音楽共有のSoundcloud、創業者が「もうDJ Mixを削除しない」と明言。定額サービス開始で著作権使用契約を締結
DJミックスの共有は無料でもOK
音楽共有プラットフォームSoundcloud創設者のEric Wahlforss氏が、Soundcloudのサービスにおいて自作DJ Mixを自由にアップロードできるようになったと発表しました。Apple Musicなどと同じ定額制サービスSoundcloud Goの開始にともない著作権管理団体と包括的な楽曲使用契約を結んだためで、アーティストよりもDJらからの支持が厚いSoundcloudにとっては一石二鳥ともいえるかもしれません。
サウンド版YouTubeといったコンセプトのSoundcloudは従来、すべて無料でそのサービスを提供してきました。手軽に自作の楽曲をアップロードできるとあってサービスは大きく成長することとなりましたが、その原動力となったのがDJ Mixの存在です。
DJ Mixはその名の通り、既存の楽曲やサウンドをDJが自身の感性やテクニックを活かして新しい楽曲に仕立て上げた作品です。ただ、やはり既存の楽曲を使えばそこに著作権の侵害が発生してしまいます。DJらの作品で成長を遂げたSoudcloudはいつしかそのDJらの作品について著作権侵害を訴えられることとなりました。
このためSoundcloudは、2015年からDJ Mixに限らず全作品を自動的に検索し、著作権侵害を発見しては削除するシステムを導入して対応せざるをえませんでした。しかし単純に著作権侵害と判定した楽曲を削除する処置をとったため、ときおり「自分自身がすべて作曲したオリジナル楽曲なのに強制削除された」という笑うに笑えない話もときおり発生しています。
Soundcloudはこれらの問題を解決しさらに収益化をはかるため、定額制サービスSoundcloud Goを計画。2016年3月よりサービスを開始しました。これによってSpotifyやApple Musicなどと同様に音楽をユーザーに届けることができるようになったわけですが、サービスの提供にあたって包括的な音楽著作権の使用契約を締結した結果、DJらが制作するミックス曲の配信も自由に行えるようになったというわけです。
一般的な音楽アーティストの作品を楽しむだけならApple MusicやSpotifyのほうがシステム的にも使いやすいかもしれません。またこれらのサービスもDJによる非公式なミックスを配信し始めています。しかし、DJらの支持を得て成長してきたSoundcloudにとっては世界中のDJが安心して作品をアップロードできるようになったことこそが重要なのは間違いなさそうです。
ちなみにSoundcloudは2016年6月にTwitterから7000万ドルの投資を得ています。一時は身売りの話もあったものの、11月になってWahlforss氏は「Soundcloud Goの収益が上がっている」として、独立体制を維持しつつTwitterとの連携を深める方針をとったとのこと。Twitter自身も身売り騒動があったりと収益化に苦慮しているところですが、双方の連携が今後、何か大きなマジックを生み出すことに期待したいものです。