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誰だって、時には悲しくなることがある。絶望が邪魔をして前が見えないこともある。SNS(ソーシャルメディア)が普及した現代では、それを通して、自らの悲しみを世界に伝えようとする人もいる。
こういう投稿を見たときにどう感じるかは様々だ。
「悲劇の主人公を演じてるな、自分の悲しみに酔ってる」と受けとめる人もいれば、「この人は本当に悲しくて感情を発散させないといけない状況にいるんだ」と、解釈する人もいる。
海外のツイッターでは、#IGetDepressedWhenというハッシュタグが生まれ、瞬く間に人気を博した。これは日本語に訳すと、「〜した時、うつ状態になる」という意味になる。
このハッシュタグが使われ始めた頃は軽い冗談や害のないコメントが多かった。例えば・・・
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・給与明細を開いたとき#うつ状態になる
・クールエイドを飲もうとカップを手に持って冷蔵庫を開いた時、ピッチャーが空で#うつ状態になる
などだ。
だが、このハッシュタグの人気が高まる一方で、使用の是非をめぐる議論が繰り広げられた。軽いノリのものから、臨床的なうつ状態と悲しいという感情についての真剣な議論まで。
”Depressed”には「意気消沈」とか「落ち込んだ」という意味があるので混同されがちだが、「うつ状態」と「悲しいという感情」は全くの別物で、「うつ」という言葉を気軽に使うことに抵抗を感じる人や、間違っていると指摘する人もいる。
彼らの意見はこうだ。
@lucyatd:
「うつ状態」という言葉を気軽に使うのはやめて。これは心の病だから。悲しいという言葉の言い替えではないのよ。
@ottabek:
自分の病気でもある「うつ」が、健常者にとって深刻な病ではなく感情として誤解される
@dearestIiv:
みんながうつ病のことを、ただの感情ではなく、実際に苦しんでいる人がいる精神の病気だと理解してない
@ItsAlexOkay_:
みんなが精神の病気を話題のハッシュタグにする
@JensenThaMan:
みんながうつ状態と数時間の悲しみを混同している。うつ病はとても深刻な心の病で、このように扱われるべきではない。
@mysticaltana:
私はうつ病だから、抗うつ剤を取り忘れた時にうつ状態になる。これは心の病だから、ハッシュタグのジョークじゃないから。
@thetribegoddess:
とても迷惑なハッシュタグ。精神疾患を持っている人は、「いつ(うつ状態になる)」とか選ぶことができないから。これは感情じゃないの。
@Mul_OVO:
”#〜の時にうつ状態になる”じゃなくて、”#〜の時に悲しくなる”に変えようよ。だって、うつは感情じゃなくて、心の病だから。
@baldgril:
私はうつ病と診断された。これは深刻な精神疾患で、気軽に使っていい言葉じゃないの。
@FrMatthewLC:
うつは悲しみではない。うつは脳の神経伝達システムが正常に働かないために引き起こされるもの。うつ病を抱えている人のことを考えて、ジョークにするのはやめよう。
何かにつけて「うつ」をネタにする風潮は海外にもあるようだ。
そしてそれを快く思っていない本当にうつで辛い思いをしている人も。
うつと悲しみの違いとは?
悲しみとは、正常な感情の1つである。誰でも悲しくなることはある。困難・つらい・落ち込むような出来事、経験、状況によってもたらされる。つまり、何かについて悲しくなる。ということは、何かが変われば、例えば状況だったり、心の痛み、消失や落胆などを乗り越えれば、悲しみは弱まる。
一方、うつ状態とは正常ではない心の状態のことを指す。これは心の病で、蔓延的に考え方・感情・認知・行動に影響してくる。だから、「悲しみ」みたいに、何か特別な状況、心境、出来事によって引き起こされるわけではない。
科学的観点から見ると、うつの症状は脳の化学的不均衡によるものだという。うつ病と診断される人は、安らぎを与えてくれるセロトニンという神経伝達物質が不足している。
ただ、うつ病全体を説明できる原因はまだ判っていなく、他にも、遺伝、ストレス、薬、その他の健康問題が原因でこの神経疾患を引き起こすこともあるそうだ。
つまり、流行っているからといって気軽に「うつ」と使う前に、しっかりと言葉の意味を考えて使おうということだ。
確かに「うつ」という言葉を使えば、悲しみとは異なるような、めちゃくちゃ落ち込んでいるという印象を暗に与えてくれるように見えるが、この言葉で傷つく人たちがいることも忘れてはいけない。
via:Sadness and depression can be easily confused./ translated melondeau / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
苦労した時の骨が折れるって言い回しだって別に実際骨が折れてるわけじゃないし
いいじゃん別に
2. 匿名処理班
鬱のときは、悲しくならない。感情が死んで、考えることもできなくなって、何か目に見えない化け物に脳が支配されている感じ。
3.
4. 匿名処理班
向こうも議論のテーマは日本と似たり寄ったりだな。
5. 匿名処理班
うつ状態とうつ病もまた別のものだと思ったがなぁ
6. 匿名処理班
いいじゃないか
悲しい時は悲しいし
うつで辛い時はうつで
別もんだとか何だとか言わなくていいんだよ
7. 匿名処理班
心じゃなくて脳の分泌系が弱って伝達物質がうまく分泌出来ないってのが鬱病だから、気分に関係無く過労や睡眠不足や内蔵疾患からでも鬱病になるし
鬱な気分と一緒にされてもなと思うわ、
自分のサイトが炎上するのと自分の家が火事になるくらいの差は有ると理解してほしい
8. 匿名処理班
悲しいのは生産性がある
慈悲の心が生まれたらそれはとても強い
鬱は自分がやばい、限界といってもいい
誰かにちょっとしたことでいいから、力を貸してもらえることが必要だ
人間だ、誰かに助けだって必要だ
9.
10. 匿名処理班
日本語の場合は「欝」と「鬱病」で区別すればいい気がするけどなぁ
欝ってのは古くからある表現だし、本来感情のみならず形容詞としての使い所は結構広かった筈
感情表現であり、心の振幅の一端でしかない
解釈間違ってたら申し訳ないが、この状態から元に戻らないから病なのでは
11. 匿名処理班
「憂鬱」という言葉が日本にはあるわけだが。
これは健康な人であってもそうなってしまうよな。
12. 匿名処理班
※5
しかし過労で鬱になれば、周りから「悲しいの?」「何か悩みでもあるの?」っていちいち聞いてくるのが凄く困るんだよ。ぶっ続けで働いて脳が疲れただけなんで、脚が動かないランナーを見て「この人は走りたくないんだよ」とか頓珍漢な事を言われるレベルで迷惑に感じる
13. 匿名処理班
自己中心的な性格の人間が自分の思い通りに物事が進まなかった時、鬱になりやすいと聞いたことがある。白黒ハッキリした性格や、思い込みが激しいタイプが危ないらしい。
14. 匿名処理班
元々精神疾患持ちでそれから更に
すっげーイライラして色んな人がムカつくようになったら鬱用の薬出された
こういうのも鬱なのかーと思った
もう義務教育の時に誰でも精神疾患を患う可能性があることや脳の働きが上手く行かない為に起きるということなんかを教えないと偏見はなくならないだろうね
まあ自分もフツーに健康に生きてたら偏見持ってたかもしれないし、あんまり関わりたくないと思ってたんだろうなと考えると複雑な気分
15. 匿名処理班
勘違いされやすいけど鬱は本当に病気の状態なんだよ。
彼らが言ってるのは、
咳や熱が出たからと言って「俺インフルだから」
とは言わないでと言ってるんだよ。
症状が似てるけど、それインフルじゃないから。
16. 匿名処理班
わかりやすく言うとSAN値直葬状態だからな
17. 匿名処理班
誰にでもこの言葉を使う権利はあるけど使う前によく考えろってことだね
18. 匿名処理班
日本語では言い換えがきくのでここまで神経質にはならないかも
だけどできれば多発性脳機能障害とかセロトニン欠乏症とか
病気だと一発でわかる名称をつけてほしい
19. 匿名処理班
鬱屈とするとか
言葉としては成立してるものがある
鬱病と鬱っぽい気分は個々であっていいと思う
問題は、鬱病と鬱っぽい気分の区別がつかない馬鹿な人の存在だけ
20. 匿名処理班
depressedってだけじゃ凹むって位の印象しか受けないけどなぁ
鬱も認知されたのって結構最近だしそんなに嫌なら新しい鬱の名前でも考えたらどうさって感じ
21. 匿名処理班
不謹慎だとかは思わないし言葉遊びとしては否定しないけれど、こういう使い方が一般化してしまうと、実際の鬱病や鬱状態に対してもこの使われ方と同じ認識で対応するようになって理解が進まなかったり偏見に結びつくから問題なんだよな
22. 匿名処理班
確かに鬱の時は別に悲しい訳じゃないよな
悲しいってのは人間の本能から出てくる感情で、鬱状態は無気力になっていき心から何かが涌き出てくる訳じゃない
鬱状態になることで社会や自己の欲求に上手く適合出来ずに辛くなるってのは有るかもしれないが、鬱そのものは悲しみを産み出さないと思う
23. 匿名処理班
面倒くさい時代だよな
SNSでバズると自然に目に入ってしまうから「嫌なら見るな」も「別のとこでやってくれ」も通用しない
認識を更正させようとぶつかり合わなくてもいい人達が衝突しちゃうんだもんな
このまま何年もしたら全てを理解していて誰とでも誤解なく分かり合える人間だけの閉鎖的なコミュニティが完成するんだろうか
24. 匿名処理班
うつの人は頑張り屋が多いかも。もう十分頑張って来たじゃねぇか。皆わかってるよ。
これからは自分に甘く他人にも甘くでいい。そんな強い人間なんていねぇよ。
お前さん、肩の力をぬけよ。そうだ緩めるんだ。
25. 匿名処理班
実際、過去に精神障害者保険福祉手帳3級交付された者だが(よくなったので返納した)、軽く表現できるほどうつ病は甘くないよ。ひととしての欲求や喜びが喪失するだけでなく、内側からどんどん崩壊して深淵に飲み込まれていくような絶望感が昼夜問わず継続する。それも何ヶ月も…。死ぬ気になれば何でもできると精神論を言う方がいるが、それは弱っていない体と正常な判断力があるという条件があってだ。残念なことに、少なくとも日本語には正確にうつ病がどうつらいかという表現がない。
26. 匿名処理班
うつは心の慢性疲労だからな〜。楽しくても嬉しくてもなる人はなる。
27. 匿名処理班
日本人は鬱だのトラウマだの意味も考えすに気軽に使いたがるからな
28. 匿名処理班
「鬱は感情の一種ではない」という事がなかなか理解されにくいんだろうね。
そもそも鬱になったら悲しいどころか一切の感情がなくなってしまう。
何も感じられないし心も動く事はない。
原因は脳内物質の分泌異常であって感情のように自分で制御したりもできない。
「落ち込んでる」ように見えて「落ち込んでるわけではない」状態になってるんだけど…。
過剰に批判するのもどうかと思うけどおもちゃのように扱って良い物でもないんだよ。
あと簡単には「うつ状態」は一時的、「うつ病」は慢性的と考えれば良いんだけどだからと言ってどちらが軽いという問題でもないよ。
どっちも深刻な状態です。
29. 匿名処理班
いい加減あいまいな言葉を病名にするのはやめたらどうだろう
認知・行動難航症とかつけたらいいじゃないか
他人というコントロールできない物に頼って自分のコントロールできないものをコントロールしようなんてのはなにもかも破綻してる
そんなあいまいなものに頼らなくても自分たちの行動でかえられるんだ、この問題は
医者は治すのが本分だからこれはすべての患者に治療にもなりうるんだ、皆の行動で皆をなおせるんだ
30. 匿名処理班
鬱病に理解を示そうとしないような奴なんて無視してしまえばいい。
確かに説明して分かってくれるならそれが一番いいが、何を言っても無駄な奴っているからな。
分かってもらう為の努力は勿論必要だけど、「分かってもらえるかどうか」という結果には拘るべきではない。
31. 匿名処理班
ちょっと嫌なことがあっただけですぐ「トラウマ」と言うのと似てね。
32. 匿名処理班
こういうのがあるから語弊が生まれるんだよな
33. 匿名処理班
日本語の場合“鬱”って文字が必ずしも病名を指してないから仕方ないんじゃない?
鬱蒼とか憂鬱とか、所謂雰囲気や気分を表す文字でしょ?
鬱病を気分の問題だと思ってた時代にされたネーミングが問題なんじゃなかろうか
34. 匿名処理班
depressedって言葉の方が先にあったのに、
後から来て軽々しく使うなって、
図々しいにも程があると思うんだ。
35. 匿名処理班
ボランティアで大きな悲しみを聞く活動をしていた者です。
うつは本文にもあるように脳の化学的不均衡によるもの。親しい人の呼びかけに答えられない、ガス欠のような状態です。
一方、悲しみは親しい人の呼びかけに反応できて、周囲に合わせて仕事もこなせたりします。これが簡易的な判別方法の一つです。しかし一人になると、うつと同じような状態になります。
「悲」という字は「心が、鳥の開いた左右の翼のように、対称に真っ二つに裂かれた状態」を指します。つまり「悲しみ」を背負った人は、親しい人の呼びかけに反応するこれまでの日常の心と、「悲しみ」の原因となった非日常の経験に囚われた心の二つを背負っているわけです。これは非常に大きなストレスとなります。
悲しみがうつの原因になることはあります。しかしイコールではありません。近年、悲しみもうつと同じく精神科医の診察と投薬で治そうという動きがありますが、両者は全く別であり、軽減する方法もそれぞれあるのだと理解が進んで欲しいと思っています。
36. 匿名処理班
正直、うつの言葉使いに文句を言ってる人は
ネットで鬱は辛いと発言するけど皆に理解してもらいたいから
うつをジョークにされると自分達が理解されずに苦しいんだと思う。
そもそもジョークを楽しむ人達にとっては誰かの悲しい事に興味持たないよ
自分達に興味を持ってくれる救世主症候群の人達のところでも行くべきだ。
37. 匿名処理班
※5
病名になる以前に欝という状態を表現する言葉としてあるわけだしね
英語もおなじかは知らないけど
38. 匿名処理班
※1
まあ「心が折れる」って表現もあるしね。
心には形も骨もないけど。
39. 匿名処理班
※36
というか、オタクみたいに人の生活を勝手にネタにしておいて
文句を言われると「自意識過剰」みたいに言う人が居るから苦しんでいるのですな
うつ病患者は「救ってくれ」と言ってるわけじゃなくて
無神経な外野に対していわば「こっちくんな」と言っているのだが
この手の差別にはおなじみの光景だな
40. 匿名処理班
中学生のあるとき憂鬱の意味で「鬱だなぁ」とつかったら、家族に鬱病のかたがいる友人に
「鬱ってそんな軽々しいもんじゃないんだよ!大変なだから!」と怒られ(叱られ?)たことがあったな...この記事での指摘と同じことなんだろうな...
自己弁護になるが、鬱病という存在は知っていたが、辞書でみて覚えたままの「気持ちがふさぐ」で使っていた。TPOや「言葉の意味」の相違も考えねばならぬってこと...
自分の文を見直すと「憂鬱」「欝」「ふさぐ(鬱ぐ)」もどれも「欝」であり、自分では「気持ちがふさぐ」の意味で使っているが、はたして他人には伝わっているんだろうか?と心配になる。もちろん彼らのことや証言を理解したいとも思っている
今浮かぶのは認知症しかないが、万人が意味や定義、症状を混同したり勘違いするような名称は変えるべきって意見に賛同してしまう。
41.
42. 匿名処理班
※1
笑いすぎて誤って「+」のボタンおしちゃったよ。
言い回し、言語表現の問題だと本気で思っているなら、一度「うつ」について勉強した方がいいよ。
気づいてないだろうけれど、君はとても恥ずかしいことを言ってる。
「自分に酔ってる」なんて、知識もなければ理解もない偏見だらけの人間がいるから、うつ病患者はより苦しむ羽目になるんだろうね。