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糸使い「私は糸を扱うのが得意です」面接官「当社で働く上でのメリットは?」|エレファント速報:SSまとめブログ

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糸使い「私は糸を扱うのが得意です」面接官「当社で働く上でのメリットは?」

1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 20:45:08.202 ID:qWFgE+UV0.net

<会社>

面接官「では……あなたの特技をお答え下さい」

糸使い「はいっ! 私は糸を扱うのが得意です!」

面接官「ふぅ~ん、糸をねえ……」

糸使い(お、好感触!?)

面接官「で、当社で働く上でどういったメリットがありますか?」

糸使い「え……」



5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 20:48:16.135 ID:qWFgE+UV0.net

糸使い「あの……その……」

糸使い「たとえば、あやとりで……同僚を楽しませることができます」

面接官「はぁ……」

面接官「もう結構です」

糸使い「え」

面接官「私もあなたのような方を相手しているほど暇じゃないんです」

面接官「そもそもうちの会社はイベント企画や運営が主な業務ですから」

面接官「糸を扱う技能なんか全く必要じゃないしねえ」

面接官「席を立ってお帰り下さい」

糸使い「は、はい……失礼します……」



11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 20:51:19.726 ID:qWFgE+UV0.net

バタン……

糸使い(またダメだったか……)

男「おや、いかがでしたか?」

糸使い「いやー、全然ダメでしたね」

男「採用面接なんてのは縁ですよ、縁! すぐに切り替えた方がいいですよ!」

糸使い「ありがとうございます……」

糸使い(この人、俺より前に面接受けてた人だよな。なんでまだいるんだろ)

糸使い(もしかして、採用されたのかな……いいなぁ)



13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 20:54:21.425 ID:qWFgE+UV0.net

<会社の外>

妹「お兄ちゃーん!」

蜘蛛「…………」カサカサ

糸使い「おお、我が愛しき妹と愛しきペットよ!」

妹「面接、どうだった?」

糸使い「いやー……この顔見れば分かるだろ?」

妹「あらら……」

蜘蛛「ダメダッタノネ」

…………

……



19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 20:57:32.020 ID:qWFgE+UV0.net

……

妹「ったく、ダメだなー」

妹「そういう時はさ、『糸を扱って培った器用さを生かします』とか」

妹「いくらでも言いようがあるじゃない!」

妹「そこで詰まっちゃうから、いつまでたっても面接で受からないんだよ」

蜘蛛「ソウソウ」

糸使い「そういうもんか……」

妹「ったく、いつまでもくよくよしない! あたしのハサミで切っちゃうよ!?」チョキチョキ

糸使い「あぶねっ!」

妹「お、少し元気出たね。一緒に帰ろ」

糸使い「ああ、ありがとう」



22:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:00:38.821 ID:qWFgE+UV0.net

<糸使いの自宅>

テレビ『昨夜、またしても怪盗が現れ……綿密な計画があったものと……』

糸使い「ええい、テレビうるさい!」ピッ

糸使い「あーあ、やべえよ……」

糸使い「お前と二人暮らしするようになって、糸専門店なんて始めたけど、客全然来ないし」

糸使い「なんとか普通の会社に就職しようとしても、糸使いなんて需要がなさすぎる……」

妹「糸専門店は閑古鳥だけど、もう一つの商売は順調じゃん」

糸使い「俺あれあまりやりたくないんだよ。やっぱり糸って平和的に使うもんだし」

糸使い「はぁ……糸使いなんて時代遅れなのかもな。女にもモテないし」

妹「まあまあいつまでも愚痴ってないで。一緒に納豆食べよ?」

糸使い「お、納豆あるのか! 食う食う!」



23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:03:31.673 ID:qWFgE+UV0.net

糸使い「やっぱり納豆は500回以上混ぜないとな!」マゼマゼマゼ

蜘蛛「ロサンジンキドリカヨ」

糸使い「うるせえ!」マゼマゼマゼ

糸使い「ほーれ、ネバネバ~」ネバァァァ

糸使い「ネバネバ~」ネバァァァァァ

妹「……お兄ちゃんが女にモテないのって、糸使いだからじゃなくて、性格の問題だと思う」

蜘蛛「ウン」

糸使い「うるせえよ!」



24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:06:27.205 ID:qWFgE+UV0.net

糸使い「いいよな、お前は彼氏がいるから!」

糸使い「あの……カッターナイフが好きな彼氏! あいつとはどうなんだよ?」

妹「んー……ボチボチってとこかな」

糸使い「そういやあいつとは一度会ったけど……」


妹彼氏『こんにちは、お兄さん!』

妹彼氏『ボク、カッターナイフの刃をポキッて折る時に最高にエクスタシーを感じちゃうんです!』


糸使い「……なかなかの好青年だった。あいつならお前を任せられる」

妹「そりゃどうも」

糸使い「さて、納豆食うか!」モグモグ



25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:07:50.707 ID:BxXmV63tr.net

好青年…?



26:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:09:20.715 ID:qWFgE+UV0.net

糸使い「あ~……美味かった」

糸使い「さっそく糸で……」シーハーシーハー

妹「やだ! あっち向いてやってよ!」

蜘蛛「キタナイナー」

糸使い「ほれ、こんなに歯クソが取れたぞ! すげえだろ!」

妹「汚いっての!」ビュオンッ

糸使い「あぶねっ! ハサミ振り回すなよ!」



27:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:13:14.307 ID:qWFgE+UV0.net

……

糸使い「食後のコーヒーでも飲むか」

糸使い「コーヒー出してくれよ」

妹「あ、ごめん。切らしたまま買ってないや」

糸使い「マジで!?」

糸使い「仕方ない。近くのコンビニで一杯やってくるか」

妹「まーたイートイン? お兄ちゃんも好きだねえ」

糸使い「なにしろ俺は糸使いだからな」

蜘蛛「…………」カサカサ

糸使い「お前も来るか?」

蜘蛛「イクイク」

糸使い「よし、ついてこい!」



28:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:16:20.895 ID:qWFgE+UV0.net

<コンビニ>

店長「お、糸使い君、いらっしゃい。就職活動はどうだい?」

糸使い「いやー、全然ダメですね」

蜘蛛「…………」カサカサ

店長「ま、気長にやるこった」

糸使い「はい……」

店長「蜘蛛君も、ご主人を支えてあげてな」

蜘蛛「モチロン!」



29:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:19:30.018 ID:qWFgE+UV0.net

糸使い「コーヒーうめえ~」グビグビ

蜘蛛「ガムシロウメー」ペロペロ…

糸使い「――ん?」


女「…………」


糸使い「あそこで買い物してる女の人……おしとやかそうで、すげえ美人じゃないか!?」

蜘蛛「タシカニ」

糸使い「ちょっと声かけてきてくれよ」

蜘蛛「ナンデヤネン」

糸使い「いいじゃんか、頼むよ~」

蜘蛛「ヤダヨ」



30:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:23:03.001 ID:qWFgE+UV0.net

女「…………」チラッ


糸使い(ゲ、俺の視線に気づいた!?)

女「…………」スタスタ

糸使い(やべえ、こっちに来た! どうしよう!?)

女「あのー……」

糸使い「は、はいっ!」

女「とても素敵な蜘蛛ちゃんですね」ニコッ

糸使い「あ、はいっ! あ、こいつ、俺のペットでして……アハハ……」



31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:26:11.150 ID:qWFgE+UV0.net

糸使い「女性はこいつ見たら大抵ビビるのに……もしかしてあなた、蜘蛛オタクですか?」

女「いえ、そうではなく……」

女「私、ファッションデザイナーをしているんです」

糸使い「へえ、そうなんですか!」

女「自分で裁縫をして、服を仕立てることもするので、よく糸を扱ったりするんです」

女「だから、自分で糸を出す蜘蛛は、怖いというよりむしろ尊敬してるんです」

糸使い「なるほど~(分かるような分からんような)」



32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:29:45.652 ID:qWFgE+UV0.net

女「でも、悩みがありまして……」

糸使い「悩み?」

女「実は今、大きなファッションショーに出展するためのドレスを作っているんです」

糸使い「すごい! 売れっ子なんですね!」

女「ですが、いい布はあるんですけど、いい糸がなくて困ってるんです……」

糸使い「!」

糸使い「あ、あのっ……でしたらっ!」

女「はい?」

糸使い「俺、糸専門店を営んでおりまして、品質には自信があるんです!」

糸使い「ぜひ一度ご覧になって下さい!」

女「本当ですか? ぜひ!」

蜘蛛「オモワヌチャンス」



35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:32:35.592 ID:qWFgE+UV0.net

<糸使いの自宅>

妹「お帰りー……ってあれ? お兄ちゃん、その女の人は?」

糸使い「ああ、ついさっき知り合ってね。俺の店の糸を見たいっていうんだ」

妹「へえ~、珍しいこともあるもんだ」

女「あなたが妹さんね? こんばんは」

妹「こんばんは!」

妹「お兄ちゃんは糸に関してだけは誰にも負けませんから! 品質は保証しますよ!」

糸使い「あんまハードル上げるなよ」

女「ふふっ、期待してます」

糸使い「店はこちらになります。さ、どうぞ!」



37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:35:18.823 ID:qWFgE+UV0.net

<糸使いの店>

糸使い「自宅の一部を改装して開業したんですけど……」

糸使い「今までに来たお客の数は……ほんの数人といったところでして」

糸使い「……いかがです?」

女「……すごい」

糸使い「え?」

女「一目で分かります! どれもこれもすごい糸ばかりだわ!」

糸使い「ほ、本当ですか!?」

女「もちろんです!」

糸使い(うう……長年の苦労がやっと報われた。生きててよかったぁ~)



38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:38:29.471 ID:qWFgE+UV0.net

女「ぜひ、こちらの店の糸を、私が今作っているドレスに使わせて下さい!」

糸使い「え、いいんですか!?」

女「はい、この店の糸なら……あなたの糸なら、最高のドレスが作れると思います!」

糸使い「ありがとうございます!」



妹「おお……いい感じだよ」

蜘蛛「ウン」



41:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/12/21(水) 21:41:33.038 ID:qWFgE+UV0.net

女「ところで……またお会いできませんか?」

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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年12月21日 23:50
      • うまく落ちがついたな

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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