944180916日、フジテレビで『池上彰緊急スペシャル』という特番が放送されたが、ネットでの評判はさんざんだ。池上氏が「格差」を示すために使った図表が酷いと、ネットで酷評された。図のトリックは、子供騙しの典型であるが、まさかテレビのゴールデン番組で見られるとは驚いた・・



フジテレビ「池上彰特番」が犯した、残念すぎるレベルの3つのミス


二つの図は、日本とアメリカで、上位1%と下位90%の平均所得の推移を表したものである。しかし、一目でわかるが、日本とアメリカで縦軸の目盛りが違っている。

日本では0.8から1.4までであるが、アメリカでは0.5から3.0である。日本のほうが、アメリカより4倍ほど大きく見せて盛っているのだ。





池上番組で残念だったのは、部分的に正しい指摘があっても、それが提言に生かされていない点だ。

そのひとつは、「バブル崩壊以降、日本では貧しい人がさらに貧しくなって格差が広がっている」といい、生活保護者数が増えているといっていたが、それが90年以降のデフレが原因、という指摘が全くなかったのは、番組担当者が格差の正体をまったく理解していない証拠だ。

雇用の守られている人と守られなかった人の格差がある、といっていたが、なぜデフレの時代に雇用が守られなかったのかが、わかっていないのだ。

番組内では、モノの価格は安い方がいいに決まっている、という決めつけが見られた。しかし、マクロ経済の話だと、物価の下落は失業の増加に直結する。
失業が増えれば、まさに番組の中でも言及されていた、「雇用の守られている人と守られなかった人の格差」が生じるわけだ。


半年前にグラフについて語っていた池上彰さん
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もうひとつ残念だったのは、教育に関する指摘だ。親の格差が子供の教育に影響して、格差が固定化しやすくなるというところまではいい。
また、教育に関して、「教育を受けた子供たちは将来就職して税金を国に納めてくれる。教育に投資したお金は戻ってくるという考え方」という指摘は正しい。

しかし、その後で、「日本の場合、消費税を2%上げてその2%分をすべて教育費に充てれば、小学校から大学までの学費を全て無料にできるという計算もある」といったのは不味い。

池上氏は、消費税を払う人のなかにはそう考えない人もいる、と増税については一定程度否定しながら、ゲストは「日本のためには(消費増税は)仕方ないのでは」という発言をしていた・・