みなさんはEmerson, Lake & Palmer(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)通称ELPというバンドをご存知だろうか。「キース・エマーソン」「グレッグ・レイク」「カール・パーマー」の3人により、1970年に結成されたイギリスのプログレッシブ・ロックバンドである。

 

それぞれが既に有名なバンドに在籍(グレッグ・レイクはELP以前はキング・クリムゾンに在籍)、超絶テクニシャンの3人が集まり結成したスーパーバンドだ。

 

 

プログレッシブ・ロック(プログレ)とは

1960年代後半のイギリスに現れた、実験的・前衛的なロック。シンセサイザーの導入や、クラシックやジャズとの融合、長尺の曲やインストゥルメンタルの曲など、それまでのロックとは一線を画した進歩的な音楽として流行した。キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、今回ご紹介するELPなどが代表的なバンドである。

 

 

 

私は、中学時代に『大槻ケンヂのオールナイトニッポン』のエンディング曲として、名曲LUCKY MANに出会って以来のELPファンである。

 

 

青春時代をプログレッシヴ・ロックという薄暗くて面倒くさい音楽とともに過ごした私にとっては、思い出深いバンドなのだが、そんなELPのメンバーであるグレッグ・レイクの訃報が飛び込んできたのが昨日のこと。死因はがん、享年69歳。

 

 

 

 

今年の3月にはキース・エマーソンが自殺しており、私の愛したエマーソン・レイク・アンド・パーマーは、もうパーマーしかこの世に残っていない(ややこしくなるから書かないけどパウエルも既に亡くなっている)

 

 

というわけで今回は、偉大なるバンド・ELPのおすすめアルバム5選をご紹介したいと思う。なお、+αとして、メンバーが関わったELP以外のアルバムもちょこっとご紹介するつもりである。

※ちなみにほとんどが試聴可能なのでぜひ聴いてみてほしい

 

 

これ聴いとけば大丈夫! ELPおすすめアルバム5選+α

 

1.|Emerson, Lake & Palmer(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)

 

個人的に一番好きなアルバム。THE BARBARIANの暴力的なピアノ、THE THREE FATESの複雑な構成からTANKの超絶ドラムテク、そして一転、しっとり聴かせるLUCKY MANという流れが素晴らしい。ELPといえばシンセサイザーのイメージだが、このデビューアルバムではシンセは一部でしか使われておらず、オルガンやピアノを導入した「ちょっと変わったロック」という風情で、入りやすいのでは。

 

 

2.|Tarkus(タルカス)

 

ジャケがかっこいい(ちなみにこのアルマジロ戦車の名前が「タルカス」)。表題曲であるTARKUSは、20分を超える壮大な組曲。くたびれたピアノロックJEREMY BENDERも、疲れた時に聴きたくなる名曲。

 

 

3.|Brain Salad Surgery(恐怖の頭脳改革)

 

ジャケがかっこいい(H・R・ギーガーが描いてる)。なお、ギーガーの個展で、このアルバムに使用した原画が盗難に遭い、現在も発見者に懸賞金が提示されているそう。おすすめ曲はTOCCATA。この不穏な空気がまさにプログレだと思う。

 

 

4.|Pictures at an Exhibition(展覧会の絵)

 

ムソルグスキーが作曲した同名のピアノ組曲「展覧会の絵」をロック調にアレンジしたもの。を、ライブ録音したアルバム。ELPは3人ともが超絶テクニシャンとして有名なのだが、ライブでこの演奏ができるって本当に神がかってる。こういう、アートをロックの文脈で噛み砕く、みたいなのが当時は進歩的だったのである。

 

 

5.|Trilogy(トリロジー)

 

6曲目HOEDOWNはELPの代表曲のひとつ。他にもズシンと重いピアノ曲FUGUEや、ラストのABADDON’S BOLEROも壮大なマヌケ(褒め言葉)という趣でかっこいいのだが、アルバムジャケットがダサすぎるという理由であまり名盤扱いされていないような気がする。

 

 

+α|Keith Emerson at the Movies/キース・エマーソン

 

キース・エマーソンは映画音楽の分野でも活躍している。このアルバムでは映画ごとに曲が並べられていてわかりやすい。特にDisc3には日本の劇場アニメ「幻魔大戦」(もちろん名曲Challenge of the Psionic Fighter/地球を護る者や、Children of the Light/光の戦士も収録)、さらに「ゴジラ FINAL WARS」Godzilla Theme/ゴジラのテーマも)が収録されている。日本人にも彼のファンは多かったのだ。ちなみに小室哲哉も、キース・エマーソンを尊敬していると公言し、対談まで行っている。

 

 

+α|クリムゾン・キングの宮殿/キング・クリムゾン

※Amazonにはキング・クリムゾンのデジタル版がないため、これだけCDです(iTunes Storeにはあります)

 

グレッグ・レイクはELP以前はキング・クリムゾンに在籍しており、この歴史的名盤ではベースとボーカルを担当している。ちなみに名曲、「21世紀の精神異常者」は、不謹慎という風潮があったのかどうか知らないが、現在では「21世紀のスキッツォイド・マン」というワケわからんタイトルに変えられている。

 

 


 

69歳で幕を閉じた天才、グレッグ・レイク。

今回は彼が在籍したスーパーバンド「エマーソン・レイク・アンド・パーマー」のおすすめアルバム+αをお届けしたわけだが、いかがだったろうか。今なお色褪せない“進歩的な”ロックの風を感じていただけたなら幸いである。

 

 

(おわり)

 

グレッグ・レイク、キース・エマーソン、両氏のご冥福を心よりお祈りします。