835 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2008/01/26(土) 17:47:34 ID:vnVI/75r0
今日は卒業以来10年ぶりの高校の同窓会。
三十路目前の男女がビールで顔を赤らめている。
クラスで唯一、上京した俺には全てが懐かしく、昔に戻れた。
俺は幹事の男の横で、くだらない昔話で盛り上がっていた。
「ちょっと~久しぶり~」
わあぁっ、と入り口の方を見た奴らが盛り上がる。遅れてきた奴が到着したらしい。
「あっち空いてるよお。あっち座りな」
あっちあっち、と言いながら指差していたのは明らかに俺の横だった。
そいつは俺の横にちょこんと座り、無表情にうつむいていた。
「よぉ、久しぶりだな」
「…………」
実は俺は女子の幹事に頼んでいた、コイツの横にしてくれるなら参加する、と。
東京からの旅費もバカにならないからな。
無口は相変わらずだな、昔と変わらない。
「ごめんな、実は俺がお前の横に座りたいって幹事に頼んでたんだ……」
俺は正直に打ち明けた。
変わらないコイツを見て、嘘をつくのが馬鹿らしくなったんだ。
「……いい、わたs」
「久しぶりでしたね」幹事の男が割り込んで話しかけてきた。
「…………」

二次会に行こうとなって、一軒目の店を皆で出る。
表でタバコをくわえて動き出すのを待っていると、袖を引っ張られる。
振り返ると、その子が立っていた。
「……あなたに会いに来た」

なんてことがあったら絶対に好きになっちゃうだろ?