660 名前:大人の名無しさん [] 投稿日:02/12/11(水) 16:04 ID:ahnM84sa
ガキのころ喘息持ちで体の弱かった俺は、いつも家の中にいることが多かった。
学校では将棋が流行っていたのだが、俺はなぜか爺さんに麻雀を教わった。
始めに役を教わり、点数と符計算は4年生のときに教わった。
小学校を出るころには爺さんに連れられて雀荘に行き、顔見知りの地元のおじさんとも
打つようになった。

中学に入ると、同級生もちらほら麻雀を覚え始めてるのだが、
爺さんと仲間達仕込みの俺はアドバンテージが5年以上あったので、
ほとんど負けたことがなく、はっきり言って飽きた。

高校に入るとバイクの方が面白くなって、麻雀なんかほとんど打たなくなった。
そしてその頃爺さんも死んだ。

去年爺さんの法事で従兄弟たちが集まって、誰が言い出したか突然麻雀をやることになった。
爺さんの部屋で十年以上握ってない牌の箱を開けたら、ふたの内側に宇宙戦艦ヤマトのシールが
貼ってあって、その上に俺の名前が書いてあった。

七対子という言葉の響き、自5、右6、トイ7といったサイコロの目の読み方、
消毒液臭いおしぼりを持ってきた子供好きの雀荘のおばさん、気心の知れた地元のおじさん相手に
「こんなに負けたのかぁ」と嬉しそうに泣きまねをした爺さんの顔、いろんなものがグルグル回った。
思えば俺はずっとずっと爺さんと一緒にいたんだな、と思うと少しだけ涙が出た。

年端もいかない孫に麻雀教えるなんてDQNジジイにもほどがあるけど、
とりあえず俺は相手がプロでもない限り絶対誰にも負けない。今でもだ。