狐娘「家に居候してやったわ」
- 2016年12月31日 16:10
- SS、神話・民話・不思議な話
- 2 コメント
- Tweet
青年「そうだな」
*
狐娘「ぁいたたたたっ……」ヨロヨロ
青年「どうしたおばあちゃん」
狐娘「誰がババァじゃ……体の節々が寒さで痛くてのぅ」
青年「やっぱりおばあちゃんじゃん」
狐娘「うぅ…もうダメじゃぁ……きつねうどんを食べんと歩けん……」ガク
青年「うん」
狐娘「うん?」
青年「うん」コク
狐娘「うん」
青年「うん」
狐娘「いやきつねうどんを……」
*― きつねうどん ―*
狐娘「ふんふん~♪」
青年「はい」スッ
狐娘「おほー!来たかっ―――む?」
狐娘「なんじゃ?わしの前に麺を置いて……」
青年「狐」ユビサシ
青年「うどん」
狐娘「ふんっ!」ベチンッ
青年「食べ物を粗末にするなよ」
狐娘「なら、まずわしを粗末に扱うでない」
青年「冗談だ。稲荷寿司もつけてやるよ」コト
狐娘「ふふん、それでよいよい」
狐娘「ひゅむふむ、美味ひゃのぅ!」ハムハム
青年「……」ジー
狐娘「んむっ……どうしたんじゃ?」
青年「可愛いなって」
狐娘「ようやくわしの魅力に気がつきおったか。遅いわ」
青年「そうかもな。麺は伸びると美味くない」
青年「狐娘の魅力に早く気がつけて良かったよ」
狐娘「ぬしにしては、やけに素直じゃな」
*― くじ ―*
青年「んで、お互い三枚ずつこの折り紙に命令を書くんだ」
狐娘「待たんか。『んで』と言われても訳がわからんぞ」
青年「暇だからゲームしようぜ」
狐娘「ゲームならそこにあるじゃろ」
青年「あー……遊びだよ遊び。お前も、おはじきとかコマで遊んだことあるだろ?」
狐娘「うむ」
青年「そういった遊びの延長線をゲームって……多分言う」
狐娘「つまり……わしと遊びたいと?」
狐娘「くふふっ、ぬしもまだまだ子供じゃな」
青年「そうだよ。だからやろうぜ」スッ
狐娘「仕方が無いのぅ、付き合ってやるか」
青年「じゃ、狐娘は黄色、オレは青の折り紙な」
狐娘「ほいほい。何でもさせたいことを書けばよいのじゃろ?」
青年「あぁ……ただし」
狐娘「む?」
青年「その書いた紙は、自分が引くかもしれないという事だけは覚えておけよ」
狐娘「よぅわからんが……承知した」
*― くじ その弐 ―*
青年「書けたか?」
狐娘「うむ!」
青年「じゃあこの箱の中に入れてくれ」
青年「よし、混ぜるぞ」シャカシャカ
狐娘「なるほど、互いの紙を混ぜてそこから引くというものか」
青年「そうそう」
青年「……お先にどうぞ」スッ
狐娘「……」
狐娘「……」グイッ
青年「……」グイッ
狐娘「……」グイッ
青年「…………」
狐娘「…………」
青年「じゃんけん!」
狐娘「ほい!」パー
青年「ぽん!」チョキ
狐娘「ぐぅ"ぅ"ぅぉ"ぉ……!!」
青年「っしゃ!」
狐娘「……」
狐娘「勝ち負けが決まる闘いにおいて、一度で勝敗を分けるのは卑怯だと思わんか?」
青年「何言ってんだこの狐は」
狐娘「つまり……三回勝負にせぃ!」
青年「……」
狐娘「じゃんけん!」
青年「ぽん」パー
狐娘「ほい!」グー
狐娘「ぐぅ"ぅぁ"ぁ"ぉ"ぉ……」
青年「ひーけ、ひーけ」
狐娘「鬼じゃ……悪魔じゃぁ……」ゴソゴソ
狐娘「……よっと」
青年「おっ?黄色だからお前の紙だな」
狐娘「あわわわ……」フルフル
青年「開け、開けゴマ」
ペラッ
『十程回って、わんと五程鳴け』
青年「これは、ざまぁみろとしか」
青年「しかも普通は三回回って一度わんだろ、盛るなよ」
狐娘「……」
青年「どうした?」
狐娘「あ、あれぇ…?おかしいのぅ……わしはこんなもの入れた覚えは無いんじゃがなぁ…?」キョロキョロ
青年「よく気がついたな」
狐娘「へ…?」
青年「この家にはオレとお前……そしてもう一人住んでるんだぜ」
狐娘「ほ、ほぅ……興味びゅかいのぉ…?」
青年「……」
狐娘「……」ゴクリ
青年「わっ!!」
狐娘「」ビクッッ
青年「まぁそんな訳無いけどな」
狐娘「」
青年「回って」
狐娘「……」クルクルクル…
青年「鳴け」カシャシャシャッ
狐娘「わんわんわんわんわん」
青年「これからはくだらん嘘をつくなよ」
狐娘「うっさいわ阿呆ぅ!」キー
青年「お前が無様に這いつくばり犬の様なってる姿の証拠」スッ
狐娘「意地悪なぬしじゃ……」グス
狐娘「わしはこんなにもぬしに尽くしていると言うのに……」ウルウル
青年「お前言ってたよな、泣き落としには自信があるって」
狐娘「忘れろ」
*― くじ その参 ―*
青年「じゃ、次はオレだな」ゴソゴソ
狐娘 (わしのを引け!引け…!引けっ…!)
青年「んー、あ。オレのかぁ」
狐娘「ちっ」バン
青年「なになに……」ペラッ
『飲み物を二人分持ってくる』
狐娘「ズルい、不正じゃわ完全に」
青年「だから言っただろ?自分が引くかもしれないという可能性を考えろと」
青年「相手を貶めることしか考えてないお前は自業自得だぜ」
狐娘「くぅ……」
青年「次は狐娘だぞ」スッ
狐娘「……もうやめにせんか?この様な何も生まないくじ引きなんぞ時間の無駄じゃろ」
青年「怖いのか?」
狐娘「なに…?」
青年「お前、怯えてるのか。そんなんじゃいつまで経っても『くじ』と言う名の壁を乗り越えられないぞ」
狐娘「ふん!九時はとっくに過ぎておる!ゆくぞ!」ゴソゴソ
ペラッ
『相手に可愛く甘える』
青年「おっ!来たな!」
狐娘「これは、ぬしのか……」
狐娘「仮にこれをぬしが引いた場合……」
青年「間違い無く地獄絵図だろうな」
青年「しかし……しかしだ!オレは賭けに勝ったのさ!」
狐娘「なるほど、のう」
狐娘「……青年よ」
青年「ん…?お、おう」
狐娘「わしは青年が好きじゃ」
青年「そうなの?」
狐娘「うむ。青年と居ると、わしは楽しいぞ」ソッ
狐娘「こうした寒い夜も、青年が居れば暖かい」ギュ
青年「おおうぅ……」ススッ
狐娘「これ、逃げるでない」ギュゥ
狐娘「わしに抱き着かれるのは嫌かや…?」
青年「せめて後ろからに……」
狐娘「わしは……わしは、青年の温もりを感じたいのじゃ」
狐娘「む…?耳が赤いではないか。寒いのか?」
狐娘「なら……ほぅひふぇ、くちであたためてひゃろう」ハムハム
青年「も、ももももういい!」ガバッ
狐娘「ふふん、わしが本気を見たか」フンス
青年「確かに、これは迂闊だった……」
*― 仕返し ―*
青年 (昨日は油断しすぎたな……)
青年 (ここでやられっぱなしなのは癪だし、仕返しするっきゃない)
青年「おーい、狐娘」
狐娘「何用じゃ?」
青年「こっち来て」
狐娘「…?」スタスタ
青年「……」ギュ
狐娘「うん…?何か辛いことでもあったのかや…?」ヨシヨシ
青年 (あれ?なんだか慰められてる……)
*― 仕返し その弐 ―*
青年「狐娘、お前の尻尾……凄く毛並みが良いな」
狐娘「ふふん、まぁの」ドヤ
青年「それに可愛い。抱きしめたくなる」
狐娘「うむうむ。存分にするがよい」
青年「なんなら一緒に寝るか」
狐娘「わしは構わんぞ?」
青年「実はもう布団は敷いてあるんだ」
狐娘「では、そろそろよい頃合いじゃし、寝るとするかのぅ」ヨッコイセ
青年「そうだな」
青年「あれれ?」
*― 仕返し その参 ―*
狐娘「ぬしよ、もうちぃとこちらへ寄らぬか。布団から出てしまっているではないか」ギュ
青年「え、あ、あぁ……」
狐娘「ふあ…ぁ……んん。おやすみ」
青年「……おやすみ」
青年「……」
青年 (狐娘全く照れなかったな……)
青年 (いや、待てよ……)
青年 (そもそも相手がオレの行動で照れるとするなら)
青年 (大前提として、オレに対して好意がないと何をしても無理か……)
青年 (とするなら、狐娘はオレを何とも思ってないってことになるな)
青年 (まっ、その方がお互い楽かもしれないな……)
青年「おやすみ」ナデナデ
狐娘「……」スースー
狐娘「戯けが……///」ボソ
*― ごっこ ―*
青年「狐娘って彼氏は居ないの?」
狐娘「カレシとはなんぞ?」
青年「えぇと、恋仲の男性はいないのか?」
狐娘「おらんの」
青年「なんだ、居ないのか」
狐娘「仮に居るとすれば、ぬしの家になんぞ来る訳無かろう」
青年「それもそうだな……」
狐娘「なんじゃ、ぬしには恋仲の相手はおらんのか?」ニヤニヤ
青年「そういうお前だって居ないじゃん」
狐娘「わしは、‘‘敢えて’’作っておらんだけじゃ」
青年「じゃぁ……暇だし予行演習で恋人ごっこでもしてみるか?」
狐娘「ごっこじゃと…?」
青年「うん。試しに」
狐娘「ふぅむ……ま、よいじゃろう」
狐娘
コメント一覧
-
- 2016年12月31日 16:21
- 俺のレスまとめとけよ
-
- 2016年12月31日 16:30
- ワザップとか懐かしいなww
スポンサードリンク
ウイークリーランキング
最新記事
アンテナサイト
新着コメント
LINE読者登録QRコード
スポンサードリンク