蒼星石と新七草粥
- § 主な登場人形紹介
【真紅】 鯛の尾頭付きよりもウナギのかば焼きが食べたい第5ドール。
【雛苺】 お節料理もいいけどカレーもねと言われたのでお節料理にカレーをかける第6ドール。
【翠星石】 おみくじで大吉が出るまでやり直す第3ドール。
【蒼星石】 神社をめぐって神木をなめまわすほど庭師意識が高い第4ドール。
【水銀燈】 逆十字を標された最凶の長女だが、おみくじで大吉を一発で引き当てる第1ドール。
【金糸雀】 ずんだ餅が好き。
【珪孔雀】 新年なので紅白の水引きリボンが出てくる第8ドール。
【雪華綺晶】 お正月の間は右目に橙を収めていた第7ドール。
【薔薇水晶】 ゆるキャラ『ばらっしー』としても活動できる多芸な要注意外来ドール。
- § 桜田ジュンの部屋
真紅「ぬわあああああん! 疲れたのだわ、もぉお~!」
翠星石「疲れたですぅ」
雛苺「疲れたの…」
ジュン「お前ら、最近いつも疲れてんな。と言うか、ずっと食っちゃ寝ばかりで何もしてないのに疲れたとか…」
真紅「お正月で美味しいお節料理ばかり食べ続けて、胃が疲れたのよ」
翠星石「まったく、のりの作る料理には困っちまうですぅ」
雛苺「ヒナ達の胃袋のギャラも考えてほしいのよね!」
真紅「それを言うならギャラじゃなくてキャパね、雛苺」
ジュン「…つまり、ただの食べ過ぎというわけか。くだらない」
真紅「くだらないとは何事よ!」
翠星石「そうですそうですぅ! 大食い早食いは消化器官にボディブローのように地味にダメージがあるんです」
ジュン「自分でそれが分かってるなら、慎めよ…食べ過ぎを」
真紅「体に悪いと分かってても、抗えない誘惑がのりの料理にはある」
雛苺「真紅なんて、途中でわざと吐き戻したりしながら新しい料理を食べ続けてたのよね」
ジュン「古代ローマ貴族か」
真紅「戦えば誰かがいなくなるという覚悟のアリスゲームを経た私達にとっては食べ過ぎぐらい屁でもないけどね」
翠星石「あー…、そう言えば最近、目の前で双子の妹に死なれてねぇなー、ですぅ」
雛苺「日常生活に刺激がないから、食べる事でしかヒナ達は欲望を満たせないのよね…」
真紅「水銀燈殴りてぇな~、あっ…、薔薇水晶も殴りてぇな~」
翠星石「流石の真紅アリスは、新年早々から闘志みなぎってるですねえ」
真紅「ええ、新年だからこそ初心忘るべからずだわ」
翠星石「その闘争本能、翠星石も見習わねば…」
雛苺「ヒナもなんだか無性に誰かを囲んで棒で叩きたくなってきたの」
ジュン「駄目だこいつら。人形の屑だ…ローゼンデブリだ…早く何とかしないと」
真紅「私達をクズ呼ばわりとはいい度胸ね、下僕のくせに」
翠星石「調子こいているチビ人間には、力ずくで教育せねばならぬですか…」
雛苺「うぉお~あんま~! ジュ、ジュンを棒で叩くのぉー! 動かなくなるまでいっぱい叩くのーっ!」
ジュン「てめぇら正気か!?」
真紅「当然よ! やったれだわ! オラー…あ? うっ…」ビクン
翠星石「真紅っ!? どうしたです、急にお腹を抱えてうずくまったりして!?」
真紅「胃もたれがひどくてっ…、しんどくて動けない」
雛苺「ふんっ、真紅の調子が悪くて運が良かったのよねジュン」
翠星石「このラッキーボーイめが、ですぅ」
ジュン「なんて情けない理由…」
真紅「うぐぐぐぐ…、しかし、この胃もたれと気怠さは異常っ!」ガクガクブルブル
翠星石「まさか!? 真紅が水銀燈からnのフィールドを介した高度な精神攻撃を受けている可能性が存在しているです?」
雛苺「あやややや、おめでたい新年から陰湿な攻撃を始める水銀燈の人は怖すぎなのよ! ヒナ失禁スレスレなのー!」
ジュン「無理やり吐いたりしながらでも、食べ続けていたせいだろ。水銀燈は関係ないと思うぞ」
翠星石「んなっ!? 水銀燈をかばうと言うのですかチビ人間!? あのクソ長女からいくらもらったですかテメェ!」
雛苺「ジュン、ひょっとして水銀燈の人の手先に…!?」ガクガクブルブル
ジュン「まったく、ああ言えばこう言う奴らめ」
真紅「ハァハァ…、水銀燈のせいではないとしても胃もたれ不快指数がMAXパワーMAXスピードだわ…」
翠星石「大丈夫ですか真紅? お薬飲むですか?」
真紅「いいえ、アリスとしてドラッグに溺れるわけにはいかないわ」
雛苺「真紅ぅ…」
ジュン「……」
蒼星石「やあ、ドールズ。話は全て聞かせてもらったよ、随分とお困りのようだね」ドジャァーン
翠星石「蒼☆星☆石ーっ!?」
雛苺「みょわわわーっ!? いきなり背後から現れるなんて心臓に悪いのーっ! ヒナ、失禁スレスレなの!」ジョワ~
ジュン「お前も新年早々、何の前触れもなく唐突に僕の部屋に現れるよな」
蒼星石「あれ? 年賀状に書いておかなかったっけ? 今年も桜田家に遊びに行きますって」
ジュン「いや、確かに書いてあったけどさ。年賀状を前フリにされても…」
蒼星石「それはさておき、お節料理で疲れた胃を癒すのにとっておきの方法がある」
ジュン「あっ、何だか嫌な予感」
真紅「とっておきの方法…?」
蒼星石「ずばり、七草粥だ」
翠星石「七☆草☆粥ーっ!?」
真紅「なるほど、時節柄からしても良い行事食だわ」
雛苺「けど、蒼星石が言うからにはただの七草粥じゃあないのよね」
ジュン「だろうな。きっと、nのフィールドの秘境に生えている幻の草を集めろとかRPGみたいなこと言いだすぞ」
蒼星石「はっはっは! やだなぁジュン君、僕を何だと思ってるのさ」
ジュン「翠星石と真紅の間に挟まれたドールが、まともなわけないと最近は思っている」
蒼星石「ごめん、ジュン君がちょっと何を言ってるか分かんない」
ジュン「分かるだろ! そういうとこだよ、僕が蒼星石のおかしいと思うとこ!」
翠星石「ともかく、蒼星石のおススメは普通の七草粥ですか? 春の七草ならスーパーで買えば手っ取り早いですね」
蒼星石「そうだけど流石にスーパーで七草を買うのは庭師として認められない。七草は採取しようよ」
翠星石「うへぁ、出たですよ。薔薇乙女一の天然志向のネイチャー蒼星石=サンが…」
真紅「めんどくささがMAXパワーMAXスピードだわ」
雛苺「外は寒いから、七草探しで裏山とかに出かけたくないの」
蒼星石「大丈夫大丈夫、七草なら僕がこの日のために家庭菜園で育てていたから」
ジュン「七草を? わざわざ育てて…?」
蒼星石「うん。だから翠星石達に手伝ってもらいたいのは、菜園での採集。簡単なお仕事だよ」
翠星石「おっ…、そういう事なら翠星石達でもできそうですね」
真紅「楽して新鮮な七草ゲットで七草粥をイート。美味しい作戦だわ」
蒼星石「よぉし、それじゃあ今すぐ薔薇屋敷に集合だ! みんなも待ってるから急いでね」
真紅「みん…な…?」
ジュン「僕は行かないからな。身の危険を感じる」
- § 薔薇屋敷の庭
水銀燈「おっそい! 大体何で真紅達なんかを私が待たないといけないわけぇ!?」
金糸雀「カナに問い詰められても困るかしら水銀燈…」
雪華綺晶「蒼のお姉様が育てた七草は、薔薇乙女が揃わなければ採集が困難なようですわ」
珪孔雀「楽しみですね」
水銀燈「いや、そのリアクションはおかしいでしょぉ珪孔雀。何で七草を摘むだけのことに、私達まで…」
ばらっしー「みんなで頑張って、みんなで食べれば七草粥も美味しくなるらっしー!」
水銀燈「薔薇水晶も、特に意味もなく『ばらっしー』仕様だし…」
蒼星石「ごめんごめん、みんな待たせちゃって。桜田家の三馬鹿…じゃあなかったローゼンデブリを連れてきたよ~」
真紅「…言い直せてないわよ蒼星石」
雛苺「あややややや!? 珪孔雀やばらっしーまで薔薇屋敷にいるのよ!?」
翠星石「なんでです!? 全員集合なんでです!?」
蒼星石「実は僕が七草を栽培している菜園の入り口は薔薇屋敷にあるんだけど、奥はnのフィールドに繋がっているんだ」
真紅「げろげろ…。やっぱり、そういう流れになっちゃうわけなのね」
蒼星石「調子に乗って家庭菜園を開拓していたら、屋敷の敷地内だけじゃあ満足できなくなっちゃって」
ばらっしー「家庭菜園ってレベルじゃあないらっしー!」
金糸雀「相変わらず、蒼星石の向上心はとどまるところを知らないかしら」
蒼星石「そういうわけで菜園が広すぎるせいで、薔薇乙女で手分けしないと今日中に集められないんだ」
水銀燈「やれやれだわぁ」
蒼星石「勿論、頑張ってくれたら出来上がった滋味あふれる七草粥をお土産にも包むからさ、頼むよ」
雪華綺晶「まあ私達も、正月疲れのマスター達に滋養溢れる食事を摂ってもらいたいですからね」
金糸雀「カナもお疲れのみっちゃんに元気を取り戻してほしいかしら」
翠星石「ほほぅ、カナチビどもはマスターのために協力しているのですか」
蒼星石「早速、七草採取のための担当分けをさせてもらうよ。nフィー菜園の地図も渡すね」
水銀燈⇒エヌセリ担当
金糸雀⇒エヌナズナ担当
翠星石⇒エヌゴギョウ担当
真紅⇒エヌハコベラ担当
雛苺⇒エヌホトケノザ(エヌタビラコ)担当
雪華綺晶&薔薇水晶⇒エヌスズナ担当
珪孔雀⇒エヌスズシロ担当
雪華綺晶「あれ? 私とばらっしーは一緒なのですか?」
蒼星石「他のドールズには専属の人工精霊がいるけど、雪華綺晶にはいないでしょ?」
雪華綺晶「なるほど、と言って良いのでしょうか…」
ばらっしー「ばらっしーは雪華綺晶のヘルパーとして頑張るっしー!」
蒼星石「その意気だ、よろしくばらっしー」
珪孔雀「と言いますか、全部がエヌ〇〇って名前の時点で嫌な予感しかしないんですが」
蒼星石「大丈夫、ぼくがちょっとnフィーにあわせて品種改良しただけだからさ」
金糸雀「それが一番、不安かしら」
雛苺「それはそうと蒼星石は何の担当なのよ?」
真紅「まさか一人だけ楽しようとでもっ…!?」
蒼星石「そんなわけないよ。七草をどっしりと受け止めるお粥、その新米の精米をしなくちゃあいけないんだ!」
翠星石「精米~?」
蒼星石「この日のために僕が数年前に田んぼ作りから始めて、漸く収穫できたとっておきの新米さ」
水銀燈「えっ…!? 田んぼ作りから…?」
金糸雀「蒼星石の一人鉄腕ダッシュはとどまるところを知らないかしら…!」
珪孔雀「田んぼ作りからとかTOKIOでもそこまではしな…、いや、やりそうですけど…」
蒼星石「ともかく、この新米…名付けて『蒼星米』は僕の子供も同然。僕が自ら精米しなくちゃあね」
真紅「…蒼星石がそこまで情熱を傾けているのなら仕方ないわね」
翠星石「流石に、ここまで来てお手伝いをお断りしちゃうのは寝ざめが悪すぎるですぅ」
水銀燈「ふんっ、面倒くさいけど蒼星石の新米が味わえるなら苦労の価値もありそうねぇ」
雪華綺晶「じゃあ、蒼のお姉様からいただいた地図の目標目指して出かけますか、ばらっしー」
ばらっしー「オッケーだっしー!」
珪孔雀「
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- :-:2017/01/09(月) 14:26:35
- 鉄血にダンジョン飯……ほんと守備範囲が広いというか雑食というか
あっ大ちゃんお久し振りです三馬鹿に見つからないよう気をつけてね
- :-:2017/01/09(月) 14:41:35
- 新年早々カナ銀とは…いつもお世話になっております…
- :-:2017/01/09(月) 15:11:04
- 唐突な真紅スレイヤーに思わず噴いた
グロ趣味ではないきらきー可愛いよきらきー
- :-:2017/01/09(月) 16:39:12
- 土手ゴンはNフィーにも存在してたのか…!
- :-:2017/01/09(月) 17:27:15
- 雛苺ドルチじゃねーか
- :-:2017/01/09(月) 17:36:08
- 蒼星石「さぁて、みんなにお粥は行き渡ったかな? お粥重くしてるから遠慮せずに食べまくっていいからね」
まさか魔法陣グルグルネタなのか…?
米作ったんだから、次は発酵させて味醂・日本酒を作るのは当然の展開ですね。
nのフィールド菌の協力を得て、かもしまくるわけですね。
- :-:2017/01/09(月) 18:11:35
- ウルトラネタが多くて俺マジ感謝
そしてゲロとSLPYメイデンには切っても切れない縁があると再認識した
- :-:2017/01/09(月) 18:23:31
- MAXパワーMAXスピードってもしかしてウルトラマンマックス?
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ホーリエになんか仕込まれたか?
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- >>ジュン「翠星石と真紅の間に挟まれたドールが、まともなわけないと最近は思っている」
蒼株は順調にストップ安を繰り返しているナ。
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- :-:2017/01/09(月) 22:42:54
- 最高
- :-:2017/01/09(月) 23:22:49
- このマイスタージュンがマイスターローゼンに及ばない所を一つ思いついた
nフィーをも使える力。
それ無しで抑えつけられるのは、わきまえるバカに定評あるずんだ餅好きさんくらいか
でも結構行方不明なったりするんが
- :-:2017/01/09(月) 23:41:01
- 病人時代めぐにあの粥出したらヒロインすぎる新年になったのかな