗!! 俺は……』

根暗『僕は君を守るために犠牲になるよ』ニコ




679: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:17:56.86 ID:xKjRR5tbO

オタク「根暗は……理解してくれた……だが、俺は……」

ポニテ「どんな一族に生まれても、どんな魔術に特性があってもな……人には生き方を選ぶ……好きを選ぶ権利があるんだよ」

オタク「……」

ポニテ「あんたが選んだんでしょ? その生き方も」

オタク「……だが、そのせいで友達を親友を、犠牲にするのは」

ポニテ「馬鹿ね、根暗も自分で選んだんでしょ?」

オタク「……え?」

ポニテ「あんたが好きだから、あんたに協力する生き方をさ」

オタク「……」

ポニテ「火の若なら、もっと自信を持ちなさい! あんたは自分が思っているより周りに好かれてんのよ!!」

オタク「ポニテ……」

ポニテ「だって…………私もあんたのこと好きだもん」ボソッ

オタク「なっ!?」///

ポニテ「ほら! 理科室まで競争よ!! 負けた方が明日の昼飯おごること!」

「よーい、ドン!!」




680: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:19:05.92 ID:xKjRR5tbO

【魔術学園・理科室】
僕っ娘「……」カキカキ

根暗「……」ゴリゴリ

僕っ娘「君、もう一回撫でてくれ」

根暗「へ?……うん」ナデナデ

僕っ娘「……ありがとう」カキカキ

根暗「うん」ゴリゴリ

僕っ娘「……」

根暗「……」

僕っ娘「君、もう一回撫でてくれ」

根暗「……どうしたの?」ナデナデ

僕っ娘「……不安になってきた」

僕っ娘「僕が考案した精製方法が認められるのか……鼻で笑われて終わるんじゃないかってね」

根暗「それでも、良いんじゃないかな?」

僕っ娘「……」

根暗「認められない原因を考えて、笑われた理由を考えて改善したら……何時かは誰かが認めてくれるよ」

僕っ娘「……」

根暗「ぼ、僕なんかが言っても説得力無いかもだけど……あの、その……」アセアセ

僕っ娘「人のことには前向きな癖に、もう少し自分のことも前向きに捉えたらどうだ?」クス

ポニテ「へーい! 私の勝ち!!」ガラガラ

オタク「ちょ、こっちは籠担いでる……ゲホッ、ズルいでござるよ」

僕っ娘「全く君達は……よし! 円陣でも組もうか!!」

ポニテ「らしくないじゃない、僕っ娘? まぁ、良いけど」

オタク「そ、その前に……水……」

根暗「は、はい、オタク」つ水

僕っ娘「博覧会! 頑張るぞ!!」

魔法薬研究会「おう!!」




681: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/08(土) 16:24:01.22 ID:xKjRR5tbO

【???】
中年「これが博覧会に出展する家系の一覧ですかい?」

眼帯「えぇ、どうです? 貴方方が求めているものも手に入ると思いますが?」

中年「ははは、うちの組織のことをよくご存じで土魔術家の情報網は侮れないな」

隻腕「あぁ、暗い……暗い……どうして、目隠しなんて……アァ、サプライズなんだね? 私の腕を見付けてくれたんだろ? そうだろ!?」

中年「……この男はもう少し大人しくならないのかい?」

眼帯「すみませんね。 しかし、彼の魔術は役に立ちます」

中年「変換魔術ね……。 成金さんが取調室で死んだのもそれかい?」

眼帯「えぇ、我々のことを話そうとしたら死ぬのが当たり前……と書き換えました」

中年「ひぇ〜、恐ろしい」

眼帯「貴方には手を出しませんよ。ほら、目隠しがその証拠です」

中年「証拠ね……」

中年(相手と目を合わせることが条件だと言ってたが、そよ証明はされてねぇんだよな)

眼帯「我々は他の第一級危険魔術家を滅ぼし」

中年「オジさん達は土魔術家以外の四大元素家を滅ぼす」

眼帯「我々の利害は一致しております」

「博覧会、頑張りましょうね」




693: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:20:47.45 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場前】
秀才「結局、美術部長先輩は招待券は手に入らなかったと言っていたが……」

秀才(今朝、ポストに招待券とここで待つようにと書かれたメモが入っていた……)フム

秀才「……また、土魔術家か」

丸眼鏡「貴方は土魔術家と繋がりがあるの?」

秀才「……丸眼鏡さん。 これは意外な人物が現れたな」

丸眼鏡「その割りには驚いていない」

秀才「晴天の霹靂を何度も体験すれば、それを日常と感じてしまうのさ」

丸眼鏡「貴方の日常に興味は無い」

秀才「酷いことを言うな。……招待券は君からのラブレターか?」

丸眼鏡「どちらかと言えば呪いの手紙」

秀才「それは物騒だ」ハハ

丸眼鏡「……催し事は土魔術家の管轄。 招待券ぐらい幾らでも手に入る」

秀才「幾らでも手に入るからといって、理由も無く俺には渡さないだろ?」

丸眼鏡「私が貴方に招待券を渡した理由は2つ」

秀才「1つ目は……腐女子さんか?」

丸眼鏡「……もう1つは解る?」

秀才「……」

丸眼鏡「風が告げた、貴方に渡すべきと」

秀才「……風読み術か」

丸眼鏡「えぇ、だから私は断言する。 それは呪いの手紙、貴方の運命を左右する1枚」

秀才「……ありがたく頂戴するよ」

丸眼鏡「……秀才」

秀才「ん? どうした?」

丸眼鏡「……何でも無い」ノシ

丸眼鏡(私は後何人の人生を魔術社会に捧げて生きていくのだろう)

丸眼鏡「―秀才先輩、ごめんなさい」




694: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:22:58.76 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場内】
秀才「美術部長先輩をすぐに見付けれて良かったな。」

秀才(昼過ぎには自由に動けると言っていたから、それから合流して仮面を調べよう)

秀才(それまでは……博覧会を堪能させてもらおうか)フフフ

僕っ娘「……何をニヤついている。 気持ち悪いぞ、君」

秀才「なっ、僕っ娘! 君も博覧会に来ていたのか?」

僕っ娘「根暗から聞いていないのかい? 魔法薬研究会で参加することになったんだ」

秀才「あぁ、だから最近忙しそうだったのか……凄い疎外感を感じるな」ショボーン

ポニテ「ポニテ、言われたモノ持ってきたわよ……て、あれ?秀才?」

秀才「やぁ、ポニテ……二人は?」

僕っ娘「根暗には買い出しをお願いした。 オタクは警備員に連れていかれたな」

ポニテ「あいつ、何したのかしら……」ハァ

秀才「そうか、二人によろしく伝えておいてくれ」

僕っ娘「待っていたら? すぐに戻ってくると思うが……」

秀才「折角だから先に回ってくるよ」

ポニテ「そう、また後でね」




695: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:23:55.94 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場・個室】
「いきなり、呼び出してすまないね」

オタク「警備員に腕を掴まれた時は驚きましたよ。 風当主」

風当主「君が火の若ということは公にはまだ公表していないんだろ? 警備員は君が不審者と思って連れてきたわけだ」

オタク「それは弁解させて欲しいですね」

風当主「此方の勘違いだったとでも伝えておくよ」

オタク「……何があったんですか?」

風当主「転移魔術で此方に送られてくる品物の一部が奪われた」

オタク「なっ!?」

風当主「転移魔術に介入して、転移先を変更されたようだ」

オタク「そんな事が可能なのですか?」

風当主「かなり高位な転移魔術師ならば可能だろうね」

オタク「それを私に取り返せと?」

風当主「それについては火当主と土当主に対処してもらっている」

オタク「……土魔術家にもですか?」

風当主「土魔術家は禁術管理が仕事だからね。 盗まれた品物の中にそういう面で影響力のあるモノがあったのさ」

オタク「…………」

風当主「私目線では火魔術家も土魔術家もきな臭い面では変わらないのさ」

オタク「それで、私には何を?」

風当主「会場にも何か起こるかも知れない。 何があった時は協力しておくれ」

オタク「……解りました」




696: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:24:57.53 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場・フードコート】
根暗「……あの、僕はサンドイッチを、その買いたいだけで」

調理人「君、魔法薬研究会の学生だろ?」

根暗「あの、だから……サンドイッチを……」

調理人「私は魔術料理の研究をしていてね。 いや〜、君達が魔法薬に使う素材も使ってみたくてね」

根暗「さ、ささ、サンドイッチ……」

中年「あれが触手魔術師かい?」

眼帯「えぇ」

中年「そんなに危険なヤツには見えないけどねぇ」

眼帯「魔術社会を崩壊させる可能性を持つ存在ですよ」

中年「魔術師の時点でオジサンから言わせたら危険なんだけどねぁ」

中年「何より、魔術社会を壊してくれるなら万々歳さ」

眼帯(……相変わらずの魔術嫌いか)

眼帯「それより、奪った品物の方は?」

中年「武闘派の連中に守らせている。 大した品は無いが良い目眩ましになるだろうさ」

眼帯「火魔術家がそちらに気を取られているうちに目的の物を確保しましょう」

中年「あぁ、幕引きの秘薬さへ手に入れば文句は無いさ。 部下が何人死んでもね」

眼帯「此方もあの万華鏡さへ手に入れば貴方方に用はありません」

中年(魔術社会の完全なる管理を目指す土魔術家と魔術社会の崩壊を目指す俺が手を組むなんて……)

中年「皮肉なこともあるもんだねぇ」

眼帯「えぇ、全くです」

中年(用が済んだら始末するか)ニコ

眼帯(用が終わったらぶち殺そう)ニコ

「見つめ合って微笑んでる」「歳の差カップルかな?」「リア充死ね!」

根暗「……早く、僕っ娘のところに戻らないと」アセアセ




697: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:26:47.26 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場】
『優等生、お前は博覧会会場に潜入し有事に備えろ』

優等生「とは言われたが……」

優等生(具体的にどう動けば良いんだろうか?)フム

医師「つまり、今後必要とさらるのはその場限りの回復魔術では無く長期的治療への応用だと私は考える」

優等生(あそこでプレゼンをしてるのはおさげの父親か。 少し聞いて……なっ!?)

不良「……」カキカキ

優等生(……なぜ、不良が)

医師「先程から一生懸命に聞いている学生君。 何か質問はあるかな?」

不良「お、俺……いや、私の家系は魔術工学が専門なんだすが、そんな俺でも魔術医療に貢献できますか?」

医師「愚問だ! 貢献できるに決まっている。 君が関心を持ったことに価値がすでにあるのだからね」ニコ

不良「……ありがとうございます!」パァ

不良(……俺が関心を持ったことに価値があるか)ニヤニヤ

優等生「ご満悦だな」

不良「おう! ……って、何でここにいんだよ!?」

優等生「知り合いに招待券を貰ってな。 しかし、魔術医療に関心を持つとは……」

不良「お前が言ったんだろ? 遊園地の約束守ってやれって」

優等生「はぁ?」

不良「だから、少女を治して遊園地に連れていってやれって」

優等生「いや、少女が退院したら遊園地に連れていってやれ……という意味だったんだが」

不良「……」///

優等生「ふん、負け犬に出来るのか?」

不良「うるせぇ、鼻付き虫! 今に見てろ!!」

優等生「俺の何処に虫要素がある?」

不良「俺にだって犬要素ねぇだろ?」

優等生「あぁ、犬は利口だったな。 すまない」

不良「この野郎……ん?」

優等生「どうした?」

不良「おい、あれって……」

中年「……」テクテク

優等生「……不良、お前は関わるな。 良いな?」

不良「おい、待てよ! ……何か手伝えることはねぇのか?」

優等生「あるわけ……いや、魔法薬研究会のオタクにこの事を伝えてくれ」

不良「オタクだぁ?……解った、任せろ」
※忘却薬で根暗達とのことは忘れてます




698: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:29:39.11 ID:5b1JhzDl0

根暗「やっ、やっとついた。 ただいま」

僕っ娘「やっと帰ってきたのかい? 遅かったね」

根暗「い、色んな人達に捕まって」グッタリ

僕っ娘「若者に自分の分野に関心を持って欲しいということか」

ポニテ「探究家ってもっと秘密主義なのかと思ってたわ」

僕っ娘「秘密主義ではあるよ。 自分達の一族の核となるところは余程の事が無いと公表しない」

僕っ娘「僕の家の秘薬だって、効能すら秘密さ」

根暗「でも、すごく、そのオープンな感じがしたよ?」つサンドイッチ

僕っ娘「ふふ、話せる範囲は話したいし、それを魔術社会に役立てたいとも思っているのだよ」モクモグ

ポニテ「もっと、陰気なイメージを持ってたけど探究家も熱いところあるんだね」

僕っ娘「やはり、軽視していたんじゃないか」ジト

オタク「ただいまでござる〜」

ポニテ「遅かったわね、何したのよ?」ジト

オタク「拙者の顔がイケメン過ぎて、魔術で変装してるのではないかと疑われたでござるよ」キリ

ポニテ「……」アリエル

オタク「つっこんで欲しいでござる!!」///

僕っ娘「そう言えば秀才が来ていたぞ? また、顔を出すって」

根暗「………………あっ、招待券、秀才に渡すの忘れてた」ズーン





699: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:31:09.52 ID:5b1JhzDl0

不良「おっ、いたいた」

僕っ娘「!?」ビクッ

ポニテ・オタク「……」ギロ

根暗「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

不良「お、いや……何だよ?」
※忘却薬により以下略

ポニテ「何か用?」

不良「お、おぉ、オタクに話があってな」アセアセ

オタク「向こうで話すでござるよ。 根暗が手を出す前に行くでござる」ガシッ

不良「お、おう?」

僕っ娘「……ふぅ、はは、忘却薬がきれたのかと思って焦ったよ」

根暗「その時は、僕が……」

僕っ娘「根暗、駄目だよ?」

根暗「………………君だけは誰にも傷付けさせない」ギュ

ポニテ「二人の世界に入らないでくれないかな?」

「いやぁ、お熱いね〜」
僕っ娘「……何か用か?」

薬師「娘の晴れ舞台を見にきただけさ」ククク

根暗「むむ、娘?」アセアセ




700: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:33:15.79 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場・バックヤード】
警備員「中年さん、お疲れ様です」

中年「あいよ。……これも変換魔術か?」

眼帯「えぇ、あの警備員には予め中年と名乗る人物が来たら通すのが当たり前……と書き換えておいたのです」

隻腕「この奥かい? この奥にあるのかい? アァ、私の腕……待ってておくれ」

中年「今日は目隠ししてくれないんだね」

眼帯「えぇ、ですので目を合わせないように気を付けてくださいね」

中年「へいへい」

優等生(目を合わせるな? クソ、あまり聞き取れないな。 中年と、後の二人は誰だ?)コソコソ

中年「でぇ? 目的のモノが何処に有るかは解ってるのかい?」

眼帯「えぇ、予想はついていますが……この部屋の筈です」

中年「……ドアに魔方陣か。 これは厄介そうだな」

眼帯「……隻腕」

隻腕「この部屋、この部屋なんだね、アァ……愛おしいよ」ピト

ドア「」クパァ

中年「……変換魔術以外も使えるんだな、コイツ」

眼帯「説明する必要があります?」

中年「ははは、無いね。 さて、入ろうか」

眼帯「中年さん、下がってください」





701: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:33:56.64 ID:5b1JhzDl0

「あらら、不意打ちしようとしたのに♪ 残念、残念☆」

眼帯「もう少し、残念そうに言ったらどう? お嬢ちゃん」

放送部長「何時も明るく元気がもっとうなのよ! オ・バ・サ・ン♪」

眼帯「あぁん?」

中年「あらら、眼帯さん言われちゃったね」

眼帯「ははは、お嬢ちゃん、いやクソガキ……こちとらキチガイとオッサンの相手してイライラしてるってんのに」ガチャ

放送部長(投影魔術で銃を!?)

中年「ははは、本音漏れてるよ」

眼帯「邪魔するんじゃねぇ!!」ダダダダダダダ

放送部長「なっ!? 風壁魔術!!」ビュー

中年「おいおい、貴重なモノもあるんだからこんなところで暴れるな……っと、危ないね」サッ

優等生「……」グッ

中年「いきなり殴りかかってくるとは……おっかない」

放送部長「優等生君? 貴方も四大元素家の関係者なのかしら?」

優等生「……放送部長先輩、あの男の目を合わせない方が良いですよ」

放送部長(教えてはくれないのね? 予想は出来るけど)

中年「オジさん、魔術師じゃないから戦闘は勘弁して欲しいんだけどね」トホホ

眼帯「隻腕、そっちのガキンチョ相手しな」

隻腕「それは、アハハ、面白いね。 良いとも! 私は両腕がある人物が心の底から気に入らないのだから……ネ♪」

眼帯「中年さんは目的のモノ見付け次第、包帯を呼んで逃げな」

中年「へいへい」

優等生(早く来てください……若!)




702: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:34:51.10 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場】
秀才「……一緒に昼食を取ろうと思ったんだが」

僕っ娘「……」ムス

ポニテ「あはは、ごめん。 オタクは何処かに行っちゃって」

秀才「そうか、根暗は?」

ポニテ「……僕っ娘のお父さんを追いかけて行っちゃった」

秀才「へ?」

僕っ娘『ここには顔を出すなと言っただろ?』

薬師『つめてぇな、折角魔法薬の鬼才、薬師様が見に来てやったというのによ』

僕っ娘『惚れ薬の1つも使いこなせないヤツが鬼才か』フン

薬師『使いこなせたから、お前さんを孕ませれたのさ』ニヤニヤ

根暗『……あの、その、仲良く』

薬師『良い彼氏じゃねぇか? お前は惚れ薬の使い方を心得てるらしい』

バシーーーーーーン

僕っ娘『……貴方の娘に何て生まれたくなかった』

薬師『へへへ、そいつは残念だ』ノシ

僕っ娘『……皆、取り乱してすまない』

根暗『……僕っ娘』

僕っ娘『根暗、心配しなくて大丈夫b』

根暗『言い過ぎ』メッ

僕っ娘『』

秀才「根暗が僕っ娘を叱るなんて……珍しいな」

僕っ娘「でも、僕はどうしても……父親を許せない」

ポニテ「根暗はそんな父親になついてるみたいだけどね」

僕っ娘「……」ムス




703: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:37:27.03 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場・バックヤード】
薬師「さてと、上手く騙されてくれてるかね?」

「あ、あの……」

薬師「何だ? 彼氏さん……俺に何か用か?」

根暗「ど、どうしても……その、聞きたいことがあって」オロオロ

薬師「急いでんだが……1つだけ答えてやるよ」

根暗「……何で嫌われようとしてるんですか?」

薬師「あ? ……嫌われようとなんてしてねぇよ」

根暗「いや、あの……それは嘘、ですよね」

薬師「……」

根暗「本当は惚れ薬なんて使ってないんじゃないかって……その」オロオロ

薬師「何でそう思うんだ?」

根暗「貴方が僕っ娘のお父さんだから……」

薬師「反面教師って言葉がこの世にはあんだよ」

根暗「……火魔術家の友人は魔術を使うときに火事になら無いように注意します」

根暗「肉体強化魔術を使う人たちは体を壊さないように加減します」

根暗「魔法薬の専門家の貴方が……」

薬師「惚れ薬を盛るわけが無いか?」

根暗「盛ったとしても、バレるようなへまはしないんじゃないかな……なんて」

薬師「ははは、腹痛い、ははは、良いな、お前は……ははは」

根暗「だから、その……」

薬師「それ以上は言うなよ? 男が悪いで終われないラブストーリーなんて読めたもんじゃねぇだろ?」ポンポン

根暗「…………」

薬師「僕っ娘のこと、幸せにしてやってくれや」




704: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:42:33.94 ID:5b1JhzDl0

『離婚して欲しいなんて……いきなり、どうして?』

『いやぁ、ヤバい薬作っちまってよ……出来れば僕っ娘も連れてってくれねぇか?』

『無理よ。あの子は貴方の精製技術を引き継ぐのが夢なのよ』

『俺がお前に飲ませた惚れ薬の効果がきれた……とかいやぁお前についていくさ』

『貴方はそうまでして……』

『お前達を危険な目に合わせたくねぇんだよ』

『解ったわ。 それでもあの子は貴方の方に残ると思うけど?』

『……嫌われるように努力するさ』




705: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:44:31.01 ID:5b1JhzDl0

優等生「……何だ、コイツは?」

隻腕「アァ、また避けられたか? 君は素早いな。 ほら、次は火弾魔術!!」ボンッ

優等生(火弾魔術か? 氷柱魔術に雷撃魔術、肉体強化魔術も使っているな? ……コイツは幾つの魔術を使えるんだ)サッ

隻腕「はは、先程からどおして目を見てくれないんだい? 人見知りが、アァ、激しいんだね? そうなんだろ?」

優等生「煩わしい!」ナグリ

隻腕「おっと、鋭い拳だ。 その拳が私の片腕を奪ったのかい?」ガシッ

優等生(掴んだ! 熱源魔術!!)ジュー

隻腕「何かしたかな?」ケロリ

優等生(効かない!?)

隻腕「風刃魔術!」

優等生「ぐっ! ……また、別の魔術を」ザシュ

隻腕「アハハ、惜しかった! 今のは惜しかったネ! 私とお友達になれるところだったのに……アハハハハハ!!」

優等生(何故、熱源魔術が効かなかった? 隻腕の手から熱気? ヤツも熱源魔術を使っている……そうか)

優等生「魔術をコピーしているのか……」タラ

放送部長(優等生君は苦戦してるわね……とは言っても此方も)

眼帯「オラオラ! 守ってばかりじゃお姉さんには勝てないよ?」ダダダダタ

放送部長「くっ、オバさんの癖にやるじゃない」

放送部長(魅了魔術もあそこまで怒ってたら効果無いわよね? 風が無い室内じゃ風系統の魔術も弱まるし)ムムム

中年(万華鏡の方は見付かったけど、薬の方が無いな)




706: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:46:53.87 ID:5b1JhzDl0

「おい、中年……」

中年「ん? なぁ!?」

薬師「よぉ! 会いたかったぜ?」ナグリ

中年「……ぐっ、これは薬師さん。 やっぱり、幕引きの秘薬を渡す気になりました?」

薬師「だったら、挨拶かわりに殴ったりしねぇよ」

中年「此処にある秘薬を守りに来たわけですね」ナイフ

薬師「……ここに秘薬はねぇよ。見事に騙されたな、バーカ」

中年「何!?」

薬師「此処に来たのは、家族を人質に俺を脅して秘薬を作らせようとしやがった、あんたを捕まえる為さ」

薬師「お陰様で、嫁には逃げられるは、娘には嫌われるは……嫌な人生だよ」トホホ

中年「家族を巻き込ませない為に自分から遠ざけるとは……良いお父さんじゃないですか」

薬師「守る力が無い癖に、守ろうとしてんだ。 ただの我が儘さ」

中年「薬が無いなら用もありませんよ。 退くとしようか眼帯さn」




707: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:49:03.65 ID:5b1JhzDl0

ダダダダダダダ

中年「……なっ」

薬師「……ぐっ」

眼帯「万華鏡が手に入ったらあんたに用はねぇよ、バーカ」

薬師(……やれやれ、魔術師じゃない中年だけなら探究家の俺一人でも何とか出来ると思ってたけど)

薬師「……世の中、上手くいかねぇもんだな。 流れ弾で死ぬなんざ……笑えねぇ……」バタン

ガシッ

薬師「何で……ここまで着いてきてんだよ……酔狂なヤツ」

根暗「酔狂なヤツは……嫌いじゃ無いんですよね?」

「―あぁ、嫌いじゃねぇ」

薬師「」

根暗「……」

優等生(犠牲者を出さずに終えたがったが……)クッ

眼帯「中年も始末できたし、上出来ね。 隻腕、退くわよ」

隻腕「おや?中年以外にも誰か死んでるみたいだが、彼の腕を貰ってきても良いかな?」

眼帯「あん? そんなものどうでも良いわ、さっさと行くよ」

ニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロン

「そんなもの?」

「どうでも良い?」

根暗「…………君は何を言っているんだ?」ゴゴゴゴゴゴゴ




708: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:51:08.41 ID:5b1JhzDl0

眼帯「……やっぱり、あんたは危険よ。 化け物」

放送部長「貴女の方がよっぽど危険だと思うのだけど?」ギロリ

眼帯「何時も明るく元気がもっとうじゃなかったの?」ポト

優等生(包帯を地面に落とした?)

包帯「我、此処に……」シュン

放送部長「変わった転移魔術ね……」

根暗「ニガサナイ」ニョロン

眼帯「ほら、プレゼントよ」ドンッ

隻腕「おやぁ? 私を押すなんて酷い……」ニョロン ギュッ

ボキグチャバリグチャグチャ

眼帯「包帯、今のうちよ!」

包帯「御意」シュルルルル

隻腕「」プラーン

優等生「逃げられたか。 クソ!」

放送部長「優等生君、それより……あれ? ヤバイんじゃない?」

根暗「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」ブツブツ

ニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロン

優等生「……処分する。 放送部長、手伝ってくれ」

放送部長「冷たいのね。 さっきのおばさんと同じで人の命なんてどうでも良いのかしら?」

優等生「……若の為ならば、俺はどんな罪でも背負う。 そう決めているんだ」ジュー

「お前が背負う必要は無い」

優等生「……」

オタク「……遅くなってすまない」

根暗「コロスコロスコロス…………………………」

ニョロンニョロンニョロンニョロン……………………

根暗「オタク……オタク…………僕は…………」

ギュッ

オタク「すまなかった。 根暗、俺がもっと早く来ていれば……お前にこんな思いはさせなかった」

放送部長「ちゃんと制御出来てるじゃない」チラッ

優等生「……片腕の男は魔術をコピーしていた。 触手魔術をコピーされなかっただけ……良しとしよう」

放送部長(根暗の暴走を見逃す言い訳なのかしら?)





709: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:52:35.64 ID:5b1JhzDl0

【博覧会会場】
僕っ娘「……そうか」

ポニテ「……」

根暗「僕っ娘……ごめん」

僕っ娘「君が謝ることではない…………少し、外に出てくる」

オタク「昼からの参加は難しそうでござるな」

ポニテ「僕っ娘、片付けしておくよ」

僕っ娘「……あぁ」

【博覧会会場・外】
僕っ娘「…………」

根暗「…………」

僕っ娘「気が付いていたんだ」

僕っ娘「お父さんが本当を惚れ薬を使ってないこと……お母さんと僕を遠ざけていたこと……」

僕っ娘「本当のことを教えてくれなかったのが……嫌で、辛く当たって……」グス

僕っ娘「男が悪いで終われないラブストーリーなんて読めたもんじゃねぇだろ?……何だよそれ、ふざけるな……そんなの男の我が儘じゃないか……」

僕っ娘「何も教えてくれないまま……死ぬなんて……そんなの……あぁ、うぁぁぁぁぁぁん!!」

根暗「……」ギュッ




710: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/11(火) 00:54:10.93 ID:5b1JhzDl0

【土魔術家の本拠地】
眼帯「戻たよ」

優男「あぁ、姉さん。 お帰り」

眼帯「中年の部下たちは?」

優男「火魔術家に捕まったみたい。 中年さんは?」

眼帯「処分してきた。 これで魔壊連合もお仕舞いね」

優男「そうだね。 隻腕はどうしたの?」

眼帯「囮にして逃げてきた。 コレがあったらヤツももう要らないでしょ?」つ万華鏡

優男「勿体無いな、1度見た魔術をコピー出来るなんて貴重な人材だったのに……ねぇ、包帯さん」

包帯「……我に意見無し」

優男「相変わらずだね。 さて、これで次世代会議に進む準備は出来た」ニコニコ

眼帯「ご機嫌ね。 計画通りことが進んだから嬉しいのかしら? それともお姉ちゃんに会えたのが嬉しいの?」ギュッ

ザシュ

眼帯「……え?」

優男「大好きなお姉ちゃん。 貴女は顔を見られ過ぎた。 四大元素家の中には貴女の顔を知る人もいる」

眼帯「な、何で……」

優男「だからね、今回の件は土魔術家を裏切った貴女が魔壊連合を手引きしたことにするって決まったんだ」

「今まで、お疲れ様」

眼帯「……若、様」

優男「さよなら、姉さん」プルプル

「泣いてるのかい? 優男」

優男「いや、堪えてまして……ですが、駄目ですね。 実の姉をこの手で殺したと言うのに……ハハハ」

優男「愉快です、何でだろうか? ハハハハハハ!!」




713: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:14:37.49 ID:/1huNItIO

【博覧会会場】
秀才(美術部長先輩はまだだろうか?)

「―狼男と獣化魔術の違いは解るかい?」

秀才「へ?」

学者「暇なんだろう? 少し、私のブースを見ていかないかと思ってね」

秀才「……魔術分類学ですか?」

秀才(なんと言うか……ニッチな学問だな)

学者「さて、脳があるなら思考し、口があるなら答えを放とう……時間が有限だなんて君でも解るだろう?」

秀才「自分の体内の魔力を使ってする肉体強化魔術の亜種が獣化魔術、体外の魔力を受動的に吸収して変化してしまうのが狼男……これで良いですか?」

学者「なるほど、驚いた!?」

秀才「このぐらい教科書に載っていm」

学者「学生のレベルの低下がここまで深刻化しているとは……由々しき事態だね」

秀才「なっ!? だって、教科書にはそう書いて……」

学者「教科書? 君達が使っている教科書はコレかい?」つ教科書

秀才「……えぇ」

学者「これは私が執筆したものだ。 100の間違いを載せているというのに誰も何も言ってこない」

秀才「……ジョークに付き合ってる暇はありません」スタサタ

学者「とある女性がホルモンバランスの乱れで獣化してしまった事例がある」

秀才「……」ピタ

学者「生理中は魔力生産速度は変化せず、魔力許容量が低下することぐらいは君でも知ってるよね?」クスクス

秀才「えぇ、それぐらいは……」

学者「さて、この事例は獣化魔術に分類されるだろうか? それとも狼男と同じ現象なのだろうか?」

秀才「……狼男です」

学者「おんやぁ? 君はさっき、体外の魔力を吸収して……と言っていたじゃないか?」

秀才「……」

学者「受動的に獣に近付くのが狼男、能動的に獣に近付くのが獣化魔術……提議はこれだけさ」

「少しは私の学問に興味を持って貰えたかな?」




714: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:15:55.19 ID:/1huNItIO

【博覧会会場・フードコート】
机≪ラーメン、チャーハン、餃子、天津飯、中華ソバ、ゴマ団子……等々≫

丸眼鏡「そう、被害者が出てしまったのね」モキュモキュ

放送部長「えぇ、私が片目の女に気付かれなければこんなことには……」

丸眼鏡「終わったことはしょうがない、相手が盗んで行ったものは?」

放送部長「万華鏡……といっていました。 どのような効果を持っているかは現在調査中です」

丸眼鏡「解り次第、私に伝えて。 父には私からまとめて報告する」

放送部長「まとめて?」

丸眼鏡「腐女子からの報告もあるはずだから」

放送部長「……なるほど」

丸眼鏡「怪我は?」

放送部長「ありません」

丸眼鏡「そう」

放送部長「どうか、されましたか?」

丸眼鏡「貴女の顔を見て確信した。 私は怖いんだと」

放送部長「怖い?」

丸眼鏡「貴女達の戦況を風読み術で見ようとしたが、手が震えて上手く出来なかった」

丸眼鏡「貴女の死が見えたらどうしようって」ブルブル

丸眼鏡「魔術社会にとって一番よい道程に貴女の屍が転がっているのなら」

丸眼鏡「―私は正しい選択を出来ない」

放送部長「……それでも丸ちゃんは選ばなきゃ」

丸眼鏡「懐かしい……呼び方」

放送部長「ふふ、嫌でした? ご主人様」

丸眼鏡「……」ブンブン

放送部長「丸ちゃんならきっと守れるよ、魔術社会を……」

丸眼鏡「皆は魔術社会より、大事なモノを守ろうとしている」

放送部長「皆がそういられるのは、きっと丸ちゃんが頑張って魔術社会を守ろうとしてるからだよ」ナデナデ

放送部長(良かった、私はこの娘に着いていける)

僕っ娘『ふざけるな! 人の命と魔術社会……どっちが大切なんだ!!』

丸眼鏡『魔術社会に決まっている』キッパリ

放送部長(とっくに彼女の心は乾ききっているのかと思ってた……)

放送部長「……もしも、丸ちゃんが魔術社会より大切なものが出来たら」

放送部長(貴女の中にその葛藤が、迷いが有る限り)

放送部長「私、歌って踊れる、学園アイドル♪ 放送部長が一緒に御守り致します☆」




715: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:21:12.88 ID:/1huNItIO

【???】
学者「すんばらぁしいぃ!!」

秀才「こ、これで……残る間違いは1つですね?」ハァハァ

学者「あぁ、君への評価を改めよう、今の学生も捨てたものじゃない」

秀才「そりゃ、どうも……後は……えっと……」

秀才(……いや、もう無いだろ? 全ページ探し尽くしたぞ?)

秀才「……前書き?」

前書き≪始めに告げておこう。 ここに書かれている魔術の神秘は信じ難いものだろう≫

≪しかし、魔王と勇者のような存在しえないものではないのである≫

秀才「……勇者と魔王が存在し得る……とかじゃないですよね?」ハハ

学者「それが答えだ。 しかし、魔王と勇者が存在し得る……と言うべきだね」

秀才「待ってください! 俺達が知らない所で勇者が魔王を倒す冒険が行われてるとでも?」

学者「魔王と勇者は魔術的概念……いや、到達目標とも言えるね」

秀才「……賢者の石とか不老不死と同等のものだと?」




716: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:21:56.46 ID:/1huNItIO

学者「あぁ、まずは魔王と言うものから説明しようか」

学者「魔王とは純粋な自身の魔力だけで生物を生成できるモノのことを言う」

秀才「なっ!? そんなモノ存在するわけがない! 触媒も何も使わずになんて……」

学者「不老不死や賢者の石も十分有り得ないものだろう?」

秀才「……モノと言うことは魔王自体が生物であるとは限らないということですか?」

学者「あぁ、石ころでもそれが出来れば魔王と分類出来る」

学者「さて、次は勇者だ。 この概念は魔王という概念の後に出来たわけだ」

秀才「……対称的な存在ではあるんですね」

学者「あぁ、勇者とは全ての魔を葬る存在さ。 全ての魔法的存在を否定する力を持つモノが勇者だ」

秀才「全ての魔術的存在を……」

学者「ちっっっっがぁぁぁぁう!!」

秀才「!?」

学者「根本的なところが理解できてなかったのだね? 良いか、魔術と魔法は別物だ!!」

秀才「へ?その……」

学者「魔術とは魔力やら何やらを犠牲にして魔法と言う奇跡を真似してるだけに過ぎない」

秀才「……魔法は魔力すら消費しないと?」

学者「魔術師と魔法使いの違いはそこにあると言っても良いだろう」

秀才「さっきの魔王より、魔法使いの方が有り得ないですよ」

学者「ハハハ、それはいいジョークだ。 目の前に在るモノを疑うとはね」

秀才「……へ?」

学者「さて、残念ながら、君の時間は有限だ」

「またね、魔術師君」パチン




717: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:23:10.50 ID:/1huNItIO

【博覧会会場】
秀才「……」

ガヤガヤザワザワ

秀才「何だったんだ? ……あっ、美術部長先輩との待合せ!?」

美術部長「あっ、秀才君……待たせてしまったね」

秀才「へ? いえ、あの俺の方こそ遅刻して……変な人に絡まれてしまいまして」

美術部長「ん? 時間通りじゃないか?」

秀才「……?」

美術部長「……それよりも早く調べに行こうか、僕はまた家の手伝いに戻らないといけないしね」

秀才「はい、詳しそうな人を見付けておきました。 簡単に事情も説明しています」

美術部長「アポまでとっているとは流石だね」

秀才「止めてください、照れてしまいます」

腐女子「美術部長×秀才……ありですね」ハァハァ

美術部長「……」

秀才「……」

美術部長「何時からいたんだ!?」

腐女子「美術部長が僕の下半身の筆で君の裸体に描かせておくr」

美術部長「言ってない!!」

腐女子「フヒヒヒwサーセンwww」

秀才「腐女子さん、チケットありがとう」

腐女子「私は丸眼鏡に頼んだだけです……それに、私も本当のこと知りたいし」

秀才「よし、じゃあ君も一緒に行こうか」

腐女子「良いんですか?」

美術部長「変な妄想はするなよ?」

腐女子「……」プイッ

美術部長「おい!」




718: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:24:11.31 ID:/1huNItIO

秀才「ここです。 魔道具屋さん、先程はどうも」

魔道具屋「おっ、えーと、秀才君だったかな? 私に見せたいものは持ってきたのかな?」

美術部長「えぇ、私が所属している美術部の創設者が作ったものらしいんですが……」つ羨みの仮面

魔道具屋「ほう、美術部か……まだ廃部になってなかったんだね」

美術部長「……へ?」

魔道具屋「私は魔術学園の卒業生でね。 私の友人が美術部を設立したんだ」

腐女子「そ、そうだったんですか」

魔道具屋「にしても……この仮面、魔術的効果は見られないが」

秀才・美術部長「えっ!?」

秀才「効果が既に消えているってことですか?」

魔道具屋「いや、そもそも何の効果も持って無かったんじゃないかな?」

美術部長「自分が憧れる人格になってしまうという効果があると聞いていたのですが?」

魔道具屋「そう思い込んでつけたら効果が有るかもね」フフフ

美術部長「つまり、そういう効果があると思い込んで被った結果、三編みさんは肉体強化魔術を暴走させるまでに至ったと」

魔道具屋「ん? 肉体強化魔術の暴走? その三編みという子は肉体強化魔術の初心者なのかい?」

腐女子「いえ、肉体強化魔術を専門としている家系の出身です」

魔道具屋「思い込みでそこまで行くとは……考えにくいね」フム

秀才「それは俺も同意見です」

魔道具屋「何の効果も無いとは思うが、そうだね。 作った本人に聞きに行こう。 丁度、博覧会に参加しているはずだ」




719: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:25:04.03 ID:/1huNItIO

美術部長「……」アングリ

美術父「……」メソラシ

魔道具屋「彼が美術部の創設者、美術父だよ」

美術部長「……お父さん、僕が絵を描いてたら邪魔しに来たくせに」

魔道具屋「あぁ、息子が絵を描いてたらついつい様子を見に行ってしまうんだってね」

美術部長「魔術師に絵なんて不要だって言ってたのに……」

魔道具屋「家など継がせず美術の道に進ませてやりたいって言ってたね」

美術部長「呆れて、もう知らんって……」

魔道具屋「変装してまで学園祭の展示見に行ってたじゃないか」

美術父「…………何か用があったんじゃないのか?」ゴホン

美術部長「……家に帰ったら問いつめますからね」

秀才「話進めても良いですか?」

美術部長「どうぞ」

秀才「ツンデレさん、これについてなんですが」つ羨みの仮面

美術父「ツンデレではない!?」

腐女子「美術部長×ツンデレ美術父……ぶはぁっ!!」ハナジ

美術部長「腐女子さん!?」

美術父「さて、この仮面についてだが……」




720: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:25:53.84 ID:/1huNItIO

秀才・美術部長・腐女子「単なるジョークグッズ!?」

美術父「あぁ、なんの効果も持たせていない」

美術部長「どうしてこんなこんなモノを……」

美術父「何でだったか?」

魔道具屋「悪ふざけじゃないか? お前、そういうの好きだったじゃないか」

美術部長「えっ? お父さんの学生時代って」

魔道具屋「あぁ、今でこそ生真面目な男だが昔はスカート捲りn」ムグムグ

美術父「魔道具屋、そろそろ黙ろうか?」

美術部長「結局、三編みさんの効果は思い込み」

魔道具屋「単なる思い込みで肉体強化魔術の暴走ね……」

秀才「……思い込まされたのではないかと」

美術父「幻惑魔術、洗脳魔術の類いならば可能か……」

秀才「………………ありがとうございました、もう少し調べてみます」

美術部長「何か解ったら教えてくれ」

秀才「はい、勿論です」

腐女子(…………)




721: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:27:19.87 ID:/1huNItIO

【博覧会会場・フードコート】
腐女子「戻ったよ」

丸眼鏡「……ご苦労」

腐女子「羨みの仮面は何の効果も持っていなかった」

丸眼鏡「そう、解った」

腐女子「……秀才先輩、あのままにしておいて良いの?」

丸眼鏡「……」

腐女子「魔術社会の深いところまで介入してしまったら、危ないんじゃ」

丸眼鏡「三編みの真実を知りたいならば泳がしておくべき」

腐女子「私が自分で調べるてはいけないの?」

丸眼鏡「それは無駄、貴女では辿り着けない」

腐女子「占術の結果が絶対だとは限らない」

丸眼鏡「それでも、我々風魔術家はそれに従い指針を決める」

腐女子「……私は風魔術家の一員では無い」

丸眼鏡「……そう、ね」ギリ

腐女子「丸眼鏡?」

丸眼鏡「……貴女は美術部の部員で3P会議たるものの参加者」

腐女子「……」

丸眼鏡「監視者(私)と対象(貴女)の関係はそれに劣る」

丸眼鏡「そうなったのは私の責任。 火の若のように関わることも、水のお嬢のように振る舞うことも出来たのにしなかった」

腐女子「あの、丸眼鏡……何言ってるの?」

丸眼鏡「私はそんな立場でありながら、美術部の部員に根暗とメイドに嫉妬した」

腐女子「えっ、あの、らしくないよ、丸眼鏡」

丸眼鏡「何故、嫉妬したのか思考し、様々な人を観察し理解した」

「腐女子、私は貴女のことを愛している」

腐女子「」

丸眼鏡「……」///

腐女子(シリアスな雰囲気だったのに……何これ?)

腐女子(OK、私は腐女子、ミントみたいにCOOLなのが取り柄さ。 丸眼鏡は人として私に好意を持ったってことだね? そういう事でファイナルアンサー!!)

丸眼鏡「……返事、は?」///

腐女子(恋する乙女の表情何ですけどぉぉおおお!!)




722: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:28:15.74 ID:/1huNItIO

【数日後・魔術学園の屋上】
オタク「そちらは落ち着いたか?」

腐女子「問題ない、事後処理は済んだ」

お嬢「何時かとは立場が逆ですわね」

オタク「はぁ、何かと事件が続くな」

お嬢「何かもっと大きな事が起きる前触れなのでしょうか」

丸眼鏡「雑談より、情報交換を優先したい」

オタク「今回の件は魔壊連合と土魔術家を裏切っていた眼帯の犯行だった。 眼帯の消息は不明だ」

丸眼鏡「魔壊連合は?」

オタク「中年が死に武闘派の連中も大勢逮捕出来たから、ほぼ壊滅状態だ」

お嬢「魔壊連合は魔術を使った犯罪の支援を行っていたのですわよね?」

オタク「あぁ、魔術犯罪を示唆することで魔術を危険視する世論を強めるのが目的だったらしい」

お嬢「中年が魔術師では無かったと伺って疑問に思っていましたが……なるほど」

丸眼鏡「此方からは眼帯に盗まれた品について報告する」

オタク「万華鏡……だったか?」

丸眼鏡「簡単に言えば、目を起点とする魔術の補助アイテム」

お嬢「はぁ……それはどういうことですの?」

丸眼鏡「洗脳魔術等には目を合わせないと発動出来ないモノがある」

丸眼鏡「今回、盗まれた万華鏡を使えば目を合わせなくても範囲内に入った相手に魔術を使うことが出来る」

オタク「それは強力なアイテムだな」

お嬢「……眼帯はそんなモノを盗んで何をするつもりなのでしょう」

オタク「とにかく、火魔術家は眼帯の捜索と魔壊連合の残党狩りで忙しくなりそうだ」

丸眼鏡「……眼帯の捜索は風魔術家も参加する」

オタク「……必要ないと思うが」

丸眼鏡「風魔術家には火魔術家を疑っている派閥もある。 貴方達は秘密が多い」

オタク「ここに跡継ぎが来ていない土魔術家の方が信用できないんじゃないか?」

丸眼鏡「土魔術家は禁術の管理を管轄している。 他の魔術師からも疎ましく思われている」

オタク「ならば我々以上に素性を隠すのも正当だと言いたいのか?」

丸眼鏡「……禁忌に触れてまで触手魔術を保護している火魔術家を警戒するのは理解できる」

オタク「……」

丸眼鏡「……」

お嬢「あの……」オロオロ

オタク「……解った。 水魔術家以外に信頼を置けないのは此方も同じだからな」




723: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:30:17.53 ID:/1huNItIO

【ラブホテル・3P会議】
腐女子「……丸眼鏡に告白されました」

メイド「おめでとうっす」

腐女子「もう少し、驚いてくださいよ!?」

メイド「だって、腐女子はGLだっていけるんすよね?」

腐女子「GLは見る専なんで、自分が対象にされるのは……」

根暗(これ、態々集まってする話なのかな?)

メイド「それより、僕っ娘はどうしてるっすか?」

腐女子「博覧会の日、お父さんがお亡くなりになったと……」

根暗「う、うん、何とか立ち直って農園を手伝ってくれてるよ」

腐女子「それは、良かったです」

メイド「……ん?農園?手伝う?」

根暗「うん、僕の家の裏に農園があって……あっ」

メイド「一緒に住んでるんすか?」ジト

腐女子「その辺、kwsk!?」

根暗「母方の実家は魔術と関係無い家柄らしくて、その、僕の家の方が家で魔法薬の研究しやすいとかで……はい」

メイド「ラブラブっすね、爆発しろ」

腐女子「良いことじゃないですか、爆発しろ」

根暗「ば、爆発!?」




724: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:31:01.34 ID:/1huNItIO

メイド「まぁ、恋バナはここまでにするっすよ」

根暗(……真面目な話もあるのかな?)

腐女子「……秀才さんのことについて今日は話したいと思いまして」

根暗「し、秀才……秀才がどうしたの?」

メイド「四大元素家とか私らのことについて嗅ぎ回ってるみたいなんっすよね」

根暗「ど……どうして……」

メイド「そりゃあ、根暗を守るためっすよ」

根暗「……」

腐女子「根暗先輩、知らなかったんですか?」

根暗「何かを調べてることは知ってたけど……そんな、危険なことだとは」

メイド「まぁ、命の保証は出来ないっすね」

腐女子「丸眼鏡は秀才先輩を利用するつもりみたいです」

メイド「うちのお嬢は心配はしてるみたいっすけど、止める気は無いみたいっすね」

根暗「……火魔術家の意思は解らないけど、僕は止めてほしい」

根暗「危険な目に……あって欲しくない」グッ

腐女子「私も、もう誰も犠牲になって欲しくないです。 でも……」

メイド「私と腐女子の立場じゃ、秀才は止められないっすね」

メイド「根暗、守りたいならあくまで冷静に……っすよ」

根暗「解った……秀才は僕が止める」

根暗「彼を魔術社会なんかの犠牲にしない」キリッ

メイド(こういう顔も出来るようになったんすね)




725: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:31:44.61 ID:/1huNItIO

【魔術学園・2-C】
ポニテ「…………あんた、顔がヤバいことになってるわよ」

僕っ娘「何のことだい?」ニヤァ

ポニテ「とろけきってるわよ!?」

僕っ娘「朝を来たら根暗がいて、一緒に登校して、一緒に部活して、一緒に帰って、一緒の布団で……あぁ、生きてるとは素晴らしい」

ポニテ「あんたねぇ……」

僕っ娘「幸せに浸ってないと辛いんだよ」クス

ポニテ「はいはい、御馳走様です。 惚気話の被害者は私だけにしておいてね、親友?」

僕っ娘「OK、親友♪」

秀才「君達は相変わらず仲がいいな」

ポニテ「あら、秀才? どうして私達のクラスに?」

秀才「俺がこのクラスの学級委員って忘れてないか!?」

ポニテ「冗談よ」

秀才「全く……。 それより、ポニテに聞きたいことが」

ガラガラ

根暗「秀才……いますか?」

僕っ娘「根暗! 昼食のお誘いかい?」

ポニテ「秀才に用でしょ、どう考えても」ハァ

秀才「あぁ、どうした?」

根暗「あの、その……たまには、二人でお昼御飯でもどうかな?」アセアセ

僕っ娘「」ガーン

ポニテ「ショック受けすぎでしょ?」

秀才「あぁ、構わない。 何処で食べようか?」

根暗「……屋上でどうかな?」




726: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:32:29.92 ID:/1huNItIO

【魔術学園・屋上】
秀才「二人で食事を取るのは久しぶりだな」

根暗「うん」

秀才「しかし、博覧会のこと教えてくれ無かったのは傷付いたぞ?」

根暗「ごめん」

秀才「……言いたいことがあるんだろ?」

根暗「……秀才、僕にとって君は大切な友達で……危険な目にあって欲しくない」

秀才「……それは俺も一緒だ。 根暗に危険な目にあって欲しくない」

根暗「君は何処まで知ってるの?」

秀才「根暗こそ何処まで知っているんだ?」

根暗「……僕は火魔術家の使命の為に作られた」

秀才「……」

根暗「驚かないんだね」

秀才「……ホムンクルスだろうと、俺にとっての根暗は何も変わらない」

根暗「……ありがとう」

秀才「火魔術家の使命とは何だ?」

根暗「それは……言えない」

秀才「知ってはいるんだな?」

根暗「オタクが教えてくれた……。 お嬢様の誕生日会から帰ったら家の前にいて……全部話してくれた」

根暗「自分がどういうモノか、火魔術家が僕をどうするものか知った上で……僕はオタクの為に犠牲になると」

ガシッ

秀才「犠牲になるだと?」

根暗「……これは触手魔術家と火魔術家の問題だ」

秀才「それでも俺は……お前が戦うなら一緒に」

「これは僕とオタクの戦いだよ」

根暗「秀才が関わって良いものじゃ……無い」




727: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:33:12.72 ID:/1huNItIO

秀才「……」

無口「貴方が授業をサボるなんて珍しい」

秀才「……どうしたら良いのか解らないんだ」

無口「……」

秀才「根暗を助けようとやってきたことが、根暗にとっては迷惑で……あいつらの中では答えが出ていることで……」

無口「……」

秀才「俺はどうしたら良いんだ!?」

無口「……秀才君」

無口「鬱陶しい」

秀才「なぁっ! その言い方は酷くないか!?」

無口「貴方は結局調べるのを止められない」

無口「貴方は結局何もしないなんてことは出来ない」

無口「貴方は関わらないなんて賢い選択が出来る人間じゃない」

秀才「……」

無口「ユー アー ベリー フール」

秀才「励ましてくれてるのか?」

無口「……」クスクス

秀才「半分は馬鹿にしてるんだな」ハァ

無口「……」コクン

秀才「はぁ、解ったよ。 やってやる。 根暗に疎まれても良いさ。 俺にも譲れないモノがある」

秀才「根暗、これはお前とオタクと……やはり、俺の戦いだ」キリ




728: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/14(金) 09:34:23.55 ID:/1huNItIO

【火魔術家本拠地・武家屋敷】
優等生「若! どういうおつもりですか? 根暗と僕っ娘の同居を許すとは」

オタク「恋慕に首を突っ込むもんじゃないでござるよ」デュフフフ

優等生「ふざけないでください!?」

オタク「いや、根暗の人生を犠牲にするんだからせめて好きな人とぐらい一緒にいれるようにだな」

優等生「……根暗に火魔術家の使命について話して無いですよね?」

オタク「ボウズ、将棋でもささないか?」

優等生「若!?」

オタク「……根暗には知る権利があるだろ?」

優等生「知ってしまったら抵抗するに決まっているでしょう?」

オタク「……根暗は全て知った上で承諾してくれた」

優等生「なっ!?」

オタク「魔術社会の為では無く、俺の為にあの森で」

「―魔王の侵攻を止めてくれると」




729: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:20:03.79 ID:GQ8hbgNsO

【魔術学園・1-A】
腐女子「……」

丸眼鏡「……」ジー

【美術室】
腐女子「……」カキカキ

丸眼鏡「……」ジー

【トイレの個室】

腐女子「……あの」///

丸眼鏡「……」ジー

【放送室】
腐女子「放送部長さん! 助けてください!!」ガチャ

放送部長「あら、腐女子、美術部はどうしたのかしら?」

腐女子「それどころじゃないです! 朝からずっと、丸眼鏡が!?」

丸眼鏡「……」ジー

放送部長「御主人様、何をされているんですか?」

丸眼鏡「腐女子を見つめている」

放送部長「そこまで監視する意味があるのでしょうか?」

丸眼鏡「これは監視ではない。 ただ、腐女子を愛しく思ったから見つめている」

放送部長「……ファッ!?」




730: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:20:52.51 ID:GQ8hbgNsO

放送部長「なるほどね、つまりご主人様は腐女子が他の人達と仲良くしているのを見て嫉妬したと」

丸眼鏡「そう。 そして、その嫉妬の原因は私が腐女子を愛しているからじゃないかと推測した」

放送部長「だからって、腐女子を付け回して視姦してたら嫌われちゃいますよ?」

丸眼鏡「視姦?」

放送部長「えぇ、なのでもっと確実に腐女子を攻略していかないと♪」

腐女子「ちょっと待ってください!?」

放送部長「どうしたの? 声をあらげて?」

丸眼鏡「……」キョトン

腐女子「何で、私がおかしいみたいな顔してるの? 何で、放送部長さんは丸眼鏡の応援してるの? というより、私と丸眼鏡は女同士でしょうがぁぁぁあああ!?」

丸眼鏡「腐女子の部屋よりこんな書物を見つけた」

書物≪百合同人誌「愛さへあれば女同士でも関係無いよネッ♪」≫

丸眼鏡「この書物によれば、愛情の有無が性別よりも重視されると」

腐女子「同人誌を根拠に語らないでよ!?」

放送部長「ふむふむ、この書物には出会いから付き合うまでの道筋が書かれていますね」ペラペラ

腐女子「あっ、ちょ! 読まないでください!?」///

放送部長「この通りにやっていけば、腐女子と付き合えるんじゃないですか?」

丸眼鏡「……ふむ、試す価値はあるか」

腐女子「本人の前で打合せしないでよ……」




731: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:21:40.04 ID:GQ8hbgNsO

【魔術学園・校舎裏】
風来坊「おうおう、ねぇちゃん良い体してんじゃねぇか?(棒)」

腐女子「え、あの……風来坊さん何してるんですか?」

風来坊「……おうおう、ねぇちゃん良いからだしてんじゃねぇか?(棒)」

腐女子「村人Aですか!? 同じ台詞しか言えないんですか!?」

風来坊「おうおう、ねぇちゃん良いからだしてんじゃねぇか?(棒)」

腐女子「……」チラッ

放送部長「……」つカンペ

カンペ≪きゃー、誰か助けて≫

腐女子「きゃー、誰か助けて?」

丸眼鏡「止めて。 彼女、嫌がってるでしょ」

腐女子「うん、丸眼鏡にその台詞を言いたい」

風来坊「うるせぇ、お前には関係無いだろ(棒)」

丸眼鏡「女の子の涙は見過ごせない質なんでね」

風来坊「お前も女だろうが(棒)」ナ-グ-リ-

腐女子(……すごいゆっくり殴りかかってる)

丸眼鏡「……ふん」カツギ

風来坊「……」

丸眼鏡「……」

腐女子(背負い投げしようとしたポーズで止まった?)

丸眼鏡「ふん!」カツギ

風来坊「……」

丸眼鏡「……」

腐女子「……背負い投げ、出来ないの?」

丸眼鏡「……」///

風来坊「……」

放送部長「……はい! 背負い投げしました!」パン

風来坊「く、くそ、覚えてやがれ(棒)」ダッ

丸眼鏡「大丈夫かい?」

腐女子「丸眼鏡の頭に問いたい!」




732: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:23:41.74 ID:GQ8hbgNsO

【1-A】
風来坊「えー、皆さん、静かに(棒)」

1A担任「んぐー!んぐー!」E.猿轡

風来坊「今日、このクラスに転校生が入ってくることになった(棒)」

「何で、先生椅子に縛られてるの?」「あれって3年の風来坊先輩だよな?」「凄い棒読みだ……」

腐女子(まだ終わって無かったの……)

風来坊「ほら、入れ」

丸眼鏡「今日からこのクラスで皆さんと一緒に勉強することになった丸眼鏡です」

お調子者「いやいや、元々クラスメイトでしょ!?」

風来坊「あぁん?」ギロ

お調子者「いや、何でも無いです……はい」

「つっこんだら駄目なんだ」「風来坊先輩怖い」「んぐー!んぐー!」

丸眼鏡「あっ、君はさっきの」ユビサシ

腐女子「……」メソラシ

丸眼鏡「あっ、君はさっきの」ユビサシ

腐女子「……」メソラシ

風来坊「……」

クラスメイト's「……」

タッタッタッタッ ガチャ

クラスメイト's(あっ、学園アイドル(笑)だ!)

放送部長「……」つカンペ

カンペ≪あっ、背負い投げの人!?≫

腐女子「……せ、背負い投げの人」///

放送部長「はい、もっと大きな声で言ってみよう☆」

腐女子「背負い投げの人!?」///

丸眼鏡「背負い投げの人なんて呼ばないでおくれ、私の名前は丸眼鏡だよ。 可愛いお姫様」ウィンク

1A担任(何これ……?)

風来坊(何してんだ、俺?)

クラスメイト's(何なんだこの時間)

腐女子「……何これ?」

放送部長「……クス、ははは、御主人様、いい感じですよ」b




733: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:24:54.07 ID:GQ8hbgNsO

【放送室】
腐女子「いい加減にしてください!?」

放送部長「ははは、ごめんごめん」

腐女子「やっぱり遊んでましたね」

放送部長「だって、面白いじゃない♪ 魔術社会の維持にしか興味がなかったご主人様がこんなことするなんて」

腐女子「……」

放送部長「ご主人様は悩んでおられる。 風魔術家の在り方に、占術の結果を優先しすぎる自分達に……」

放送部長「だから、少しでも気が紛れれば……なんてね」

風来坊「おーい、放送部長。 最後のシーンの準備できたぞ?」ガラ

腐女子「まだ続くんですか?」グダー

放送部長「ふふ、丸ちゃんが屋上で待ってるわ♪ いってらっしゃい、腐女子☆」

腐女子「はぁ……さっさとこの茶番終わらせてきます」スタスタ

風来坊「……丸眼鏡は何考えてんだ? 本当に腐女子と付き合いてぇのか?」

放送部長「さぁね……でも、きっと今の関係に嫌気が差したのでしょ」

風来坊「嫌気?」

放送部長「火の若と根暗の友情を見て、水の嬢とメイドの信頼を見て……彼女に監視役としてしか関われなかった自分に、ね」

風来坊「……女心は解らねぇな」




734: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:26:12.25 ID:GQ8hbgNsO

【屋上】
丸眼鏡「急に呼び出して悪かったね」

腐女子「……」

丸眼鏡「解ってる。 貴女と私の出会いをやり直しても意味がないって」

丸眼鏡「私と貴女の関係が変わらないってことも……」

丸眼鏡「私は監視役、貴女は対象……愛してる何て言っても束縛してきた今までが無くなるわけじゃない」

腐女子「ウジウジうるさい!」

丸眼鏡「!?」

腐女子「丸眼鏡、私は怒っているのよ?」

丸眼鏡「えっ、あの……」

腐女子「私は美術部の部員で3P会議の参加者……確かにその通り」

腐女子「美術部の人達のことは好きだし、同じ境遇の二人も好き……」

腐女子「でも、私と丸眼鏡の関係がそれに劣る何て思ってない」




735: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:28:11.04 ID:GQ8hbgNsO

『土魔術家が変換魔術家を処分したらしい』

『正しい判断だ。 危険な魔術ならば魔術社会の維持の為に消してしまえば良いさ』

『その方が懸命だな』

『死霊術師など生かしておく利点が無い』

『処分しよう』『殺そう』『処分に賛成する』『そうと決まったら早く済まそう』

腐女子『……』ガクガク

『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分』『処分』『処分』『処分』『処分』

丸眼鏡『―次期当主として意義を唱えます』

腐女子『……!?』

丸眼鏡『私の風読み術の結果より、彼女が魔術社会に損害を与える可能性は低い』

丸眼鏡『土魔術家の決断に流され、ことを起こすのは四大元素家の1つとして自覚が足りないのでは?』シレ

『次期当主だからと言って一人の意見で覆るものではない』

丸眼鏡『風読み術の結果を元に発言しています。 あなた方の発言にそれに優る根拠かあると?』

『……くっ』

腐女子『……私は生きていいの?』

丸眼鏡『貴女は私が監視する』

『勝手に死ぬことは許さない』




736: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:30:37.08 ID:GQ8hbgNsO

腐女子「貴女は私に死ぬことを許さないと言ってくれた」

腐女子「私に生きていいと言ってくれた……初めての人だから」

丸眼鏡「私は風読み術に従っただけ」

腐女子「そうかも知れない、それでも今私が生きているのは丸眼鏡のお陰だから」

腐女子「対象(私)と監視役(貴女)の関係が友人や同族に劣るだなんて言わないで」

丸眼鏡「……」

腐女子「……」

丸眼鏡「貴女と私の関係性を変える必要性が無いと理解した」クス

腐女子「えぇ、私達の関係も悪いものじゃないよ」クス

丸眼鏡「……貴女は私が監視する」

「だから、これからも生きていて」




737: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/16(日) 20:31:13.73 ID:GQ8hbgNsO

【放送室】
放送部長「なるほど、今の関係のままということで落ち着いたと☆」

腐女子「えぇ、落ち着きはしたんですが……」

丸眼鏡「……」ペラペラ

放送部長「ご主人様、何を読まれてるのですか?」

書物≪濃厚レズ同人誌「蜜壷合わせ」≫

放送部長「」

腐女子「」

丸眼鏡「……ふむ、放送部長、丸眼鏡……次はこれを再現しよう」フンス

腐女子「私は見る専だぁぁぁあああ!!」

丸眼鏡「見る専?」

放送部長「チャンチャン♪」




740: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:30:51.26 ID:sPpCPKgnO

【生徒会室】
新会長「……」テキパキ

書記「……」ゲッソリ
会計「……」ゲッソリ

雑用「会長! ポスター貼ってきました」

新会長「ご苦労様、じゃあ、次は書記が作成した参加用紙のコピーをお願い」

雑用「はい♪」

会計「二人とも元気ですね」

書記「退魔家の体力にはついていけねぇよ」

会計「ははは、確かに」

新会長「二人とも無駄話をしている暇は無いよ? もうすぐ、魔術技会なんだから」

雑用「……あの、今更なんですけど、魔術技会って何ですか?」

書記「雑用ちゃんよ、知らずに準備してたのか?」

雑用「すいません」アセ

新会長「簡単に言ってしまえば学内最強の魔術師を決める大会よ」

雑用「はぁ……」

会計「4人1組でチームを組んで、殺し合うんですよね?」

雑用「こ、殺し合うんですか!?」

書記「校長先生が作った異空間の中でな」

雑用「異空間……?」

新会長「そこで死んでも現実世界に戻ってくるだけ……だから、皆が本気でやり合えるってこと」

会計「試合形式だったら、不利になる魔術も多いですからね」

雑用「なるほど……」

新会長「はい、解ったら作業再開よ? 私は放送部長先輩と打ち合わせに行ってくるけどサボらないように」

書記・会計「へいへい」
雑用「はーい♪」

書記「……会長も板についてきたな、あいつ」




741: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:31:59.16 ID:sPpCPKgnO

【魔術学園・校舎裏】
優等生「……若、今なんと?」

オタク「だから、一緒に魔術技会に出るぞ」

優等生「学園では関与し合わないように言いましたよね? 若が火魔術家の跡取りとバレたら厄介なことに……」

オタク「いや、もうバラしてしまおうと思っている」

優等生「はぁ!?」

オタク「風の当主にきな臭いと言われた。 お嬢も火魔術家を信じきって良いか悩んでるようだ」

オタク「確かに火魔術家の使命は公にし無い方が良いだろう」

オタク「だが、やましいことをしていないならばもっと堂々とするべきだ」

優等生「しかし……」

オタク「このまま、火魔術家を継いでも誰も着いてきてくれない気がするんだよ」

オタク「俺が、俺こそが火の若だ! 黙ってついて来い!!って言える良い機会だろ?」デュフフフ

優等生「……最近、デフォルトでその笑い方なんですね」ハァ

優等生「火当主様への許可は一人で取りにいってくださいよ」

オタク「あぁ! ボウズ、お前も一緒に戦ってくれるか?」

ボウズ「若の御心のままに」

優等生「しかし、若。 魔術技会は4人1組……我々は3人しかおりませんが」

オタク「ん? あぁ、そこら辺は大丈夫だ。」

根暗「………………ども」オロオロ

優等生「」
ボウズ「……」ホウ




742: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:33:19.70 ID:sPpCPKgnO

【2-D】
召使い「お嬢様と一緒に魔術技会に出たいか!!」

キモオタ・ピザ・出歯「おぉ!!」

召使い「お嬢様と一緒に戦いたいか!!」

キモオタ・ピザ・出歯「おぉ!!」

召使い「俺に一撃加えれた者を合格とする!!」

メイド「お嬢、なんっすかこれ?」

お嬢「選考会ですわ」ドヤ

メイド「選考会? あぁ、この中から二人選んで魔術技会に出るんっすね?」

お嬢「え? いえ、一人選んでですわ」

メイド「……お嬢と召使いと……あぁ、もう一人助っ人見つけたんっすね」

お嬢「メイド、貴女も出るのよ?」

メイド「はぁ!? 無理っすよ! 無理無理無理無理!!」

お嬢「チーム水魔術家で出るのに貴女がいなくてどうするの?」

メイド「私……化け物っすよ」

お嬢「……悪魔化術は使わなくても良い、すぐにギプアップをしても良い。 だから、一緒に参加してくださらない?」

メイド「どうして……そこまで?」

お嬢「ズットモですもの」フフフ

召使い「全員失格!!」

キモオタ・ピザ・出歯「……」ピクピク

お嬢「最後の一人……見つかるのかしら」




743: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:34:59.00 ID:sPpCPKgnO

【図書室】
秀才(魔術技会が近いせいか騒がしいな。 静かなのは此処くらいか……)

不良「……あぁ、くそ……解らねぇ」

秀才(ん?確か彼は……)

秀才「不良君……だったかな?」

不良「あぁん? 何だよ?」

秀才「2-Cの秀才だ。丁度良かった。 少し君に聞きたいことがあるんだが良いか?」

不良「……聞きたいこと?」

秀才「三編み仮面について……」

不良「悪い、忙しいんだ」

秀才「おい!」

不良「思い出したくねぇんだよ! トラウマ何だよ!!」

図書委員「……」ギロリ

秀才・不良「……すいません」

秀才「そこを何とか頼めないか? どうしても気になることがあるんだ」

不良「2-Cの秀才。 確か、テストで何時も1位だったよな?」

秀才「あ、あぁ」

不良「じゃあ、交換条件だ。 ここ、教えてくれたら俺も答えてやるよ」

本≪魔術的肉体異常と医療≫

秀才「……君は見た目に似合わない本を読むんだね」

不良「うるせぇ!!」

図書委員「……」ギロリ

秀才・不良「……すいません」




744: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:37:12.48 ID:hlLkSHb6O

【放送室】
放送部長「今年は出ないんだ」

風来坊「ん? 魔術技会のことか? 4人1組とか面白くねぇからな。 去年は個人戦だったよな?」

放送部長「校長先生も歳だから、あまり長時間異空間を保てないのよ」

風来坊「なるほどねぇ、試合数を減らすのが目的ってことか」

放送部長「それにしても、前年度優勝者が出ないなんて……盛り上がりに欠けるわね」

風来坊「そんな話をする為に呼び出したのか?」

放送部長「まぁ、関係あることだけど……少し、お願いしたいことがあって」

風来坊「お願いしたいことだ? また、茶番に付き合うのはごめんだぞ?」ゲッソリ

コンコン

新会長「失礼します。 放送部長先輩、例の人選についてなのですが……あら」ドモ

風来坊「おう! 新会長、頑張ってるみたいだな」

放送部長「丁度、良かった。 新会長、彼なら適任だと思わない?」

新会長「えぇ、風来坊先輩なら文句を言う方はいないかと」

風来坊「……なんの話だ?」

放送部長「魔術技会に解説者として参加してもらえないかしら」

風来坊「解説者だぁ?」




745: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:39:17.49 ID:hlLkSHb6O

【中庭】
お嬢「中々、最後のメンバーに相応しい方が見つかりませんわ……」

メイド「召使いに一撃加えるとか、ハードル高いっすよ。 あいつ、お嬢の為なら有り得ない力を発揮するっすからね」

お嬢「あら、メイド。 嫉妬かしら?」フフフ

メイド「ちげーし、ちげーし」///

ゴスロリ「赤面の乙女、それを愛でるは紳士の嗜み」

お嬢「……あら?」
メイド「へ?」

召使い「全く、俺に一撃を加えれるヤツはいないのか……ん?誰だ?」

メイド「私も知らないっす」

お嬢「二人は面識がなかったのね」

ゴスロリ「祖父は偉大であった。 大義ゆえに死んだからではない。 死してなお偉大だからである」

お嬢「ということですわ」

メイド「今のが自己紹介っすか?」

召使い「祖父? 偉大?」

お嬢「……彼女はゴスロリ。 執事の孫娘ですの」

メイド「じいさんの孫っすか」

ゴスロリ「器より溢れるは水の性、溢れた水は新たな器に」

お嬢「まぁ、嬉しいわ! でも、召使いに一撃加えることが出来るかしら」

召使い「何故、お嬢様は普通に会話を……」

メイド「察するに、チームに参加して一緒に戦いたいということみたいっすね」

ゴスロリ「蝶は告げた、翔べるのであれば囚われない。 蜘蛛は告げた、翔べるのだから囚われるのだと」

メイド「全く、解らないっす。 とりあえず、召使い。 相手してやるっす」

召使い「女性に、しかも執事さんの孫に手を出すのは気が引けるが…………ッ!?」

メイド「どうしたっすか?」

召使い「動けない」

メイド(……透明な糸? 何時の間に)ムムム

お嬢「水糸魔術……腕を上げましたわね、ゴスロリ」

ゴスロリ「問うべきは、善悪。 答えるべきは白黒。 世の結論は2択に他ならない」ポコッ

召使い「……合格だ。 卑怯とは言わないさ」




746: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:40:43.43 ID:hlLkSHb6O

【魔術学園近辺・喫茶≪死なばもろとも≫】
不良「物騒な店名だな……」

秀才「マスター、コーヒーを一杯。 君も何か頼むかい?」

不良「オレンジジュース」

秀才「さて、先に此方の用件を済ませて良いかな?」

不良「おう、三編み仮面についてだったよな?」

秀才「あぁ、彼女と遭遇した時のことを教えて欲しいんだ」

不良「俺とヤンキー、DQNの3人でカツアゲしてたらいきなり現れてよ」

不良「DQNにてきとうに相手を任せようとしたら何時の間にか負けてやがった。 んで、ヤンキーを逃がそうとしたんだが……其処で一旦記憶が途絶えたんだ」

秀才「一旦?」

不良「あぁ、その後、何回か起こされては殴るだの蹴るだのされて……酷い目にあったぜ」

秀才「……誰にカツアゲしていたんだい?」

不良「あん? それは……ん?」

秀才「……」

不良「いや、あれ?……誰だっけか?」

秀才「クラスだけでも解らないかい?」

不良「……あれ? 悪い、何でだ?」

秀才「顔は思い浮かぶかい?」

不良「…………」ムムム

秀才「君は記憶力は良くない方なのかい?」

不良「いや、記憶力だけは自信があるんだが……何か、こう……ぼやける」

秀才「なるほど、ありがとう。 もう十分だ」

不良「あん? 良いのか?」

秀才「あぁ。 さて、じゃあ、約束通り勉強を始めようか」




747: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:42:12.86 ID:hlLkSHb6O

【根暗帰路】
根暗(結局、最後までオタクと優等生君は口論してたな)

根暗(オタクは僕を守ろうと思ってくれてるけど……他の火魔術家の関係者が同じ考えとは限らない、か)ハァ

秀才(不良、中々呑み込みが早かったな。 記憶力は確かなものらしい)

秀才(だからこそ、カツアゲをしていた相手の顔さへも浮かばないのは変だ。 やはり、俺の推測は正しいのか?)フム

根暗「……あ」

秀才「……ん?」

根暗「し、秀才、今帰りなの?」

秀才「あぁ。 少し調べものをしていてな」

根暗「……止める気は無いんだね」

秀才「根暗もオタクも勝手にしてるんだ。 俺も指図を受けるいわれはないさ」

根暗「……」

秀才「……」

根暗「……はは、はは、はははは、ごめん、ははは」

秀才「なっ!? いきなり、どうした?」

根暗「秀才ぽいなって思って。 これは、はは、言うだけ無駄って思ったら可笑しくて」ハハハ

秀才「根暗……」

根暗「気になることはとことん調べる。 出来ないことは出来るまでやる。 それが君だもんね」

秀才「フッ、それが俺が天才、鬼才、そして、秀才と呼ばれる所以なのさ」ドヤ

根暗「な、何それ、ドヤ顔、ははは、止めてよ」

秀才「ははは、悪い。 何だか、ノッてしまった」

根暗「途中まで一緒に帰らない?」

秀才「勿論だ」

根暗「それにしても、秀才の探究心には頭が上がらないよ」

秀才「気になってしまったら動かずにはいられない性なのさ」

根暗「気になったらか……」

秀才「どうした?」

根暗「いや、大分前の話なんだけど……今考えたら違和感があって」

秀才「……違和感? 何の話だ?」

根暗「いや、別にそんな重要な話でも無いんだけどさ……」




748: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/18(火) 22:44:27.64 ID:hlLkSHb6O

本日はここまで
次回から魔術技会編に入る関係上、更新遅れるかもです




751: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:02:44.85 ID:AvoTiUgO0

【魔術学園・講堂】
放送部長「Ladies and Gentlemen! 大変、お待たせしました!! 今年もこの日がやって来ました!!」

「これより、魔術技会を開催します♪」

パチパチパチパチパチパチパチ

放送部長「司会進行は私、唄って踊れてカンペも出せる学園アイドル☆ 放送部長でお送りいたします♪」

放送部長「さて、本日は解説役として前年度優勝者! 風来坊に来てもらいました」

風来坊「こういうのは、柄じゃねぇんだが」

放送部長「引き受けたからにはちゃんとやりなさい」ヒソヒソ

風来坊「それより、ステージにあるデカい水晶はなんだ?」

放送部長「よくぞ、聞いてくれました! これは異世界の中を覗く為の水晶です♪」

風来坊「つまり、この水晶越しに観戦するってことか?」

放送部長「その通り! とと、選手の皆さんが異世界に入る準備が出来たそうです!!」

放送部長「今回の参加数は9チーム。 チーム決めが上手くいかなかったのか、参加者は去年より少ないですが」

風来坊「その分、精鋭が参加してるとも捉えられるな」

放送部長「それでは、改めまして……」ウウン

風来坊(……咳払い?)

放送部長「本校最強の生徒が見たいかーッ!」

「オーーーーー!!!!」

放送部長「儂もじゃ!儂もじゃ!」

「―全チーム入場ッ!!」

風来坊(……何だこのノリ?)




753: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:05:40.98 ID:AvoTiUgO0

放送部長「オーホホホっと高笑い! 自称四大元素家筆頭家次期当主、水のお嬢が率いる」

「チーム、お嬢wish親衛隊の入場だ!!」

お嬢wish親衛隊≪お嬢、メイド、召使い、ゴスロリ≫

放送部長「ルールの無い喧嘩がしたいからここに来た! 四大元素家でも殴ってやる!! でも、アウルベアだけは勘弁な」

「特攻悪ガキAチーム!」

特攻悪ガキAチーム≪ヤンキー、DQN、ピアス、スキンヘッド≫

放送部長「俺達の目的はただ1つ! 召使い!! ぶっ殺す!! 召使い!! We want to kill 召使い!!」

「召使いぶっ殺し隊!!」

召使いぶっ殺し隊≪キモオタ、出歯、デブ、ピザ≫

放送部長「退魔家が強いのは当たり前? 探究家の底力を見せてやる!!」

「探究家連合」

探究家連合≪錬金部長、回復部長、生物部長、美術部長≫

放送部長「実戦ならば、我等の鍛えし肉体がモノを言う! 武術の真髄を学びし」

「筋肉最強説の参戦だ!」

筋肉最強説≪脳筋、チャイナ、双子弟、双子兄≫

放送部長「立場的に出といた方が良いと思ったからここに来た! 事務的やる気で戦う」

「会長なんだらしょうがない!」

会長なんだからしょうがない!≪新会長、雑用、委員長、ガリ勉≫

放送部長「へ? 君達も出るの? ふーん、まぁ、頑張れば?」

「はいはい、チームモブモブ」

チームモブモブ≪モブA、モブB、モブC、モブEX≫

放送部長「実力未知数! 今大会のダークホースとなるか!!」

「世界のミカタ」

世界のミカタ≪卑怯者、マスク、喪女、アフロ≫




754: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:06:25.40 ID:AvoTiUgO0

放送部長「さて、次で最後のチームの入場ですが……皆さんはこんな噂を耳にしませんでしたか?」

「今回の魔術技会に火の若が参戦すると言う噂を」

ザワザワザワザザワ

放送部長「静粛に!! 今日、火魔術家の、火の跡継ぎの隠れたベールが剥がされます……」

放送部長「それでは登場してもらいましょう! 火の若率いる」

「火ノ鳥!!」

火ノ鳥≪オタク、優等生、ボウズ、根暗≫

「オタクが火の若!?」「優等生もいるぞ?」「てか、あのチーム強すぎだろ? アウルベアを狩れたヤツが3人も……」

僕っ娘「本当に公表してしまったな。 ……ポニテ?」

ポニテ「……遠いな」ハァ

僕っ娘(自分とオタクでは釣り合わない……と思ってしまったのかな?)フム




755: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:07:23.65 ID:AvoTiUgO0

【異空間内】
オタク「デュフフフ、ついにバラしてしまったでござるよ! 根暗殿!!」

根暗「あ、うん…………緊張してる?」

オタク「ちょっ、言うなし! それはバラす無し!」

優等生「若、ふざけてる場合ではありませんよ」ハァ

委員長「彼等は相変わらず仲が良いな。 ……しかし、オタクが火の若だったとは」

ガリ勉「……ここは魔術学園でありますな?」キョロキョロ

雑用「校長先生が異空間の中で作った魔術学園ですね」

放送部長『皆さん、聞こえますか?』

『今から、予選のルールを説明します☆』

モブA「予選?」

『えぇ、この予選で9チームを4チームに絞らせていただきます♪』

モブB「で、この偽魔術学園で何をさせるつもりですか?」

『今から皆さんになバトル・ロワイアルをしてもらいます!』

『4人全員が脱落したチームは失格! 最後の4チームになるまで楽しく殺し合ってくださいね♪』

風来坊『この異空間では死んでもこっちに戻ってくるだけなんだよな?』

放送部長『気絶したり戦闘不能になっても此方側に戻されます♪ 痛覚はありますので棄権したい人は今のうちですよ☆ 』

放送部長『……棄権者はいませんね? 10分後に開始としますので、それまでに好きな所に陣取ってください♪』





756: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:08:14.07 ID:AvoTiUgO0

【魔術学園・講堂】
放送部長「はい、ということで10分間のトイレ休憩です! 激闘を見逃さない為にも今のうちに用を済ませて来てください☆」

風来坊「ところで、この紙はなんだ?」

放送部長「あぁ、それは優勝チーム予想用紙です♪ 優勝すると思うチームを書いて入り口の箱に入れてね☆」

風来坊「色々やってんだな」

放送部長「予想が当たった人から抽選で、食堂で使える割引券をプレゼント♪」

丸眼鏡「……腐女子、探究家連合は部が悪い」

腐女子「べ、別に良いでしょ! 丸眼鏡は何て書いたの」

丸眼鏡「風読み術の結果、優勝するのは……ムグムグ」

腐女子「言わないでおこうか」

僕っ娘「ポニテ、何処にいれるんだい?」

ポニテ「火ノ鳥に入れるわ。 アウルベアを倒した3人がいるんだし、実力は折紙付きで」

僕っ娘「ん? オタクがいるから入れるんだろ?」ニヤニヤ

ポニテ「うるさい!!」///

放送部長「はい! それでは10分経ちましたので、これより予選を開始いたします☆」




757: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:09:21.54 ID:AvoTiUgO0

【異空間・屋上】
根暗「えっと、ほ、ほ、本当にやるの?」オドオド

ボウズ「根暗先輩、心配しないでください」

優等生「ボウズの肉体強化魔術を以てすれば問題無いだろう」

根暗「だって、ここ、その……屋上だよ」オロオロ

オタク「……」ミオロシ

優等生「若、どうされました」

オタク「最初から、お嬢ぐらい堂々としていれば良かった……なんてな」

優等生「……」




758: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:10:07.28 ID:AvoTiUgO0

【異空間・運動場】
お嬢「水のお嬢は隠れませんわ」オーホホホホホ

メイド「お嬢、高笑いしてたらバカに見えるっすよ」

お嬢「あら、メイド。 教えてくれてありがとう♪」

メイド「……ご機嫌っすね」

お嬢「若様の決意が嬉しいのですわ。 やはり、四大元素家たるもの堂々とするべきですの」ドヤ

ゴスロリ「覚醒せし時。 金塊を断ち、白き山の麓に捧げるかの如く」

召使い「……覚醒せし時? 目が覚めて……白き山はおにぎりか? ……あぁ! 朝御飯はタクワンとおにぎりを食べてきたってことか?」

ゴスロリ「……」コクン

お嬢「ふふふ、二人も大分意思の疎通が出来るようになりましたわね」

メイド「よく解るっすね、召使い」




759: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:11:07.68 ID:AvoTiUgO0

【異空間・とある教室】
モブA「本当に上手くいくのか?」

卑怯者「えぇ、上手く行きますとも! 我々が勝ち残る為にはこの手しか無いと言っても過言ではありません」ニッコリ

出歯「あっしらは召使いさへ、ぶっ殺せたら満足でやんす」

デブ・ピザ「んだんだ」

喪女(男の人がいっぱいいる、男の人がいっぱいいる、男の人がいっぱいいる)プシュー

マスク「相手は4人、こっちは12人……しかも奇襲をかけるんだよね? 卑怯者君」

卑怯者「負ける要素の方が少ないと思いませんか?」

『はい! それでは10分経ちましたので、これより予選を開始いたします☆』

卑怯者「さぁ、皆様方! マスクが描いた魔方陣の上にお乗りください」




760: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:12:47.43 ID:AvoTiUgO0

【異空間・中庭】
新会長「ついに始まったか……委員長、ガリ勉君、付き合わせてごめんなさい」

委員長「気にするな。それにしても、生徒会長になった者は参加しなければならないとは……大変だな」

雑用「書記先輩と会計君が退魔家の出身だったら生徒会メンバーだけでチーム組めたんですけどね」

ガリ勉「ムムム、あれは何でしょう?」ユビサシ

委員長「屋上から触手が生えてる……」

雑用「視覚強化魔術! ……先っぽに人が乗ってます!? あれはボウズ君?」

新会長「触手が……大きく振りかぶって」

委員長「投げてきた!?」

ドゴォン

ボウズ「……うす」

新会長「移動方法が無茶苦茶過ぎる。 校則違反!」キリ

委員長「言ってる場合か?」

雑用「屋上から投げられて無傷なんて……」

ガリ勉「しっかーし! 此方は4人、此方は1人!! 意表をついたところで……うがっ!?」バタン

ボウズ「……」コキコキ

放送部長『おーっと、ガリ勉が倒されました! ボウズの動きが全く見えませんでしたが……』

風来坊『ガリ勉が悠長に喋ってる間に接近して、顎に一撃。 足を払ってバランスを崩させて顔面を殴りつけたんだ』

放送部長『ファッ!? 今の一瞬で!?』

新会長「逃げるのは……無理そうね」タラリ

委員長「くっ、やるだけやってやる!!」

雑用「援護射撃は任せてください!!」

ボウズ「……」ダッ




761: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:13:56.77 ID:AvoTiUgO0

【異空間・廊下】
ヤンキー「四大元素家だか何だか知らねぇが調子乗りやがって」

DQN「放送部も媚びすぎだよな」

スキンヘッド「お前らが不良みたいな雑魚と手を切ってくれて良かったわ」

ヤンキー「スキンヘッドは相変わらず、探究家嫌いなのな」

スキンヘッド「あいつら弱い癖に偉そうなんだよ」

DQN「あっ、じゃあ、今度一緒に不良しめに行くか?」

ピアス「ちょっ、先輩方、水晶越しに聞こえちゃいますよ」

ヤンキー「あんなアフン野郎、聞かれたところで……あふん」バタン

優等生「……」

DQN「ゲッ! 優等s……あふん」バタン

スキンヘッド「やるじゃねぇか? でもな、そんな雑魚共倒したところで、このスキンヘッドさm……あふん」バタン

ピアス「ちょっ、優等生先輩! 顔怖すぎ! 無言怖すぎ! 何か喋ってくださいよ!!」

優等生「負け犬以下の駄犬共が……調子に乗るな」ナグリ

ピアス「あふん!!」

放送部長『最初に脱落したのは特攻悪ガキAチーム改め、特攻あふんAチームだ! お疲れ様でした!!』




762: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:15:05.03 ID:AvoTiUgO0

【異空間・運動場】
召使い「それではお嬢様。 行って参ります」

ゴスロリ「流星群は止まらない。 そう燃え尽きるまで」

メイド「いってら〜」ノシ

お嬢「一人でも多く倒して来るのですわ」

召使い「はっ!」
ゴスロリ「……」コクン

メイド「4人で固まってた方が良かったんじゃ無いっすか?」

お嬢「ふふふ、久し振りに本気を出せるのですもの。 あの二人が近くにいたら巻き込んでしまいますわ」

メイド「……やり過ぎちゃ駄目っすよ」

シュイン シュイン シュイン シュイン

モブA「とう!」
モブB「転移魔術ってすげーな」
モブC「あれ? 俺らしかいない?」

モブEX(……卑怯者にはめられたか。まぁ、良い)

モブEX「4対2だが……卑怯とは言わんね?」ククク

お嬢「……たったの4人ですの」ショボーン

モブEX「何?」

お嬢「この水のお嬢が本気を出して差し上げると言うのに……たったの4人ですの?」ゴゴゴゴゴゴ

モブABC「な、舐めるな!?」

モブEX「待て、不用意に相手の間合いに入るな!!」

メイド「相手の間合いに入るな? そりゃ、もう遅いっすよ。 ……この運動場全てがお嬢の間合いっすから」




763: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:16:21.30 ID:AvoTiUgO0

お嬢「水柱魔術」

水柱×10本「」ブシャー

モブB「な、何だ? 地面から水が……」

お嬢「水流魔術」

モブC「……こっち来た、飲み込まれ……ぐおっ!!」

放送部長『これがお嬢の魔術なのか!? 吹き出した水の柱が流れ、繋りまるで流れるプールだ!!』

風来坊『少しずつ、浮いていってるな。 流水の速度も上がっていってる』

放送部長『運動場の上空に出来た水の輪。 流石、お嬢様……優雅です!!』

お嬢「召喚魔術……おいで、マーメイド」

マーメイド「Hi!」

放送部長『水の輪にマーメイドが投入されました。 次はどんな美しい技を……うげ』

ギャー、タスケテ ヤメロ、カジルナ!! ウギャーーー ヒギャーーー!!

風来坊『……マーメイドって、人を食うんだったな』

放送部長『……綺麗な水の輪が紅く染まりました。 魔術を解除すると同時に運動場に降る血の雨』

ザーザーザーザーザー

お嬢「圧倒的で……ごめんあそばせ!」フフン

メイド「血の雨の中、ドヤ顔とか……そんなんだから、友達すくねぇんすよ」

放送部長『チームモブモブ、何も出来ないうちに敗退! 水のお嬢は伊達じゃなかった!!』




764: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:18:29.02 ID:AvoTiUgO0

【異空間・とある教室】
キモオタ「お、お嬢怖すぎ!」

出歯「お近づきになりたいとか、考えてたのが間違いでやんす」

デブ・ピザ「んだんだ」

卑怯者「怖じ気ついてしまいましたか? 召使いに仕返しするのも止めときます?」

キモオタ「なっ! 怖じ気ついてねぇし! 召使いぐらいぎったんぎったんにしてやるし!!」

出歯「……本当に力貸してくれるんでやんすよね?」

卑怯者「えぇ、勿論。 あなた方を裏切るならチームモブモブと一緒にお嬢の元に転送していますとも」

キモオタ「それも、そうか……」

「そうか、お嬢様が襲撃されたのはお前らのせいか?」

卑怯者「ほら、お目当ての方が来られましたよ」

召使い「貴様ら……覚悟は良いな?」ゴゴゴゴゴ

召使いぶっ殺し隊(こ、怖えーーーーーー!!)

アフロ「ヘイ! ベイビー達!! 気持ちで負けてちゃダメダメダゼ? レッツ ダンシング タイム!!」ズンチャ ズンチャ

召使い「何、悠長に踊って……ん?」

キモオタ「俺達なら出来る!」
出歯「うぉぉおおお! やってやるでやんす!!」
デブ・ピザ「NDA☆NDA☆」

召使い(様子がおかしい?)

卑怯者「アフロさん、ここは任せたよ」

アフロ「OK! 最強にホットでヒートなダンスで狂わしてヤルゼ☆」ダンスダンス

マスク「……喪女さん、もっと寄ってくれないと転移しにくい」

喪女「ひ、ひゃい」

卑怯者「じゃあね、召使い君」ノシ

召使い「逃がすか!」ダッ




766: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:22:27.29 ID:AvoTiUgO0

出歯「獣化魔術!!」チュー

デブ「体重操作魔術!」フワフワ……ドスン

召使い「くっ……邪魔だ」

ピザ「硬化魔術! 鉄塊玉!!」ゴロゴロ

キモオタ「髪質変化魔術! 魅惑のサラサラヘアー!!」サラサラ

召使い「こいつら、強くなっている……キモオタ以外」

ゴスロリ「踊る阿呆に見る阿呆」

召使い「なるほど、躍りの効果と言うわけか……」

キモオタ「どうだ! これが我々の真の実力だ! 後ろの女を守りながら戦えるか?」サラサラ

召使い「守る? 何を勘違いしている」

召使い「お嬢様の従者に弱者はおらず……ゴスロリ!」

ゴスロリ「―彼の者の名は召使い」

出歯「なんっすか? その詠唱は!?」

ゴスロリ「剣を作りし者で有りながら、剣であろうとした男」

キモオタ(召使いの周りに無数のサーベル!? あんなの扱いきれないだろ)

ゴスロリ「作るは数多の剣と一太刀の業物」

召使い「……」水刀

ピザ「そんな細っこい刀じゃ、オイラは斬れな……」バッサリ

ゴスロリ「彼自身が剣なのだから」

「―斬れぬモノなど在りはしない」

放送部長『おーっと、詠唱が終わると同時に水サーベルが動き出したぞ!? これは召使いが操ってるのでしょうか?』

風来坊『いや、ゴスロリが何かしてるんだろう』

放送部長『何かとは?』

風来坊『あん? 見えない糸で操ったり……とか?』

放送部長『風来坊、勘で言ってるでしょ?』

召使い(風来坊先輩の勘はすごいな。 もっとも、単純にゴスロリが操ってるわけじゃないが)

召使い(ゴスロリは水糸で俺と水サーベルを繋げ、俺の意思で水サーベルが動くようにしてくれている)

ゴスロリ「蠢く黒き珠。 去る姿は醜悪なりて!」ユビサシ

召使い(ん? ……あぁ、アフロが逃げようとしていると言いたいのか)

召使い「仲間を見捨てて逃げるとは……この卑怯な!」ザン

キモオタ「……ぐはっ」

召使い「何!?」

キモオタ「ざ、残念、髪質変化魔術でした〜」

召使い「くっ、アフロと入れ替わったのか……何故、別チームのアフロを!?」

キモオタ「俺らは召使いに仕返しさへ出来れば満足なんだよ、ベロベロバー」

召使い「……くっ! ゴスロリ、追うぞ!!」

ゴスロリ「……」コクン




767: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:23:45.76 ID:AvoTiUgO0

【異空間・魔術学園中庭】
委員長「……くっ、ここまで……か……」バタン

ボウズ「……」ペコ

放送部長『おっと、会長なんだらしょうがない!も負けてしまいました』

風来坊『あの、ボウズとか言う1年……やりにくそうだったな』

放送部長『そりゃあ、3対1はやりにくでしょ?』

風来坊『いや、相手が3人とも女だったからだ』

風来坊 『主義なのか何なのか知らねぇが、なるべく痛さを伴わないやり方で気を失わせてたな』

放送部長『火魔術家は従者のレベルでここまで強いのか……恐るべし!』ゴクリ

風来坊『今ので何チーム目だ?』

放送部長『今ので4チームが脱落しましたので、後、1チーム脱落したら予選終了です!』

風来坊『屋上の根暗達が気になるな』

放送部長『えぇ、火の若は動かないのか……水晶で屋上を見てみましょう!』




768: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:24:45.27 ID:AvoTiUgO0

【異空間・魔術学園屋上】
オタク・根暗「決闘(デュエル)!!」

風来坊『……何やってんだ? こいつら』

放送部長『カードゲームですね……ちょっと! 火の若、何してるんですか!?』

オタク「ややっ! その声は放送部長タソ!! 放送部長タソ、キタコレ!!」

放送部長「はーい! 歌って踊れる、学園アイドル☆ 放送部長よ♪ ……じゃなくて、何してるんですか?」

オタク「カードゲームでござるよ! 男同士の一騎打ちでござるよ!!」

根暗「や、やばい、バレた……オタク、ふざけてないで謝ろうよ」アセアセ

オタク「デュフフフ、これが拙者なりのバトル・ロワイアルでござる!」ドヤ

放送部長『あー、映して損した。 さて、どうやら、新たな戦闘が始まったようです!』




769: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:26:25.08 ID:AvoTiUgO0

【異空間・校舎裏】
錬金部長「ふふふ、生物部長氏! 生物部長氏! ついに我々の努力の賜物を発揮する時がきましたな!!」

生物部長「錬金の、そう興奮するんじゃない。 さて、ご披露させていただこう!」

錬金部長・生物部長「これが錬金術部&生物部合同キマイラ! レンセイだ!!」

レンセイ「うにゅ!!」

脳筋「へぇ、面白そうじゃねぇか」ガハハハ

チャイナ「兎の顔にゴリラっぽい体……気持ち悪いヨ」

美術部長(人数合わせで連れてこられたけど……帰りたい)
回復部長(……帰りたい)

錬金術部「さぁ!レンセイよ!! 退魔家の連中に探究家の強さを思い知らすのだ!!」

放送部長『え〜、今、召喚魔術で出しましたか?』

錬金部長「へ? いや、普通に連れてきただけだけど……」

放送部長『召喚獣って扱いなら……うーん、まだルール的にはセーフ何だけど……武器の持ち込みってレベルじゃないし』

生物部長「えっ、いや、これぐらい許してよ! 全然セーフだよ!」アセアセ

放送部長『でも、これを許したら、こいつ武器だからセーフとか5人目のチームメイト連れてきそうだし……ねぇ』

錬金部長・生物部長「……………………」ダラダラダラ

「「別に良いんじゃないですか?」」




770: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:27:32.19 ID:AvoTiUgO0

双子兄「僕達は構いませんよ。なぁ、弟」

双子弟「こんなのに負けませんからね。 だよね、兄」

放送部長『他のチームが認めるとは限りませんが……はぁ、解りました。 この場は見逃しましょう』

美術部長「……早く帰れると思ったのに」

回復部長「残念だ」

錬金部長「さて、それでは改めて……行け! レンセイ!!」

レンセイ「うにゅうううう!!」

脳筋「ガハハハハハハ、良いだろう! 真っ向から力比べしてや……あふん」

チャイナ「弱い癖に先走るからヨ」ヤレヤレ

双子兄「さて、行こうか。 弟」

双子弟「武器化魔術、槍」

双子兄「うん、良い槍だ!」ポイッ

レンセイ「うにゅっ!?」

放送部長『槍に変化した双子弟が深々とキモキマイラの目に刺さりました!』

双子弟「武器化解除……兄!」

双子兄「行くよ。 弟」ピョン

放送部長『双子弟が武器化を解除し、跳んできた双子兄とキモイラの頭上で手を繋いだ!』

風来坊『キモイラって……止めてやれよ』

双子兄「武器化魔術、大剣」

双子弟「はぁっ!!」ザンッ

レン/セイ「」

生物部長「なっ!?」

錬金部長「こんなにも……あっさりと」ガクン

チャイナ「さっさとギブアップするヨロシ」




771: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/24(月) 22:30:26.57 ID:AvoTiUgO0

【魔術学園・講堂】
放送部長「ルールギリギリアウトなことをしておいてあっさりと探究家連合敗退です♪」

風来坊「お前、錬金部長と生物部長に恨みでもあんのか?」

放送部長「さて、これにて予選終了です! 本選に勝ち残ったのは……」

「世界のミカタ」
≪卑怯者、マスク、喪女、アフロ≫

「筋肉最強説」
≪双子兄、双子弟、チャイナ、脳筋≫

「お嬢wish親衛隊」
≪お嬢、メイド、召使い、ゴスロリ≫

「火ノ鳥」
≪オタク、根暗、優等生、ボウズ≫

放送部長「さて、風来坊。 ここまでの感想は?」

風来坊「四大元素家とその従者が強いってのは解ってたが……圧倒的だったな」

放送部長「お嬢、優等生、ボウズは一人で1チームを倒したからね」フムフム

風来坊「倒したね……倒させられた、とも捉えられるが」

放送部長「立回りが上手いヤツがいたってこと?」

風来坊「後、単純に気になるのは双子だな。 さっきのキマイラ、見た目はふざけてたが機能は悪くねぇみたいだしよ」

放送部長「なるほど、各陣営の立回りと双子のコンビネーションに期待ってことね☆ では、本選まで10分の休憩です♪」




773: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:02:37.21 ID:Gpnbdn0nO

【魔術学園・火ノ鳥控え室】
優等生「若〜〜〜〜!!」ゴゴゴゴゴ

オタク「悪かったでござる! 悪かったでござるよ!!」

優等生「そのふざけたござる口調を止めてください!!」

根暗「ぼ、ボウズ君……大丈夫? 痛く無かった?」オロオロ

ボウズ「自分、丈夫なんで」

優等生「……若、屋上に陣取られたのは?」

オタク「お嬢の水魔術に巻き込まれない為だ。 本気を出したら、2階ぐらいまで水没させかねん」

根暗「お、お嬢さんってあんなに強かったんだ……」アワワ

オタク「お嬢は強いよ……魔術も在り方も」

優等生「若……」

根暗「オ、オタクも強いよ。 そのカードゲームとか」アセアセ

ボウズ「……今度、やり方教えてください」

オタク「デュフフ、二人ともありがとうな」

優等生(悔しいが認めんといかんな。 根暗は若の支えとなっていると)ハァ




774: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:05:04.43 ID:Gpnbdn0nO

【魔術学園・お嬢wish親衛隊控え室】
メイド「……ゴスロリ、そこを降りるっす」

ゴスロリ「労働者ならば対価を求よ。 懐ではなく心を満たす対価を」チョコン

召使い「まぁ、良いじゃないかメイド」

メイド「なに鼻の下伸ばしてるんっすか? 女の子に座られてご満悦っすか? えぇ!?」

召使い「な、何でそんなに怒ってるんだよ」

お嬢「ふふふ、随分仲良くなったのね」

召使い「えぇ、今日まで一緒に鍛練してきましたからね。 妹のように思えて」ナデナデ

ゴスロリ「我が言に耳を傾けし者多かれど、その真意を慮る者少なし」

メイド「何言ってるかさっぱりっす」

召使い「メイド、今のは解りやすかったぞ」

お嬢が「ゴスロリ語の中でも簡単な部類ですわね」

メイド「ゴスロリ語ってなんっすか?」




775: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:07:18.42 ID:Gpnbdn0nO

【魔術学園・筋肉最強説】
脳筋「ガハハハ、流石俺だ! 本選に上がれるとはな!!」

チャイナ「いや、脳筋は普通にやられてたアルよ」

脳筋「そんな、過去のことは忘れた!!」

チャイナ「はぁ、図体に対して搭載されてる脳のバランスがおかしいネ」

脳筋「ん? つまり俺の筋肉が今日もキれてるってことか?」

チャイナ「……双子共、本当に勝てるあるか?」

双子兄「大丈夫だよ、チャイナ先輩」

双子弟「兄と僕のコンビネーションに勝てるヤツなんかいないさ」




776: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:12:09.45 ID:HawYS+p+O

【魔術学園・世界のミカタ】
マスク「……ねぇ、喪女ちゃん。 風邪薬か何か無い?」ゴホゴホ

喪女「ひゃ、ひゃい! その調合したら、あの……待っててほしです」オロオロ

マスク「いや、調合しないと無いなら良いや」ダラーン

卑怯者「俺達が逃げた時の召使いに顔見たか? あれは傑作だった! 気分良いわ、強いヤツを陥れんの気分良いわ」

アフロ「HAHAHA! 性格悪いな卑怯者!! あんたのそういうところ、嫌いじゃないゼ☆」

マスク「卑怯者君、次はどんな手で行くの?」

卑怯者「個人戦だったらプランA、団体戦だったらプランBだ」

マスク「ん、解った」

喪女「じ、準備しとくです」アセアセ

アフロ「どっちの作戦でも踊るだけ! ハッ、ご機嫌だゼ☆」

放送部長『参加者は異空間の中に戻ってください』

アフロ「ヘイ! 喪女! 一緒に踊りながら登場するとかどうだい?」ズンチャズンチャ

喪女「こ、こうです?」ズンチャ……ズンチャ

マスク「勝てるかな? 卑怯者君」

卑怯者「勝ってやるよ、卑怯な手でも何でも使ってな」




777: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:14:14.90 ID:HawYS+p+O

【異空間・闘技場】
放送部長『はい! ということで本選スタートです☆ 此処からはトーナメント方式です!』

風来坊『で、準決勝の組み合わせはどうなってんだよ?』

放送部長『急かさないの♪ 準決勝、第1試合は』

『お嬢wish親衛隊vs世界のミカタ』

風来坊『ということは、第2試合は』

『火ノ鳥vs筋肉最強説』

放送部長『では、火ノ鳥と筋肉最強説はまた一旦控え室に戻ってください☆』

召使い「我々の敵は奴らか……」

メイド「油断なら無いっすね」

ゴスロリ「策を労するのを弱さとなじるか? いや、ならば戦場に立つべからず」

お嬢「堂々と勝たせていただきますわ!」オーホホホホ

卑怯者「気に入らねぇな」ボソッ

喪女「ほ、本当にやるんですか?」

マスク「うん、やるよ。 だから、その瓶貸して」ゴホゴホ

アフロ「ハッ! 本当にあんたら最低だな!!」

卑怯者「最低でも何でも良いんだよ」

放送部長『戦闘方式は1対1の勝ち抜き戦です!』

風来坊『上手くやりゃあ、戦力を温存できるってわけだな』

放送部長『各チーム、一人目の選手を前へ!』




778: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:16:49.14 ID:HawYS+p+O

召使い「それでは、お嬢様……行ってまいります」

ゴスロリ「世は年功序列ならば、自ずと出番は決まるもの」

召使い「……解った、先にいけ」

ゴスロリ「……」コクン

お嬢「ゴスロリ! 頑張るのですわ」

『お嬢wish親衛隊は1-Aゴスロリが先陣をきるようです』

卑怯者「では、手筈通りに……アフロさん、満足行くまでやってこい」

アフロ「言ってくれるじゃないの? 腰が動かなくなるまで踊ってくるゼ☆ ヒャッハーーーーー!!」

『世界のミカタからは3-Aアフロが出てきたぞ』

放送部長『それでは、試合……開始!』

アフロ「踊るぜ! レッツ ダンシング タイム!!」ズンチャズンチャ

放送部長『おっと、アフロ踊りだした』

ゴスロリ「……」

アフロ「イャアッハーーーーーー!!」ズンチャズンチャ

ゴスロリ「……」

アフロ「まだまだ行くゼ☆」ズンチャズンチャ

ゴスロリ「……」

放送部長『いや、戦えよ!』




779: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:17:57.00 ID:HawYS+p+O

風来坊『アフロはダンスで魔術を使うからな。 警戒してゴスロリも手を出せねぇんだろ』

放送部長『それにしてもシュールです!踊るアフロに見つめるゴスロリ……アフロが踊り疲れるまで状況が変わらない気がしてきました!』

召使い(ゴスロリの水糸魔術は周りに有るものと相手を結んで拘束する魔術……辺りに何も無い状況は不利か)

ゴスロリ「―彼の者の名は執事」

メイド・召使い「!?」

お嬢「使うのですわね、水糸魔術の真骨頂を……」

「仕える者にして、導き者であった」

「今やその身は滅び、今やその心は召されてもその意思は受け継がれる」

「溢れるは水の性、溢れた水は次の器に……我、その器となりて偉大なる祖父の意思を継ぐものなり」

放送部長『何だ! ゴスロリの隣に老人を模っした人形が現れたぞ!?』

お嬢「水糸魔術、傀儡操作……ふふ、本当にお爺ちゃんっ娘ですわね」グス




780: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:19:34.06 ID:HawYS+p+O

アフロ「戦う準備が出来たのかい? こっちは準備バン☆タンさ!」

放送部長『いや、あんた踊ってただけでしょ?』

風来坊『……おい、アフロの足元見てみろ!?』

放送部長『あれは……足跡が円上に残って……まさか!?』

風来坊『知ってるのか? 放送部長』

放送部長『あれは魔方陣の亜種、円符陣……楽譜を模した円上の魔方陣で……精霊を呼び寄せる』ゴクリ

風来坊『精霊だ?』

放送部長『精霊、それは……えっと、何か……こう……』

風来坊『解らないのか?』

放送部長『こんなこともあろうかと、さっきの休憩の間に彼を拉致ってきました☆』

秀才『離せ! この縄を解け!!』

放送部長『学園一博識な生徒、秀才君です☆』パチパチ

秀才『普通に依頼してくだされば引き受けましたよ……全く』

風来坊『で、秀才よぉ、精霊ってなんだ?』

秀才『簡単に言ってしまえば、空気中に漂ってる魔力の化身……ですね』

風来坊『……あん?』

秀才『空気中に漂ってる魔力が濃縮されて、形を持ったエネルギー体です』

風来坊『使い魔とどう違うんだ?』

秀才『実体は無いので使い魔のように戦わせることは出来ません』

風来坊『あん?』

放送部長『なるほど、あくまで空気中の魔力が視覚化されたモノってことね』

秀才『その認識で間違いありません』

風来坊『そんなモン、呼び寄せて何するつもりだ?』

秀才『恐らく、予選で見せた強化魔術もその精霊によるものかと……』




781: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:22:38.15 ID:HawYS+p+O

アフロ「イクゼ☆ 精霊憑依魔術! ウィンディーネ!!」ビューン

ゴスロリ「荒狂う大気、2体の龍現れん!?」
(アフロの周りに竜巻が2つ現れた!?)

アフロ「ツインハリケーン! レディ ゴー!!」

ゴスロリ「祖父の杖は風おも断つ!」

放送部長『ちゃんと戦闘になって安心している放送部長です! 』

風来坊『なるほどな、精霊のエネルギーを自分の中に取り込んだわけか』

秀才『それにしても驚くべきは2つの竜巻とアフロ先輩の攻撃に傀儡1つで対処してるゴスロリさんですね』

風来坊『対処しているねぇ……』

風来坊(アフロは手を抜いてるように見えるが……)

アフロ(……卑怯者、そろそろいいかい?)チラッ

卑怯者「……」コクン

アフロ「ソーリー ガール! 楽しいダンスは此処までだ☆」

メイド「風が……アフロの脚に集まっていくっす」

アフロ「局部憑依! ウィンディーネの美脚!!」

ゴスロリ「……あ」ガシャン

放送部長『鋭い足技! まるでレイピアかのような突きの一撃がゴスロリの傀儡を貫いた!!』




782: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:24:12.52 ID:HawYS+p+O

アフロ「ヘイ、ベイビィー? 可愛いガールを蹴るなんてダンサーとして出来ないゼ☆ ここでギブアップしてくれないか?」

ゴスロリ「おじい……ちゃん」ポロポロ

アフロ「……大事なモノなら戦場に持ち込んじゃいけねぇゼ?」

ゴスロリ「……」

アフロ「心、此処に有らずか……仕方無いが、トドメダ☆」アシアゲ

パシッ

アフロ「……手袋? 決闘の申しでなんて古風じゃないか……召使い」ギロリ

召使い「ゴスロリ、泣くな」

ゴスロリ「……召使い」ポロポロ

召使い「アフロ先輩の言い分が正しい。 紳士の孫である君がそんな取り乱し方をしてはいけない」

召使い「淑女は優雅であるべきだ」ニコ

アフロ「HAHAHA! 決着に割り込んだお前が言うのか? 滑稽だゼ!!」

召使い「悪いな、柄の悪い生まれなもんで」

召使い「こういう時に怒れねぇなら、紳士になんかなりたく無い」ギロ

アフロ「嫌いじゃないぜ? テメェみたいなヤツ! 上がって来いよ、召使い!!」

召使い「申し訳ないが……100%の逆恨みで切り伏せさせてもらう」




783: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:25:13.35 ID:HawYS+p+O

放送部長『えー、司会進行の私を無視して盛り上がっております! 学園アイドル舐めんなよ!!』

風来坊『野暮なこと言ってんじゃねぇよ……次はアフロVS召使いか』

放送部長『では、召使い前に出てください☆』

秀才『連戦なんですね?』

風来坊『アフロにとっては有り難いだろうな。 もう一度精霊を呼ぶのもリスクが高い』

秀才『憑依魔術を使う前に倒されかねませんからね』

放送部長『それでは試合開始♪』

アフロ「最初から全力で行くゼ☆ オラオラオラオラ!!」

召使い「くっ!」ガキンガキン

放送部長『アフロ選手! 猛烈な蹴りのラッシュ……召使い、水のサーベルで受けていきます!!』

風来坊『水のサーベルで斬れないってことは憑依魔術の効果には肉体硬化も含まれてるってことか?』

秀才『予選を見たところ、魔術の質も上昇させれるみたいなので……総合強化と言っても過言ではないかと』

放送部長『何それチート!』

秀才『円符陣を描き、精霊を呼び寄せるのにタイムラグがあるのが難点ですが……一度憑依させたら破るのは難しそうですね』




784: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:26:24.45 ID:HawYS+p+O

召使い(水刀なら斬れそうだが……)

アフロ「刀は作らせないゼ?」

召使い「!?」

アフロ「予選でサーベルは一瞬で作ったのに、刀は少し時間がかかってたからな」

召使い「……くっ、やはり情報収集が目的だったか」

アフロ「HAHAHA、意気揚々と出てきたのに残念だったな召☆使☆い!!」

召使い「―我が名は召使い」

アフロ「What!?」

召使い「剣を作りし者で有りながら、剣であろうとした男」

アフロ「HAHAHA、その技はゴスロリがいないと使えないんだろ? 知ってるゼ」

放送部長『これはハッタリでしょうか?』

秀才『いや、召使いはそんなに賢くない』

放送部長『酷い!?』

秀才『あいつは馬鹿が付くほど真っ直ぐな男だ』キリ




785: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:27:24.54 ID:HawYS+p+O

「作るは2本の剣なれど、その剣は鍛え上げられ1対の業物に成る」

アフロ(……サーベルと腕が同化していっているのか?)

「我自身が剣なのだから」

「―斬れぬモノなど在りはしない」

アフロ「局部憑依! ウィンディーネの美脚!!」

召使い「水手甲剣!!」

シーーーーン

アフロ「俺の攻撃を受けながら、武器を強化か……器用なもんだぜ」

召使い「貴方が俺の弱点を教えてくれた。 だから、改善できたんだ」

「ありがとうございました」

アフロ「HAHAHA! 流石に踊り……疲れたゼ……Good Bye」バタン

放送部長『勝者、召使い!!』

風来坊『やるじゃねぇか、あいつ』

秀才『召使いの潜在能力は侮れない。 後、単純であるが故に敵の言葉でも吸収して力に出来る』

メイド「おぉ、お嬢、これは褒美を取らせないとっすね」

お嬢「……」フラフラ

メイド「……お嬢?」




786: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:28:23.55 ID:HawYS+p+O

放送部長『さて、これで3対3です! 世界のミカタ、次は誰が出ますか?』

喪女「わた、わたたたしが……」アタフタ

召使い「悪いが、女だからと言って手加減は出来ないぞ?」

放送部長『1-Aの喪女、どのような戦いをみせるのでしょうか?』

マスク「……上手くいくかな?」

卑怯者「あぁ、問題ない。 メイドは戦えないみたいだから、実質3対2だ」

卑怯者「いや、そろそろ効いてきたころか? 水のお嬢様」ニヤ

お嬢(胃がキリキリと痛みますわ。 頭も……視界もぼやけて……)

喪女「え、液体操作魔術!」シャア

放送部長『喪女、瓶から取り出した液体を操り召使いを攻撃しますが……』

召使い「遅いな、それで全力か?」ヒョイヒョイ

風来坊『戦い慣れてねぇみたいだが、 喪女は退魔家の人間なのか?』

放送部長『いえ、喪女は魔法薬を研究する一族の出身のはずですが……えーっ、人数合わせみたいですね』

喪女「はひっ、はひっ、魔術なんて普段……使わないから……はひっ……うっ!」コテン

召使い「もういい、休め」

秀才『召使いが申し訳なさそうな気を失わせましたね』

放送部長『さ、さて! 気を取り直して次の試合にいきましょう! 世界のミカタ、次は! ハーリー ハーリー!!』




787: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:30:09.86 ID:HawYS+p+O

マスク「じゃあ、言ってくるね」ゴホゴホ

卑怯者「あぁ、頼んだ」

放送部長『2-Aマスクの登場だ! 咳をしているか大丈夫か?』

召使い「……良く解らないチームだな。 アフロ先輩のように強い人がいたり、喪女のように非戦闘員がいたり」

マスク「適材適所……って言うやつだよ。 強いだけじゃ、僕等には勝てない」ゴホゴホ

召使い「勝てないか……試してみるか?」水刀

マスク「その前にルールを確認したいんだけど良いかな?」

放送部長『はいはーい、どうされました?』

マスク「気を失ったらそっちの世界に戻り、殺されてもそっちの世界に戻るだけ……つまりはそっち側に戻されたら敗けってことで良いの?」

放送部長『へ? まぁ、その認識で正しいですよ』

マスク「そう、解った」

「―転移魔術」

召使い「なっ!?」

風来坊『いきなり召使いの足元に魔方陣が現れた!?』

秀才『……喪女が液体操作で予め描いておいたのか!?』




788: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:35:20.44 ID:yYxbY8VwO

【魔術学園・講堂】
シュン

召使い「……」

マスク「はい、君と僕……両者現実世界に戻ってしまった為引き分け」

召使い「ひ、卑怯な!?」

マスク「ルール的に問題ある?」

放送部長「……問題あると言わさない為に言質取ったわけね」

風来坊「……へっ、気に入らねぇ」

放送部長「さて、異空間に残るは卑怯者とお嬢、メイド。 今だ、お嬢wish親衛隊の優勢は変わりませんが……」

バタン

召使い「……お嬢…様」




789: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:37:23.46 ID:yYxbY8VwO

【異空間】
卑怯者「おやおや? お嬢様、どうされました? 体調不良ですかぁ?」

お嬢「……はぁはぁ、見事ですわ」

卑怯者「あん?」

お嬢「アフロ先輩が時間を稼いでいる間に私の体内に転移魔術で毒を送りつけましたのね」フフ

卑怯者「さぁてね、そんな酷いことしちゃいませんよ」ヒヒヒ

お嬢「ふふふ、とぼけるなんて……可愛い、お方…ですわ……ね」

卑怯者「ハハハハハハ、水のお嬢様が倒れた! 運が良いね! 最高だ!!」

放送部長『え―、お嬢様が言ったことが本当なら流石に反則敗けなのですが……』

卑怯者「俺等が毒を盛った証拠があるのか?」

風来坊『そんなもん、お嬢の体を調べたら出てくるんじゃねぇか?』

秀才『無駄です。 異空間で死んで此方に戻ってきた時に毒も消失してしまっています』

卑怯者「しかし、水のお嬢様も酷いもんだ! 自分の体調不良を人のせいにするなんてな!! 四大元素家の誇りってもんがねぇのk」

「黙れ」




790: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:39:01.38 ID:yYxbY8VwO

メイド「お前がお嬢を語るんじゃねぇっすよ」ゴゴゴゴゴ

卑怯者「ヒヒヒヒヒ! おっかないね、メイドちゃん。 ところで、あんた戦えるのかい?」

放送部長『さて、本試合最後の戦いは2-Aの卑怯者VS2-Dのメイド! この悪魔的な男にメイドはどう太刀打ちするのか!?』

卑怯者「悪魔的? 酷いこと言うな、正々堂々がもっとうな俺には似合わない」

メイド「そうっすね、あんたみたいな小悪党には似合わない」

卑怯者「強がるなよメイド、召使いとお嬢様の後ろに隠れていただけのヤツが何ができr」

メイド「……」ビキビキ

放送部長『メイドの決め細かな皮膚にヒビが! 皮膚がドンドン剥がれていく……グロい!』

メイド「卑怯者、あんたは簡単には殺さない。 お嬢へしたこと洗いざらい喋るまで……生かし続けてやるっすよ」ドロドロ

放送部長『皮膚が捲れたところに黒い泥のようなモノが!?』

風来坊『泥が新しい皮膚になっていくな……』

秀才『……これが悪魔化術』ボソ

放送部長(何で悪魔化術を知ってるの!?)

卑怯者「ば、化け物……」ガクブル

メイド「化け物?」クス

メイド「お嬢の誇りを守るためなら、化け物にでも何でもなってやる」




791: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:40:21.03 ID:yYxbY8VwO

―ずっと、一人だった

暗い地下の部屋が私の全て

物心ついた時にはこの地下室にいた

悪魔を体に植付けられた少女の人生などこんなモノだろう

何も求めていなかった

幸せが幻想だって知っていた

悪魔が「人」生を謳歌しようなんて滑稽だ

「そうやって諦めますの?」

―へ?

「私は諦めませんわ、貴女の人生を!」オーホホホホ




792: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:41:34.38 ID:yYxbY8VwO

メイド「さて、何度目の死っすかね?」

卑怯者「あ……あぁ、もう、殺して……」

メイド「嫌っすよ」クス

卑怯者「ひぎゃっ!?」

放送部長『大変、グロテクスな映像を流して申し訳ありません。 ついに卑怯者、だるまにされてしまいました』

風来坊『手足を千切り取られてんのにまだ気を失わねぇか』

秀才『気を失わせないようにしているんでしょうけどね』ウプッ

メイド「次は心臓を潰して見るっすよ。 大丈夫、私の泥で代用品作ってあげるっすから♪」

放送部長『それにしても、あの泥は何なのでしょうか? 卑怯者の傷口にこびりついて、出血を防いでいるようですが』

秀才『流石に解りませんが……心臓の代用品まで作れるとは』

風来坊『そんな話してるうちに、メイドが心臓抉り出したぞ?』

秀才『……すいません、吐いてきます』ウプッ




793: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/26(水) 10:42:33.75 ID:yYxbY8VwO

卑怯者「や、やめて……お願い、止め……」

メイド「生きたまま心臓を抉られる気分はどうっすか? ゆっくり、ちゃんと感じれるように握り潰してあげるっすからね」クスクスクスクスクスクククス

卑怯者「解った! お嬢様の言う通りだ!! 毒を盛った!! 俺の指示で全部やらせた!!」

メイド「ちゃんと言えて偉いっすね。 ほら、御褒美っす」ブシャ

放送部長『し、心臓を握り潰したーーーーーー! 恐ろしい! 悪魔的な男では悪魔な女には勝てなかった!!』

『決勝への切符を手に入れたのはお嬢wish親衛隊!!』




795: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:12:17.14 ID:BnQD9fgXO

【魔術学園・お嬢with親衛隊控え室】
お嬢「メイド、やり過ぎですわよ」

メイド「うるせぇっす。 主なら従者の沸点ぐらい理解しとくっすよ」

ゴスロリ「……♪」フキフキ

召使い「良かったな、異空間から出たら傀儡も直って」

ゴスロリ「うん♪ ありがとう、召使い!!」ニパー

お嬢・メイド・召使い「……」

ゴスロリ「あっ……。 傀儡に委ねる心は壊れやすく、壊れやすいならば直すのもまたやすし」

メイド「普通に喋れるんじゃないっすか!!」




796: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:13:24.08 ID:BnQD9fgXO

【異空間・闘技場】
『それでは準決勝第2試合を始めます! ルールは第1試合と同じ勝抜き戦です☆』

優等生「本当によろしいんですか?」

オタク「あぁ、優等生もボウズも予選でその実力を示してくれたからな。 ならば、次は俺自身が示す番だ!」キリ

根暗「オタク、頑張ってね」

オタク「火の若、オタク……悪いが4人抜きさせていただこう!!」

放送部長『おーっと、最初から火の若が登場だ! しかも、4人抜き宣言!!』

オタク「4人抜きって……何だかエロいでござるな」デュフフフ

放送部長『黙れ!!』

秀才『あれはオタクなりの照れ隠しですね』

オタク「ちょっ! 秀才言うなし! それ、言うなし!!」

放送部長『対する筋肉最強説は誰が出るのか……おや?』

双子兄・弟「……」ズーン

チャイナ「しっかりするよ! やる前からだらしないね!!」

双子兄「だって、一対一とか聞いてないし……なぁ、弟」

双子弟「コンビネーションとか、連携技とか使えないし……だよね、兄」

チャイナ「全く、コイツらは……」ワナワナ

放送部長『戦う前からお通夜ムードだ!!』




797: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:14:54.89 ID:BnQD9fgXO

脳筋「だらしないな! 俺が行ってくるから、自分達の番が来るまでに覚悟を決めておけよ!!」

チャイナ「初めてあんたがチームにいて良かったと思ったあるよ」

放送部長『筋肉最強説の先陣をきるのは3-C脳筋だ』

脳筋「ガハハハハ、待たせて申し訳なかったな。 火の若様」

オタク「脳筋先輩、正々堂々やり合いましょう」

脳筋「おうともさ! 肉体強化魔術の真髄……特と味わって貰おう!!」ムキムキ

放送部長『それでは、試合開始です☆』

脳筋「おぉ! キレてきた! キレてきた! 俺の筋肉が最強にキレてきた!!」ムキムキ

オタク(まずは牽制で……)

オタク「火球魔術!」ボンッ

放送部長『火の若、ドンドン筋肉がキレていっている脳筋に火球を放つ!!』

風来坊『とりあえず、様子見の一撃と言ったところか?』




798: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:16:21.42 ID:BnQD9fgXO

脳筋「!?」

放送部長『脳筋、避けずに顔面で受け止める。 ……受け止めた、んだよね?』

風来坊『……いや、肉体強化魔術に夢中で避けれなかったようにも見えるが』

脳筋「ガハハハハ、そうか。 これが火の若の実力か」

オタク(ただの牽制なんだけどな……)

脳筋「最初の一撃から手を抜かないとは……流石、火の……若…………だ」バタン

オタク(思いっきり手を抜いてたんだけど!?)

放送部長『試合終了! どう考えても初級火魔術であっさりと脳筋敗北!! 弱すぎる!!』

オタク「……あ、あれでござる!」アセ

放送部長『どうしました? 火の若様』

オタク「今の火球は実は初級魔術に見せ掛けた、高威力魔術でだな……その」

秀才『なるほど、初級魔術に見せ掛けて相手を油断させる作戦だったわけだな!』ヤレヤレ

オタク「そう! 流石秀才! だから、脳筋先輩は見事に俺の罠にはまって負けたわけでござる!!」デュフフフ

放送部長『いや、何、敵を庇ってるんですか? とりあえず、筋肉最強説は次の選手を出してください』

チャイナ「次は私が行ってくるから、その間に覚悟を決めておくよろし」

双子兄・弟「……はい」ズーン

放送部長『次は2-Bのチャイナが火の若に挑むようだ』




799: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:17:38.64 ID:BnQD9fgXO

チャイナ「まさか、同じクラスに火の若様がいたとは……驚きある」

オタク「黙っていて悪かったな」

チャイナ「別にいいよ。 そんなことより、退魔家の頂点に立つと言われた火魔術家の技……楽しませてもらうね」

オタク「おう! 行くぞ、チャイナ殿」

チャイナ「……オタク口調が抜けきってないあるよ」

オタク「デュフフフ、長く演じ過ぎたでござるよ」

放送部長『それでは、試合開始です!』

チャイナ「アイヤ!!」ダッ

放送部長『開幕と同時に飛び膝蹴り!』

風来坊『中々、動きするじゃねぇか』ウズウズ

秀才『オタクもちゃんと反応して受け止めましたね』

チャイナ「やるあるな。 でも、何でもかんでも受ければ良いというものじゃ無いね」ダッ




800: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:19:14.02 ID:BnQD9fgXO

放送部長『激しい打ち合い! 距離を取ってチャイナが再度飛び膝蹴り!!』

オタク「ぐっ!!」ヨロ

秀才『先程は受け止めたオタクがよろめいた!?』

風来坊『……オタクの肉体強化魔術の効きが腕だけ悪くなっているみてぇだな?』

秀才『もしかして、魔流疾患!?』

放送部長『魔流疾患? それはどんな魔術なの?』

秀才『魔術の名前ではなく、症状の名前です。 魔力の流れが悪くなって、症状が悪くなると魔術を放てなくなります』

放送部長『つまり、若様の腕の魔力の流れが悪くなって肉体強化魔術の効きが悪くなったと』

秀才『……オタクは何時も魔術を手から放ってました』

風来坊『肉体強化魔術以外の火魔術も使えなくなったということか?』

秀才『使えなくなったとまでは……だだ、威力は激減してるかと』

チャイナ「これが我が一族に伝わる魔封じの拳法……流岩魔拳ある!!」ドヤ





801: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:21:20.03 ID:BnQD9fgXO

オタク「……なるほど、そういうことか」ボォォオ

放送部長『若様がいきなり自分の腕を燃やし始めました!?』

チャイナ「な、何してるあるか?」

オタク「チャイナは攻撃と同時に魔力で作った薄い板を相手の中に押し込んでるんだろ?」

チャイナ「なっ!?」

オタク「その板があるせいで、魔力の流れが悪くなるなら……板を燃やして仕舞えば良い」

チャイナ「どうして気づけたあるか?」

オタク「拙者、敏感でござるからな〜、挿入されたら感じちゃうのでござるよ」デュフフフ

チャイナ「ふざけるなッ!!」ダッ

オタク「……」

放送部長『若様の指に火が灯っていきます』

オタク「だが、それが答えだ。 自身の体の変化に素早く反応する……それも退魔家に必要なスキルだ」

オタク「火魔術家奥義……火爪!!」

チャイナ「……ッ!!」バタン

放送部長『決着! ようやく、火魔術家次期当主の実力の片鱗が見えました』

風来坊『まだまだこんなもんじゃ無いだろうがな……』




802: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:22:56.94 ID:BnQD9fgXO

放送部長『さて、筋肉最強説は残り2名……どちらが先に出ます?』

双子兄「弟……僕が先に行ってくるよ」
双子弟「兄……ここは僕が先に行ってくる」

双子兄「お前は僕が負けたら降参でも何でもしろ! 解ったな!!」
双子弟「兄こそ、僕が負けたら降参したら良いよ!!」

放送部長『良いからさっさと決めてください』

オタク「あの〜、放送部長タソ。 二人同時じゃ駄目でござるか?」

放送部長『ファッ!?』

双子兄弟「へ?」

オタク「俺は火魔術家次期当主としての在り方を示すためにここに来た。 ならば、相手の土俵で戦って勝たなければ示せないだろう」

放送部長『……う〜ん、その代わり、若様が負けて次の選手になっても双子と2対1で戦ってもらいますよ?』

オタク「だとさ。 問題ないな!!」

優等生・ボウズ「はっ!」
根暗「……えぇ…」

放送部長『一人嫌そうですが……解りました! 次の試合は1年の双子兄弟VSオタクです!!』

双子兄弟「あ、あの……オタク先輩」

オタク「いやはや、二人とも、拙者の我が儘で急なルール変更かたじけない」ペコ

双子兄弟「……へ?」

オタク「存分に競い合おう! 火の若は逃げん!!」

双子兄「……ははは、お人好しってこういう人のことを言うんだと思うよ、弟」

双子弟「これは此方も全力でいかせてもらうしかないね、兄」

双子兄弟「我等、武器化魔術家の双子兄弟! 存分にその技お見せいたします!!」




803: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:24:08.75 ID:BnQD9fgXO

優等生「全く、若は困ったお方だ」フゥ

根暗(優等生君、すごく嬉しそう)

放送部長『それでは試合開始でーす♪』

双子弟「武器化魔術、鎖鎌!!」

双子兄「はっ!そいや!!」

放送部長『鎖鎌に変化した弟を使い果敢に攻めろ双子兄! オタク、何とかこれをかわしていきます』

オタク「あー、拙者も武器とか持ってきたら良かったでござる」ボォォオ

放送部長『火を噴出した勢いで距離を取る!』

風来坊『鎖を回して噴出された火を防いでいる双子兄の腕も対したモノだな』

双子兄「距離を取っても無駄です!」シュッ

オタク「おっと!」

放送部長『双子兄が投げた鎌を避けた若様……というより双子兄、十分強いじゃん!』

双子弟「武器化魔術、解除」
双子兄「武器化魔術、大鎌」

オタク「なっ!?」

双子弟「背後、貰いましたよ! おりゃ!!」

オタク「くっ!」ザン

双子兄「武器化魔術、解除」
双子弟「武器化魔術、金棒」

双子兄「ふん!」ブンッ

オタク「なっ、速い!」ゴンッ

秀才『避けきれなくなってきましたね……確かに速いですが……』

風来坊『それだけじゃねぇな。 火の若の死角をついて上手く武器化魔術を使ったり解いたりしてやがる』

秀才『オタクの体感では更に速く感じるってことですか』




804: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:25:11.24 ID:BnQD9fgXO

オタク「はぁはぁ……火球魔術、火球連弾!!」ボンッボンッボンッ

放送部長『接近戦は分が悪いと思ったのか、距離を取って火球を連続で放つ……が!』

双子弟「武器化魔術、盾」

オタク「くっ、防ぎきられたか」ボォォオ

秀才(盾を壊す為により威力の高い火球を作ってるのか?)

双子兄「武器化魔術、クロスボウ」
双子弟「武器化魔術、解除」ビュン

オタク「ッ!?」

放送部長『若様の肩に深々と矢が刺さった! 阿吽の呼吸で相手の求める武器に変化する双子……恐るべし!!』

オタク「……強いな、ここまで強いか」ハァハァ

双子兄弟「今更、二人同時に相手するって言ったのを後悔しても遅いですよ?」

オタク「後悔なんてするわけがないだろう?」




805: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:26:19.03 ID:BnQD9fgXO

オタク「―たまに不安になる」

「四大元素家だけが魔術社会を守ろうとしてるんじゃないかって」

「四大元素家だけがその為に強くあろうとしてるんじゃないかって」

「でも、見てみろ? お前らの鎌は俺の頬に傷を付け! その金棒は腕にアダを作り、その矢は俺の肩を貫いた!!」

「正直、四大元素家だけの力でこれからの魔術社会を守っていくのは限度があると思っていた」

オタク「だから、双子兄弟! お前達の力強さが俺は嬉しい!!」

双子兄弟「……」///

オタク「俺は火魔術家の次期当主としての在り方を示すためにここに来た」

オタク「先に言った通り、魔術社会を四大元素家だけで守るのには限界がある」

オタク「だから、力を貸して欲しい!」

オタク「この戦いを見ている賢き友よ」

秀才(……)

オタク「この戦いを見ている優しき友よ」

根暗(……オタク)

オタク「この戦いを見ている全ての魔術師よ」

オタク「俺が火の若だ!」ボォォォォォォォオオオ

オタク「皆がついてくるに足る男だと、この場で証明させていただく!!」




806: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:27:33.55 ID:BnQD9fgXO

放送部長『若様を中心に激しい炎の渦! 炎の渦が若様の体に吸い込まれて行くように見えます!!』

秀才『オタクの体に紋章のようなモノが浮き上がって……まさか!?』

風来坊『お前、何でも知ってんな』

放送部長『で、あの紋章は何なの?』

秀才『あれは恐らく概念武装だと思われます』

放送部長『概念武装?』

秀才『自分の体に紋章を刻み込み、その紋章のモチーフとなったモノの概念……性質を得る魔術です』

風来坊『あん? その説明だと獣化魔術の劣化版みたいだな』

秀才『一般的な使い方としては自分の力だけで獣化魔術が使えない魔術師が紋章の力を借りて簡易的に獣化する……というものなのですが』

放送部長『若様の概念武装はどう特殊なの?』

秀才『獣化魔術では到達出来ない次元の存在をモチーフにしている点です』

秀才『オタクがモチーフにしているのは……不死鳥』

オタク「もう少し、お前達との競い合いを楽しみたいとも思っていたんだが……悪いな、この姿は長く保てないんだ」ボォォオ

双子兄(オタク先輩……いや、若様の回りに無数の火の羽根が……)




807: ◆Q6fo44/dLk 2016/10/31(月) 12:28:37.33 ID:BnQD9fgXO

双子弟「武器化魔術、盾」

オタク「炎鳥魔術、炎羽」

放送部長『無数の火の羽根が盾に刺さった! 盾が勢いよく燃え上がる!!』

双子兄「なっ! 消えろ! 消えろ!!」

オタク「不死鳥の火はそう簡単には消えんさ」

双子兄「……弟、武器化解除……出来ないよね?」

双子弟「……解除したら、火に耐えきれそうに無いよ」

オタク「一人でも戦う術を身に付けるべきだな」

双子兄「ひっ! 部分武器化魔術、太刀!!」

オタク「炎鳥魔術、火爪!!」ザン

双子兄「」バタン

オタク「誇れ、双子兄弟。 お前達は火の若に本気を出させたんだ」

放送部長『決着! 本当に4人抜きを成し遂げました!! 決勝戦はお嬢with親衛隊VS火ノ鳥です!!』

放送部長『決勝戦はお昼休みの後! 皆さん、お見逃しの無いように!!』





810: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 12:58:27.14 ID:UzRDXvH7O

【魔術学園・食堂】
「ねぇ、召使い君! 良かったら一緒に食べよ」「さっきの試合すごくかっこ良かったよ!」「ここ、座っても良いかな?」

召使い「いや、悪い。 先約が……」

メイド「……」

「あっ……メイドさん」

ヒソヒソ
「さっきの試合見た?」「心臓抉って笑ってたよ」「本物の悪魔みたいだったね」

メイド「召使い、私は別のところで食べてくるっす」スタ

召使い「座れ」ガシッ

メイド「……化け物と一緒にいたら折角のモテ期がどっか行っちゃうっすよ?」ツーン

召使い「お前と一緒にいれなくなるなら、モテ期などいらん」

メイド「……そういう言葉を吐くのは女心を理解してからにするっす」

ゴスロリ「満たすべきは心。 食事
とは欲ではなく楽を突き詰めるべき行為なり」

召使い「あぁ、ゴスロリも一緒に食べよう」




811: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 12:59:15.40 ID:UzRDXvH7O

【魔術学園・火ノ鳥控え室】
優等生「……」ギロ

根暗「……」オロオロ

秀才「……」ギロ

ボウズ「……」パクパク

根暗(オタクが何処かに行っちゃいました……)ショボーン

優等生「何故、秀才が我々の食事に参加している」

秀才「オタクに賢き友と呼ばれたからな……挨拶に来ただけさ」

優等生「賢き友? 自意識過剰なんじゃないか?」

秀才「少なくとも君の忘却薬に対処する程度には賢いつもりだが?」

優等生「なっ!? 貴様、あの時の記憶があるのか!?」

秀才「あぁ、君が慢心して色々話してくれたお陰で真実に近付けたよ」ククク

優等生「……秀才」ゴゴゴゴゴ

根暗(オタク……戻ってきて……)




812: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:00:59.06 ID:UzRDXvH7O

【屋上】
お嬢「二人で食事をとるなんて……久しぶりですわね」

オタク「あぁ、そうだな」

お嬢「先程の若様の言葉に共感する部分はありましたわ」

オタク「……」

お嬢「それでも大衆の面前で火の若たる貴方が発して良い言ではございません」

お嬢「水のお嬢は水のお嬢で」

お嬢「火の若は火の若で」

「四大元素家は四大元素家であり続けなければならないのですわ」

オタク「……第一級魔術家は第一級魔術家であり続けなければいけないのか?」

お嬢「そう……ですわ」ギリ

オタク「お嬢の考えは解った。 また、決勝戦で」

お嬢「えぇ、また決勝戦で」




813: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:01:46.74 ID:UzRDXvH7O

【お嬢with親衛隊控え室】
メイド「3人で食べるなら食堂なんか行かずに此処ですましたら良かったんすよ」

召使い「仕方がないだろ? どうしても、カツカレーが食べたかったんだから」

メイド「そういう験担ぎ好きっすね、バカっぽい」

召使い「うるさい!」///

ガチャ

お嬢「戻りましたわ」

召使い・メイド「おかえりなさいませ、お嬢様」

お嬢「揃っていますわね……行きますわよ、3人とも」

「水魔術家の在り方を示しに」




814: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:02:54.66 ID:UzRDXvH7O

【火ノ鳥控え室】
オタク「皆の衆! 揃ってるでござるか?」デュフフフ

優等生・ボウズ「若、おかえりなさいませ」

根暗「お、おかえり!」パァ

秀才「邪魔しているぞ」

オタク「おぉ、秀才! 来てくれたか」

秀才「あぁ、お互い色々と話したいこともあるだろうしな」

オタク「魔術技会が終わったら、釣りでもしながらゆっくり話そう」

ボウズ「釣りですか……」

根暗「ボウズ君も釣りする?」

ボウズ「川ですか? 海ですか?」

根暗「しいて言うなら……土かな」

ボウズ「……?」

オタク「よし! 出陣だ!! 優等生、不貞腐れて無いでついてこい!!」

優等生「不貞腐れてなど……」ムス

根暗「秀才、行ってくるね」

秀才「あぁ、頑張れ」




815: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:04:03.09 ID:UzRDXvH7O

【異空間・魔術学園】
放送部長『さぁ、舞台は再び魔術学園! 運動場にお嬢with親衛隊、屋上に火ノ鳥……睨み合う両軍揃いました!!』

風来坊『で、決勝戦のルールはどうなってんだよ』

放送部長『よくぞ聞いてくれました! 決勝戦は大将取り合戦です☆』

放送部長『ようするに、先に相手チームのリーダーを倒したチームの勝ちと言うことです♪』

秀才『お嬢with親衛隊はお嬢を火ノ鳥はオタクを守りながら戦わないといけないということですか……』

風来坊『守る必要があるとは思えないけどな』ヘッ

放送部長『それでは、準備はよろしいですか?』

『決勝戦……開始!』

オタク「さぁて、行くぞ!」ボォォオ

お嬢「来ますわね」水柱

放送部長『若様の回りに大きな火球が3つ! 対するお嬢様は水の柱を出現させた!!』

オタク「ふん!!」ボンッボンッボンッ

お嬢「届きませんわ!」

オタク「やはり、水柱で防がれたか」

オタク(しかし、目眩ましにはなっただろう)

ボウズ「根暗先輩……思いっきりお願いします」

根暗「う、うん、行くよ」ニョロン ギギギギ ビュン

ボウズ(……上手く水柱が無いところに着地出来たな)スタッ




816: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:05:05.21 ID:UzRDXvH7O

ボウズ(若の指示通り奇襲を……ん)ギシッ

ゴスロリ「儚き者よ、その拳は我等が姫には届かない」ブンッ

ボウズ「……!」ガシャン

放送部長『ボウズが投げられ、窓を割って校舎の中に!』

秀才『わざと水柱に隙を作って、そこに水糸の罠を仕掛けておいたのでしょう』

放送部長『なるほど!』

お嬢「此方も攻めますわよ! 召使い!!」

召使い「かしこまりました!」

お嬢「壁を掛け上がって、火の若を強襲するのですわ!!」

召使い「はっ! ……え、壁を掛け上がってですか?」

お嬢「えぇ! 行くのですわ!!」

召使い「…………うおおぉぉおおおお!!」ダッ

放送部長『お嬢様に無茶な命令をされた召使い、壁を掛け上がれるか!』

風来坊『水サーベルを壁に刺して上がって行ってるな』

召使い「……はぁはぁ」

ニョロン ギュ

召使い「触手、しまった!!」

根暗「召使い、大丈夫? 引き上げるね」

召使い「へ?」

優等生「はぁ?」

オタク「デュフフフ」




817: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:06:22.99 ID:UzRDXvH7O

根暗「よいしょっ、流石に水サーベルでよじ登るのは……その無茶だと思うよ」

召使い「根暗……敵の俺を引き上げて良かったのか」

根暗「…………あっ」

放送部長『触手を巻き付けて地面に叩き付けるかと思いきや、優しく屋上まで上げました!』

秀才『根暗は頑張ってる人を見るとついつい手を貸してしまうからな』

根暗「お、オタク、ごめん!」

オタク「良いでござるよ。 優等生、俺は打って出る。 召使いの相手を任せた」

優等生「はっ!」

オタク「……優等生、その男を決して侮るなよ」

召使い「待て! お嬢様の元へはいかせな……くっ」サッ

優等生「若の邪魔をするな」ギロリ




818: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:07:22.89 ID:UzRDXvH7O

【異空間・とある教室】
ボウズ「……」コキコキ

ゴスロリ「……」

【異空間・屋上】
召使い「……」

優等生(若はこの男の何を買っているんだ?)フム

【異空間・運動場】
オタク「……根暗、メイドの相手は任せた」

根暗「うん、解った」

お嬢「若様から出向いていただけるとは光栄ですわ」ペコ

メイド「根暗、顔貸すっす」クイ

放送部長『上手い具合に1対1になりましたね』

秀才『いち早く相手を倒して、リーダーを助けに行かないといけないわけですね』

風来坊『リーダーを信じて時間を稼ぐって手もあるけどな』




819: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:08:43.57 ID:UzRDXvH7O

【異空間・とある教室】
ゴスロリ「紳士の杖は鋭く、清く、美しい!」

ボウズ「……!」

放送部長『傀儡を操り、ボウズを猛攻するゴスロリ! 先程より動きのキレが増している!!』

秀才『上手く机や椅子に巻き付けて、傀儡を操ってるみたいですね』

放送部長『なんと器用な!』

風来坊『逆にボウズは水糸の罠を警戒して動き難そうだな』

秀才『ゴスロリが自分の戦い易い戦場に持ち込んだ……というところですね』

ボウズ「……」サッ

ゴスロリ「……ッ!!」

放送部長『ボウズ、何も無いのに回避行動をとった?』

ゴスロリ「不可視の糸をみゆる瞳、それを捉える者などいはしない!」

ボウズ「……見て避けた訳では」サッサッ

放送部長『何やら話しています……ボウズ、傀儡の攻撃以外にも何かを避けてますね』

秀才『恐らく、ゴスロリがボウズを縛りつけようとして避けられているのかと……』

放送部長『ゴスロリが使っている糸は透明なのよ? 傀儡の攻撃を避けながら、対処出来るわけが……』

風来坊『音だな』




820: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:09:56.88 ID:UzRDXvH7O

秀才『音? ……ありえない、そんなこと出来るわけが』

放送部長『音? どういうことよ、風来坊』

風来坊『ボウズは糸が机やら椅子などに擦られる音を頼りにゴスロリの攻撃を予測して避けてんだ』

放送部長『なっ!?』

風来坊『あの一年生、底が見えねぇな』

ボウズ(防ぐ分には問題ないが……攻めに転じれないな)フム

ゴスロリ「問わせよ。 貴殿の拳は傀儡を砕ける、貴殿の脚は傀儡を貫く……」
(貴方なら傀儡を壊せるのに、どうしてそうしないの?)

ボウズ「……貴女が泣いていたから」

ボウズ「女性の涙は……苦手です」

ゴスロリ「……っ!」///

放送部長『おっと、傀儡の攻撃の激しさが増しました! 照れ隠しですか? 照れ隠しですね? 照れ隠しでしょ!!』

風来坊『実況が煽るなよ』

放送部長『ところ変わって、屋上の様子を見てみましょう!』

秀才『召使いと優等生が戦ってるんでしたね』




821: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:11:21.74 ID:UzRDXvH7O

【異空間・屋上】
放送部長『従者対決! 果してどちらに、えっ!?』

優等生「……ふん」

召使い「……」ボロボロ

放送部長『屋上には無傷の優等生と倒れて動かない召使い!!』

優等生「従者対決? この者と俺を一緒にするな」

優等生「我が熱源魔術家は代々火魔術家に仕えてきた由緒正しき一族だ。 拾われただけのコイツとは従者としての格が違う」

召使い「……拾われた…だけだと?」ヨロヨロ

優等生「まだ動けたか」

召使い「拾われただけじゃない……俺はあのお方に、救われたんだ」水刀

召使い「救われたんだ!!」

優等生「無駄だとわからないのか?」シュ

ジュウウウ

放送部長『召使いの水刀が優等生の拳によって破壊されました!?』

秀才『優等生の熱によって蒸発してしまったんですね。 ……相性が悪すぎる』

優等生「ヒートアッパー!!」

召使い「ぐはっ」

放送部長『顎にクリーンヒット! 召使いの体が宙に浮いた!!』

風来坊『召使いの水の武器を一瞬で蒸発させる程の熱が籠った拳だ……これは強烈だな』

召使い「……」ヨロヨロ

優等生「……どうした? 武器は作らないのか?」

召使い「……」ハァハァ

優等生「立つのがやっとか」ナグリ

放送部長『召使い再び倒れる!!』

優等生「また、立たれたら面倒だ」ボコスカ

放送部長『その召使いに馬乗りになって執拗に殴り付けます! 本当に容赦無いな!!』




822: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:12:13.79 ID:UzRDXvH7O

優等生「……ふぅ、若様の元に向かうか」

召使い「……」ヨロヨロ

優等生「そこまでして何故仕える?」

召使い「……お前には……解らない」

召使い「ただ、その家に産まれたから何て……そんな理由で仕えてるお前には……解らない」

優等生「右ストレート!!」

召使い「……」ガシ

優等生「愚かな、熱源魔術を使う俺の拳を掴むなど」ジュゥウウウ

召使い「……」ガッシリ

優等生「なん……だと!?」

優等生「何故掴み続けれる!?」

優等生(痛覚が無くなった? いや、こいつはそんな魔術は使えないはずだ。 では、水魔術で体温を下げて対処を……いや、蒸発するだろう)

召使い「……」ギロ

優等生「まさか、……貴様、我慢しているのか?」

召使い「……」ニヤ




823: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:13:04.61 ID:UzRDXvH7O

優等生「あり得ん……熱源魔術をたんなる痩我慢で耐えるなど」

優等生「あってはならん、火魔術家に仕えてきた我が一族の魔術がそんな破られ方をするなど……」

優等生「熱源魔術家の誇りにかけてあってはならん」ジュゥウウウ

召使い「それが、俺とお前の従者としての格の差だ」

優等生「!?」

召使い「最後の最後まで主の為に戦い抜けなかった……お前の……負け……だ」ポコ

バタン

放送部長『おぉっと! 召使い、力尽きて倒れた!! 従者対決を制したのは優等s』

優等生「待て」

優等生「愚直が過ぎるぞ……水の忠臣よ」

優等生(今の俺に若の元に行く資格は無いな)ハァ

「―俺の負けだ」

放送部長『勝者、召使い! 優等生、試合に勝つも勝負に負けた!!』




824: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:14:31.27 ID:UzRDXvH7O

【異空間・運動場】
お嬢「……流石に素早いですわね」

オタク「これだけの水を操るとは……お嬢、腕をあげたな」

放送部長『運動場が水浸しです! 大量の水が若様を呑み込もうと襲いますが、手から火魔術を放ち上手く逃れてます』

お嬢「このような大雑把な攻めかたでは若様を捕らえられないようですわね」

お嬢「ならば、より緻密に、より正確に……」ギュウウウウ

放送部長『水が圧縮されて人形になっていきます……その数……ひゃ、100体以上!!』

お嬢「水の当主は多くの魔術家を従え、魔術社会を守る存在」

お嬢「四大元素家だけでは魔術社会を守れない? だから、力を貸してほしい?」

お嬢「若様の言葉では四大元素家とその他が対等のようですわ」

お嬢「四大元素家はその他を管理する立場でいなければならない、そうしなければ秩序が崩れてしまいますの」

オタク「秩序? 魔術社会における善悪を決めるのが四大元素家だと?」

お嬢「えぇ、そうですわ」

オタク「ならば、俺達は相容れない……善悪とは魔術を扱う一人一人が決めるものだ」

お嬢「それが火の若の志ならば、私の水兵団を倒して示してくださいまし」

オタク「……概念武装、不死鳥」ボォォオオオオ

お嬢「無限の水兵団!!」

放送部長『運動場を埋め尽くす水の兵隊たち! 一斉に火の若に襲いかかります!!』

秀才『男対女、火対水、質対量……相対的な二人の意地のぶつけ合い……か』




825: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:16:53.87 ID:UzRDXvH7O

【異空間・中庭】
メイド「根暗は悪魔信仰って知ってるっすか?」

根暗「悪魔信仰?」

メイド「人を不幸にすればするほど、その人に行く幸せが自分の元に流れてくるって考えに基づいた一種の宗教っすね」

根暗「……それが、どうしたの?」

メイド「悪魔信仰の魔術師は人に不幸を与える存在として悪魔を求めたっす」

メイド「ある男は悪魔を召喚しようとし」

メイド「ある男は悪魔を1から作ろうとし」

メイド「あぁ、悪魔になろうとした男もいたっすね」

メイド「悪魔に至るために様々な実験がされたっす」

メイド「その中の1つに胎児に悪魔の因子を与えるという実験があったんすよ」

メイド「その実験は成功し、赤ん坊は見事に悪魔の因子……悪徳の泥の力を持って産まれて来たっす」

根暗「……」

メイド「根暗、私とあんたの出生は異常っす……とても人間のソレじゃない」

「私達は産まれながらの化け物なんっすよ」

根暗「……そんな、僕達を人として扱おうとしてくれた人がいた」

メイド「そんなダチが自分の誇りをかけて闘ってるんなら」

根暗「化け物(僕)も全力で戦うしか……無いよね」ニョロン
メイド「化け物(私)も全力であんたをぶっ倒すしかねぇんっすよ」ドロ




826: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:18:19.13 ID:UzRDXvH7O

【魔術学園・講堂】
秀才「……放送部長先輩、根暗達の戦いは映さないんですか?」

放送部長「どうせ、カードゲームとかして遊んでるだけでしょ?」

秀才「第一級危険魔術家同士の戦闘なんて見せれない……ですか」

放送部長「貴方……どこまで知ってるの?」

秀才「さぁ、何処まででしょうね」

放送部長「……これを使いなさい。 根暗とメイドが見えるはずよ」つ小水晶

秀才「良いんですか?」

放送部長「御主人様が貴方に協力するなら、私もそれに従うだけよ」

秀才「……ありがとうございます」

放送部長「解説の仕事、ちゃんと最後までしてよね」ハァ




827: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:19:22.56 ID:UzRDXvH7O

【異空間・運動場】
水兵「」バタン

オタク「……はぁはぁ、底が見えないな」

お嬢「休んでる暇は有りませんわよ?」スッ

水鉄砲兵「……」パンパン
水騎兵「……」パカラパカラ

オタク(鉄砲兵に槍兵、騎兵までいるか……数だけじゃなく、兵種の多さが厄介だな)ボォォオオ

お嬢(流石ですわね、若様。 動き回って囲まれ無いようにしながらも、兵達を1ヶ所に誘導し倒されるとは……しかし)

放送部長『数えるのも億劫になる水兵団を相手にまさしく一騎当千の戦いを繰り広げる若様!』

秀才『ですが、このままではオタクが不利ですね』

風来坊『あん? 何でだ?』

秀才『双子兄弟との戦いでオタクはこの姿は長くはもたないと言っていました。 活動限界があるのかと……』

お嬢(不死鳥という高次元の生物の概念を身に留めておくのは若様と言えど辛いはず……そろそろ、強行突破してきますわね)

オタク(お嬢は俺が強行突破することに気が付いている。 先程からわざと隙を作って俺を誘ってる)

オタク「……レディーの誘いを断るほど野暮じゃないさ」ニヤ

お嬢「えぇ、知ってますわ」ニコ

オタク「うぉぉぉおおおおおお!!」

放送部長『火の若が吼えた!! 水兵団が手薄になっているところから仕掛ける!!』




828: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:20:17.84 ID:UzRDXvH7O

お嬢(若様のことはよく知ってますわ)

お嬢(だから、解りますの)

お嬢(若様は四大元素家の負担を減らしたいのですわよね?)

お嬢(若様は火魔術家に課せられた何らかの使命を自分の代で果たそうとしてますのよね?)

お嬢(少しでも早く果たして……根暗さんが自由に生きれるようにしてあげたいのですわよね?)

お嬢「友人一人の為に、火魔術家の在り方を変えるなんて……」

「―愚かな方」




829: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:22:06.14 ID:UzRDXvH7O

幼嬢『私は諦めませんわ、貴女の人生を!』

悪魔?『……はぁ?』

幼嬢『さて、それではこの地下室から出ますわよ』オーホホホホ

悪魔?『あんた、頭に蛆でもわいてるんっすか?』

幼嬢『酷いですわ!?』

悪魔?『私は悪魔っすよ? そんな存在世に放ったらどうなるか解ってるんっすか?』

悪魔?『私を参考に更に強力な悪魔を作るかも知れないっすよ? 私を悪用しようとする輩なんて幾らでもいるんっすよ?』

悪魔?『私一人がこの地下室で我慢したら皆が平和に過ごせるんっすよ……』

お嬢『私は水のお嬢ですわよ? そんな、私が貴女を連れ出すと言ってますの』

お嬢『我が水魔術家が魔術社会の秩序を守っている限り、そんなモノなんて2度と作らせませんし、貴女を悪用なんてさせませんわ』ドヤ

悪魔?『アホみたいなドヤ顔晒すなっす』

お嬢『アホみたいって教えてくれてありがとう。 以後、気を付けますわ』

悪魔?『あんた、変わってるっすね』

お嬢『平和の為に自分を犠牲にする悪魔に言われたく無いですわ』クスクス

悪魔?『……』

お嬢『行きますわよ、悪魔……いえ、メイド! 貴女が貴女として生きれる社会を私が作って差し上げる』ニコ




830: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:23:57.26 ID:UzRDXvH7O

放送部長『火の若に気圧されてか、水の兵隊が退いていく……』

秀才『いや、水の兵隊がくっついて大きな壁に……いや、トンネルみたいに……オタクの逃げ場を無くしたのか!?』

お嬢「若様、これが私の最終奥義ですわ! 水魔術激流!!」

放送部長『若様が駆けるトンネルにお嬢様が大量の水を放つ! その威力、量! 最早公害!! 水魔術の奥義は何も模っさない! 水は水故に強いということか!?』

放送部長『流石に若様、流され……てない!?』

オタク「火鳥魔術、炎翼!」

秀才『あの水の中を突っ切って来たのか!?』

放送部長『腕に纏わせた炎の翼がお嬢の腹部に直撃した!!』

お嬢「……本当に愚かな方、友と魔術社会を天秤にかけて、どちらが重いかなんて明白でしょうに」

オタク「……」

お嬢「若様も……私も……愚かですわね」

オタク「お嬢……俺はどちらかを選ぶ気なんて無い」

オタク「どちらも守る」

お嬢「出来ますの? そんな、こと?」

オタク「お主も力を貸してくれるんでござろう」デュフフフ

お嬢「ふふ、困った……照れ屋さん……ですわ」バタン

放送部長『水のお嬢、破れる! 魔術学園の頂上決戦、勝者は火の若! よって、本魔術技会優勝は……火ノ鳥!!』




831: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:25:16.32 ID:UzRDXvH7O

【異空間・とある教室】
ゴスロリ「若武者よ、我が糸は貴殿を捕らえた」
(決着は何時かつけさせてもらいます)

ボウズ「……えぇ、また」ペコリ

【異空間・中庭】
根暗「オタクが勝ったみたいだね」ニョロロロロン

メイド「そうっすね。 続けるっすか?」ドロロロロン

秀才(此方の方が頂上決戦に相応しいんじゃないか?)ゴクリ

秀才(頭に2本の角触手、背中から4本の腕触手、尻尾触手を生やした根暗……初めて見たが強いな)

秀才(触手鬼モードとでも名付けようか……この姿の時は手をつかずに触手を生やせるんだな……)フム

根暗「止めておこう……これ以上は……その」

メイド「そうっすね、異空間がもたないっすね」

秀才(メイドさんの泥がどういうモノか解らないが、触れれば触手が死んだように見えた)

秀才(死んだのだとしたら、触手は単体ごとに命があるということになる)





832: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/08(火) 13:35:55.79 ID:UzRDXvH7O

【魔術学園・校長室】
校長「……ふぅ」

体育教師「校長先生、お疲れ様でした」つタオル

校長「儂も歳をとったな。 ……しかし、あやつらめ。 好き勝手暴れよって」

教頭「あやつらとは……第一級危険魔術家の二人ですか?」

校長「あぁ、危うく異空間が崩壊するところだったわい」

「やはり、校長からしてもあの二人は疎ましい存在なのですか?」

校長「疎ましい? ハハハ、愛しいに決まっておろう」

校長「この学園におる者は等しく愛おしい、儂の孫のようなものだ」

教頭「ところで、何のようだ?」

「いえ、計画通り事が進んでるか確認に」

教頭「……はぁ?」

「マッスルインパクト!!」ドゴォン!!

校長「」

体育教師「……はぁはぁ」返り血

教頭「体育教師! 貴様、何をしている!?」

体育教師「だって……当たり前だろ? 魔術技会が終わったら、校長を始末するのは……あれ? 俺は……あれ?」

教頭「……くっ!? 俺は体育教師を足止めする! 早く校長に治ry」バタン

「これで計画通り……」

「土の若様……最終局面ですね」




835: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:28:51.62 ID:Hs5gmfMbO

【火魔術家本拠地・武家屋敷】
優等生「校長と教頭が体育教師に殺害された件についてのご報告は以上です」

火当主「異空間を閉鎖し、魔力が枯渇したところをやられたか」

優等生「本来、弱った校長の警護を任されていた体育教師先生が裏切るとは……」

火当主「体育教師は自決した」

優等生「……やはり、土魔術家は変換魔術師を従えているのでしょうか?」

火当主「先日の魔術をコピーする男のような存在がいるのやも知れんな」

火当主「魔術学園の運営については水魔術家が受け持つことに決まった」

優等生「我々はどのように動けば?」

火当主「……好きにせい」

優等生「と、言いますと?」

火当主「愚息は儂とは違う道を歩んでおるようだ」

火当主「ふふ、これ以上あやつの重荷になるつもりはあるまいて」

優等生「……」

秀才『善悪というものは一人一人が作るものだ?』
オタク『善悪とは魔術を扱う一人一人が決めるものだ』

火当主「迷うか、優等生」

優等生「私は若様の傍にいながら、若様のお心を理解できていなかった」

優等生「従者としても未熟だと……召使いに教わりました」

火当主「魔術学園が再開するまで3日間、好きに過ごせ」

優等生「……」

火当主「何かが始まろうとしておる」

火当主「迷いを抱えたままでは……死ぬぞ?」




836: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:29:52.61 ID:Hs5gmfMbO

【とある森の中・根暗の家】
根暗「番号、 1!」

オタク「2!」

秀才「3!」

召使い「4!」

ボウズ「……5!」

根暗「これより、土中生物釣り上げ部の活動を開始する!!」キリッ

触手爺「……」

僕っ娘「部活になると何時もこんな感じなんですよ」クス

根暗「今日は各自好きなモノを釣ってきて良いよ、お昼はお爺ちゃんが作ってくれるから戻ってきてね」

ボウズ「根暗先輩……土中生物はどのように釣れば」

根暗「ボウズ君は初めてだから僕と一緒に釣ろうか」

ボウズ「……よろしくお願いします」

ボウズ(今日は元気だな……)

オタク「拙者は秀才と釣ってくるでござるよ」デュフフフ

秀才「あぁ、話したいこともあるしな」

召使い「……根暗、俺も一緒に釣って良いか?」

根暗「うん、良いよ♪」




837: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:30:48.50 ID:Hs5gmfMbO

【とある森の中・湖】
オタク「さて、ここで良いか」

秀才「あぁ、適当に穴を掘って糸を垂らしておこう」ホリホリ

オタク「……俺から何かを教えることは立場的に難しい」ホリホリ

秀才「だろうね」

オタク「だが、秀才が調べてきた事が合っているか否かは正直に答えさせて貰う……それで良いか?」

秀才「十分さ」

オタク「じゃあ、聞かせてくれ。 秀才が調べた根暗のこと、そして火魔術家の真実を」

秀才「まず、根暗はホムンクルスだ。 作ったのは火魔術家……一応確認するが」

オタク「あぁ、合っている。 禁忌を犯して捕まった錬金術師に作らせた」

秀才「ホムンクルスを作ること自体禁忌なのだが……」ジト

オタク「……」

秀才「問題は火魔術家が何故そんな事をしてまで触手魔術師を保持したいかだ」

秀才「そんな疑問を抱えていた時、優等生と優男という人物と接触した」

オタク「優男!? 土の影武者が何故!?」




838: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:31:50.38 ID:Hs5gmfMbO

秀才「ん? やはり彼は本当の土の若じゃないんだな」

オタク「あぁ」

秀才「まぁ、その話は良い。 優等生は触手魔術という特殊な魔術の保護の為」

秀才「優男は第2の触手鬼を生み出はし、火魔術家だけの力で倒して権威を維持する為だと言った」

オタク「そんなこと」

秀才「火魔術家がそんな事を考えてないことは解っているさ」

秀才「根暗が暴走して、火魔術家がそれを止めても暴走させてしまった責任をとらされるだけだろうからね」

オタク「……じゃあ、保持の為というのが正解か?」

秀才「いや、違う」

秀才「火魔術家が力を求めていたことは事実だ」

オタク「……」

秀才「魔力過剰症の心臓は強力な魔武具を作るのに欠かせないだろうからね」

オタク「……生徒会長先輩について知った時には終わった後だった」

秀才「……そうか」




839: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:32:51.25 ID:Hs5gmfMbO

【とある森の中】
根暗「……はい! 二人とも攻撃して!!」スポン

巨大ワーム「ウギャアアアアア!!」

ボウズ「おぉ、こんな大きなモノが土の中に」

召使い「俺も初めて見たときは驚いた」

根暗「早く、攻撃して!!」グヌヌヌヌ

ボウズ「はい!」

召使い「ボウズ、なるべく傷付けずに倒すんだ」

ボウズ「傷付けずに……ですか?」

召使い「あぁ、原型を留めてないとワーム拓が取れないからな」

ボウズ「……ワーム拓?」

召使い「本当に気を付けろよ、失敗したら根暗が3日間口を聞いてくれなくなる」

ボウズ「それは、大変ですね」ハハッ

根暗「二人とも早く〜!!」


召使い「何とか釣れたな」

ボウズ「傷付けずに……難儀でしたが、良い鍛練になりました」

根暗「じゃあ、小屋まで戻ってワーム拓を……ん?」ピクッ

召使い「どうした根暗?」

根暗「何か……森が何時もと違うような」キョロキョロ

ボウズ「……ふむ」キョロキョロ

根暗「……僕は少し様子を見てくるから、二人はワームを運んどいて」

召使い「待て! ……行ってしまったか」

ボウズ「……」

召使い「二人で運べるか、これ?」

ボウズ「これもまた鍛練です」




840: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:34:04.61 ID:Hs5gmfMbO

【とある森の中・湖】
秀才「火魔術家は何故そこまでして力を求めているのか……優男の言う通り、権威を維持する為とも考えたが」

オタク「それは違う」

秀才「だろうね。 だったら、魔術技会でオタクが語ったことと矛盾している」

秀才「オタクはむしろ、四大元素家の権力を他の魔術家に分散させる事を望んでいるんだろ?」

オタク「……その通りだ」

秀才「火魔術家がその使命を果たすために……だよな?」

オタク「秀才、かまをかけてるのか?」

秀才「使命についても予想は出来ているさ」

オタク「ほう」

秀才「火魔術家が力を求めている理由は何らかの対象に対抗するためだ」

秀才「その、何らかの対象に対抗するために触手魔術家の力が必要だった」

オタク「……」

秀才「それは対象と触手魔術家が同じ次元の……同じ枠組みの存在だからだろ?」

オタク「同じ次元とは?」

秀才「その前に触手魔術とはそもそも何なのかを話そう」

秀才「触手魔術は触手を召喚させているわけでも無ければ、触手を急成長させて操っているわけでもない……ここまでは合ってるか?」

オタク「あぁ。 ならば触手魔術とは何だ?」

秀才「自身の魔力から生命体を産み出す魔術だ」

オタク「……」

秀才「そして、触媒を用いずに自身の魔力から生物を生成できる存在のことを何と呼ぶかも俺は知っている」

「―魔王」

秀才「火魔術家は魔王の性質を持つ対象に対処する為に、同じく魔王の性質を持つ触手魔術家を利用している」

秀才「これが火魔術家の真実だ!!」

オタク「Exactly……全て、その通りだ」ハァ

秀才「ここまで知られてるとは思ってなかったか?」ニヤニヤ

オタク「全く、四大元素家総出でかかっても秀才には敵わないかも知れないな」

秀才「ははは、冗談を」

オタク「いや、本気で言っている」




841: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:35:16.79 ID:Hs5gmfMbO

秀才「……オタク、そのことについても俺は解っているぞ?」

オタク「そのこと? ……何の話だ?」

秀才「ん? いや、惚けるなよ」

オタク「……?」

秀才「まさか……いや、嘘だろ? もうとっくの昔に気が付いて対処してるんだよな!?」

オタク「対処? 気が付く? ……秀才、何の話をしているんだ」

秀才「何の話って……四大元素家では無くなってるという話だ」

オタク「四大元素家では無くなってる?」

秀才「土魔術家はもう……滅んでいr」

「―話し過ぎ」ザシュ

秀才「……くっ」

オタク「秀才!?」

無口「……残念」チャキン

オタク「2-Cの無口!?」ボォオ

無口「土中泳魔術」チャプン

オタク「何!? 何処に行った?」

秀才「オタク、下だ!」

無口「……捕まえた」ガシッ

オタク「……くっ」

オタク(土の中に引きずり込まれた……)

無口「これで火の若は動けない」チャキン

秀才「あぁ、心置き無く俺を始末出来るわけだな」

無口「……秀才君、私は貴方が好き」

秀才「だったら、見逃してくれないかな?」

無口「無理、好きだからこそ殺したい」

秀才「そう、書き換えられたのかい?」

無口「……怖くないの?」

秀才「君は俺の敵じゃないからね」

無口「……敵じゃない?」

秀才「あぁ、敵じゃない」




842: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:36:31.89 ID:Hs5gmfMbO

秀才『なぁ、1つ質問があるんだが、本当に変格魔術k』

無口『その質問には答えられない』

秀才『……』

無口『……助けて』

秀才「君は俺が助ける」ニコ

無口「そう、でも、それでも……」ツー

「―さようなら」




843: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:38:33.09 ID:Hs5gmfMbO

学者「と、いう具合に君の人生は終わりを迎えるはずだった」

秀才「……無口さんが止まってる? オタクも!?」

学者「やぁ、魔術師君」

秀才「貴方がやったんですか?」

学者「何、教科書の嘘を全て暴いた景品のようなものだよ」

秀才「時間停止の魔術なんて実在するはずが……」

学者「あぁ、魔術では不可能だ。 故にこれは魔法である」

秀才「……何故、俺を生かすのですか?」

学者「魔法使いになり得る者は少ないと言うだけさ」

秀才「それって……」

学者「さぁ、修羅場が再開するぞ? 私が死の運命から逃がしてあげるのは1度だけだ」

パチン

無口「避けた?」

秀才「止めろ」

無口「今更、命乞いしても……っ!?」ギュッ

根暗「…………」ニョロン

秀才「止めてくれ、根暗……殺しちゃ駄目だ」

根暗「……解った」

オタク「根暗、俺を釣り上げてくれ」バタバタ




844: ◆Q6fo44/dLk 2016/11/15(火) 21:40:20.13 ID:Hs5gmfMbO

オタク「さて、とりあえず無口を捕らえたわけだが」

無口「……」

オタク「何故、秀才を襲った?」

無口「……」

オタク「黙りを決め込むでござるか? こうなったら触手で尋問でござる! 体に聞くでござるよ!!」デュフフフ

秀才「キモい」
根暗「キモい」
無口「……童貞臭い」

オタク「ぐ