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想像力もある惑星分析 AI 「RobERt」。山積みの観測データから生命が存在できそうな惑星を素早く仕分け - Engadget 日本版

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想像力もある惑星分析 AI 「RobERt」。山積みの観測データから生命が存在できそうな惑星を素早く仕分け

不完全データは想像力でカバーします

Munenori Taniguchi
13 時間前 in space
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英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の天文研究チームが、太陽系外惑星の観測データから数秒で生命が存在可能かを判断するAI「RobERt」を開発しました。

天文学者がはじめて太陽系以外の惑星を発見したのは1992年と以外に最近のこと。2009年にはケプラー宇宙望遠鏡が運用を開始し、これまでに数千個の太陽系外惑星が発見されています。

太陽系外惑星は、発見され始めた当初は恒星のごく近くを周回するホットジュピターと呼ばれるガス惑星の発見が多かったものの、観測技術の発達もあり最近では岩石質が主成分となる地球型のスーパーアースの発見も増加しています。

ただ惑星の発見速度は加速しても、それがどのような星で生命が存在可能かどうかを判断するのは人知による分析が必要、しかもこの作業には通常数日から数週間もの時間がかかります。
 
 
現在は分析待ちの惑星がどんどん増加する状態となっており、今後トランジット系外惑星探索衛星(TESS)やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が運用を開始すれば、さらにその数が飛躍的に増加していくと考えられます。こうした惑星分析の人手不足解消のために開発されたのが、RobERt (Robotic Exoplanet Recognition)です。

RobERtは惑星が反射する光を仕分けの判断材料とします。光はその惑星が持つ大気の成分によって吸収されるため、特定の波長のみが通過します。この波長を詳細に調べ、水やメタンの成分を選別することで、その惑星の生命存在可能性を判断するわけです。もちろん、大気の成分を詳細に調べることも可能です。

判定はRobERtが備えるニューラルネットワーク (DBN)が行います。DBNは3層構成となっており、最下層に500、中間層に200、最上段に50個のプロセッサー(ニューロン)を配置し、惑星のスペクトルデータから分子レベルでその成分を割り出します。しかも長くて数週間かかっていたこの作業をRobERtは数秒間でやってのけるとのこと。

DBNはこの分析作業を人間の脳と同じように試行錯誤の繰り返しによって学習していきます。UCLはこのニューラルネットワークを鍛え上げるため、地球によく似た水蒸気の大気層を持つスーパーアースGJ 1214 bからホットジュピターWASP-12まで5種類の惑星タイプを織り交ぜた8万5000もの惑星シミュレーションデータを用意。まさに特訓をさせました。その結果、RobERtはノイズやデータの欠落といった外乱を散りばめたデータを分析させても99.7%の正答率でガスの分析ができるまでに成長したとのことです。

UCLの研究チームリーダーIngo Waldmann氏は、RobERtが本格稼働すれば「運が良ければ生命が存在可能な、地球同様の小さな星も見つけられるだろう」としています。そして「RobERtで大量の惑星系を分析すれば、我々の住む太陽系の形成プロセスについての理解も深まるはずだ」としています。

ちなみにRobERtのニューラルネットワークには「想像力」もあります。Waldmann氏は「DBNはたとえ与えたデータが不完全でも、その全体的な特徴からそれがどのような星かを想像して返すことができる」としています。

なお、コンピューターを使って惑星データの分析を自動化する試みは他にもあり、2016年5月にはNASAが一挙に1000個を超える星を新たに太陽系外惑星に認定したと発表しています。ただこの例では惑星としての存在を確認するだけで、生命の存在可能性までは判定していません。

[Images : NASA]

NASA、1284個もの太陽系外惑星を新たに確認。ケプラー宇宙望遠鏡が発見した惑星候補の分析を自動化
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