【ポケモン】リーリエ「母さま……どうして……?」【サンムーン】
その日、母さまはいつもと違う格好をしていました。
長い髪を一つにまとめて、動きやすそうな服装で。
リーリエ「ステキです! フォルム……イメージチェンジですね!」
ルザミーネ「ふふ、ありがと」
半袖にパンツルック。年齢を感じさないスタイルの良さ。
わたしにはない 格好良さと美しさがあります。
でも どうして急に?
ルザミーネ「あなたを見習ったの……私も、ゼンリョクを出したいことが見つかったから」
リーリエ「え……それって」
ルザミーネ「あぁ、安心してちょうだい。前みたいに キケンなことではないから」
母さまは やさしく微笑むと わたしを抱き寄せて。
おデコに キスをしてくれました。
ルザミーネ「あなたは あなたの好きにしなさい」
リーリエ「はい!」
ルザミーネ「ふふ。それじゃあ、行ってくるわね」
母さまはとてもイキイキしていて。
なんだかわたしも嬉しくなって 笑顔で見送りました。
ステキなことがありそうだと 胸を弾ませて。
その夜 母さまは 帰ってきませんでした。
まだ、オニスズメたちも眠っている明け方。
ドアの開くような音で、ぼんやりと目が覚めました。
母さまが 大分遅く……朝になって 帰ってきたのです。
ルザミーネ「ふぅ……」
寝ぼけた目で見る母さまは、なんだかとても疲れているようで。
それでも、とても楽しそうに見えました。
リーリエ「かぁ……さま……」
それなら 良かったと。
まだとても眠かったわたしは 眠気に抗うことなく意識を手放しました。
行きと帰りで 母さまの服装が変わっていたこと。
その事に気が付いたのは 今より ずっと後でした。
ウルトラボールから繰り出される、筋骨隆々の異形。
トレーナーの掛け声に応じるように、筋肉を強調するポーズを見せ付ける。
赤い巨躯に虫の翅、長い口吻とアローラ地方のポケモンとは全く違う特徴を持つ生き物。
その名をウルトラビースト・マッシブーン――異次元から来た、ポケモンの1種である。
「マッシブーン! ストーンエッジ!」
そして、マッシブーンに指示を出す少年こそアローラ地方・初代チャンピオン。
最強の座を狙い各地からやって来るトレーナー相手に、日夜戦いを繰り広げているのである。
バトルは、少年の勝利で終わった。
マッシブーンの見た目に違わぬ剛力と、少年の適切な指示。
そして何より、お互いの間にある絆が、防衛戦を成功させた。
挑戦者は強力なドラゴン使いだったが――少年を倒すまでは至らなかった。
「……」
バトルが終わり、挑戦者も帰ればポケリフレの時間。
砂埃で汚れてしまったマッシブーンの体を、ブラシで綺麗にしてあげる。
ガンバったご褒美として、ポケマメをあげる事も忘れない。
「――♪」
少年の手から与えられるポケマメをちゅうちゅうと吸うマッシブーン。
バトルで活躍し、褒められたマッシブーンはとても喜んでいるようだ。
鳴き声をあげながら、いつもよりキレの良い動きでポージングをしている。
「……」
当然だが、マッシブーンは喋れないし見た目も他のポケモンとは大きく変わっている。
それでも、心は通じ合っていると、少年は信じていた。
ポケモンたちの手入れを終えて、一息つく少年に差し出されるおいしい水。
ありがとう、とペットボトルを受け取ると一息に飲み干す。
ルザミーネ「ふふふ……やっぱり、あなたはステキなトレーナーね」
目を細めてクスクスと笑うルザミーネ。
少年とウルトラビーストたちを見守るその笑みに、以前のような執着はない。
ただ純粋に、一人の女性として、微笑みを浮かべていた。
ルザミーネ「ところで なんだけど」
ルザミーネ「ステキなレストランの予約が取れたんだけど 今夜 どうかしら?」
ルザミーネ「きっと マッシブーンたちも 喜ぶと思うわ」
少年は、その言葉に悩む事なく頷いた。
アローラ最大のリゾート地であり、予約は一年先まで埋まっているという。
ルザミーネに誘われた少年は、何とも幸運なことに予約無しで宿泊することになった。
「……」
アローラの島々を巡り、トレーナーたちの頂点に立つ少年だが、こういった場所には縁がなかった。
自宅のものよりも遥かに質の良いカーペットやフカフカのソファ。
伝説のポケモンを前にしても怯まなかった心が、妙に浮き足立って落ち着かない。
ルザミーネ「ふふ……こういうトコロは はじめてかしら?」
ちなみにマッシブーンは下のビーチでナマコブシ投げに興じており、その他のポケモンは別室で寛いでいる。
自然の美しさと人工的な快適さが両立されている。
一年先まで予約が埋まっているというのも頷ける話だ。
ルザミーネ「気に入って もらえたかしら?」
ルザミーネの言葉に、何度も首を振って頷く。
マッシブーンたちも楽しめたようだし、サービスも良かった。
食事も美味しかったし、ルザミーネに感謝を伝えるのに躊躇いはない――が。
ルザミーネ「? どうかした?」
ルザミーネの言葉によると『ステキなレストラン』という話だった。
もちろん、ココに文句があるわけではないが……。
ルザミーネ「ああ、そんなことね」
ルザミーネ「元々予約していたレストランの方には、代わりに行ってもらってるコがいるから、気にしないでいいわ」
そういうことなら、と少年は納得して頷く。
ルザミーネ「それに」
「……?」
ルザミーネ「ここなら……あなたと、二人だけですもの」
二人の距離は睫毛が触れるほどに近く、互いの匂いと温もりを感じ取れる。
「……!」
少年は、「オトナの女性」を此処まで近くに感じた事はない。
自分より年上で異性の知人は、ルザミーネを除くとライチやバーネットくらいのもの。
頬が熱く、こそばゆい。
バトルや冒険とは違った意味で、胸が高鳴るのを感じた。
「ふふ……だめ、よ?」
思わず後退りした少年の肩を、ルザミーネの白い手が抱き寄せる。
品の良い、香水らしき匂いが少年の鼻をくすぐった。
ルザミーネ「あなたは アローラ初のチャンピオン」
ルザミーネ「これからも 多くの体験をするでしょう」
ルザミーネ「そういう時のために」
ルザミーネ「私が イロイロ」
ルザミーネ「教えてあげる」
ルザミーネと 長い夜を 過ごした
リーリエ「最近 かあさまの帰りが遅いような……」
前よりも 優しくて。
母親としても トレーナーとしても。
私にイロイロと教えてくれるようになった母さま。
身体を蝕んでいたからは解き放たれて、カラダは健康なハズ。
前みたいに、自分勝手で、おかしなコトもしない。
そんな母さまが、楽しそうに夢中になっていること。
きっと 悪いコトではないハズなのに……。
リーリエ「どうして……落ち着かないんだろ……」
ぎゅっと、コスモッグの形をしたクッションを抱き締めます。
フカフカの感触が、胸の不安を和らげてくれるように……。
ルザミーネ「ただいまー……あら?」
リーリエ「zzz……zzz……」
ルザミーネ「まったくもう……」
クッションを抱いて眠る愛娘。
仕方ない、と微笑ましげにタオルケットをかけてあげるその姿は、誰から見ても優しい母親の姿そのもので。
ルザミーネ「せっかく、良い知らせがあるのにねぇ」
ルザミーネ「……くすっ」
真昼間のカンタイシティにハウのさけび声が響く。
その反応を予想していたククイは苦笑いしながら事情を説明する。
ククイ「リーリエとルザミーネはオーキド博士の研究に協力……で、彼はアローラ初代チャンピオンとしてカントーのポケモンリーグに招かれているんだ」
ハウ「ちぇー。せっかくとっておきの技をアシレーヌに覚えさせたのにー」
ククイ「まあまあ。彼が戻って来た時に驚かせてやろうぜ」
ハウ「うー……」
ククイ(きっと、彼もカントーで一回り成長して帰ってくるだろうし)
ククイ「それに、お土産も期待できるだろうし。楽しみに待ってようじゃないか」
コメント一覧
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- 2017年02月03日 22:24
- マッシブーンとの間に子どもがいないようだが?
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- 2017年02月03日 22:29
- マッシブーンが一番の癒しって言うね...
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- 2017年02月03日 22:32
- あっ、ブーン…(マッシ) が好きwww
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- 2017年02月03日 22:35
- やマ1
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- 2017年02月03日 22:58
- お前ら本当にマッシブーン好きだよな そんなに好きならマッシブーンの筋トレパートナーにでもなっちまえよ
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- 2017年02月03日 23:09
- こういうの待ってた
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- 2017年02月03日 23:11
- ※5
その手があったか!
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- 2017年02月03日 23:14
- 最後に出た2人の子供はどちらかがルザミーネの子供?
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- 2017年02月03日 23:15
- フェローチェ「もうちょっと…もうちょっとだけでいいんで…出番を…」
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- 2017年02月03日 23:21
- ※8
「(リーリエの)娘と(リーリエの)妹です」って言ってるだろ?
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- 2017年02月03日 23:50
- 米9
だってネタとしても戦力としても中途半端なんだもん
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- 2017年02月03日 23:53
- やっぱ純愛ハーレム・・・最高やな!
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- 2017年02月03日 23:58
- ※10
見落としてた、さんきゅ
最後の「かーさま……?どうして……?」がよくわからない
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