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響「ウラジオストクのヴェールヌイ」第10話~最終話|エレファント速報:SSまとめブログ

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響「ウラジオストクのヴェールヌイ」第10話~最終話

関連記事:【艦これ】響「ウラジオストクのヴェールヌイ」【第6話~第9話】





響「ウラジオストクのヴェールヌイ」第10話~最終話






2: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:30:22.12 ID:T8+8PVRrO

【よく分かる今までのあらすじ】

なんかぁ
むかしぃ
ソ連にぃ引き渡されたりとかして友達ができてぇ
そんでみんな艦娘に生まれ変わったからぁ
演習とかもあるしぃ
現代でも会いに行ってみたらぁ
陰謀が渦巻いてたんすよねぇ
 



3: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:32:10.43 ID:oj7CMCDAo

【出てくる人たち】


<横須賀鎮守府>

響……みんなのべるぬい フリーダムじゃない

暁……みんなのレディー かわいい

雷……みんなのおかん 怒るときは怒る

電……みんなの末妹 ぷらずまじゃない

提督……みんなの司令官 割とずる賢い


<ロシア太平洋艦隊・ウラジオストク基地>

トビリシ……嚮導駆逐艦 音楽好きの寂しがり

カリーニン……巡洋艦 愛国心旺盛なバカ

ラーザリ……巡洋艦 リアリスト気取りの弱虫

モロトヴェッツ……潜水艦 強くて危ういシスコン

潜水艦娘A~D……モブ 名前表記にするタイミングを掴み損ねた

長官……ロシアの司令長官 割と外道
 



5: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:34:44.58 ID:T8+8PVRrO

―ロシア ピョートル大帝湾―

―日本司令船 甲板―


  ザザァン…

            ザザァン…


乗組員D「……だいぶ晴れ間が差してきたな」

乗組員E「ああ……暁ちゃんたち、大丈夫かねえ」

乗組員D「なぁに、レーダーには引っ掛かったんだ。提督の話じゃ、すぐ――」


   パシュッ…   カッ


乗組員D「……何の音だ?」

乗組員E「あ?」

乗組員D「聞こえただろ? 何かこう、金属が引っ掛かったみたいな……」
 



6: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:38:24.62 ID:T8+8PVRrO



   カカッ! カカカカカッ!

   ヒュンヒュンヒュンカカッヒュンヒュゥンカカッカキッカキッ!!


乗組員C「――!?」


   ギィッ! グイッグイッギシッギィッ
   ドタン! ドタンドタッドタタタッドタッ!!


潜水X『――――』

潜水艦部隊『――――』ザッ!


乗組員D「……な……ぁ……?」

乗組員C「か……艦、娘……?」

潜水X『――――』チャキッ

乗組員C「き、機銃……!?」

乗組員D「このっ……てめえら、どこから上がってッ――」チャキッ
 



7: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:41:02.67 ID:T8+8PVRrO

潜水X『――――』スッ


  ダダダダダッ!


乗組員C「ひ……っ!?」

乗組員D「ッ――! い、威嚇か……!」

潜水X『日本司令船、乗組員に告ぐ!』

潜水X『犯罪防止および治安維持のための良心的判断により、
    これよりお前たち全員を拘束する!』

潜水X『命が惜しければそのまま動くな! 抵抗は無用のものと知れ!』

乗組員C「……? あ……?」

潜水C『あ、あの……通じてないから、別の言葉で……』

潜水X『命令するな。部隊長は私だ』

潜水C『め、命令なんて、そんな』
 



8: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:44:25.61 ID:T8+8PVRrO

潜水X『…………С-26。英語は話せるな?』

潜水D『え゛っ!? じ、自分ですか!? ええと……』

潜水D「ゆ、ユーアーヴェリーデンジャラス! ソーデンジャラス! 
    サムハプニング、ユーウィルダイ!」

乗組員C「――!?」

潜水D「ユーマスト、ソークワイアット! アンド、ウィーウィルノットキルユー!
    ドゥ……ドゥ―ユーアンダスタン!?」

乗組員D「……い、イエース」

潜水D「センキュー!」

乗組員C「センキューじゃねえよ……」ガタガタ

 



9: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:48:08.48 ID:T8+8PVRrO




             эп.10


   Него слезам не верит
 
         ―奴は涙を信じない―



 



10: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:52:15.06 ID:T8+8PVRrO

―格納庫―


長官『――指令В、作戦行動開始』


   その言葉を合図に、ハッチの外で水しぶきが立つ。
   何かが飛び跳ね、格納庫へと入ってくる。


潜水艦部隊『…………』ザッ

モロトヴェッツ『――! あ、あなたたち……』

潜水Y『動くな!』チャキッ

潜水B『…………』チャキッ

響『……! マクレル……!?』

提督「いかん、ハッチを――!」

潜水Y『動くなと言っている、日本人!』チャキッ

提督「ッ……!」


   跳び出してきたのは、ロシアの潜水艦たちだった。
   手には機銃を携え、背中にはバックパック状の装備を身に着けている。
   腰に巻かれたベルトの左右には、小さな錨がくっついていた。

   艤装を身にまとっている。完全な戦闘態勢だった。

 



11: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 20:56:14.70 ID:lhRjor56O

潜水Y『全員、手を上げて中央に寄れ!』

響「っ……!」

雷「なっ……なんなのっ、これ……!」

提督「…………」


   相手の言う通りに、雷たちを促して格納庫の中央に集まる。
   司令官は、しきりに通路へつながる扉の方を気にしている。


 「…………」

 「……はぁっ……はぁっ……」


響「――!」

提督「…………」


   少しだけ開いた扉の陰から、誰かが息をひそめて、格納庫の様子を窺っていた。
   きっと、さっき司令官と話していた、銃を持った水兵さんたちだ。

   艤装をまとった艦娘はともかく、
   生身の長官や随伴兵には、普通の銃が十分な脅威になる。
   上手くいけば、この状況を打破できるかもしれない。


響(……でも、今は……)


   けれど、今飛び出してきたとしても、
   周囲を警戒している潜水艦たちに、すぐに気付かれてしまう。
   きっと司令官も、合図を出す機会をじっと待っているのだろう。

 



13: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 21:00:14.27 ID:lhRjor56O

提督【……悪ふざけが過ぎますね。国際問題勃発ですよ、長官】

長官【国に害なす者を捕らえただけだ。何の問題があるものか】

長官【貴様らには、ロシア連邦刑法典、第276条違反……スパイ行為の疑いがある】

提督【……明確な証拠があるとでも?】

長官【白々しいことを。我々を謀ろうとしたはずだ。モロトヴェッツを抱き込んでな】

提督【…………】

長官【疑わしきは逃さず、だ。
   犯罪防止と治安維持のための良心的判断により、貴様ら全員を拘束する】

提督【何が良心だ……! あんたらに逮捕権なんぞ!】

長官【逮捕などしない。ただ、身動きを謹んでもらうだけだ】

提督【こ、このッ……!】
 



14: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 21:04:12.76 ID:lhRjor56O

モロトヴェッツ『やめ……違うの……! やめなさいっ……!』

ゴルコヴェッツ『…………』

潜水B『……! ゴーシャさん!? その傷は――』

長官『その2隻も拘束しろ。スパイどもに身売りした反逆者だ』

潜水B『!?』

潜水Y『……了解』チャキッ

潜水B『そ、そんな……!』


   見覚えのない潜水艦が、モロトヴェッツたちに近づいていく。
   他の潜水艦たちも、倒れているモロトヴェッツを複雑な目で見ている。

   ――私たちから、注意が逸れていた。


提督「…………」コクン

 「――っ!」ダッ


   司令官が、扉に向かって小さくうなづく。
   ライフルを構えた2人の水兵さんが、勢いよく扉を蹴り、声を上げた。


乗組員B【動くな! 全員、床に伏せ――】
 



15: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 21:08:48.22 ID:lhRjor56O



  ド ゴ ッ …


乗組員B「ぁ……――」ドサッ

響「……!?」


   肉がひしゃげたような、鈍い音が響く。
   声を上げようとした水兵さんが、うめき声を上げて倒れ伏した。


潜水Z『…………』

乗組員C「ひ……!」


   扉の奥に、新手の潜水艦が立っていた。
   いつの間にか、音もなく通路を進み、水兵さんたちの背後に迫っていたんだ。


乗組員C「こ……このアマっ!」チャキッ

提督「! よせっ、青島!」

潜水Z『…………』スッ

乗組員C「ッッ!」ダダダダッ
 



16: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 21:12:14.28 ID:lhRjor56O



   恐怖にひきつった表情を浮かべて、水兵さんが引き金を引く。
   空気を震わせるような銃声。そして、弾けるような金属音。


潜水Z『…………』シュゥゥゥ

乗組員C「……っ……!」


   相手は、艤装を身につけた艦娘だ。普通の銃など効くはずもない。
   鉛玉を難なく跳ね返し、煩わしそうに身体を払った。


乗組員C「……ちくしょう……!」

潜水Z『……ふん!』ドゴッ!

乗組員C「ぁぐ……っ……――」


   機銃のストックで、水兵さんの頭を殴りつける潜水艦。
   そして、虫の息の水兵さん2人を、
   襟首から強引につかみ、格納庫の中へ無造作に投げ入れた。


乗組員B「…………」ドサッ

乗組員C「が……っ……」ドサッ

提督「田宮……青島……っ!」

雷「いや、いやぁっ……!」
 



17: ◆hc5Hlyk12iWK 2016/08/16(火) 21:16:37.63 ID:lhRjor56O

潜水Z『……甲板、および船内各所、制圧完了しました』

潜水Z『他の乗組員25名も、全員を拘束完了。甲板に集めて監視しております』

提督「……!」

長官『非常信号の類は?』

潜水Z『発信は確認されておりません。まず司令室を叩きましたので』

長官『……いいだろう。甲板の奴らから目を離すな』

潜水Z『はッ!』ビシッ

響『なんて……なんてことを……!』

長官『何を言う。兵器とは本来、この用途が正しいのだ』

長官『化け物との戦いにしか使えないなど……
   貴様らが恣意的に決めた、勝手な条約のルールに過ぎん』

長官『初の対人作戦……多少は不安もあったが、予想以上の成果と言える』

長官『……ここまで相手が脆弱とは、少々計算違いだったがな』

提督「……