これまでにダリの描いた「不思議の国のアリス」やモスクワのフォトグラファーVladimir Clavijoさんの写真で表現された「不思議の国のアリス」などを紹介してきましたが、イギリスの挿絵画家Arthur Rackham(アーサー・ラッカム)(1867〜1939年)の「不思議の国のアリス」の挿絵が素晴らしいです。
Arthur Rackham(アーサー・ラッカム)が挿絵を手がけた「不思議の国のアリス」は著作権が切れた年である1907年に出版されています。当時、茶色と灰色を基調とした水彩絵の具とペンで描かれたアリスは、これまでにないイメージを持ち、独自すぎるゆえなのか、酷評されます。それを受けて、Arthur Rackham(アーサー・ラッカム)は続編である「鏡の国のアリス」の挿絵の仕事を受けませんでした。
アリスの挿絵でといえば、ルイス キャロル本人が依頼した画家ジョン・テニエルが描いたものが有名ですが、ジョン・テニエルの作品と比べると、人体や動物の有機的な曲線や、豊かな色彩、抑揚のある美しい線は、ジョン・テニエルに負けない、むしろArthur Rackham(アーサー・ラッカム)の挿絵の方が優れています。
Arthur Rackham(アーサー・ラッカム)は1900年のグリム兄弟による「グリム童話集」で一気に注目され、小説家ワシントン・アーヴィングによる短編小説「リップ・ヴァン・ウィンクル」で人気を不動のものに。他にはアイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」、ジェームス・マシュー・バリーの戯曲「ピーター・パン」などの挿絵を手がけています。
参考:不思議の国のアリスの挿絵 wikipedia、アーサー・ラッカム wikipedia、Arthur Rackham: Art for Fairy Tales, Myths and Legends