水銀燈の右腕真紅の絆
- § 主な登場人形紹介
真紅
自分以外のドールをボウリングのピンのように並べた後、16ポンドのボールでストライクしたい第5ドール。
雛苺
バランスボールの上でお菓子を食べ続けたり、眠ったりできるという驚異の平衡感覚を持つ第6ドール。
翠星石
ローゼンメイデン0での活躍ぶりに気を良くしたのか、最近は慢心乙女な第3ドール。
蒼星石
ローゼンメイデン0での活躍に慢心してはいないが、人目につかない所ではニヤけている第4ドール。
水銀燈
流行に乗っかって作った水銀水があまりにも売れず、在庫を抱えて絶望している第1ドール。
金糸雀
酢豚が好き。
珪孔雀
忘年会デビューに向けて、恋ダンスしながらPPAPする練習に励んでいる第8ドール。
雪華綺晶
雪が降るとテンションが上がり、寝ている大ジュンを明朝だろうと叩き起こす第7ドール。
薔薇水晶
いつの間にか要注意外来ドールに指定されていた槐ドール。しかし本家メイデンより害悪度は低い。
- § 桜田ジュンの部屋
金糸雀「じゃじゃーん! 桜田家の元気な朝はカナのアンブッシュからかしら~!」ガラッ
雛苺「あやややや! 大変なのよジュン! 窓から不審者がエントリーなのぉ!」
ジュン「なにぃ!?」
雛苺「殺してぇ~! ジュン、この窓から不法侵入した黄色い野獣を殺してなのぉ~っ!」
金糸雀「ちょっ…!? 雛苺、落ち着いてかしら! アイアム金糸雀! ノー不審者かしら」
ジュン「何だ金糸雀か」
雛苺「うゆゆ? 本当に金糸雀なの?」
金糸雀「そうよ! 私は金糸雀! あなたのお姉ちゃん!」
雛苺「本当の本当に金糸雀?」
金糸雀「本当の本当に金糸雀かしら」
雛苺「怪しいの。証拠を見せてほしいよね」
金糸雀「証拠…?」
雛苺「本物の金糸雀ならコレができるはずなの! 水銀燈の人のモノマネ~!」
金糸雀「も、物真似ェ!? 水銀燈の!?」
雛苺「そうなの! 金糸雀お姉ちゃんだったらモノマネぐらい簡単なの!」
金糸雀「ううっ…! わ、分かったかしら! い、今やるから…! ンンッ、コホン…」
雛苺「わくわく」
ジュン「……」
金糸雀「だ…、ダメよぉ~、ダメダメェ~」くねくね
雛苺「……」
金糸雀「だ…、ダメよぉ~、ダメダメェ~」くねくね
ジュン「それ、日本エレキテル連合じゃないか…」
雛苺「みょわわーっ! こんなクッソお粗末なモノマネするなんて、本物の金糸雀ではないの!」
金糸雀「えっ!? いや、でも…!」
雛苺「偽物なのーっ! 金糸雀の偽物なのよ! 金糸雀のふりしてアリスゲームを乱す気なのね!」
金糸雀「ちょっ…!? ヒナ…!? アリスゲームはもう終わって…」
雛苺「殺してー! ジュン、一刻も早くこの金糸雀に化けた宇宙ニンジャ知的生命体を殺してー!」
ジュン「落ち着け雛苺。あいつは本物の金糸雀だ」
雛苺「うゆゆ…、モノマネがクッソお粗末だったのにぃ?」
ジュン「ああ、モノマネはクッソお粗末だったけどな」
金糸雀「クソクソ言い過ぎかしら…」
雛苺「うみゅみゅ…、金糸雀のせいでびっくり損なの。ヒナ、失禁スレスレだったの」ショワワ~
ジュン「漏れてる漏れてる」
雛苺「それで、金糸雀は何の用で来たの?」
金糸雀「ローゼン0新刊おめでとうの挨拶に来たのよ」
ジュン「それは真紅があんな状態になっているのを知ってのことでか…?」チラリ
真紅「う~、あぶぅ~…、あぶぶぶ~」ヨチヨチ
翠星石「ほーら、真紅ちゃんコッチですぅ~。そーれ、あんよが上手、あんよが上手」
真紅「あんまぁ~、おぶぅ~」パク
翠星石「あっ! コラ! そんなの口に入れちゃダメですぅ! それはホーリエです!」
真紅「だぁだぁ…」
金糸雀「あ、あれが真紅…!? どうして、こうなってしまったのかしら」
雛苺「新刊単行本1巻でのあまりの見せ場のなさに、真紅の精神はベイビーにまで退行したの」
金糸雀「それはまたご愁傷様としか言えないかしら…」
ジュン「確かに…。もう見てられないぐらいだが、暴れられるよりは全然マシだよ」
金糸雀「という事は真紅はこのまま放置…?」
ジュン「それも考えたが、流石に忍びなくてな。元に戻す方法を考えている」
雛苺「蒼星石がもうすぐ精神を落ち着かせる薬草を持ってきてくれるはずなの」
金糸雀「蒼星石が?」
翠星石「そうですぅ。状況を説明したら、すぐに蒼星石は『後は僕に任せろ』って…」
雛苺「すっごく頼りになるのよね、蒼星石お姉ちゃんは」
ジュン「無闇にアンブッシュしてきた金糸雀とは大違いだ」
金糸雀「ううぅ…。そ、それよりも真紅から目を離して大丈夫なのかしら翠星石」
翠星石「ああ、真紅ならお腹が膨れたからか、おねんねですぅ」
真紅「…( ˘ω˘)スヤァ」
金糸雀「えっ? お腹いっぱいって…、さっき口に入れてたホーリエ…?」
翠星石「じ、人工精霊だから、食われても平気ですよ…多分」
ジュン「ああ。真紅が正気に戻ればホーリエも復活だよ…きっと」
金糸雀「……」
蒼星石「やぁ、どうも僕です」ヌッ
翠星石「おおっ! 噂をすれば蒼星石のご帰還ですよぉ!」
水銀燈「真紅ゥ~? 何か無様な事になってるって聞いたから見に来たわよぉ~?」ヌッ
雛苺「あびゃぁ~!? 水銀燈の人まで一緒に帰ってきたのーっ!!」ジョビジョバー
ジュン「おいおい蒼星石? お前、水銀燈に真紅の事を喋ったのか」
蒼星石「いやぁ~、ちょうどそこでばったり会っちゃってね。僕、隠し事とか嫌いだからさ」
金糸雀「……」
水銀燈「ほらほらぁ、真紅どこなのぉ? 不細工な面で泣きはらしているんでしょぉ」
翠星石「水銀燈、騒ぐなです。真紅ちゃんはさっきおねんねしたばかりなんですよ、ホラ!」
水銀燈「ん?」
真紅「…( ˘ω˘)スヤァ」
水銀燈「あ~らぁ、なんて不細工な寝顔。それじゃあ、鼻の穴に親指を突っ込んであげましょうか」
金糸雀「それじゃあ…、の意味が分からないかしら水銀燈お姉ちゃん」
翠星石「あっ、迂闊に真紅の顔に指を近づけると危ないですよ?」
水銀燈「はあ? 何が危ないって…?」
真紅「…( ˘ω˘)チュパッ」
水銀燈「ちょっ!? なっ! 真紅、あんた勝手に私の指に吸い付いて!?」
真紅「( ˘ω˘)チュパチュパチュパァッ!」
水銀燈「やだ! 何、この子すごい吸い付き!? まるでダイソン!!」
雛苺「ベイビー真紅は顔の近くに来たものに何でも吸い付くの」
翠星石「その吸引力は今、水銀燈が体験している通り。ホーリエも逃れられぬドレインです」
ジュン「でもまあ、これで水銀燈の爪の垢でも飲めれば少しは見せ場が増えるかも…」
金糸雀「どう見ても、爪の垢を飲むってレベルじゃあないかしら、あれは」
真紅「( ˘ω˘)シュゴォオオッ!」
水銀燈「や、やばい! これはやばいって、何かもう右手の…手首まで飲まれてるんだけど!」
蒼星石「何か本当にやばそうだ。水銀燈を助けなくては!」
翠星石「駄目です蒼星石! 行っては危険ですぅ」
蒼星石「しかし!」
翠星石「水銀燈はもう、助からないのですぅ…」
真紅「( ˘ω˘)シュゴォオオッ!」
水銀燈「離しなさい! 吐き出しなさいって! 真紅、アンタいい加減にしないと…!」
真紅「( ˘ω˘)ギュゴォオオッ!」
水銀燈「離せって言ってんでしょうが。ぶつわよ!」バキッ
翠星石「いくら殴っても無駄ですよ。一度食らいついた真紅は首だけになってもそのままです」
真紅「( ˘ω˘)ギュゴォオオッ!」
水銀燈「まずい! 離れるどころか、もう肘まで飲み込まれてる!? こ、このままでは…」
真紅「( ˘ω˘)モゴゴォオオッ!」
水銀燈「やるしかない…! アレをやるしかない! スライスチョォーーーーップ!!」ずばぁ
雛苺「ああっ!? 水銀燈の人が自らの右腕をチョップで切り落としたのーっ!」
金糸雀「流石は水銀燈、良い判断かしら」
ジュン「躊躇せずに自らの腕を捨てるとはな」
真紅「…( ˘ω˘)スヤァ」
蒼星石「真紅は水銀燈の右腕を飲み込んで、なおまだ眠ったままか」
翠星石「まさか真紅に吸いこまれかけながら生還するとは、長女の貫禄は伊達ではないですね」
水銀燈「ハァーハァー…。み、右腕を捨てていなければ全身もっていかれてた…」
金糸雀「ま、またまたぁ! それはちょっと言いすぎかしら水銀燈」
ジュン「いや、大袈裟じゃあないな」
雛苺「今朝、金糸雀が来る前にたまたまやって来た雪華綺晶は全身吸い込まれたのよね真紅に」
金糸雀「えぇーっ!? 雪華綺晶が!? 全部、真紅の中に!?」
翠星石「いやぁ~…。びっくりですよねぇ、ベイビーの食欲は」
水銀燈「蒼星石! 早く真紅を元の不細工ドールに直しなさい!」
蒼星石「う、うん。任せて! この薬草を使えば、真紅も元通りさ…多分」
金糸雀「で、それは何ていう薬草なのかしら蒼星石?」
蒼星石「や、薬草は薬草だよ…」
ジュン「歯切れ悪いな。いつもは、これでもかって解説入れるくせに」
翠星石「ですぅ。その薬草の名前も言わないなんて変ですよ、変」
蒼星石「いやいやいや変じゃあないよ。本当に変じゃあない。ただ、これはね…名前を言っちゃうとアレだから」
金糸雀「え? まさか怪しい謎の葉っぱ的なアレなのかしら」
ジュン「マジでか!? 蒼星石! それはダメだぞ! 今、本当そういうのアレでダメなんだからな!」
水銀燈「そうよぉ、ダメよ~ダメダメぇ」
金糸雀「ッ!?」
水銀燈「ん? 何? 金糸雀? 富士山みたいに三角な口しちゃって?」
金糸雀「な、何でもないかしら」
蒼星石「ちょっとみんなそんな騒がないでよ~! これ大丈夫な草だってぇー! 違法じゃないってば」
ジュン「じゃあ、ちゃんと説明してくれよ」
雛苺「うぃ、説明プリーズなのね」
蒼星石「しょうがないなぁ。これはマンダリン草っていう草なんだ」
雛苺「マンダリンそう…?」
水銀燈「立派な名前じゃあないの。何で説明をためらってたのよ」
ジュン「でも、どっかで聞いたような名前だぞ。マンダリン草…」
金糸雀「カナも聞いたことあるかしら。確かマンダリン草って…」
蒼星石「そう、ご存知の通り。古代にマンモスに食べつくされて絶滅したのをメフィラス星人が復活させた草だ」
翠星石「いやいや、ご存知じゃねーですってば。特にマンモスのくだり」
蒼星石「毒にも薬にもなる扱いの難しい草だが、これでなら真紅もばっちり復活さ」
雛苺「うゆゆ…。確かに危険かもしれないけど、何で蒼星石は説明を渋っていたのかの方が気になるの」
蒼星石「いやぁ、だってイメージ悪いじゃない。メフィラス星人2代目だよ? このマンダリン草の活用者」
金糸雀「え? そうなのかしら? 2代目こそ真に紳士で知略的な名悪役だったはずじゃあ…」
ジュン「メフィラス談義はいいから、早く真紅にその草を!」
蒼星石「説明しろって言いだしたのはジュン君の方なのに…」
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- :-:2016/11/27(日) 23:20:23
- なんかタイトルで重い話なのかと思ったらこれですよ
ジュンの左手真紅の右手の感動はいずこに
- :-:2016/11/27(日) 23:29:16
- 千と千尋かな?