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池袋晶葉「逆説の楽」|エレファント速報:SSまとめブログ

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池袋晶葉「逆説の楽」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:21:31.34 ID:3kBxttcs0

モバマス・池袋晶葉メインのSSです
多分に私見が入っているので話半分で読んでもらいたい



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:24:11.77 ID:3kBxttcs0


~事務所・日当たりのいい場所~


晶葉「杏よ、知っているかな?」

杏「何を?」

晶葉「脳のエネルギー源は糖分だ」

晶葉「たんぱく質でも脂肪でもビタミンでもない、糖分でなくてはならないのだ」

杏「あ~なんか聞いたことある」

晶葉「すなわち甘味なくして頭は働かない」

杏「杏は甘味があっても働かないけどね」

晶葉「それは助手が許しておかんだろう」

晶葉「さておき、ロボット製作は言わずもがな頭脳労働」

晶葉「故に、私が君の所持するお菓子を所望するのも致し方ないことなのだ」

晶葉「以上、証明終了だ」

杏「雑な証明だな~」

晶葉「それだけ頭が働いていないということさ」

杏「まあお菓子の一つや二つ別にいいけどさ・・・」



3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:26:29.71 ID:3kBxttcs0


杏「っていうかわざわざ杏のとこまで来なくても事務所の冷蔵庫漁ればなんかあるでしょ?」

晶葉「実はただお菓子をたかりに来たわけではないのだ」

晶葉「いま製作中のロボットが完成したら、君に試験運用をお願いしようと思ってね」

杏「え~~面倒ごとはゴメンだよ。他の人に頼んでよ」

晶葉「いや、君が適任なのだ」

晶葉「今回の発明のコンセプトはロボット製作の原点に立ち返ることだからな」

杏「へ~、どんなロボットなの?」

晶葉「それは完成してからのお楽しみとしておこう」

晶葉「さて、それでは仕上げに入るとしよう」

杏「あ、ここでやるの?別に良いけど・・・」

晶葉「来週は仕事が立て込んでいてな、ヒマがあるあいだに完成させてしまいたい」ガチャガチャ

杏「あ、そう。お菓子ここに置いとくから、好きにしなよ」

晶葉「・・・すまない、両手が塞がってしまった。食べさせてはもらえないだろうか?」

杏「も~しかたないな~、はい口開けて」

晶葉「ありがとう・・・うむ、美味い」

杏「晶葉って頭良いけどたまに後先考えないよね」

晶葉「・・・ロボット製作に夢中になるとそういう面が発露することは否定できないな」



4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:28:47.13 ID:3kBxttcs0


杏「杏をこき使うんだからちゃんと良い物作ってよね」

晶葉「この程度でこき使うと言うなら世の労働者は全て労働基準法違反となるぞ?」

晶葉「助手など地獄の獄卒も真っ青なレベルだ」

杏「それだけ働きたくないって意味だよ」

杏「ところでロボット製作の原点に立ち返るってどういうこと?」

晶葉「ふむ、逆に問おう」

晶葉「人間はなぜロボットを・・・否、ロボットに限らず様々な機械や道具を作るのか?」

杏「そりゃあ作業の効率化とか人件費削減のためじゃないの?」

晶葉「それも真実の一つの側面ではある」

晶葉「もっと根源的な部分を言及するならば、『人間が楽をするため』だ」

杏「身も蓋もない言い方だね」

晶葉「だが、そういう表現のほうが好きだろう?」

杏「まあね」

晶葉「人間は楽に遠くへ行くために自動車を作り、楽に家を建てるために重機を作り、楽に生きるために医療技術を発達させた」

晶葉「科学技術の進化の歴史とはすなわち、人類の堕落の歴史であるとも言える」



5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:31:03.74 ID:3kBxttcs0


杏「なるほどね、そうやって世の中が便利になる一方ならニートが増えるのも仕方がないことだよね」

杏「つまり杏がニートなのも仕方ないことなんだよ、うん」

杏「以上、しょーめーしゅーりょー」

晶葉「これは一本取られたな・・・まあ私は働かないことそのものは悪いことであるとは考えていない」

杏「そうなの?」

晶葉「うむ、野生動物は楽に食べ物が得られる環境ならばわざわざ危険な狩りなどしないだろう」

晶葉「それと同様に人間だって働く必要がないなら働かなくても問題はないはずだ」

晶葉「例えば親が資産家で子供のすねかじりを許容している場合や、宝くじで億万長者になった者などだ」

晶葉「ニートの何が問題なのかといえば、経済的な理由で働かざるを得ない状況にあるのに意図的に働かないことだ」

晶葉「そういった者が生活保護費などで国費を食いつぶし、経済の輪から外れることで不景気に影響を及ぼしているのだろう」

杏「ふ~ん、そんなもんなんだ。そこまで考えたことなかったな~」

晶葉「半分はニュースの受け売りだがね」



6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:33:08.94 ID:3kBxttcs0


杏「・・・ふと思ったけど、アイドルっぽくない夢のない会話だね、コレ」

晶葉「言われてみればそうかもしれないな・・・では夢のある話をしようか」



晶葉「人間と同等の働きが可能なロボットが実用化されれば、人間が働かなくてもなんら問題はなくなる」



杏「それは夢があるね」

晶葉「ふふっ、そうだろうとも」

杏「とりあえずさ、杏の代わりに働いてくれるロボットを最優先でお願いね」

晶葉「請け負った・・・と言いたい所だが・・・」

晶葉「大企業の研究しているロボットでさえ二足歩行がようやく安定してきたところだからな」

晶葉「アイドルのように滑らかに歌って踊れるロボットはまだまだ先の話だ」

杏「そりゃそうだよね」

晶葉「ちなみに私が作ると足がキャタピラになるが構わないか?」

杏「ダメじゃんそれ・・・ある意味滑らかだけどさ」

晶葉「キャタピラの走破性は凄いんだぞ?不整地や坂道も楽々突破だ」

杏「アイドルに必要な性能なのかな、それ?」



7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:37:04.85 ID:3kBxttcs0


杏「そういえばこのあいだニュースでやってたけど感情豊かに会話ができるロボットが出来たらしいね」

晶葉「あのロボットは凄いぞ~!」

晶葉「様々な表情を再現する顔の機構もさることながら、やはり特筆すべきは人工知能だろう」

晶葉「あれは革新的な発想だ」

杏「今までのとどう違うの?」

晶葉「既存の人工知能は後天的な学習で感情を獲得させようとしていたのだが」

晶葉「今回のものは人間が先天的に持っている感情を生み出す機能の再現を試みているのだ」

晶葉「さらに相手の感情を推察する能力まで備えている」

杏「うん?え~っと・・・どういうこと?」

晶葉「前者は感情の獲得と言っても結局のところ算数を教えているのと同義なのだよ」

晶葉「1+1の答えが常に2であるのと同様、同じ質問をすれば同じ答えしか返ってこない」

晶葉「褒めると喜ぶ、貶すと怒る、といった反応も常に一定となってしまう」

杏「表面的には感情があるように見えるけど、本当は心の底からの反応じゃないってこと?」

晶葉「これは極端な例えで実際はもっと複雑なのだが、概ねその通りだ」



8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:39:03.80 ID:3kBxttcs0


晶葉「それに対して後者は、最初から人間の本能に近い能力を有している」

杏「本能?」

晶葉「そう、例えば『未知の物に対する恐怖』などがそうだ」

晶葉「そうだな・・・きらりにカワイイと言われたらどう思う?」

杏「う~ん、もう言われ慣れちゃったけど、まあ悪い気はしないね」

晶葉「では夜道で見知らぬ怪しい男にカワイイと言われたらどうだ?」

杏「なんだコイツ?って感じで警戒するね」

晶葉「まあそうだろうな。同じ言葉であっても、相手と状況によってリアクションは変わるものだ」

晶葉「要は人間のそういう部分を最初から持っているというわけさ」

晶葉「これと後天的な学習との組み合わせにより人間関係や周囲の状況を考慮した複雑で深みのある感情表現が可能になっている」

杏「ほえ~、人工知能が本当に感情を持つ日もそう遠くないのかな」

晶葉「実は感情獲得のプロセスだけで言えばすでに人間と変わらないのだよ」

晶葉「人間もまた生来の機能と学習の組み合わせにより感情を獲得しているからね」

杏「あ、言われてみればそうかもしんない」



9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:41:24.69 ID:3kBxttcs0


晶葉「また身も蓋もない言い方になるが、人間とて所詮たんぱく質で出来たバイオコンピュータにすぎないのだ」

晶葉「神経ネットワークの構造が複雑過ぎ、かつ個性の振れ幅が大きすぎて解析が容易でないというだけさ」

晶葉「もし人間の脳の構造を工学的に再現出来れば、もはや人間と言って差し支えないレベルの人工知能が出来るだろう」

杏「でも杏、思うんだけどさ、感情を持たせる必要ってホントにあるの?」

杏「SFで良くあるじゃん、自我に目覚めたAIが人間に反乱を起こすとか人権を主張する、みたいなの」

晶葉「ふむ、そこに関しては難しいところだな」

晶葉「感情を持つ人工知能を作る挑戦は、技術的・学術的には大いに価値があるだろう」

晶葉「しかし実際作ったところでどの程度の需要があるか、と言う点が問題となる」

晶葉「たとえノーベル賞級のスゴい技術であっても人の役に立たなければ普及しないからな」

杏「たしかにこの家電にはノーベル賞取ったあの博士の技術が使われてる!とかいう売り文句は聞いたことないね」

晶葉「実際は数学や物理の基礎理論などは社会に大きく貢献しているのだがね」

晶葉「さておき、感情を持った人工知能を搭載したロボットが必要となる場面と言えば・・・何か思い付くかね?」

杏「え~っと老人介護とか家事お手伝いロボットとか人間の身近なとこに必要とされるやつかな?」

晶葉「他には?」

杏「他ぁ?え~う~ん・・・」



10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:43:18.56 ID:3kBxttcs0


晶葉「まあ一般的にはその程度だろう。過酷な環境での労働用ロボットに感情を持たせたところですぐにストライキを起こすだけさ」

杏「誰かさんみたいにね」

晶葉「人間の近くに置くものは特に安全性を重視する。人間に危害を加えるような行動は徹底して制限するはずだ」

晶葉「ゆえに反乱を起こす心配はまずないだろう」

晶葉「杏もロボットを作って売る側になったつもりで考えればわかる」

晶葉「主人の命令を聞かずケンカを売ってくるような物は作らないし売れるとも思わないだろう?」

杏「ぐうの音も出ない正論だね」

晶葉「仮にフィクションのように自我に目覚めて反乱を起こしたとしても、それはそうなることを予測できず対策を打たなかった製作者の怠慢でありロボットの責任ではない」

晶葉「人工知能に感情を持たせる必要があるのか否か、の問いの答えとしては」

晶葉「一部の需要を除いて必要ない、という結論になるな」

晶葉「しかしこれは人工知能を使う側、あるいは売る立場からの観点だ」

晶葉「実用化に向けて研究している人達が実際どう考えているかはわからないがね」



11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/08(日) 19:45:54.06 ID:3kBxttcs0


杏「ふ~ん・・・映画みたいにロボットが人間みたいに暮らしてる未来は来ないっぽいね~」

晶葉「所詮は素人考えなので断言はできない。そういった未来がくる可能性はもちろんあるさ」

杏「まあ来たら来たで人権とかどうすんだろって疑問も出てくるね」

晶葉「ロボットや人工知能の人権か・・・それもまた難しい問題だな」
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2017年01月08日 23:18
      • ほんだみおしね
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2017年01月08日 23:26
      • シンプルなオチに至るまでの色々な話。とても楽しく読めた。
        晶葉は天才可愛い。
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2017年01月08日 23:46
      • 人の在り方とはなんなんだろうね
        少なくとも現代社会の構造では「働かざる者食うべからず」の原則があるが仕事をロボットが代行するであろう未来に人間が生きる余地や意味など有るのだろうか
        古代ギリシアやローマの貴族ように奴隷が機械になっただけの選ばれし者だけがのうのうと生きる世界になるんだろうか


        こんなネットの片隅で考えるような事ではないけども
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2017年01月08日 23:55
      • 5 晶葉のこういうssもっと増えて欲しい
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2017年01月08日 23:55
      • いや、もしそうなれば機械に生かされているか生かしていただいていると表現した方がいいのかもしれない
        動物園みたいに
      • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2017年01月09日 00:01
      • ビートレスって小説がある このSSに思うところのある奴なら読めるはずだ オススメだ

        杏に性的にアナログハックされたい

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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