RSS速報
人類は千年も昔からお酒を飲み続けてきた。一部の人類学者たちは、酒は狩猟から農耕に生活様式がシフトした原因のひとつであると考えている。
お酒は社会における潤滑剤、薬、または政治的手段などさまざまな目的に使われ続けている。タバコや薬物の規制が進んでも、お酒がいまだ容認されているのは、そういった一面があるのかもしれない。
スポンサードリンク
10. 世界最古の酒は紀元前7000年前の中国
最近、中国で考古学者が世界最古の酒の痕跡を発見した。壊れた陶器の化学分析をしたところ、中国人は紀元前7000年には酒を飲んでいたことがわかった。
その酒は米、ハチミツ、フルーツを醸造したものであることも判明した。このjihuaが入っていた陶器には、酒石酸塩の痕跡があった。
石酸塩はブドウやサンザシと同じ分類の化学成分。ハチミツ、ブドウ、サンザシを砂糖や酵母とあわせて発酵させ、醸造したのだろう。jihuaは中国で発見された最古の陶器の中に入っていたため、酒の醸造の伝統はさらに古くからあったものと思われる。しかし、もし古代の酒が革や木の容器に入っていたなら、現代まで残っていなかっただろう。
9. 5000年前のスコルピオン王のワイン
ァラオであるスコルピオン一世の墓の底から、エジプト最古のワインが発見された。この5000年前の酒には、生薬が煎じてあり、樹脂、コリアンダーやセージ、ミントなどのハーブも含まれていることがわかった。
さらに風味をつけるためにいくつかの添加物も入れられていたが、その多くは治療のためのものだった。
アルコールは植物のアルカロイドを分解し、生薬にとってのスムーズな運搬システムを可能にする。紀元前1850年のパピルスから、エジプトの医療カクテルの存在については知られていたが、見つかったワインはそれよりさらに1000年以上さかのぼるものだという。
スコルピオン王のワインはとても古く、エジプトにブドウ園が現われるずっと前のものだ。ワインは、ヨルダン川の谷から輸入されていたのだ。医療用カクテル技術は、エジプト固有のものではなく、古代中国にも治療用の醸造が行われていた証拠がある。
8. 古代の抗菌ビール(アフリカ)
考古学者たちが、アフリカの古代ヌビア人の骨を調べていたところ、驚くべき発見があった。遺骨から抗生物質の一種であるテトラサイクリンが検出されたのだ。どうやらヌビア人はビールを飲むことでこの古代の抗生物質を摂取していたらしい。
研究者たちは、穀物がテトラサイクリンが生み出す真正細菌ストレプトマイセスに汚染されたという仮説をたてた。
古代ヌビア人は泥の容器で醸造した穀物を保管していたが、このストレプトマイセスは乾燥した気候では、土壌中のいたるところにいるバクテリアなのだ。
検査した遺体の90%以上から、テトラサイクリンが検出された。まだ2歳の幼児まで、体の中にこの抗生物質があった。
古代ヌビア人はエジプトの南(現在のスーダン)のナイル川のほとりに住んでいたが、北の隣人から医療用醸造の伝統を受け継いだようだ。古代ヌビア人の遺体には感染の痕跡がないため、テトラサイクリンビールが骨の病気を防いだのかもしれない。
7. インカ前の時代の宴会
2004年、シカゴのフィールド博物館の研究チームが、ペルーの高地で古代の醸造所を発見した。インカ前に存在したワリ文化では、1000年以上前にチチャ(chica)というトウモロコシビールを大規模に醸造していた。
15ガロン(56.7リットル)の製造樽が現場から複数見つかったことから、一日に数千リットルのチチャを生産できたのではないかと思われる。
この醸造施設は、セロ・バウルの発掘の最中に見つかった。海抜3200メートル近くの場所に一時は2000人の人が住んでいた。チチャを飲むことは、ワリの政治的手段の一環だったのではないかと専門家は考えている。
広大な帝国のあちこちから高官たちがセロ・バウルに招かれ、盛大な宴会に参加したのではないか。共通の言語がなくても、チチャがさまざまな文化を結びつける強力な手段になったのかもしれない。
6. ティオティワカンの高栄養飲料
ティオティワカンの古代の陶器の破片から、乳白色のアルコール飲料の痕跡が発見された。この飲み物が、先史時代最大の定住地のひとつであるこの地域の住民に、必要なビタミンやミネラルを提供していたのではないかと研究者は考えている。
古代メキシコでは、食糧不足が頻繁に起こっていた。ティオティワカンの壁画には、人々がリュウゼツランの樹液から抽出したプルケという乳白色のアルコールを飲む絵が描かれている。テキーラもリュウゼツランから作るが、プルケと違って、この植物の芯の部分を炙って作る。
周囲8平方マイル、住民10万人のティオティワカンは、コロンブス前のアメリカ最大の町だった。トウモロコシは住民にとって、欠かせない作物だったが、地下水の量が限られていたり、降雨量が少なかったりすると、出来が悪くなるときがある。
しかも、トウモロコシは重要な栄養素の割合が低い。リュウゼツランのほうがトウモロコシよりも干ばつや寒さに強いこともあり、プルケが鉄分やカルシウム、ビタミンB、はては共生細菌(体にいいバクテリア)まで住民に提供することができたのだろう。
5. ザグロス山脈エール
1992年、イラン、ザグロス山脈にあるシュメール人の交易所ゴディン・テペの発掘で、紀元前3500年のビールが発見された。
シュウ酸カルシウムが存在していたことから、大麦のビールが醸造されていたことがわかる。近くに大麦が入った容器も見つかっている。大量の保存壺からは、ゴディン・テペがかつて交易で栄えた町で、のちにシルクロードになったルートの前哨基地だったことがうかがえる。
シュメール人は、交易と灌漑農業で財力を蓄え、複合文字社会を発達させた最初の人たちだった。ビールは彼らのお気に入りの飲み物だった。シュメール人のアートには、ビールが入った大きな鉢のまわりに集まって、長いストローで飲んでいる場面が描かれていることが多い。シュメールの遺跡では、ビールを表わす絵文字がよく見られる。
4. ヨーロッパ最古のワイン
2013年、ギリシャでヨーロッパ最古の酒が発掘された。6200年前のワインの残滓が、ディキリ・タッシュの先史時代の居住跡にあった陶器から発見されたのだ。
容器の分析から、発酵の副産物である酒石酸が検出された。これまで知られている最古のワインは、アルメニアから発掘された6100年前のものだ。
ディキリ・タッシュの住民については、ほとんど知られていないが、最新の発掘で初めて、考古学者は居住区の最深部にまで調査の手を伸ばすことができた。この先史時代の社会を作るのに酒がどのような重要な役割を果たしたのか、今はまだはっきりわかっていないが、古代のワインの残滓を発見した同じチームが、古代にワインが作られていた証拠も発見したことになるのかもしれない。
紀元前4500年の新石器時代の住居の発掘で、皮のついた炭化したブドウの種が見つかった。これはブドウが搾られていた確かな証拠だ。
3. スカンディナビアのスピリッツ
最近、3500年前のスカンディナビアの女性の遺体が発掘された。彼女はブロンズのアルコール濾過器をしっかりと握って埋葬されていた。化学分析をしてみると、大麦、ハチミツ、クランベリー、ハーブからできた古代のビールだとわかった。
ワインは南から輸入されていた。以前に古代スカンディナビアの飲み物の容器を調べたときは、花粉があったことから彼らがハチミツをベースにしたミード酒を飲んでいたことがうかがえた。しかし、最近までその成分についてははっきりわかっていなかった。
この発見で、研究者たちはすぐに昔の発見を最新のテクノロジーで分析した。すると、戦士の墓から発掘された壺から、最古のアルコールの痕跡が出てきた。この壺にはハチミツの名残しかなかので、これはかつて混じりけのないミード酒が入っていたことを示している。
1920年代に、古代の女司祭のミイラが発見され、エクトヴィズガールと名づけられた。彼女の足元にはグロッグ(リキュール)の壺が置いてあった。南ヨーロッパからもたらされたワイン道具は、女性の墓からしか見つかっていない。つまり、これは北欧の女性は醸造を任されていたことを示しているという。
2. 鉄器時代のビール
古代シュヴァーベンの墓地で、2500年前の酒の残りが入ったブロンズの大釜が発見された。14リットル入るこの大釜は、黄泉の国で飲むための飲み物用とされた。
考古学者たちは、この釜は死者が神の前で自分の身をたてるために使われたのではないかと考えた。分析の結果、鉄器時代のビールには、大麦、酵母、ハチミツ、シモツケソウ、ミントが含まれていたことがわかった。
釜のそばには遺体は見つかっていないが、研究者たちは酸性土壌が有機物を分解してしまったとしている。鉄の剣、鉄の兜、2本の鉄の槍といった副葬品は、墓がかなり名のある兵士のものであることを示している。この古代ビールの調査は、ミルウォーキーのレイクフロント・ブリュワリーで継続していて、醸造マイスターがレシピを再現するのに協力している。
結局、約8パーセントのアルコール分が含まれていて、辛口のポートワインに似ていることがわかったが、残念ながら、市販できる味にはならなかった。
1. カナン人のワインセラー
中東でもっとも古いワインセラーは、現在のイスラエルにある。その貯蔵施設には、40の巨大な陶器の壺があって、大量の酒が保存されていた。
この施設は16フィート(4.8メートル)×26フィート(7.9メートル)の広さがあり、500ガロンのワインを貯蔵する
ことができた。研究者によると、この古代のワインは現代のワインとは似てもにつかないという。樹脂やミント、ギンバイカ、ビャクシンなどのハーブで味つけされていて、その配合は、ギリシャのレツィーナというワインに咳止めシロップを加えたものに似ているらしい。
この古代のワインセラーは、イスラエル北部のテル・カブリで発見された。紀元前1700年にさかのぼる広大な宮殿は、かつてイスラエルやレバノンを支配していたカナン人によって占領された。古代の文献からは、スパイシーなハーブワインがあったことがうかがえるが、今まで実物が発見されたことはなかった。
紀元前1600年頃の巨大地震のせいで、テル・カブリが壊滅状態になり、このワインセラーも押しつぶされて1000年の間、地中に埋もれていたのだ。
via:Top 10 Ancient Alcohols/ translated konohazuku / edited by parumo
▼あわせて読みたい
日本伝統の酒造りをアメリカ人の視点で撮影したドキュメント映像「The Birth of Sake (酒の誕生)」ムービートレーラー
おいしいお酒と猫、これ以上何を望めと?15匹の猫がゆる〜く出迎えてくれる英国のパブ「Bag O'Nails」
お酒なのに体にやさしいだと?世界初、肝臓とDNAに優しい機能性ウォッカが誕生
禁酒がもたらす健康効果:お酒をやめて30日間で起きる9つのこと
お酒を飲んだとき、体の中で何が起きている?【健康】
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「歴史・文化」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 3792 points | フランスの農夫たちが脱いだ!ことさらきわどい2017年ファーマーカレンダー | |
2位 2202 points | 地球の地下1,000キロメートルに巨大な海を発見。干上がった場合、生命が絶滅する恐れがある(英米研究) | |
3位 1738 points | 養護老人ホームの高齢者たちがぼっちになった子猫たちを育てるプロジェクトが発足。 | |
4位 1685 points | 帽子をかぶったコーギーがあまりにもかわいかったので、コラ職人頑張る | |
5位 1542 points | スケートボードをしている男性にすがるような目で近づいてきた子猫、足首をギュっと掴んで離れない。そして一年後・・・ |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
飲まれてんなー人類
2. 匿名処理班
口噛み酒は・・・
3. 匿名処理班
古今東西、酒好きは尽きんのう
4. 匿名処理班
酒が呑める呑めるぞ、酒が呑めるぞ。
5. 匿名処理班
酒と犬は人類の友ですなあ
6. 匿名処理班
縄文時代にも果実酒はあったからな
狩猟採集生活である縄文文化にも
7. 匿名処理班
お互いに接点が無くてもお酒が自然にうまれてくるのって面白い!
関係ないけど蜂蜜酒って響きがすごく好き
8. 匿名処理班
程よく飲めばいい気分になれるからな
9. 匿名処理班
ミント・ジュレップみたいにケンタッキー・ダービー
開催日に飲むカクテルとかトムアンドジェリーのように
アメリカ南部ホットドリンクなど笑いと泣きの数々である
カクテルの世界もなかなか面白いぞ
10. 匿名処理班
狩猟から農耕へと変わった理由が酒である仮説を詳しく、、
狩猟民族は、酒に弱かったというのかねぇ。
11. 匿名処理班
口噛み酒・・・はやっぱりすぐに出てるかw
多分、我々は猿の時代から発酵した植物を食べて酔っ払っていたんじゃないかな?
人間のアルコールへの執着の歴史を見てるとそうとしか思えない。
12. 匿名処理班
>>人類は千年も昔からお酒を飲み続けてきた。
ここは数千年って表記のがしっくりきるかな。
13. 匿名処理班
酒や音楽がどの文明でも発達したのは本当不思議
14. 匿名処理班
酒飲み程、人類に害をなす
15. 匿名処理班
チカじゃなくてチチャ
16. 匿名処理班
口噛み酒は鹿児島の一地方で飲まれてた記録のある酒であって、日本全域で飲まれてた訳じゃないよ。
その製法のインパクトから勘違いされてるけど。
17. 匿名処理班
なお、日本も縄文中期には果実を醸した酒を飲んでいた模様
そして3番の「スピリッツ」ですが、これは蒸留酒を指す言葉ですぜ
18. 匿名処理班
酒が飲める飲めるぞ〜 酒が飲めるぞ〜♪
19.
20. 匿名処理班
ギャートルズの猿酒。
21. 匿名処理班
自分、酔うと記憶をなくしてしまうんだよね……
パーティ会場でブレイクダンスやらポールダンスやら踊ってたって教えられた時は狼狽えちゃったよ