少年「お父さんが木こりで斧使いなせいで学校でいじめられる」
- 2016年12月26日 23:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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いじめっ子「よう」
少年「なんだよ?」
いじめっ子「オメーの親父さ、斧振り回してんだよな。木こりだから」
手下A「ぷっ、斧っすか!?」
手下B「ダッサ!」
少年「…………」
いじめっ子「人間にたとえると、のろまのデブって感じだ!」
いじめっ子「オレ、自分の親父が斧使いだったら、ぜってー自殺しちゃうよ!」
手下A「そりゃそうっすよね!」
手下B「ギャハハハハッ!」
少年「…………」
いじめっ子「なんと、オレの親父は剣の達人で、騎士団長なんだ!」
いじめっ子「ちょうどオレが生まれるぐらいから、ずーっとな!」
手下A「ひゃ~、さっすが!」
手下B「かっくい~!」
いじめっ子「つまり、オレの親父とお前の親父は天と地ほどの差があるってこった!」
いじめっ子「もちろん、息子であるオレとお前もな!」
いじめっ子「ってわけで、オメーは地だからよ。地面にはいつくばって土下座しろよ、土下座!」
少年「…………」プルプル…
いじめっ子「うわっ!」
手下A「こいつぅ!」
手下B「やっちまえ、やっちまえ!」
ドカッ! バキッ! ボカッ! ドカッ! ボカッ!
少女「ちょっと、何やってるのよ!」
手下AB「へい!」
いじめっ子「いきなり殴りかかってくるなんて、やっぱ親が親だと、子も子なんだなぁ!」
少女「あんたら! 待ちなさいよ!」
少女「……大丈夫?」
少年「平気」パッパッ
少女「医務室に行った方がいいよ」
少年「平気だって!」
― 少年の家 ―
母「はい、晩ご飯できたわよ」
父「おお、うまそうだな。母さんの包丁さばきは一流だからな!」
父「今日もいっぱい木を切ったから、いっぱい食べるぞぉっ!」
少年「…………」
父「どうした、食べないのか?」
少年「……あのさ、お父さん」
父「どうした?」
父「へ?」
父「どうして、そんなこと聞くんだ?」
少年「いや……別に。で、どうなの?」
父「やめるったって、そりゃ無理だなぁ。木こりで食ってるわけだから」
少年「……だよね」スタスタ
父「お、おいっ、メシは?」
少年「いらない……」スタスタ
父「なんだ……? いったいどうしたっていうんだ?」
母「具合でも悪いのかしら……?」
― 学校 ―
少年「…………」スタスタ
いじめっ子「お、斧が来たぜ! やべー、斧がうつるぞ!」
手下A「ひえ~、バッチイっす!」
手下B「あんなのが教室にいたら、こっちまでダサくなっちまう!」
少女「やめなさいよーっ!」
教師「コラコラ、なにをしているんだ!」
いじめっ子「いいのかなぁ、先生? オレを叱るつもり?」
いじめっ子「オレが騎士団長である親父に告げ口したら、あんたクビになるかもよ?」
教師「ぐ……!」
教師「と、とにかく……なるべく優しくしてあげなさい」
いじめっ子「はーい」
少女「いーい? あんな奴らのいうことなんか無視しちゃえばいいんだから!」
少年「…………」
少年(もう嫌だ……もう限界だ……!)
母「ご飯よ~!」
少年「……いらない」
母「いらないって、昨晩からろくに食べてないじゃない」
少年「いらないったらいらない!」
母「どうしたの? 学校でなにかあったの?」
少年「なにもないよ! ただ調子が悪いだけ!」
母「…………」
母「ええ、なにがあったか聞いても、さっぱり答えてくれないし……」
父「ううむ……」
コンコン…
母「――はい」ガチャッ…
母「あら、あなたは……」
少女「こんばんは」
母「こんな時間にどうしたの?」
少女「少年君のことが気になって……」
母「あら、ちょうどよかったわ。なにか知ってるなら教えてもらえる?」
母「斧でいじめを……」
少女「はい……」
少女「でも、彼はお父さんとお母さんに心配をかけたくなくていわなかったんだと思います」
母「どうしましょ?」
父「とりあえず、明日は学校を休ませよう。俺が学校に行って、先生と話してみるよ」
母「だったら私も行くわ」
父「ありがとう」
― 学校 ―
教師「……私の力不足で申し訳ありません」
教師「しかし、あの子の父親は現役の騎士団長ですから……」
教師「しかも前任の団長が結婚で引退してから、次々と成果を上げ続けているとか……」
教師「私も学校側から、彼を決して叱ってはならないと厳命を受けてまして……」
教師「仮に叱っても、効果は期待できないでしょう……」
母「もし、強引に押さえつけて、いじめを止めさせたとしても」
母「いじめる方法を変えたり、どこかで爆発してしまうようなおそれがありますわね」
父「ふむう……」
父「俺としては決してかっこ悪くなんかないと思ってるんだが」
母「そうよねえ」
教師「私としても、木こりや斧がかっこ悪いとは思いません」
教師「ですが、こういうことは口でいってもイマイチ説得力が……」
少女「それですよ!」ガラッ
少女「ごめんなさい、盗み聞きして。だけど、あたしも力になりたくて……」
父「いや、かまわないよ」
父「ところで、何かいいことを思いついたようだけど……?」
少女「はい、あたし、思いつきました!」
少女「口でいっても駄目なら、実際に見せればいいんですよ!」
― 少年の家 ―
母「どうする? 今日も学校休む?」
少年「…………」
母「少女ちゃん、迎えにきてるけど……」
少年「行くよ」ガバッ
少年(いくらなんでも、二日連続で休むわけにはいかないもんな)
少女「おはよーっ! さ、レッツゴー!」
少年「……うん」
いじめっ子「お、斧が来たぜ!」
いじめっ子「んだよ、あのまま登校拒否になってりゃよかったのによ!」
手下A「ホントっすよ!」
手下B「つまんねえの!」
少女「はいはい、無視無視~」
少年「…………」
「やったーっ!」 「授業よりマシだぜ!」 「ヒャッハーッ!」
少女「お、ラッキーだね」
少年「……うん」
「先生! どこに行くんですか?」
教師「近くの山で、ある方の仕事を見学させてもらうんだ」
教師「ホームルームが終わり次第、すぐ出発するよ!」
いじめっ子(……なーんか、くさいな)
ワイワイ…… ガヤガヤ……
教師「さぁ、着いたぞ」
教師「よろしくお願いします」
父「どうも」
少年(……お父さん!?)
いじめっ子(へっ、やっぱりこういうことかよ! 見え透いてんだよ!)
いじめっ子「おい、あのおっさん、こいつの親父だぜ! 斧とかダッセェの!」
いじめっ子「木こりの仕事なんざ見学したら、オレらまでダサくなっちまう!」
いじめっ子「みんな、笑ってやれ!」
手下A「え……アハハハハッ!」
手下B「は、はいっ! ギャハハハハッ!」
少女「ったく、あいつってば、とことん腐ってるわね」
少年「…………」
教師「それでは、よろしくお願いします」
父「はい」
父「…………」スゥ…
父「ふん
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