アーニャ「プロデューサーに、避けられてる、ですか?」美波「そう、なのかも」
ただ、起こった出来事などはアニメ準拠ですが、プロデューサーは武内Pではありません。
「もしかしたら私の勘違いかも知れないんだけどね」
「ンー……でも確かに、少し前から、プロデューサーと、目が合いません」
「アーニャちゃんもそう思う?私も、少し前から……具体的に言うと」
「アイドルフェスティバルが終わった後、くらいから」
栗色の長い髪。
切れ長の目。
だがそれ以上に俺の目を、心を引いたのは彼女の挙動ーーー立ち振る舞いの美しさだった。
しかし普段、全く意識していない時に出る挙動には、その人間の内面が良く出るように思う。
「人の中身は、言葉ではない、挙動にこそ良く表れる」
とは、かつての恩師の言葉だったか。
その姿を見ただけで、心身共に美しい。
そう確信させる物があった。
それが、俺が彼女を、新田美波をスカウトした理由である。
プロジェクトのメンバーの中では最年長ということもあったが、真面目で面倒見が良かった。
メンバーの中で、ロシア人の父と日本人の母を持つハーフで、少しだけ日本語が苦手な娘がいた。
大人びて見えるが齢は15歳。
少女である。
スカウトして事務所に来たばかりの頃は不安そうにしていた。
「こんにちわ、新田美波です。よろしくね?えっと……」
「ミーニャ ザヴート アーニャ。……あ、ええと、私の名前は…アナスタシア、です。アーニャは……えっと、ニックネーム、です」
「そうなんだ。ふふ、可愛いニックネームだね、アーニャちゃん」
それからも美波は何かとアーニャを気にかけ、二人はすぐに打ち解けた。
なんというか、波長も合ったのだろう。
その後二人はユニットを組むことになった。
LOVE LAIKA。
対外的に初のお披露目となる舞台はミニLIVEだった。
二人にとっても初の舞台だ。
当然緊張もあっただろう。
ステージは時に残酷だ。一度上がってしまえば、もはや助けは他にない。
事実ステージに出る直前は表情は固かった。
「ミナミ、ルカパジャーチィ。握手、しましょう?」
「……ええ!」
もうその時には美波がアーニャを引っ張るだけではない。
お互いがお互いを支えあい、寄り添いあって励ましあえる仲になっていた。
二人は見事初LIVEをやり遂げた。
その姿を見て、俺はこの二人はもう大丈夫だと思った。
そんな中で、このシンデレラプロジェクトに初の大舞台の話が舞い込む。
プロダクションのアイドル達と共に行う、アイドルフェスティバルである。
これには当然、LOVE LAIKAも含めてユニット曲によるステージ、そしてシンデレラプロジェクトとしてのここまでの活動の集大成としての全体曲のパフォーマンスを行う必要があった。
そこで俺は、美波にシンデレラプロジェクトのメンバー全体のリーダーを任せることにした。
当然彼女の面倒見の良さ、リーダーシップ、メンバー間での信頼、そして頭の良さを見込んでのことだった。
そして、彼女はそれを引き受けてくれた。
思えばこれが、間違いの始まりだったのかもしれない。
そんな彼女たちをどうにか支援できないかと合宿を組むことにした。
しかしその時俺は別の仕事で合宿には同行しなかった。
なのでこれは伝え聞いた話だが、美波は息の合わないメンバー達をレクリエーションで団結させ、曲の完成度を上げたとのことだった。
それを聞いた俺は、見事な手腕だ、と。
彼女に任せて、本当に良かったと思った。
その裏で彼女が抱えた苦悩や重圧には、気づかないフリをしながら。
彼女の勤勉さ、責任感の強さは知っていたのに。
メンバーの心身のケアなんていう俺がやるべき仕事も、美波に任せるようになっていた。
そして彼女は進んでそれ以上の仕事をやろうとしていた。
こうなると最早俺は現場を彼女に丸投げしていたことになる。
もちろん美波がすべてをやっていたわけではない。
彼女の傍にいたアーニャも支えようとしていたし、各ユニット内でもそれぞれが役割をもって、目標に向かって尽力してくれていた。
それを承知の上で俺は、忙しさにかまけて彼女に、甘えてしまった。
フェス当日。
或いは必定だった決壊が、最悪の、ある意味当然のタイミングで訪れた。
美波が、倒れた。
頭が、真っ白になった。
「ミナミはリーダー、とてもがんばってました……」
絶望が、意識を支配していく。
俺の、せいだ。
「違います……私も夜遅くまで練習したりしていたので……すみません、もう大丈夫です」
フラフラだ。どこが大丈夫なんだ。
ごめん。
誰よりもこの大舞台に向けて頑張ったこの娘に。
ごめん。
俺が言わなければならない。
ごめん。
誰よりも負担をかけてしまったこの俺が。
彼女に向けて言わなければならない。
「美波、だめだ。ステージには、上げられない」
ごめん。
俺はこの時の彼女の顔をこれまでも、これからも忘れることは無いだろう。
アーニャも、初の大舞台に緊張があったはずである。
更に、固い絆に結ばれたパートナーをLIVE直前で失い、その心中は察するに余りある。
美波にとってだけではない。アーニャにとっての大舞台も、俺は壊したのだ。
だが、そんな状況にも彼女たちは最高のパフォーマンスを示した。
初めは美波の不在にざわついたファンも、惜しみない歓声をステージに送った。
しかし美波がこの時どんな気持ちでステージを見ていたのか、わからない。
やるべき仕事があるから。
そうだけど、違う。
怖くて、逃げたんだ。
本来自分が立つべきだったステージに立てず、本来受けるはずだった歓声を
受けられなかった彼女と。
それを台無しにしてしまった俺が。
同じ空間にいるのが怖かったんだ。
メンバーの機転やパフォーマンスで盛り上がりは最高潮に達した。
そしてラストの全体曲。
そこには美波の姿もあった。
「もう大丈夫なの!?」
「熱も下がったし、みんなが頑張ってるのに、寝てられないもの!」
辛くないはずはない。
熱が下がったと言っても、それは高熱じゃないというだけだ。
本当なら大事を取って休ませるべきである。
それは彼女のためなんかじゃない。
そうしないと俺の心が保たなかったから。
「全くの無駄なんかじゃなった」って、俺が言い訳をするためだったんだ。
彼女は病み上がりの身体で、傷だらけの心で、見事ステージを完遂した。
他のメンバー達と感極まって涙する彼女の姿を、俺は遠くから見ているだけだった。
コメント一覧
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- 2016年12月17日 22:44
- ただの焼き増しじゃねーか!
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- 2016年12月17日 23:00
- 本編の補完するならオリPにしたら意味ないやん
まぁ俺嫁Pにありがちな余計なP×アイドル要素を
いれなかったことは評価する
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- 2016年12月17日 23:07
- ありがとうございます
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- 2016年12月17日 23:11
- 俺はわりと好き
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- 2016年12月17日 23:14
- 何だこれ……何だこれ!
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- 2016年12月17日 23:15
- あんまりSSとしては受けんやろ
ハーメルンとかで書いた方がまだよかった
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- 2016年12月17日 23:33
- アニメの設定かと思ったらオリPだし、その理由も分からんし
まぁどうせ自分を重ね合わせるためなんだろうけどそれだけなら単なるオ.ナニーだぞ
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- 2016年12月17日 23:45
- でも気持ちいいじゃんオ.ナニー
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- 2016年12月17日 23:47
- まぁ内容はともかく、デレステとかも美波が倒れた事あって346プロのあるアニメと同一の世界観だろ?
設定は別にどうでもいいかなって思うわ
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- 2016年12月17日 23:53
- アニメ準拠なのに意味のない改変があると混乱するわ
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- 2016年12月17日 23:58
- 二次創作ってそういうもんやろ?
好きやでこの作品