日本時間の12月4日早朝に米国で開催されたイベントPlayStation Experience (PSX) 2016で、ソニーが反重力レースゲーム WipEout シリーズの新作『WipEout Omega Collection』を公開しました。
ワイプアウトといえば今は亡き英シグノシスが、1990年代に初代プレイステーションやセガサターン、PCで発売したレースゲーム。当時の新技術3Dポリゴン描画を存分に活かしたグラフィックと、F-ZERO や マリオカートにインスパイアされたゲーム性の作品でした。
技術とゲーム性で優れていたことに加え、デザインスタジオのデザイナーズ・リパブリックが担当したクールでスタイリッシュなアートワークと、絶妙にマッチしたエレクトロニカ楽曲も評判を呼び、以降もプラットフォームを変えつつ9作品がリリースされています。
開発元のシグノシス社が2001年にソニー・コンピュータエンタテインメント傘下のスタジオリバプールとなってからはPSプラットフォームの独占シリーズとして定期的に作られていましたが、2012年にPS Vita向け作品 wipEout 2048 を発売して以来、新作が途絶えていました。
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開発元のスタジオリバプールが2012年に閉鎖され、進行中プロジェクトも中止となってしまったことから一時はシリーズ断絶かと思われましたが、今回の『オメガコレクション』でリマスターとはいえ新タイトルが登場することになります。
ソニーによれば、新作 WipEout Omega Collectionは
・PS3版のWipEout HD、追加コンテンツのWipEout HD Fury、PS Vita の WipEout 2048をリマスター
・ゲームモードはFury や 2048で新設されたモードも含む9種類、コースは26以上、機体は46種類
・8人までのオンライン対戦に加え、画面分割のローカルマルチ対応
・4K&HDR対応。ターゲット60fps。
・音楽は旧作の曲のほか、新しい人気アーティストの楽曲含む新録
・開発はSony XDev Europe(外部スタジオのサポート担当)、Clever Beans (PSP版wipEout Pureなどを手掛けたインディーズ)、EPOS Game Studios
・発売は2017年夏
国内では特に初代PSの第一作と二作目が人気でしたが、今回発表されたオメガコレクションはPS3とPS Vitaの直近3作品のリマスター版。無印ワイプアウトやXLのリメイクではありません。
また3作品のリマスターとはいうものの、事実上は2作品+追加コンテンツパック。PS3のワイプアウトHD自体、名前が示すように過去作から取り込んだ要素の多いリマスターのような作品でした。
PS4向け完全新作でないのは残念ですが、ワイプアウトは一作目にしてゲームの基本と世界観が完成されていたため、機体や武器やモードを追加変更しつつ、内容は全部おかわりのリマスターのようなもの。
むしろゲーム性は変えないまま、プラットフォームごとの最新技術を楽しむシリーズという位置づけです。ワイプアウトHDがPS3世代には数少ない「本物の」 1080p 60fps ゲームだったように(※)、オメガコレクションもPS4 Pro のグラフィック性能を堪能できる作品になってほしいものです。
VRモードも期待したいところですが、視点を相当に工夫しないかぎり、超高速で飛びすぎてゆく周辺視野と浮遊感、忙しない動きで、ゲームというよりVR酔い耐性テストになるかもしれません。
※実際には負荷に応じて解像度可変。
The crowd goes wild! Wipeout Omega Collection is coming to PS4, includes three classic games. #PSX16 pic.twitter.com/73oYTsjf3y
— PlayStation (@PlayStation) 2016年12月3日
訂正: 当初、発売時期を誤って「来春」としていましたが、開発元 Clever Beansによると2017年夏とのこと。お詫びして訂正いたします。