トンボを見かけるとつい指先をくるくると回して捕まえがちになるが、そんなこともできなくなる時代が到来したようだ。遺伝子を改変されたサイボーグトンボが公開された。これは遠隔操作によって人々のスパイを行えるという代物だ。
ドラゴンフライ(DragonflEye)と名付けられたそれは、半昆虫半機械の存在。爪ほどの大きさのバックパックを背負い、ソーラーパネルで動力を得て、遠隔操作することができる。受粉といった平和的な使い方から人々の監視といった不穏な使い方まで、様々な応用方法が考えられる。
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遺伝子を改変し、トンボを操る
ドレイパー研究所のジェシー・ウィーラー(Jesse Wheeler)氏によると、ドラゴンフライシステムは、様々な昆虫が装備できるミニチュア技術であり、将来的に受粉のような重要な活動を人為的に操作できるようになる可能性があるという。
このシステムの肝になったのが、トンボの神経系を遺伝的に改変し、光パルスに反応させるというアイデアだ。
これを実現するために、チームはオプシンという光感受性タンパク質を神経細胞に追加。こうして、バックパックから送信される光によって神経細胞を活性化させることが可能になった。光で刺激された神経細胞は、その信号を羽に伝え、「飛べ」と命令を出す。
ウィーラー氏によると、いくつか鍵となる技術があるという。まず共同で研究を進めたアメリカのハワード・ヒューズ医学研究所が、光に敏感な”操作”神経細胞を作り出すために、トンボに遺伝子を埋め込む技術の開発を担当。
マサチューセッツ州ケンブリッジにある最新技術の開発組織、ドレイパー研究所では、自動ナビゲーションのためのミニチュアバックパックと、改変神経細胞を光で操作する光化学センサーの開発を担った。
開発が完了すると、それらの装置をトンボに装着し、今度は位置トラッキング、飛行操作、光刺激の最適化の研究を行った。
こうした研究には、これまで主に2つのアプローチが存在した。一方は、生体の本来の意思を超える強い衝動を与えて、一定方向へと移動させるもの。他方は、足の筋肉や神経に直接働きかけて移動させるというものである。
しかし、どちらも欠点がある。第一のアプローチでは、昆虫はそうした衝動に徐々に慣れて、最終的には無視するようになる。第二のアプローチでは、効率的な本来の動きが、ギクシャクとしたぎこちないものに変わってしまう。
ドラゴンフライ計画では、その真ん中のアプローチを採用して、衝動への慣れやぎこちない動作といった問題を回避することにした。
via:The genetically-modified CYBORG dragonflies that can be remotely controlled to spy on people
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コメント
1. 匿名処理班
おちおちクルクルって何のことかと思ったらトンボ捕まえる時のアレね
てっきりぱるもさんが一人部屋でクルクル回ってるのかと・・・
2. 匿名処理班
これ、今の時点ではただの計画か。写真はあくまでモックアップの作り物だね。
3. 匿名処理班
と、いう設定のアートっていういつものパターンかと思ったら違った
マジかよ
4. 匿名処理班
攻殻機動隊にカメラ虫?とかいうのが出てきたけどあれを思い出した
5. 匿名処理班
すごいけどなんか倫理の壁を超えつつあるな…
6. 匿名処理班
残酷
7. 匿名処理班
この手の研究開発は禁止したほうがいいな。
神経症的な社会を招来するし、社会を不安定化する。
マッドサイエンスのたぐい。
8. 匿名処理班
熱で羽が変形して飛べなくなるまでは見えた
9. 匿名処理班
この技術がやがてシャークトパスの開発へと結びつくのであった
10. 匿名処理班
漫画の世界の話みたいだ
11. 匿名処理班
何ロイドSだよ
12. 匿名処理班
生身の虫使うくらいならロボットにしたほうが簡単だと思うけど、将来人間にも応用できるし虫でやった方が良さそう。
13. 匿名処理班
人間の目に寄生して、宿主を操るようにしたほうがいいんじゃないかな(ロイコクロリディウム)
14. 匿名処理班
※7
禁止しても時間の問題
なにが一番の問題かというと生物がモノなんだっていう事実がますます確証を得てきたこと。
人もロボットと変わらんということを皆認めるしかなくなってきたこと
そしていつの日か人はデータの世界に逃げ込むんだよ
文字通り自分たちをデータ化してデータ空間で生きるようになり地上から姿を消す
15. 匿名処理班
虐待ーー!!!
というわけではないけどなんかもやっとする
16. 匿名処理班
これじゃなんでも有りだね。
凄いことなんだろうが怖いです。
17. 匿名処理班
逆にこれを人間に使えば、全身麻痺の人でも動けるようになりそうだけど
18. 匿名処理班
これはまだ判り易い昆虫型だからいいけど
そのうちナノテクが進んで
微生物型とかになって体内に侵入されたりしたら…
19. 匿名処理班
ドクター・ゲロかな
20. 匿名処理班
※17
そっちのほうも成功している
あとは精度を高めて値段が下がればたくさん助かる
21. 匿名処理班
重さはどれくらいなんだろう?トンボはまともに飛べるのかな?春に仕込んで秋までか、
後めたいことは冬にやるとするか、
Gの方が、、
22. 匿名処理班
トンボ型のロボットじゃなくてガチのサイボーグなのかよ!
とんでもない技術だな…しかし死んだら使い捨てなのだろうか?コストに見合わない気もする
23. 匿名処理班
なんかもう これ以上未来へ進まないほうが
いいんじゃないのかしら…
24. 匿名処理班
この延長でちっさいオーラバトラーとか作れんかね?
てんとう虫からドラムロとか。
25. 匿名処理班
サイボーグ昆虫を優先的に捕食する鳥が作られ、さらに対抗する猛禽が…
26. 匿名処理班
小学生のとき、こういう改変昆虫が居間に入ってきてその後空から爆撃食らう夢を見た。
めっちゃリアルで怖かったんだけど、マジでこんなやつやった。
27. 匿名処理班
ヒトが他の生物の寄生虫になる日が来るとはな
28. 匿名処理班
ショッカー首領「そこは我々がもう40年以上前に通った道だぞ」
29. 匿名処理班
※18
『からくりサーカス』のゾナハ病の原因になるアレを思い出した。
ぜひぜひぜひ…
30. 匿名処理班
見つけたら ハエたたききで叩き落としてやる