614 なごむのか  sage 2013/12/11(水) 21:08:53.40 ID:Spoa0ZrC0
 和む話なんかよくわかんないけどちょっと書いてみるわ。
 20代の前半、父親がちょっとよろしくない病気になって急遽金が必要になり、ひとまずサクッと稼げるトラック運転手やってたんだけど、あの仕事って配達先、特に倉庫のおっさんなんかにすごく下に見られて、蔑まれたりするんだよ。
 「車運転するしか能がねーんだから、黙って運べよ」みたいなこと言われたりもした。
 んで、自分もどんどん心がささくれてっちゃって、「オヤジが病気すっからこんなことやんなきゃなんない」みたいに思ってすげーやなヤツになりかけてた。

 その日は食品の配達で、駐車スペースから少し離れてるスーパーのバックヤードに、クソ重いパスタ1kg×24個を80箱くらい運んでたんだ。
 汗ダラダラでやっと運び終わって、目も合わせないおっさんにハンコもらってイライラして車に戻って水分補給してた。




270 名前:わんにゃん@名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/12(木) 01:53:26.08 ID:AWpBpSC1 [2/3]
615 なごむのか  sage 2013/12/11(水) 21:10:55.11 ID:Spoa0ZrC0
 その駐車スペースの前には公園があって、そこにかなりヨボヨボの爺ちゃんと、結構でっかい犬(秋田犬くらいでっかい)が散歩にきてたんだ。
 爺ちゃんはかなり歩くのが遅くて、一歩が10cmないくらいのスローペース。
 だけど犬はそのペースに合わせて、ゆっくりゆっくり横を歩くんだよ。
 で爺ちゃんがよろけたりすると、スッと体を寄せたりして見守りモードなのよ。
 わ~あの犬賢いなーなんて思って見てたんだけど、爺ちゃん何を思ったかブランコに座ってゆっくり漕ぎだした。
 犬はそれをジーっと見ながら、ぜったい爺ちゃん落とすまいっていう感じで、いつでもいけるぜ態勢で待機。
 で、ひとしきりブランコを楽しんだ爺ちゃん、ゆっくり立ち上がってニッコリしながら犬の頭をひと撫ですると、犬が超笑顔で、これまじで超笑顔に見えたんだけど、尻尾パタパタって振って、そんでまた歩いてった。


616 なごむのか  sage 2013/12/11(水) 21:13:33.23 ID:Spoa0ZrC0
 あとは俺の想像だけど、あの犬はきっとチビの時から愛情いっぱいに育てられてたんだろうねーなんて思ったわけさ。
 主従とかじゃない信頼感みたいなのがにじみ出てた。
 それで「そういや俺だってオヤジに可愛がられて育ったんじゃん。病気になんのは仕方ないし恨んでどうすんよ」と思い直し、それからは何言われてもとりあえず「さっせん頑張りますっ」
とかいいながら、ムカついた顔しないようにしてたら、スーパーのおばちゃんとか超優しくなった。
 イライラしないで人としてちゃんとするって大事だわーって心底思った。
 父親の病状が落ち着いて、元の職種に戻るのが決まった時はおばちゃんたちが送別会してくれるまでになった。

 あの爺ちゃんと犬のたたずまいが、互いを思う優しさに満ち溢れてたので、それを見てすごく助けられたわって話でした。