暁「変ね。何度推理しても司令官のプリンを盗んだ犯人が私になるわ」
ガチャ
提督「あれ?」
提督「!!」
提督「な、なんてこった」
提督「ない! ないぞ!」
提督「いったい誰が!」
提督「俺のプリンを盗みやがったんだー!」
提督「こ、この声は!?」
「誰かが呼んでる声がする。謎が呼んでる声がする」
提督「まさか!?」
「宇宙の果てまで知り尽くし、昨日は間宮でウニ尽くし」
提督「Hey Yo!」
「解いた事件は数知れず、トリック謎解きなんのその」
提督「Oh yeah!」
「水平線の果てにさえ、解けない謎なぞどこにもない!」
提督「Let’s go!」
「ご存知レディの名探偵! 暁よ!」
提督「暁!」
提督「ああ、実はだな……」
(……)
暁「なるほど。司令官が冷蔵庫に大事にとっておいたプリンがなくなっていたと」
提督「そうだ。朝見たときはあったのに」
暁「……これは不可能犯罪ね」
提督「え? そうなの?」
提督「ああ。つまみ食いがひどかったからな」
暁「つまり、冷蔵庫の中は完全な密室となっていたわけよ」
提督「……そうか!」
暁「そうよ! この事件は密室で行われていたのよ!」
提督「な、なんてこった。まさに不可能犯罪だ。このまま事件は迷宮入りしてしまうのか……」
暁「落ち着いて司令官」
提督「どういうこと?」
暁「司令官。冷蔵庫の鍵は一つしかないの?」
提督「いや、俺が持ってるのともう一個ある。いつも秘書艦に渡してるやつが」
暁「……そういうことね。方程式は解けたわ」
提督「どういうことだ説明してくれ!」
暁「鍵を持っているのは二人。そのうち一人は被害者。ならもう一人が犯人よ!」
提督「なんだって!」
暁「ちなみに今日の秘書官は誰?」
提督「暁だけど」
暁「そうだったわね」
提督「ああ」
暁「そして司令官は犯人じゃないから取り除くわ。そして残ったのは……」
暁(あれ? 私だ)
提督「犯人は誰なんだ?」
暁「落ち着いて司令官。行き詰ったときは視点を変えてみるの」
提督「どういうことだ!?」
暁「これを難しい言葉でコペルニクス的転回というわ」
提督「説明してくれ!」
暁「つまり、犯人を捜すのではなくてプリンを探すのよ」
提督「なるほど! プリンのゴミを探すわけだな!」
暁「急に物分りがよくなったわね」
響「おそばに」シュタ
暁「プリンのゴミを見つけてきてちょうだい」
響「そういわれると思ってすでに準備してある」
暁「さすがね。これはどこにあったの?」
響「暁型の部屋のゴミ箱さ」
暁「ふむふむ、なるほど。つまり犯人は暁型の誰かということね」
提督「ふむ」
暁「……そしてこんなゴミ一つからでもわかることはいろいろあるわ」
提督「???」
暁「このプリンの裏を見て?」
提督「こ、これはプッチンするのを失敗している!!」
暁「そう。つまりこのプリンを盗んだ人はおっちょこちょいでドジだと考えられるわ」
提督「なんて鋭い洞察力なんだ……」
暁「そうなると響と雷は外れる。電は今日は遠征に行ってたからこれも除外」
暁(あれ? 私だ)
提督「くそっ! 犯人はいったい誰なんだ? 見当もつかねえ!」
暁「落ち着いて司令官。焦ったら駄目」
提督「ああ、すまねえ」
暁「こんな時は発想を逆転してみるの」
提督「逆転?」
暁「難しい言葉でパラダイムシフトと言うわ」
提督「なるほど」
暁「つまり誰がプリンを食べたかではなくて、プリンを食べたのは誰か? と考えるの」
提督「??」
暁「もし司令官がプリンをこっそり食べるとしたらどうやって食べる?」
提督「そりゃあ部屋に持ち帰ってこっそり……はっ!」
暁「そうよ。おそらく犯人は部屋に持ち帰ったはずよ」
提督「か、考えもしなかった」
暁「響君!」
響「そういうだろうと思って、すでに聞き込みは終わってるよ」
暁「さすがね。結果はどう?」
響「ああ、プリンを持った怪しい人物をみたと言う報告が何件かあがっている」
暁「うん! きっとその人が犯人ね!」
響「報告によると、その人物は黒の長髪で帽子を被っていてセーラー服を着ていたそうだ」
暁「……!! 私の脳裏にはある人物が浮かび上がってきたわ」
提督「そ、それは一体?」
暁「それは―」
暁(あれ? 私だ)
提督「教えてくれ! 暁! その人物を!」
暁「落ち着いて司令官。法学の世界にはこんな言葉があるわ」
提督「??」
暁「『疑わしきは被告人の利益に』」
提督「!!」
暁「私はもう犯人の目星はついている。でも証拠もないのに犯人扱いなんて駄目よ」
提督「お、俺が間違っていた。ごめんよ。ごめんよお」グスグス
暁「いいのよ。間違いは誰にでもあるわ」
提督「いいのか?」
暁「うん。一緒に食べましょ? ちょっとプッチン失敗しちゃったけど」
提督「ありがてえ。ありがてえ」ポロポロ
暁「これを食べて明日も頑張りましょ。ね?」
提督「天使や。天使がおる」
暁(プリンを盗んだ犯人は誰だったんだろう?)
暁(それは誰にもわからない。私は知ってるけど)
暁(私に解けない謎はない)
暁(そう、なぜなら私は名探偵。暁なんだからっ!)
第一話・完
ガラッ
提督「あれ?」
提督「!!」
提督「な、なんてこった」
提督「ない! ないぞ!」
提督「確かにここに入れといたはずなのに!」
提督「誰が! 俺のエ口本を盗みやがったんだ!」
提督「こ、この声は!?」
「天が呼んでる声がする。私を呼んでる声がする」
提督「まさか!?」
「その知性は海より深く、間宮の甘味は何より旨く」
提督「YO! YO!」
「ちっちゃくたって頭脳は大人、完全犯罪なんのその」
提督「Year! Year!」
「三千世界の彼方にも、解けない謎なぞどこにもない!」
提督「BURN!」
「ご存知レディな名探偵! 暁よ!」
提督「暁!」
提督「ああ」
(……)
暁「なるほど、いつの間にか三段目の引き出しの中にあった司令官のエッチな本が無くなっていたと」
提督「そうだ。とても悲しい」
暁「……これは完全犯罪ね」
提督「まじで?」
暁「そうよ。よく考えてみて。司令官は職務中大体机に座っているでしょ?」
提督「そうか! つまり犯人は司令室の鍵を持っているやつ! 俺を除いたら秘書艦ってことか!」
暁「なんで急に物分りがよくなるの?」
提督「なんてこったい」
暁「そしていつも司令室に鍵をかけているのは司令官か秘書艦」
提督「鍵を持っているのもその二人だけだな」
暁「ちなみに昨日の秘書艦は?」
提督「暁だけど」
暁「そうだったわね」
暁「つまり犯人は―」
暁(あれ? 私だ)
暁「落ち着いて司令官」
提督「何も言ってねえよ」
暁「別の方向からアプローチを仕掛けてみましょう」
提督「別の方向?」
暁「国を全うするを上と為し。何も馬鹿正直に犯人を捜す必要はないわ」
提督「つまりどういうことだ?」
暁「このまま待つの。そうすれば答えが出るわ」
暁「……」
提督「……」
暁「……」
提督「なあ」
コメント一覧
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- 2017年02月02日 23:48
- 本田みおちゃんのほうがかわいい
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- 2017年02月02日 23:50
- ここまで不安になる駄目っぷりは初めて見たなw
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- 2017年02月02日 23:56
- 艦これプレイした事ないけど、この暁って子はきっとカワイイ
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- 2017年02月02日 23:56
- 盗まれたケッコン指輪と響がしていた指輪は……特に何も関係なさそうだな(白痴