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恐竜の頂点に立つ、ティラノサウルスのイメージを変えた10の発見 : カラパイア

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 今から約6,850万〜 約6,550万年前、北アメリカ大陸に生息していた肉食恐竜、ティラノサウルス・レックスは、現在知られている限りで史上最大級の肉食恐竜の一つに数えられている。

 恐竜時代の最末期を生物種として約300万年間生態系の頂点に君臨するが、白亜紀末の大量絶滅によって最期を迎えている。

 恐竜の頂点に立つティラノサウルスに関する事実は徐々に解明されつつある。実は社会性があったというティラノザウルスの、最新の研究から明らかになった姿を見ていこう。
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10. ティラノサウルスには唇があった


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 ティラノサウルスはギザギザした牙を常にむき出していたわけではなかったのかもしれない。ある研究によると、唇があり、歯はそれにきちんと覆われていた可能性があるらしい。

 ティラノサウルスの牙はエナメルで薄くコーティングされていた。虫歯を防ぐには、エナメルの湿気を保たねばならない。今日の大型爬虫類がこの説を支持しており、例えばコモドオオトカゲの歯はきちんと覆われている。

 ワニのような唇のない近縁種は水中に生息するため、唇で湿気を保つ必要はない。T・レックスは陸上に生息していたのだから、10〜15センチの歯を保つために唇が必要だったはずだ。


9. 群れで行動していた


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 カナダ西部で3匹のティラノサウルスが一緒に移動していた足跡が発見された。ここからティラノサウルスの興味深い行動が明らかになった。

 3匹は大人で、恐竜同士が喰らい合う世界を生き残る術を心得ていた。3匹とも30歳くらいで、ティラノサウルスとしてはかなりの年齢だ。保存状態は良好で皮膚の跡はおろか、1匹の左足の爪が切れていることまで確認された。

 彼らは隣り合って歩いていたが、お互いの手の届く範囲からは離れていた。一続きのT・レックスの足跡としては初めて発見されたもので、彼らが群れを形成したという証拠である。


8. 恐るべき十代


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 カナダの3匹が互いに距離をとっていたのには理由がある。ティラノサウルスは子供時代から熾烈なバトルを繰り広げていたからだ。性別不明ながらも”ジェーン”と呼ばれる若い化石には骨まで届く咬み傷があった。

 彼女の吻と上顎は、危険な襲撃のおかげで鼻が損傷した形跡があった。彼女自身の歯が傷の形や大きさと一致していることから、犯人は同年代の仲間だと推測されている。ジェーンは12歳で死んだ。その頃には吻は治っていたが、少々平らになっている。彼女がもっと若い頃に喧嘩をしたということだ。

 12歳のジェーンはすでに脅威的であった。大人よりは小さいものの、体長7メートル、腰の高さは2.5メートル、さらに体重は680キロあった。


7. 性別の壁


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 古生物学者はいまだにオスとメスの区別に苦労している。ツノやトゲやフリルがある種であっても、どういうわけかまったく同じ形であり、性別を示す確たる特徴にはならない。

 MOR 1125で検索してみよう。退屈な標識番号であるが、これが付けられたティラノサウルスは画期的な化石である――はっきりとメスであることが分かるのだ。その大腿骨には、彼女が命を落とす際に妊娠していた証拠が残されていた。内部に髄様骨という特殊な組織が発見されたのだ。これは現代の鳥類において、優れた妊娠テストになるものである。

 専門家は病気だった可能性を調べるためにいくつもの試験を行なったが、結果はシロであった。問題の組織は、化学的にも構造的にも髄様骨に一致している。このことは、鳥類と同じく、妊娠した恐竜ではエストロゲンの急激な上昇によって髄様骨が形成されることを証明している。


6. 共食いしていた


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 仲間同士の喧嘩は鼻を折るだけでは済まない。腹が減っていれば、相手の肉で空腹を満たすこともあった。

 ティラノサウルス・レックスは生きるために大量の肉が必要だった。糞の化石には消化しかけの骨や肉が含まれており、代謝が速く、すぐさま腹が鳴って次の肉を求めたであろうことが窺える。
 
 また共食いを行なっていたことも知られている。いくつかの骨から、そのトレードマークであるギザギザの歯による傷が見つかっているからだ。ただし仲間を殺していたのか、それとも死んだ仲間の肉を食べていたのかまでは明らかではない。どちらもありそうだ。


5. 歯の鞘(さや)


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 映画で描かれるティラノサウルスの鋭い歯が印象に残っている人もいるだろう。だが、その致命的な一咬みは外見だけのものではない。実はその中に秘密があるのだ。

 各歯はステーキナイフのようにギザギザしている。その先端は、当初強い衝撃によってできたヒビ割れと勘違いされていたものの中に触れている。だが最新の研究では、”ヒビ割れ”は食事によるダメージではなく、内部の鞘のようなものだったと述べている。

 この鞘が歯の鋭さと安定性を保ち、命がけで逃げようとする獲物に折られてしまう危険を最小限にする。こうした歯の構造はティラノサウルスや他の肉食獣脚類に特有のものだ。牙をしっかりと保持するその機能は、この恐竜が史上最大の肉食生物として地球上を闊歩できた理由かもしれない。


4. ナノティラヌス


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 1988年、古生物学者のロバート・バッカーは、ティラノサウルスに似た頭蓋骨が新種ナノティラヌスのものであると発表した。ティラノサウルスの頑丈な頭部に比べると、その化石は小さくて狭いうえに、歯の数が多かった。

 果たして本当に華奢な独立した属なのだろうか? ひょっとすると子供のT・レックスではないのだろうか?
 
 ティラノサウルスが成長しながらかくも劇的に変化すると信じる者はほとんどおらず、議論は長年に渡って紛糾した。2001年、現時点では最も完全な若いティラノサウルスがモンタナ州で発見された。それは他ならぬジェーンである。成長途中のこの化石は、ナノティラヌスとされる種の血筋を本来の種に結びつける橋渡しとなってくれた。ジェーンには、ナノティラヌス固有の特徴と考えられていた顎骨の隙間があったのだ。

 ナノティラヌスは過去のものとなった。だが、そのおかげでティラノサウルスは成長に応じて大きく外見を変えていたことが明らかにされた。


3. 知性ゆえに捕食者として頂点に立てた


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 ティラノサウルスの進化の時系列にもギャップが存在する。皮肉にも、それはもっと小さなティラノサウルスを含む。つまりティムルレンギア・エウオティカという祖先のことだ。
 
 最初期の馬ほどの大きさの祖先がいかにして7トンを超える捕食者の頂点に立ったのか、これまで専門家は理解することができなかった。その答えがティムルレンギアかもしれない。その脳頭蓋は高い知能を有していたことを示している。ティラノサウルスが頂点に立ったのは、体の大きさではなく、その知性のおかげでありそうなのだ。

 ティラノサウルスの仲間は数百万年の間、より大型の肉食恐竜の脇役に過ぎなかった。頂点の座が狙える状況になったとき、彼らはすでに知性と他の候補を打ち負かすだけの鋭い感覚を備えていた。興味深いことに、よく知られた巨体はその後の恐竜の時代も終わりに近づいた頃になって進化したものだ。


2. 首刈り族


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 専門家はトリケラトプスの首のフリルに興味を惹かれた。ティラノサウルスがフリルを噛んだり、引っ張ったりした痕跡があったからだ。

 獲物の各化石の調査から、ティラノサウルスがその骨の付属器官に熱狂したと思われる頃には死んでいたと判断された。彼らがなぜ肉のないものに齧り付いていたのかと不思議に思いながら専門家がさらに調査を進めると、恐ろしい事実が浮かび上がった。

 大人のティラノサウルスにはトリケラトプスの首を切り取る習慣があったのだ。齧った痕は凄まじい力で引っ張ったどころではなく、ティラノサウルスが獲物の首を引っこ抜くためのものだった。

 トリケラトプスの首の筋肉は大のご馳走だったようだ。だが、それにありつくには骨のフリルが邪魔をしている。トリケラトプス数匹の首関節からは、首が切り落とされない限りはつかないような切り傷も発見されている。


1. 吠えない


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 ティラノサウルスがどのような鳴き声をしていたか知るために専門家が調べたのは、現存する最も恐竜に近い生き物だ。それは主竜類――つまりワニや鳥類である。そしてT・レックスのような大型恐竜は大地を震わせるような吠え声など上げないと結論が出された。

 羽毛のある子孫のように、声帯ではなく、空気嚢があり、ひょっとしたら鳴管すらあったかもしれない。だが声帯がなければ怒号を上げることはできない。

 コミュニケーションの必要性を感じると、他の大型鳥類と同じく、T・レックスは嚢を膨らませて、顎を開けることなくノイズを発生させただろう。その鳴き声を聞けばきっとがっかりする――ブーブーやクークーといった具合だろうから。

via:Top 10 Discoveries Changing T. Rex Forever/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 20:37
  • ID:Ug9OCSkw0 #

唇に関しては結構昔から一部の学者がワニのイメージが
混入したんだろうと指摘してましたね。
唇のある口を閉じたティラノサウルスの再現図は
見たことがありますが、すごく優しい感じがして笑えましたw

2

2. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 20:44
  • ID:TiZVBmDp0 #

唇があって毛もフサフサのティラノサウルス見てみたいなぁ

3

3. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 20:50
  • ID:1YxbZ6M10 #

恐竜研究は少し前の常識がどんどん過去になって行ってるんだなあ

4

4. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 20:52
  • ID:PsY9gy.A0 #

これらの特徴全てを備えていてもなお実物は美しかったはず。
なぜなら今の生き物も皆美しいから!

5

5. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 20:55
  • ID:T3tdDSw90 #

つまり羽毛のある、二本足で立つコモドオオトカゲでOK?

6

6. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:00
  • ID:lOYKx5W.0 #

おっさん世代には直立してなかったってのが入ってないのが物足りない

7

7. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:04
  • ID:rgFY79lv0 #

誰か開発してくれよ〜
タイムテレビ

8

8. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:09
  • ID:XJ.dKXGE0 #

今日のダーウィンが来たでやってたのもあるね

9

9. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:09
  • ID:L8b9Oyjg0 #

1〜10の中で一番ビックリしたのは「吠えない」です。
映画ジュラシックパークでは、
姿が見えなくても声だけでビビる存在だったなぁ〜

研究者の方々の熱意も素晴らしいです。

10

10. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:09
  • ID:4t8Ftv.y0 #

丁度「ダーウィンが来た」を見たばかり。
羽毛が生えてて、ふさふさしてて……
何か……
頭の毛の色も緑っぽくしてて……
超強いおばちゃんみたいだった。。。
今までのイメージが変わった。

11

11. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:27
  • ID:EUaYSO0J0 #

>ブーブーやクークーといった具合だろうから。
森の中で鳥の声が聞こえたと思ったら頭上5mにTレックスとかむしろ怖くね?

12

12. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:27
  • ID:EZVOEIGR0 #

何とティラノサウルスは白亜紀が終わってからも50万年も絶滅しないで生き残ってたらしい

13

13. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:34
  • ID:2WdN5BFv0 #

丁度さっきダーウィンが来た!で見た

14

14. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:38
  • ID:Jk.Uq2pA0 #

未だに存在意義のよくわからない小さい手

15

15. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:39
  • ID:6tbLulDg0 #

個人的には羽毛があったという説が一番衝撃的だったけどな。しかも再現図ではカラフルな羽毛で、お前誰だって感じだった。

16

16. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 21:50
  • ID:5p4b3yC10 #

あとは皮膚の化石が発見される日が来るといいが
かなり困難だろうけどいつかされると信じる

17

17. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:04
  • ID:m5eteTXT0 #

羽毛については入ってないけど、まだ確定じゃないってことでいいですか!?
もふもふは大好きだけど、心情的にもふもふティラノは認めたくない…

18

18. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:05
  • ID:rgFY79lv0 #

ティラノサウルスのキスマークはでっかいだろうな

19

19. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:11
  • ID:tMMNXGrh0 #

6さんの言うとおり昔の説だとティラノの背筋は直立してた
ゴジラのフォルムは直立時代のティラノを参考にしてる
背筋が直立してると素早く動けないのだがそれでもティラノは最強だった
しかし実は背筋が横になってて素早く動けたと知ったときの衝撃すごかったな

20

20. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:38
  • ID:9.laN.gy0 #

ドラえもん「あの話はなかったという事で」
のび太「記憶にございません」
ピースケ「俺の姿は多分ほぼ合ってる」
スネ夫「え?考古学者が鼻でスパゲッティを?」

21

21. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:39
  • ID:WzFO14rJ0 #

わかりやすくイメージするとしたらモンハンのイビルジョーに体毛が生えてるような感じか

22

22. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:40
  • ID:HWb9UFrQ0 #

※8
鳴声は相変らず勇ましかったが

23

23. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:41
  • ID:YT1ks2Zm0 #

狡猾かつ獰猛、好戦的で群れで行動し毛がフサフサで唇のあるティラノサウルス・・・

うーん想像出来るような出来ないようなw

時代が進むにつれ新しい技術でどんどん色んな事が分かってくるのは面白いなぁ。

24

24. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:53
  • ID:9NOD0BAT0 #

もう30年くらい前、地球上の全員が恐竜は巨大な爬虫類だと信じてた中、飛鳥昭雄だけは哺乳類だと唱えてたし、体毛もあると訴えていた
段々と証明されて間違って無かったと、ずっと信じて嬉しい
これからも恐竜が巨大すぎるのは、地球の大きさと重力が変化したと証明されるだろう

25

25. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:53
  • ID:d14rxk..0 #

※6
ジュラシックパークの衝撃といったらなかったね。

26

26. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:54
  • ID:K6I167ty0 #

昔、生態はワニやオオトカゲを参考にしていたので、単独行動であまり素早くないと思われていたが、最近はより近い存在として鳥類を参考に考えられているので、群れで生活して素早く動け、そして発見された羽毛がより鳥類に近い事を決定づけているのが面白い。

27

27. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 22:58
  • ID:L8b9Oyjg0 #

極端に短い前足(手?)がとても謎な気がするけど
それは研究対象じゃないんですね〜

28

28. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 23:04
  • ID:baTTBfIu0 #

映画だとゴジラの影響で吼えてるんだろうね。

29

29. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 23:05
  • ID:Y68I1P9H0 #

唇はωみたいなヒゲぶくろが付いてると可愛い

30

30.

  • 2017年01月08日 23:25
  • ID:EZVOEIGR0 #
31

31.

  • 2017年01月08日 23:28
  • ID:Gcs.8UCg0 #
32

32.

  • 2017年01月08日 23:37
  • ID:6iacnW030 #
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33.

  • 2017年01月08日 23:52
  • ID:4KPZVQ3s0 #
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