スウェーデン王立工科大学(KTH)が、緊急搬送時に周囲を走行する自動車のカースレテオを強制的に停止させるシステムを開発しました。EVAMと名づけられたそのシステムは、どんなに大音量で音楽を鳴らしている自動車でも、救急車の接近を知らせることができます。
難聴のリスクなど気にせず好きな音楽をガンガンに鳴らしている人なら、突然に救急車が現れてドキッとした経験があるかもしれません。それはドライバーにとっての事故のリスクもさることながら、ただでさえ危険な状態で搬送されている病人・けが人をさらに危険な目に遭わせることになりかねません。
しかし、スウェーデンで実証試験が開始された技術が実用化すれば、そんな問題も解消されるかもしれません。KTHが開発したEVAMシステムは、海外では多くのカーオーディオが備えるRadio Data System(RDS)フォーマットで救急車の接近を知らせ、ラジオだけでなくCDやBluetooth経由で音楽を再生中であっても強制的に音楽を停止させます。
EVAMの音楽停止機構は走行速度によってその通知距離を制御するため、たとえば高速道路であればまだ救急車が遠くにある時点から音楽を停止して安全に道を譲れるよう調整します。
KTHは現在ストックホルムにて、数台規模の救急車でEVAMの実証実験を行っています。期間は約3ヵ月。現在わかっている潜在的な問題は、救急車が走っている通りから外れた道路にいる自動車のカーステレオであっても強制停止してしまうということ。音楽が不意に止まったので親切にも道を開けて待っていたのに、ふと気がつけば救急車が筋違いの道を走っていった、などといういささか間抜けなシチュエーションを味わうドライバーも少なからず発生するということです。
とはいえ、それで誰かひとりの命が救えるのであればシステムを導入する意義はあるはず。たとえば救急車が発する信号を指向性にするといった対応も考えられなくはありません。ここはみんなで、よりよいシステムが普及するのに協力すべきところといえそうです。
ちなみに、大多数のドライバーが普段から救急車の音が聞こえる程度の音量でカーステレオを使っていれば、こんなシステムは必要はないような気もします。