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海外流出よりも深刻!? レトロゲーム消滅問題について
 

海外流出よりも深刻!? レトロゲーム消滅問題について


<物体が残っているだけマシ>

 サービス終了したら遊べなくなるゲームについて議論が巻き起こっている。

今時の作り手に向けた「サービス終了したら遊べなくなるゲームしか作ってないと心が折れる」との言葉が重い (togetter)

 これはあくまでも作り手側の話ということだが、受け手にとっても大いに思うところはある。それどころかゲームコレクターの間では「レトロゲーム消滅問題」として10年以上前から危惧されてきたことだ。

 たとえばスーパーファミコンの『サテラビュー』、NINTENDO64 の『64DD(ランドネット)』といったネットワークを介したコンテンツは昔からあったが、現在はサービスが終了したことにより接続できない状態となっている。
 ゲームではないが、ファミコンにも株取引や馬券購入などで利用された「ファミコン通信」というネットワークがあった。

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 ※こちらはオロチ所有の「ファミコン通信」専用の各種カートリッジ。

 ただ、これらはまだカートリッジやパッケージといった“物体”が残っているだけマシなのかもしれない。起動させればスタート画面ぐらいは出てくる。しかし、ガラケーやスマホのゲームは元々データのみであるため、サービスが終了してしまえば受け手側には何も残らないのだ。
 家庭用ゲーム機とて例外ではない。これからはダウンロード専用ソフトが主流になっていくだろう。そうなれば将来的には、物体としてのゲームそのものが存在しない未来だって、十分あり得るのだ。



<レトロゲーム物語の大終焉>

 当然、それに伴ってレトロゲーム収集という趣味も成立しなくなってしまうだろう。我々が疑いもしなかった「すべての家庭用ゲームは時が経てば自動的にレトロゲームになる」という物語は、もはや大終焉(グランド・フィナーレ)を迎えようとしていると言っても過言ではない。

 2013年にアップされたこちらの記事でも以下のように語られている。

 レトロゲーム収集につきまとう2つの不安~懐古趣味と電子配信 (ゲームレガシー)
 

 これからの時代、ゲームはいよいよ物体としての形を失うかもしれません。本も音楽も、物理メディアは当分有効でしょう。とりわけ熱心な愛好者に向けたものはそうです。(中略)
 映画の場合、パッケージ販売はいずれネット配信に取って代わられるでしょう。もともと劇場で観るのが本来の姿とされているだけに、パッケージ販売に対する思い入れは他のジャンルに比べればさほどでもありません。それでも、劇場公開という制度はゆるぎない存在になっています。



 たしかにゲームは、あらゆる物理メディアの中で一番、この問題に直面しているであろう。物理メディアではないインターネット上のホームページですら、WEBアーカイブによって残されているというのに……

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 ※たとえばこちらは私オロチのホームページ1999年頃の様子。(WEBアーカイブ
 
 そして記事では以下のように締めくくっている。

 これからの子供たちにとって、ビデオゲームとはスマートフォンで数十円払って入手するアプリか、それとも基本無料を主張するソーシャルゲームだけになる恐れもあります。そうなれば、ゲーム機やパッケージとしてのゲームソフトは、その役割を終えることになるのでしょう。



 残念ながら我々がどうあがいたって、この流れを止めることはできないのだ。



<保存活動と理解>

 流れが止められないのなら、今あるものだけでも残していこう。一方でそんな運動も起こっている。

 そもそも「レトロゲーム消滅問題」の発端はアーケードゲームだった。何かと注目されがちな家庭用ゲームよりも、むしろアーケードゲームのほうが事態は深刻である。なぜならアーケードゲームはあくまでも業務用機器であり、不要になったら破棄されるのが当たり前だったからだ。熱心なファンから「なんで社内に残しておこないんだ」と批判されることがあるそうだが、利益にならなければ容赦ない選択をするのがビジネスというものだ。また、家庭用ゲームほどコレクターがいないのも大きいだろう。

 しかし、そんな現状を何とかしようと活動している団体もある。

 ゲーム保存協会は2011年に設立されたNPOである。活動内容は以下ホームページから引用。

 私たちゲーム保存協会では、アーケード基板、レトロPC、コンシューマーとその関連アイテム、雑誌、書籍、チラシなど、ゲーム文化に関連するものすべてを、ゲーム文化財ないしゲーム資料として扱っております。資料年代については、80年代を中心に、それ以前、それ以降、余力がある限りより多くのものを未来に残せるよう努めています。


 最近では、NHKオンデマンドのドキュメンタリー番組にもなり、注目を集めている。

 大学規模では日本で唯一のゲーム研究機関である、立命館大学ゲーム研究センターも(こちらは家庭用ゲームが中心のようだが)古くから同様の活動をしている。過去には、寄付の募集について炎上騒動を起こしてしまったこともあったが、あれから3年、果たしてゲームの研究及び保存活動に対する理解は進んでいるのだろうか……



<高騰化と廃棄問題>

 ここ数年、レトロゲームの高騰化が甚だしい。これには様々な要因が考えられるが、一部マニアのたしなみだったレトロゲームが、一般層にも認識されたと同時に、弾数が減ってきたという事情もあるだろう。また、日本のレトロゲームが世界的に評価されるようになった結果、世界的な争奪合戦が起こっているのも要因のひとつだと考えられる。

 いずれにしても、価値が高まっていることは確かであり、その傾向をポジティブに捉えるなら、価値が高まった分「大切にしていこう」という動きも広がっていくことを願いたい。

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とある無料回収所がレトロゲーム機の山だった!(2012/04/18)

 弾数が減ってきた原因としては廃棄問題もある。レトロゲームが高騰化する一方で、たとえばいまだにゴミ捨て場にいくとファミコンが捨ててあったなんて話もよく聞く。いや、よく聞くどころか、当方もたまたま寄った無料廃品回収場で大量のレトロゲーム機を見つけたことがあった。

 できれば、こんなところで出会いたくなかったが、まだまだ問題が山積しているのが現実だ。まるで打ち捨てられたレトロゲーム機の山のように……


 いずれにしても、新たなレトロゲーム(なんだか変な言い回しではあるが)が生まれないという意味で、レトロゲームが消滅する日も近い。私はせめて、今あるものだけでも大切にしていきたいと思うのである。
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